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【税務情報】通勤手当(非課税限度額・駐車場代)法改正情報から手当の基本・実務ポイントまで

公開日:2026年4月16日(当記事の内容は公開時点のものです)

監修:税理士法人総合経営サービス
植松 伸

【税務情報】通勤手当(非課税限度額・駐車場代)法改正情報から手当の基本・実務ポイントまで

今週のピックアップ

【 税務情報 】
◆ 通勤手当が増えると従業員の手取りが減る?
◆ 令和8年度税制改正のポイント(令和8年4月1日適用)
◆ 通勤手当、支給の基本
◆ 通勤手当の所得税・社会保険の取扱いの違い
◆ 非課税となる通勤手当の範囲と上限(月15万円ルール)
◆ 会社の支給ルール=非課税とは限らない点に注意
◆ マイカー通勤における駐車場代の取扱い(課税になるケースに注意)
◆ 通勤手当と旅費交通費の違い(リモートワーク時の取扱い)
◆ まとめ

【 KING OF TIME 情報 】
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通勤手当が増えると従業員の手取りが減る?

総合経営サービスの植松です。
今回は「通勤手当」についてです。

通勤手当に関しては、昨年に続き、今年も税制改正が行われました。令和8年度税制改正では、この4月からマイカー通勤における駐車場代の取扱いや遠距離の非課税限度額が見直されています。

ご存じのとおり、通勤手当は実費精算が基本です。支給額が多くても、その性質上、従業員にとっては本来「プラスマイナスゼロ」です。しかし、所得税は非課税枠があるものの、社会保険にはないため、通勤手当が増えると手取りが減るケースもありえます。
会社においては、通勤手当を増やすと、増やした金額以上にコストが増える場合があるため、分かりにくいと感じる方も多いと思います。

本記事では、通勤手当に対する税や社会保険制度の違いを踏まえつつ、通勤手当の基本的な考え方や実務上のポイントについて、今回の税制改正の内容にも触れながら解説します。

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令和8年度税制改正のポイント(令和8年4月1日適用)

まず、今回の税制改正の概要です。マイカー通勤に関する所得税の非課税限度額について、以下の2点が見直されています。

■ 概要
①遠距離通勤の限度額引き上げ
片道65km以上の区分について、通勤距離に応じた非課税限度額が引き上げられました。

②駐車場代の非課税枠の新設
一定の要件を満たす駐車場等を利用するマイカー通勤者について、通勤距離に応じた非課税限度額に加え、駐車場料金相当額(上限月5,000円)を非課税枠に算入できることとなりました。

※いずれも社会保険料の取扱いに変更はありません。
※詳細は後段で触れていきます。

■ 参考:令和8年4月 通勤手当の非課税限度額の改正について(国税庁)

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通勤手当、支給の基本

通勤手当の支給については、法律上の義務ではなく会社の任意です。
ただし、支給する旨を就業規則に定めていたり、雇用契約書で合意等している場合は、その内容に基づき支給義務が生じます。

運用にあたっては、通勤方法や通勤ルートに関する基準を定めておくことが重要です。一般的には、会社が合理的かつ経済的と認めたルートを基準として判断します。
公共交通機関の場合は、運賃が明確ですが、マイカー通勤の場合には、駐車場代や高速道路など有料道路の利用料を含めるかどうかなどについても、会社が合理性を踏まえて判断することになります。

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通勤手当の所得税・社会保険の取扱いの違い

通勤手当を支給する場合の所得税と社会保険・労働保険の取扱いは、両者で異なるため注意が必要です。

所得税においては、適正な通勤ルートに基づく支給で、一定の非課税限度額の範囲内であれば、原則として給与課税の対象となりません。
一方、社会保険(健康保険・厚生年金)や労働保険(雇用保険等)では、通勤手当も含めて保険料の計算対象となります。

なぜかというと、所得税では通勤手当をあくまで「実費の補填」として扱うのに対し、社会保険等では「会社から支給される報酬や賃金の一部」として扱うことに起因しています。
そのため、社会保険においては、通勤手当が増えると標準報酬月額が上がり、結果として従業員・会社双方の社会保険料負担が増加します。

