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【税務情報】意外と知らない?福利厚生の課税・非課税ルール ~ 食事補助制度改正から社員旅行・確定拠出年金まで整理 ~

公開日:2026年6月4日(当記事の内容は公開時点のものです)

監修:税理士法人総合経営サービス
植松 伸


【税務情報】意外と知らない?福利厚生の課税・非課税ルール ~食事補助制度改正から社員旅行・確定拠出年金まで整理~

今週のピックアップ

【 税務情報 】
◆ 広がる福利厚生―課税・非課税に注意
◆ 福利厚生の「課税・非課税」の基本
◆ 福利厚生が非課税になる基本要件
◆ 食事補助の非課税上限の引き上げ(令和8年4月から)
◆ よくある福利厚生(慶弔見舞金・健康診断・社員旅行)のポイント
◆ 資産形成支援・カフェテリアプランの特徴と注意点
◆ 賃上げだけでなく福利厚生の活用という選択肢も
◆ まとめ ― 制度の整備と運用の見直しを

【 KING OF TIME 情報 】
◆ 補助項目の登録方法 ※管理者用
◆ 補助項目の申請 / 直接登録方法 ※従業員画面

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 広がる福利厚生―課税・非課税に注意

税理士法人総合経営サービスの植松です。
今回は「福利厚生の課税・非課税ルール」についてです。

福利厚生制度は、採用力の強化や従業員の満足度向上などを目的として、多くの企業が力を入れているテーマです。近年は、食事補助やフィットネスクラブの利用費補助、奨学金の返還支援など、その内容も多様化しています。

福利厚生は、正しく設計・運用すれば、会社・従業員の双方にメリットのある仕組みです。しかし、ルールを十分に確認しないまま運用していると、意図せず給与課税の対象となってしまうこともあります。

また、給与課税となった場合には、所得税だけでなく、住民税や社会保険料にも影響する点に注意が必要です。

本記事では、福利厚生の課税・非課税をめぐる基本的な考え方と、実務上おさえておきたいポイントを広く整理します。「どのような視点で判断するか」という軸をつかんでいただければと思います。

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 福利厚生の「課税・非課税」の基本

会社が従業員に対して経済的利益を提供した場合は、原則として給与として取り扱われ、所得税等の課税対象となります。ただし、福利厚生として一定の要件を満たすものについては、非課税として取り扱われます。

どのような形で提供するか、誰を対象とするか、金額が適正かどうかによって、課税・非課税の判断は異なります。

福利厚生には、大きく次の2種類があります。

■ 法定福利厚生
 社会保険・労働保険の会社負担分など
 法令に基づき、企業に加入・負担義務があるもの
 法令上の義務に基づく負担であるため、原則として従業員への給与課税は行われません。
 なお、本来従業員が負担すべき保険料を会社が負担した場合は、その部分は給与課税の対象となります。

■ 法定外福利厚生
 食事補助・社宅・健康診断の費用補助・社員旅行など
 企業が任意で導入するもの
 採用や定着、従業員満足度の向上などを目的として、多くの企業が法定外福利厚生を取り入れています。課税・非課税の判断が問題になりやすいのも、主にこちらです。

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 福利厚生が非課税になる基本要件

福利厚生が非課税として認められるためには、おおむね次のような点が求められます。

① 合理的な基準に基づき、広く従業員を対象としていること
役員のみ、または特定の従業員だけを対象とした給付は、給与課税となる可能性が高くなります。

② 金額が社会通念上、相当と認められる範囲であること
著しく高額なものや、一部の役員・従業員だけが大きな利益を受けるような制度設計は、課税リスクが高まります。

③ 支給条件や対象範囲などについて規程が整備され、従業員に周知されていること
規程が不十分であったり、慣行のみで運用されていたりする場合は、税務上の根拠が弱くなります。

④ 運用に恣意性がないこと
支給時期や対象者の選定に一貫性がない場合は、恣意的な運用とみなされ、課税リスクが高まります。条件を明確にし、継続的に同じ基準で運用することが重要です。

これらは、個別制度を判断する際の基本的な視点となります。

迷った場合は、「特定の人だけを優遇していないか」「実態として給与に近い運用になっていないか」という観点から確認すると整理しやすくなります。

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 食事補助の非課税上限の引き上げ(令和8年4月から)

