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令和8年度の社会保険「算定基礎届」ガイド
基本から実務の進め方、注意点、効率化まで解説

公開日:2026年6月25日(当記事の内容は公開時点のものです)

監修:社会保険労務士法人 ヒューマンリソースマネージメント
社会保険労務士 岩下 等
監修:社会保険労務士法人
ヒューマンリソースマネージメント
社会保険労務士 岩下 等


令和8年度の社会保険「算定基礎届」ガイド

今週のピックアップ

【 労務情報 】
◆ 算定基礎届は年に1度だからこそミスも起こりやすい
◆ 押さえておきたい算定基礎届の基本
◆ 実務の進め方①(算定の準備)
◆ 実務の進め方②(標準報酬月額の算出)
◆ 算定基礎届で注意したいケース
◆ 実務の進め方③(届出の提出・結果の反映)
◆ 電子申請と給与システムの活用で算定業務を効率化する
◆ 算定業務の効率化チェックリスト
◆ まとめ

【 KING OF TIME 情報 】
◆ 「KING OF TIME」での算定基礎届業務に役立つ機能

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 算定基礎届は年に1度だからこそミスも起こりやすい

今回は、令和8年度の社会保険の「算定基礎届」についてです。

令和8年度の提出期間は、2026年7月1日(水)から7月10日(金)までです。

なお、令和8年4月からは「子ども・子育て支援金」の徴収が始まっていますが、算定基礎届の手続きや記載方法に変更はありません。

算定基礎届は年に1度の手続きのため、「毎年対応しているものの、自信がない」という担当者の方も少なくありません。また、経営者の方にとっても、実務を担当者任せにしているため、内容までは把握していないケースが多いのではないでしょうか。

しかし、算定基礎届で決定された標準報酬月額は、健康保険料や厚生年金保険料などの計算基礎となり、その影響は翌年8月分までの保険料に及ぶため、誤りがあれば、従業員・会社双方の社会保険料負担に影響するため注意が必要です。

本記事では、算定基礎届の基本から実務の進め方や注意点、業務効率化のポイントまで解説します。

■参考:令和8年度の算定基礎届のご提出について|日本年金機構

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 押さえておきたい算定基礎届の基本

算定基礎届とは、毎年1回、被保険者(社会保険に加入している従業員)の実際の報酬をもとに「標準報酬月額」を見直す手続きです。この手続きを「定時決定」といいます。

標準報酬月額とは、健康保険料や厚生年金保険料を計算するための基準となる金額です。
また、傷病手当金や出産手当金の給付額、将来受け取る年金額などにも影響します。

算定基礎届の基本的な仕組みは次のとおりです。
・算定期間:4月・5月・6月に実際に支払った報酬の平均額をもとに算出
・適用期間:その年の9月分から翌年8月分までの保険料に適用

給与控除への反映は、一般的に10月支給給与からとなります。
(社会保険料は原則として翌月徴収のため)

なお、年の途中で基本給や固定的手当が大きく変動し、従前の標準報酬月額との間に2等級以上の差が生じた場合は、定時決定を待たずに「月額変更届(随時改定)」の手続きが必要になります。

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 実務の進め方①(算定の準備)

ここからは、実際の業務フローに沿って実務のポイントを整理します。まずは「準備と対象者の確定」です。

(1)対象者の判定
定時決定の対象は、毎年7月1日時点で社会保険に加入している被保険者です。ただし、以下のいずれかに該当する人は対象外となります。

■対象外
・6月1日以降に資格取得(入社)した人
・6月30日以前に退職した人
・月額変更届(随時改定)により7月に標準報酬月額が改定される人
・8月または9月に随時改定を予定している旨の申出を行った人
※産休・育休・休職中で報酬の支払いがない場合でも、被保険者資格を喪失していなければ算定基礎届の提出は必要です(原則として従前の標準報酬月額で決定します)。

(2)届出用紙・被保険者情報の受け取り
毎年6月中旬頃から、日本年金機構より事業所あてに算定基礎届や被保険者情報が送付・提供されます。内容に誤りがないか早めに確認しておきましょう。

