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労務情報

法定四帳簿の整備と活用のポイント「保管するための書類」から「労務管理に活かせるデータ」へ

公開日:2026年7月30日(当記事の内容は公開時点のものです)

監修:社会保険労務士法人 ヒューマンリソースマネージメント
社会保険労務士 岩下 等
監修:社会保険労務士法人
ヒューマンリソースマネージメント
社会保険労務士 岩下 等


法定四帳簿の整備と活用のポイント「保管するための書類」から「労務管理に活かせるデータ」へ

今週のピックアップ

【 労務情報 】
◆ その帳簿、「いざというとき」に使える状態ですか?
◆ 「法定三帳簿」から「法定四帳簿」へ-押さえておきたい基本ルール
◆ 4つの帳簿には何を記載する?-記載事項のポイント
◆ 「作ってあるだけ」ではNG-帳簿が整っている状態とは?
◆ 法定帳簿を「データ」として活用する
◆ まとめ

【 KING OF TIME 情報 】
◆ 「KING OF TIME」で法定四帳簿の出力に役立つ機能

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 その帳簿、「いざというとき」に使える状態ですか?

今回は、労働基準法などで作成・保存が求められる主な帳簿についてです。

これらの帳簿は、法令で作成・保存が求められているため、とりあえず作成はしているという会社も少なくありません。しかし、法定帳簿は作成しておけばそれでよい、というものでもありません。いざというときにすぐ使える状態で整えておくことが、本来の目的です。

例えば、従業員から「この労働時間や給与の計算は合っているのか」「有給休暇はあと何日残っているのか」といった問い合わせを受けたとき。その場ですぐに内容を確認し、疑問を解消するだけでなく、「間違っているのでは」という指摘に対しても、正誤を含めて回答できる状態になっているでしょうか。

また、労働基準監督署の調査では、まず提出を求められるのが、今回取り上げる「法定帳簿」です。求めに応じてすぐに提示できる状態にしておくだけでなく、記載内容に不備や不整合がなく、他の確認事項についても根拠資料として示せる状態になっていることが求められます。

いざ提出を求められた際に、帳簿がない、記載項目が足りていない、最新の状態に更新されていない、記載内容に不整合がある、といったケースは少なくありません。
今回は、これらの法定帳簿について、記載事項から整備状態、データとしての活用方法まで整理して解説します。

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 「法定三帳簿」から「法定四帳簿」へ-押さえておきたい基本ルール

以前から、作成・保存が必要な帳簿として「労働者名簿」「賃金台帳」「出勤簿」があり、これらをまとめて「法定三帳簿」と呼ばれてきました。
これに加えて、平成31年(2019年)4月から、「年次有給休暇管理簿」の作成・保存が新たに義務付けられました。そのため、現在ではこの3つに年次有給休暇管理簿を加えた「法定四帳簿」という呼び方も広がってきています。

それぞれに共通するルールを整理すると、以下のとおりです。

■作成単位
労働者名簿・賃金台帳・出勤簿
各事業場ごとに作成・保管する必要があります。本社で一括管理している場合は、各事業場で内容を確認できる状態にしておくことが求められます。

年次有給休暇管理簿
労働者ごとに作成することが定められているのみで、事業場単位での作成までは明文で求められていません。本社での一元管理も可能です。

■対象者
労働者名簿・賃金台帳・出勤簿
雇用形態を問わずすべての従業員が対象です。ただし、労働者名簿のみ、日雇い労働者については不要。

年次有給休暇管理簿
年10日以上の有給休暇が付与される従業員のみが対象で、管理監督者も含まれます。(年5日の取得義務の対象となる労働者)

■保管方法
4つの帳簿とも、書面でも電子データでも作成・保存できます。
ただし、電子データで保存する場合は、必要なときに速やかに表示・印字でき、労働基準監督署の調査などで提示できる状態にしておく必要があります。

■保存期間
労働者名簿・賃金台帳・出勤簿
・原則5年間、当分の間は経過措置として3年間です。
・起算日はそれぞれ異なり、
 -労働者名簿:退職・解雇・死亡の日
 -賃金台帳 :最後に記入した日または最後の賃金支払期日のいずれか遅い方
 -出勤簿  :最後に記録した日