これが、従業員にとっては「通勤手当の金額が多いほど手取りが減る」理由であり、会社にとっての「支給額以上にコストが増える」要因となります。

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非課税となる通勤手当の範囲と上限(月15万円ルール)

改めて、通勤手当を支給する際、所得税では、一定額まで税金がかからない「非課税限度額」というものがあります。会社では、給与計算等においては、この限度額を基準に課税・非課税の判定を行う必要があるため、正しく理解しておきましょう。

通勤手当の非課税限度額は、通勤に要する費用(公共交通機関、マイカー距離、有料道路、駐車場等)を合計した金額について、月額15万円までとされています。
通勤手段ごとの範囲(基本的な考え方)と上限額は以下のとおりです。

■ 通勤手段ごとの範囲と上限額
1.公共交通機関のみ利用する場合
1か月当たりの合理的な運賃等の額が非課税(月額15万円まで)

2.マイカー等を利用する場合
(1)通勤距離に応じた限度額まで非課税
①片道2㎞未満は全額課税
②片道2㎞以上は距離に応じた額まで非課税

(2)マイカー通勤に関わる費用
①有料道路利用料
通勤のために通常必要と認められる合理的な経路に基づく料金であれば、非課税として取り扱うことができます。
支給する場合、通勤手当全体として、月額15万円の上限が適用されます。

②駐車場代
勤務場所や通勤に利用する交通機関の駅などの周辺にある駐車場等を通勤に利用するマイカー等を駐車するために利用する料金が非課税の対象となります。(通勤距離が片道2km未満である人を除きます。)
支給する場合、月額5,000円を上限として非課税枠に算入可能です。
通勤手当全体として、月額15万円の上限が適用されます。

■ 併用の場合
マイカー通勤で有料道路や駐車場を利用したり、マイカーと公共交通機関を併用するなど、上記を複合利用する場合は、合計額が月額15万円まで非課税となります。
合計額が上限を超える部分については、通勤手当であっても給与として課税されます。

チェックに際しては、以下の流れで整理すると分かりやすいでしょう。
①マイカー関連分を算出:距離別の限度額+有料道路利用料+駐車場代(最大5,000円)
②公共交通分を加算:上記に、電車・バス代を足す
③非課税上限判定:合計が月額15万円を超えていないかチェック

■ 実務上のポイント
・駐車場代は5,000円までという個別上限があること
・全体としては15万円の上限があること
・判定は月単位で行うこと

■ 参考:マイカー・自転車通勤者の通勤手当(国税庁)

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会社の支給ルール=非課税とは限らない点に注意

通勤手当について、会社の「支給基準」と税務上の「非課税基準」は一致しているとは限らないため、注意が必要です。
これは、通勤手当の支給基準は会社が任意に定めることができる一方で、税務上の非課税範囲は法令により定められているためです。

通勤手当の支給基準を税務上の非課税基準の範囲内で定めている会社では、その基準に基づき適正に支給していれば、原則として非課税の範囲内に収まります。
一方で、会社の基準が税務上の基準を超えている場合には、会社の基準上は通勤手当であっても、税務上は課税対象となる可能性があります。

■ イメージ(会社基準と税務基準の関係)
・会社の支給基準≦税務上の非課税基準
会社の支給基準に沿って支給していれば税務上の非課税基準におさまる。
・会社の支給基準>税務上の非課税基準
会社の支給基準を満たしても、税務上の非課税基準を超えた場合は非課税にならない。

また、税務上の基準に合わせていても、税制改正によってズレが生じることもあるため注意が必要です。
例えば、近年の税制改正では次のような見直しが行われています。

マイカー通勤者に支給する通勤手当の非課税限度額
・昨年の改正は、通勤距離に応じた限度額が引き上げ
・令和8年度の改正では、さらに通勤距離が片道65㎞以上の限度額が引き上げ

駐車場代について
・一定の要件を満たせば駐車場料金相当額が月額5,000円を上限として非課税に。

そのため会社としては、自社の支給基準が税制の非課税基準に対し、どのような状態かを把握したうえで、運用する必要があります。また、こうした機会に見直しを検討・実施することが重要です。