令和8年4月1日より、企業が従業員の食事代を補助する際の非課税上限額が引き上げられました。

これまでの非課税上限額は月額3,500円でしたが、改正後は月額7,500円に変更されています。この上限額が改定されるのは、1984年(昭和59年)以来、実に40年以上ぶりのことです。

非課税となるためには、以下の2つの要件を同時に満たす必要があります。
① 会社の補助額が月額7,500円以内であること
② 従業員が食事代の50%以上を自己負担していること

具体例で確認してみましょう。

(例)会社がお弁当を手配し、従業員へ提供
 ・お弁当代      20,000円(1日1,000円分×20日)
 ・従業員負担額    10,000円(50%負担)
 ・会社負担額     10,000円
 ・非課税となる金額   7,500円
 ・給与課税となる金額  2,500円

このように、会社負担額が非課税上限額を超える部分については、給与課税の対象となります。

なお、非課税の対象となるのは、会社が食事を提供する「現物支給」が原則です。現金支給は、原則として給与課税の対象となります。

また、食事券や電子チケット等を利用する場合も、利用範囲や運用方法によっては給与課税となる可能性があるため、制度設計には注意が必要です。

■参考:「食事を支給したとき」(国税庁)

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 よくある福利厚生(慶弔見舞金・健康診断・社員旅行)のポイント

福利厚生のなかでも、多くの会社で運用されている3つの制度について整理します。

① 慶弔見舞金
結婚祝い・弔慰金・傷病見舞金など、慶弔に関する支給は非課税として認められる場合があります。ただし、以下の点が必要です。
・支給条件・対象・金額を定めた規程を整備し、従業員へ周知していること
・金額が「社会通念上相当」と認められる範囲であること

なお、規程がない場合や、慣行のみで運用している場合のほか、金額が著しく高額な場合も、給与課税となる可能性があります。

「社会通念上相当」の金額については、地方自治体が公表している慶弔規程などを参考にすると、一定の根拠として活用できます。

② 健康診断・予防接種
健康診断の費用負担は、多くの企業で実施されており、適切な運用であれば従業員への給与課税は行われません。

非課税となるためには、以下の点に注意が必要です。
・合理的な基準に基づき、広く従業員を対象としていること
・宿泊を伴う人間ドックなど、相当と認められる範囲を超えるものは課税リスクがあること
・従業員が立替払いする場合は、会社名義での精算や証憑管理を適切に行うこと

予防接種についても、非課税の判断基準は健康診断とほぼ同様です。

なお、労働安全衛生法上、一般健康診断の費用は会社が負担することとされています。

③ 社員旅行
社員旅行も、条件を満たせば従業員への給与課税は行われません。一般的な目安として、以下の3点が挙げられます。
・4泊5日以内(海外の場合は現地滞在が4泊以内)
・全従業員の50%以上が参加していること(部署単位で実施する場合は、その部署の50%以上)
・企業負担の費用が社会通念上、相当な範囲であること(目安として1人あたり10万円程度とされることがありますが、実務上は旅行内容や会社規模などを踏まえて判断されます)

なお、役員のみを対象とした旅行、不参加者への金銭支給、参加者の家族分の費用負担は、いずれも給与課税の対象となります。

参加率や費用水準によっては判断が分かれるケースもあるため、注意が必要です。

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 資産形成支援・カフェテリアプランの特徴と注意点

福利厚生のなかでも、近年、導入が広がっている2つの仕組みについて整理します。

① 資産形成支援
従業員の資産形成を支援する制度としては、財形貯蓄・退職金積立・従業員持株会などがあります。

なかでも近年、注目度が高いのが確定拠出年金(DC)です。会社が拠出した掛金は損金に算入でき、従業員にとっては運用期間中の運用益が非課税となる点が特徴です。

また、制度設計によっては、会社・従業員双方の社会保険料負担の軽減につながるケースもあります。

資産形成支援は、賃金の引き上げとは異なる形で、従業員の長期的な生活設計を後押しできる制度として、中小企業でも導入が広がっています。

② カフェテリアプラン
カフェテリアプランとは、会社が従業員に一定のポイント(または金額)を付与し、用意された福利厚生メニューのなかから自由に選んで利用できる仕組みです。