年次有給休暇管理簿
・3年間(5年への延長の対象外)
・起算日は、当該有給休暇を与えた期間の満了日

■罰則
労働者名簿・賃金台帳・出勤簿
・作成・保存義務などに違反した場合は、30万円以下の罰金の対象となる可能性があります。

年次有給休暇管理簿
・作成・保存自体への直接的な罰則はありませんが、年5日の時季指定義務に違反した場合は、30万円以下の罰金の対象となります。

なお、労働者名簿・賃金台帳・年次有給休暇管理簿は、必要な記載事項を満たしていれば、1つの様式にまとめて作成することも認められています。(出勤簿にはこの規定はありません。)

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 4つの帳簿には何を記載する?-記載事項のポイント

ここからは、各帳簿の記載事項を簡潔に整理します。

(1)労働者名簿
・氏名
・生年月日
・性別
・住所
・履歴(異動や昇進など)
・従事する業務の種類
・雇入れ年月日
・退職(解雇・死亡)の年月日及びその事由

実務でありがちなのが、入社時に作成したまま、異動や役職変更があっても更新されていないケースです。「履歴」欄は、変更のたびに追記していく前提の項目だと意識しておくとよいでしょう。

(2)賃金台帳
・氏名
・性別
・賃金計算期間
・労働日数
・労働時間数
・時間外・休日・深夜労働時間数
・基本給や各種手当、その他賃金の種類ごとにその額
・控除した場合はその項目と額

労働時間数や時間外労働時間数は、出勤簿の記録と一致していることが重要です。勤怠データを加工して給与計算を行っている場合は、帳簿間で数字にズレが生じていないか確認しておきましょう。

(3)出勤簿
・出勤日
・始業・終業時刻
・休憩時間
・労働時間数
など

出勤簿そのものの様式や名称は法律で定められていませんが、労働時間を客観的に把握するための記録として、実務上作成・保存が求められる重要な帳簿です。
タイムカードや勤怠システムの記録を利用している場合でも、始業・終業時刻や労働時間が確認できる状態になっていることが重要です。

(4)年次有給休暇管理簿
・時季(実際に取得した日)
・基準日(付与日)
・日数、の3項目が必須記載事項です。

実務的には、有給休暇の残日数を管理するイメージが強いかもしれませんが、法定帳簿としては、付与日・取得日・取得日数を記録するものである点も押さえておきましょう。

なお、4つの帳簿はいずれも様式は任意です。

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 「作ってあるだけ」ではNG-帳簿が整っている状態とは?

前の章では、それぞれの帳簿に何を記載するのかを見てきました。しかし、必要事項が記載されていても、それだけで「整っている」とは言えません。
実務上、帳簿を作成・保存する大きな目的の1つは、「必要なときに、後から確認できる状態にしておくこと」です。

そのため、記載内容に矛盾や不整合があったり、数字の根拠をたどれなかったりすると、いざ確認しようとしても「何が正しいのか」が分からず、後から確認できる状態にはなっていない、ということになります。

例えば、従業員から労働時間や給与について問い合わせを受けたとき、担当者が前後の記録を都度調整すれば答えを出せる、という状態になっていないでしょうか。しかし、これは「帳簿を見ればすぐわかる」状態ではなく、「担当者が計算し直せばわかる」状態です。

こうした状態では、労働基準監督署の調査でも適切に説明できない可能性があります。調査では、次のような点が確認されます。

・最新の状態に更新されているか
・出勤簿の記録と賃金台帳の労働時間数が一致しているか
・年次有給休暇の付与日・取得日が、実際の運用と合っているか
・訂正した場合、その経緯が分かるようになっているか
・自己申告制の労働時間について、タイムカード等の客観的な記録と大きく乖離していないか
・複数事業所ある場合、事業所ごとに確認できる状態になっているか

特に見落とされがちなのが、帳簿そのものだけでなく、その元になる情報との整合性や帳簿間の整合性です。

■元になる情報と帳簿との整合性
例えば、残業申請の内容が出勤簿に正しく反映され、さらに出勤簿の記録をもとに給与規程の計算ルールどおり賃金額が計算され、その内容が賃金台帳に反映されていることが重要です。こうした一連の流れが崩れていると、帳簿単体は整っているように見えても、実態とズレた記録になってしまいます。