(3)4~6月の報酬集計
4月・5月・6月の3か月間に実際に支払った報酬を集計します。
ここで特に注意したいのは、「支払日基準」で集計する点です。
労働保険の年度更新は「締め日基準」で集計するため、混同しないよう注意しましょう。

・報酬に含めるもの:基本給、役職手当、家族手当、通勤手当、残業手当など
・報酬に含めないもの:賞与(年3回以下のもの)、退職金、慶弔見舞金など
※通勤手当は、所得税では非課税となるケースが多いものの、社会保険では「報酬」に含まれますので、注意しましょう。

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 実務の進め方②(標準報酬月額の算出)

集計した報酬をもとに平均額を算出します。この平均額が、標準報酬月額を決定する基礎となります。

(1)支払基礎日数の確認
算定対象月(4・5・6月)のうち、支払基礎日数が17日以上(短時間労働者は11日以上)ある月が対象です。
17日未満(短時間労働者は11日未満)の月がある場合は、その月を算定の対象から除外します。

(2)算出・記載方法
① 3か月すべてが基準を満たす場合
4月・5月・6月の報酬合計を3で割り、平均額を算出し、記載します。
② 1~2か月のみ基準を満たさない場合
基準を満たした月のみを対象に平均額を算出し、記載します。
③ 3か月とも基準を満たさない場合
平均額は算出せず、各月の報酬額と支払基礎日数を記載します。

提出された内容をもとに、日本年金機構が標準報酬月額を決定します。なお、3か月とも基準を満たさない場合は、従前の標準報酬月額で決定されるケースが一般的です。

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 算定基礎届で注意したいケース

①複数月分の通勤定期代の取り扱い
3か月定期や6か月定期の費用をまとめて通勤手当として支給している場合は、注意が必要です。
例えば、4月に6か月分の定期代を支給した場合、その全額を4月の報酬として計上するのではなく、対象期間に応じて各月に按分して集計します。

例)4月に6か月分の定期代12万円を支給
12万円÷6か月=月々2万円
算定対象となる4月・5月・6月に、それぞれ2万円を計上して集計。
なお、1円未満の端数が生じた場合は、各月ごとに切り捨てて処理します。雇用保険の離職証明書では最終月で端数調整を行うため、取扱いを混同しないよう注意しましょう。

②年間報酬の平均による算定(特例)
4~6月が繁忙期で、残業代などが一時的に増加している場合は、原則どおり算定すると年間の平均より高い標準報酬月額となるケースがあります。そのような場合には、過去1年間の平均報酬をもとに算定できる特例が利用できる場合があります。
これには一定の要件や申出が必要となるため、該当する可能性がある場合は事前に確認し、利用を検討しておくとよいでしょう。

③賞与の取り扱い
原則として賞与は算定基礎届の対象にはなりません。
ただし、年4回以上支給される賞与は社会保険上「報酬」として取り扱われるため、算定基礎届の集計対象となります。
賞与制度によっては見落としやすいポイントのため、支給回数や支給方法をあらためて確認しておきましょう。

※適用要件や記入方法などの詳細については、日本年金機構の「算定基礎届の記入・提出ガイドブック」をご確認ください。

算定基礎届の記入・提出ガイドブック|日本年金機構

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 実務の進め方③(届出の提出・結果の反映)

報酬の集計・算出が終わったら、算定基礎届を提出し、決定結果を給与計算へ反映します。

①届出の提出
算定基礎届は、管轄の年金事務所または事務センターへ提出します。
提出方法は、郵送・窓口持参のほか、e-Gov等を利用した電子申請も可能です。
提出期限は令和8年7月10日(金)です。期限間際は手続きが集中するため、余裕を持って準備を進めましょう。