■ 参考:令和7年11月 通勤手当の非課税限度額の改正について(国税庁)

■ 参考:令和8年4月 通勤手当の非課税限度額の改正について(国税庁)

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マイカー通勤における駐車場代の取扱い

これまで、マイカー通勤や自転車通勤の場合の駐車場や駐輪場の料金は、原則として課税、社会保険料等の対象とされていました。

これに対し、所得税については、令和8年度税制改正により、一定の要件を満たす場合には、通勤距離に応じた非課税限度額に加えて、月5,000円を上限として駐車場代を非課税枠に算入できることとされました。(社会保険料については、変更が見られないため、従前どおりの扱いとなります。)

ただし、この取扱いは一律ではなく、駐車場の契約形態や利用実態によって課税関係が異なるため注意が必要です。

■ 原則的な取扱い
・会社が駐車場を契約し、従業員に利用させる場合
→ 基本的には課税対象とならない
ただし、役員など特定の者のみが利用する場合には、課税対象となる可能性があります。

・従業員が個人契約している駐車場代を会社が負担する場合
→ 給与として課税対象
※これらの取扱いについて、社会保険料も基本的には同様の考え方です。

実務上は、契約名義や利用実態を確認したうえで、課税・非課税を適切に判定することが重要です。

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通勤手当と旅費交通費の違い

通勤手当は、自宅から通常の勤務場所までの通勤に対して支給するものです。
似て非なるものに、旅費交通費があります。こちらは、営業活動や出張など業務のために発生する交通費です。原則として給与課税の対象とはなりません。

この違いを踏まえ、リモートワークについて見ていきます。
例えば、リモートワークで労働契約上の勤務場所が自宅と明確に定められており、実態もその内容に即していれば、必要に応じて会社に行く際の交通費は「通勤手当」ではなく、業務上の移動として「旅費交通費」に該当する可能性があります。該当すれば、原則、社会保険料の算定対象にも含まれません。

一方で、労働契約上の勤務場所が不明確であったり、実態として会社に行くことがないにも関わらず、毎月一定額の通勤手当を支給している場合には、通勤手当とみなされ、社会保険料の算定対象となるほか、給与課税の対象となる可能性があります。

会社としては、勤務場所の定義や出勤のルールなど明確にしたうえで、通勤手当と旅費交通費を適切に区分して、実費精算等の運用をすることが重要です。

■ 参考:標準報酬月額の取扱いに関するQ&A(日本年金機構)

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まとめ

通勤手当については、制度の理解に加えて、自社の支給基準の把握や運用を丁寧に行うことが重要です。
通勤手当は基準や運用ルールに沿って支給・確認される手当ですが、実務上はイレギュラー対応や確認の省略により、基準や運用ルールが実態とズレてしまうケースも少なくありません。実際に、税務調査で指摘を受ける事例も見られます。

特に、通勤ルートや通勤手段の変更時の確認不足、不合理な経路の承認、通勤距離の誤り、駐車場代の取扱いミスなどは、課税漏れや社会保険料の算定誤りにつながりやすい点です。
また、制度改正への対応時は、税と社会保険の扱いの違いを踏まえ、給与計算(給与システムの設定)を行う際は注意が必要です。
基準や運用ルールの整備と継続的な見直しにより、適正な状態を維持していきましょう。

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本記事が皆様のお役に立てれば幸いです。
今後もKING OF TIMEをご愛顧いただけますよう邁進してまいりますので、何卒よろしくお願いいたします。

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監修者紹介

税理士法人総合経営サービス 植松 伸

下町生まれの税理士の植松伸です。
税理士になる前は建設系の労働組合で働いていたので、建設業等の許認可や健康保険事務組合の知識もあり、それらの業務を弊社グループ内へつなぐことも大事にしています。
趣味は観賞魚飼育で、現在自宅に水槽が10個あります。
魚を眺めたり、水の音はとてもリラックスできるのですが、水槽の掃除等のメンテナンスに時間がかかるので、ちょっと増やしすぎたと反省する毎日です。

監修元:税理士法人総合経営サービス


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