■帳簿間の整合性
よくあるのが、勤怠システムと給与システムの数字が一致していないケースです。 勤怠システムで集計した時間数を手作業で加工し、給与システムへ入力するなどしている場合、その過程で数字が変わってしまい、後から数字の根拠がたどれなくなる場合があります。

帳簿間の不整合を防ぐためには、勤怠・給与・休暇管理のデータをできるだけ一元管理し、手作業での転記や加工を減らすことが重要です。やむを得ず手作業で修正する場合も、その理由や経緯が分かるように記録を残しておくことで、後から内容を確認しやすくなります。

帳簿は「バラバラに存在している」状態ではなく、「互いに整合性が取れている」状態を目指すことが実務上のリスクを減らす近道です。また、1人の担当者しか実態を把握していない、いわゆる「属人化」した状態も、担当者の異動や退職の際に大きなリスクとなるため、あわせて見直しておきたいポイントです。

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 法定帳簿を「データ」として活用する

法定帳簿は、法対応のためだけの書類ではありません。日々蓄積されるデータは、労務管理を効率化するための材料にもなります。特に、帳簿を電子データで管理すると、データとして活用しやすくなります。

紙やExcelでの管理では、集計や検索のたびに手作業が発生し、転記ミスも起こりやすくなります。
一方、電子データで管理する場合は、必要に応じて画面表示や印字ができ、労働基準監督署の調査等の際に速やかに提示できる状態にしておく必要があります。これらの要件さえ満たしていれば、帳簿の作成や更新を、より効率的かつミスの少ない運用にできます。さらに、日々の労務管理にも活用しやすくなります。

例えば、出勤簿と賃金台帳のデータを照合できる状態にしておけば、残業時間の偏りや、特定部署の恒常的な長時間労働といった傾向を早期に把握できます。また、年次有給休暇管理簿のデータを一覧化しておけば、年5日の取得義務を満たせていない従業員を、期限が迫る前に見つけ出すことも可能です。

勤怠・給与・休暇管理のデータを連携させる仕組みを整えることで、帳簿間の整合性を保ちやすくなるだけでなく、担当者が日々の転記・確認作業に追われる時間を減らし、労務リスクの早期発見や未然防止がしやすくなります。

紙やExcelでの管理を続けている会社にとっては、システム化そのものが目的化してしまいがちですが、本来の狙いは「担当者の作業時間を減らすこと」ではなく、「空いた時間をより付加価値の高い業務に振り向けること」にあります。
法定帳簿を適切に整備することは、法令対応だけでなく、労務管理の質を高める第一歩にもつながります。

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 まとめ

法定四帳簿は、「作成すること」がゴールではなく、「必要なときに整合性の取れた状態ですぐに確認・提示できること」、つまり「後から確認できる状態」を維持することが本来の目的です。

今回を機に、自社の帳簿がバラバラに管理されていないか、記載事項に漏れがないか、一度確認してみてはいかがでしょうか。

そのうえで、日々の作成・更新作業に時間を取られている状態から、電子データやシステム連携を活用し、蓄積したデータを労務管理の質の向上や経営判断に活かしていくことも、これからの労務管理ではますます重要になっていくでしょう。

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KING OF TIME 情報

「KING OF TIME」では法定四帳簿の「労働者名簿」「賃金台帳」「出勤簿」「年次有給休暇管理簿」を出力できるので、手作業での転記や集計ミスのリスクを低減できます。

労働者名簿の出力方法

KING OF TIME 給与で出力可能な帳票 / データ(賃金台帳など)

【エクスポート】タイムカード[PDF]の一括出力方法(出勤簿)

【エクスポート】年次有給休暇管理簿データ[EXCEL]の出力方法

「労働時間」>[打刻とログの差異]タブの確認 / 操作方法
※記事内で触れた「帳簿間の整合性」について、KING OF TIME データ分析とKING OF TIME システムログを連携させることで、出退勤打刻とPCログ時間との差異を可視化し、サービス残業や記録の乖離を把握できます。

本記事が皆様のお役に立てれば幸いです。
今後もKING OF TIMEをご愛顧いただけますよう邁進してまいりますので、何卒よろしくお願いいたします。

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監修元:社会保険労務士法人 ヒューマンリソースマネージメント

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