②結果通知の確認と給与システムへの反映
提出後、8月下旬から9月上旬頃に日本年金機構から「健康保険・厚生年金保険 被保険者標準報酬月額決定通知書」が送付されます。
通知書が届いたら内容を確認し、給与計算システムへ新しい標準報酬月額や保険料を反映します。
前述のとおり、新しい標準報酬月額は9月分保険料から適用されるため、一般的には10月中に支給する給与から控除額が変更となります。
反映漏れや設定誤りは、翌年8月分までの保険料控除の誤りにつながる可能性があります。通知書の内容とシステム設定が一致しているか、必ず確認しましょう。

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 電子申請と給与システムの活用で算定業務を効率化する

算定基礎届は年に1度の手続きだからこそ、「担当者しかやり方が分からない」「前年の資料を見ながら対応している」という企業も少なくありません。

こうした年次業務は、電子申請や給与システムの活用により、業務負担の軽減やミスの削減につなげることができます。

日本年金機構では、オンライン事業所年金情報サービスの利用が進められており、被保険者情報や標準報酬月額決定通知書などを電子データで受領することができます。郵送を待つ必要がなくなり、算定業務の準備や結果確認を効率的に進めることが可能です。

多くの給与システムには算定業務の補助機能が搭載されています。毎月の給与計算データを活用して、4~6月の報酬額や支払基礎日数を集計できるほか、システムによっては算定基礎届の作成や電子申請まで対応しているものもあります。
利用できる機能はシステムによって異なりますが、手入力や転記作業を減らすことで、業務負担の軽減やミスの削減につながります。

年に1度しかない算定業務だからこそ、担当者の経験や勘に頼るのではなく、システムやデータ連携を活用した仕組みづくりを進めていきたいところです。

■参考:事業所向けオンラインサービス|日本年金機構

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 算定業務の効率化チェックリスト

年に1度の算定業務をスムーズに終わらせ、転記ミスや確認漏れを防ぐためのチェックリストです。自社の業務がどこまで仕組み化できているか確認してみましょう。

①給与計算
□賃金台帳の作成はシステムで行っている
➡手計算による転記ミスを防止する

②報酬集計
□4~6月の報酬・支払基礎日数の集計はシステムで行っている
➡Excelへの手入力や二重管理をなくす

③データ受領
□被保険者情報を電子受領している
➡郵送待ちや手入力の手間を削減する

④届出提出
□電子申請を利用している
➡印刷・郵送・窓口提出の手間を削減する

⑤結果反映
□決定通知書の確認・反映手順をマニュアル化している
➡担当者変更時のミスを防止する

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 まとめ

社会保険の「算定基礎届」は、労働保険の「年度更新」とともに、代表的な年次業務です。
どちらも賃金・報酬データをもとに保険料の計算基礎を確定する重要な手続きであり、給与データの一元管理や電子申請の活用によって、業務負担の軽減やミスの防止につなげることができます。

また、社会保険制度は今後も適用範囲の見直しなど制度改正が見込まれています。短時間労働者への適用拡大や複数事業所で働く従業員への対応など、社会保険実務はさらに複雑化し、企業の事務負担も増加していくことが予想されます。
企業には、従業員情報や給与データを適切に管理し、必要な情報を迅速に把握・活用できる体制づくりがこれまで以上に求められるでしょう。

7月の算定業務を確実に進めるとともに、業務の標準化やシステム活用による効率化を進めながら、将来の制度改正にも対応できる労務管理体制の整備に役立てていきましょう。

■参考:令和8年度の労働保険「年度更新」ガイド

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KING OF TIME 情報

毎年の算定基礎届に関する業務を効率化しませんか? KING OF TIMEを利用することで、標準報酬月額の算出を効率化でき、算定基礎届の対象者の判定、届出書の作成、e-Gov申請が可能になり、手作業による集計・転記のリスクを低減できます。 詳細は以下のオンラインヘルプをご参照ください。

標準報酬月額(社会保険料)の計算基礎となる項目の設定方法

算定基礎届の表示 / 出力方法

本記事が皆様のお役に立てれば幸いです。
今後もKING OF TIMEをご愛顧いただけますよう邁進してまいりますので、何卒よろしくお願いいたします。

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監修元:社会保険労務士法人 ヒューマンリソースマネージメント

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