従業員が必要な福利厚生を選択できるため、満足度向上や福利厚生費のコスト管理がしやすい点がメリットとして挙げられます。

一方で、メニューによって課税・非課税の扱いが異なる点には注意が必要です。

たとえば、業務関連の研修費用は非課税となるケースがありますが、個人旅行など私的な利用に対する補助は給与課税となるケースがあります。

メニュー内容や運用方法によって課税判断が変わるため、導入時には税理士等と連携し、課税関係を整理したうえで制度設計を行うことが重要です。

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 賃上げだけでなく福利厚生の活用という選択肢も

「従業員の待遇を改善したい。でも、単純に給与を上げるだけが最善なのか?」

このような悩みを持つ経営者の方は少なくありません。

福利厚生を充実させることで、従業員満足度の向上や、会社・従業員双方の負担軽減につながるケースがあります。

その理由のひとつが、税金や社会保険料の仕組みです。

給与を引き上げると、所得税・住民税に加え、会社・従業員双方の社会保険料(健康保険・厚生年金など)の負担も増加します。

一方、一定の要件を満たした福利厚生は、給与課税の対象とならないものがあります。また、制度によっては、社会保険料の算定基礎(標準報酬月額)に含まれないケースもあります。

そのため、同じ金額を支払う場合でも、福利厚生の活用によって、従業員の実質的な手取り増や、会社・従業員双方の社会保険料負担の抑制につながる場合があります。

たとえば、食事補助は条件を満たせば非課税となる制度であり、確定拠出年金(DC)は、制度設計によって社会保険料負担の軽減につながるケースがあります。

福利厚生を活用する際は、前述した非課税要件だけでなく、以下の点にも留意が必要です。
・従業員によっては、福利厚生より給与の引き上げを望むケースもある
・社会保険料負担の軽減は、将来の年金額などにも影響する

給与の引き上げと福利厚生は、どちらか一方を選ぶものではなく、自社の従業員構成や採用方針などを踏まえ、バランスよく組み合わせることが重要です。

まずは、自社の福利厚生制度と給与体系が、現在の働き方や従業員ニーズに合っているかを見直してみるとよいでしょう。

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 まとめ ― 制度の整備と運用の見直しを

今回は、福利厚生の課税・非課税ルールについて、主な制度の考え方と共通する判断軸を整理しました。

福利厚生は、「導入していること」自体に意味があるのではなく、制度が適切に設計され、運用されていることが重要です。規程の不備や運用の恣意性があると、意図せず給与課税が発生し、税務上のリスクにつながる可能性があります。

一方で、非課税ルールを正しく理解したうえで制度設計を行えば、会社・従業員双方にとってメリットのある仕組みづくりにつながります。

現状の福利厚生制度については、まず以下の点を確認してみましょう。
・制度内容や支給条件が、規程等で明確になっているか
・実際の運用が、規程どおりに行われているか
・特定の役員・従業員だけを優遇する運用になっていないか
・最新の税制改正(特に食事補助の上限改定)が反映されているか

福利厚生制度は、一度仕組みを整えることで、中長期的に効果を発揮する制度です。

単なる税務対応としてではなく、採用・定着・従業員満足度など、経営全体の視点から、自社制度を見直すきっかけとしていただければ幸いです。

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KING OF TIME 情報

「KING OF TIME」には、食事補助のお弁当注文数や交通費・各手当など、勤怠データと合わせて集計できる補助項目機能が備わっています。
導入の際には、以下のオンラインヘルプもご参照ください。

■ 補助項目の登録方法 ※管理者用
■ 補助項目の申請 / 直接登録方法 ※従業員画面

本記事が皆様のお役に立てれば幸いです。
今後もKING OF TIMEをご愛顧いただけますよう邁進してまいりますので、何卒よろしくお願いいたします。

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監修者紹介

税理士法人総合経営サービス 植松 伸

下町生まれの税理士の植松伸です。
税理士になる前は建設系の労働組合で働いていたので、建設業等の許認可や健康保険事務組合の知識もあり、それらの業務を弊社グループ内へつなぐことも大事にしています。
趣味は観賞魚飼育で、現在自宅に水槽が10個あります。
魚を眺めたり、水の音はとてもリラックスできるのですが、水槽の掃除等のメンテナンスに時間がかかるので、ちょっと増やしすぎたと反省する毎日です。

監修元:税理士法人総合経営サービス

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