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【税務情報】電子帳簿保存法対応、何から始める? ~保存方法からシステム選定、運用まで~

公開日:2026年8月6日(当記事の内容は公開時点のものです)

監修:税理士法人総合経営サービス
植松 伸


【税務情報】電子帳簿保存法対応、何から始める? ~保存方法からシステム選定、運用まで~

今週のピックアップ

【 税務情報 】
◆ 電帳法対応、実務の進め方
◆ 電子取引データの保存~最低限の対応とおすすめの運用
◆ システム選定で押さえたいポイント
◆ 紙の領収書を電子化するには
◆ 社内に定着させるためのポイント
◆ 税務調査の実務動向と今後の制度改正
◆ まとめ

【 KING OF TIME 情報 】
◆ KING OF TIME 電子契約

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 電帳法対応、実務の進め方

税理士法人総合経営サービスの植松です。
前回に引き続き、「電子帳簿保存法」について取り上げます。

改めて確認すると、電子帳簿保存法で義務づけられているのは、電子取引でやり取りした請求書・領収書などのデータを電子のまま保存することです。

ただ、まだ対応できていない場合、最初からすべての対応を進めようとすると、現場の混乱も生じやすくなります。そのため、自社として目指す運用を決めたうえで、いつ・何を・誰が行うのかをスケジュールに落とし込んでいくとよいでしょう。まずは電子取引データの保存義務への対応を優先し、その後にシステム導入や業務効率化へと段階的に進めると取り組みやすいでしょう。

今回は、電子取引データの保存方法やシステム選定、社内への定着など、実務上押さえておきたいポイントを解説します。

※制度の基本については以前解説していますので、あわせてご覧ください。

■関連記事:【税務情報】再確認、電子帳簿保存法とは?~基本と保存要件、電子化のメリットまで~

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 電子取引データの保存~最低限の対応とおすすめの運用

電帳法で保存が原則義務となるのは、「電子でやり取りしたもの」です。
例えば、メールで送受信した請求書に添付されているPDFなどは、それ自体が原本にあたるため、印刷して紙で保存することは認められません。電子データのまま保存する必要があります。

簡易的な対応としては、受信したメールを削除せず、添付ファイルをダウンロードして取引先や日付ごとにフォルダ分けして保存する方法が考えられます。
ただし、受け取った請求書には支払い対応も必要になるため、保存方法に加え、電子データを起点とした経理フローをあらかじめ整えておくと、日々の運用はよりスムーズになります。

ここまでは法令上求められる最低限の対応です。さらに業務効率化まで見据えるのであれば、次のような運用がおすすめです。
一連の流れを電子上で完結させると、保存と経理処理を別々に行う手間がなくなります。承認のやり取りも、システム上でのステータス管理に置き換えれば、進捗の確認がしやすくなります。

例)経理フロー
①メールで請求書を受信
②PDFをクラウドストレージや会計システムに保存
③保存データをもとに担当者が確認し、上長の承認を経て支払処理を行う

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 システム選定で押さえたいポイント

システムの導入目的は会社によって異なりますが、選定の際は特に次の2つの観点を押さえておきましょう。

①必要な機能を備えているか
紙の領収書を電子化する場合は、タイムスタンプ機能や訂正・削除履歴が残る機能など、電帳法の要件を満たせるシステムを選ぶことが重要です。
さらに、業務効率化も重視するのであれば、画像からデータを自動で読み取るOCRやAIによるデータ読み取り機能など、入力作業やインボイス登録番号の確認を効率化できる機能も比較するとよいでしょう。

②使う人に合わせた操作性
「誰が」「どのくらいの頻度で」使うかをイメージして選ぶことも欠かせないでしょう。

日常的にシステムを使う経理担当者にとっては、多少操作を覚える負担があっても、機能が豊富で自動化の幅が広いシステムの方が、結果的に業務効率化につながりやすい面があります。
一方、精算申請などでシステムを使う機会が少ない従業員にとっては、機能が多く複雑なシステムほど、その都度操作方法を確認したり、経理担当者へ問い合わせたりする場面が増え、負担に感じることもあります。その結果、経理担当者の問い合わせ対応も増え、かえって業務効率が落ちる可能性があります。

全員に同じ基準でシステムを選ぶのではなく、利用者ごとの視点を踏まえて選定することがシステムの導入効果を高め、定着にもつながります。

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 紙の領収書を電子化するには

次に、紙の領収書についてです。経費精算などで、従業員が紙の領収書のまま経理に精算申請しても法律上は問題ありませんが、上記のようなシステムを導入し、従業員・経理担当者それぞれの役割を電子化していく会社も増えています。

会社が使うシステムにタイムスタンプ機能等が備わっており、電帳法の要件を満たしていれば、導入により、以下のような運用が可能となります。

■従業員
お店で受け取った領収書を、その場でスマートフォンで撮影し、画像データを添付して精算申請します。
この画像を提出した時点で、領収書の原本は破棄しても差し支えありません。
そのため、これまでのように精算するまで原本を持ち歩く・保管する必要がなくなり、紛失や汚損といったリスクも避けられます。

■経理担当者
送られてきた画像データを、会計・経費精算システムに取り込むだけで、自動的に帳簿へ入力される仕組みを活用できます。
これにより、手作業で行っていた入力作業の負担が軽減されます。さらに、AIがインボイス登録番号を読み取り、照合する機能などがあれば、確認作業の省力化にもつながります。

顧問先でも、こうしたシステムの導入により、入力作業や確認作業の時間が削減されるなど、業務効率化につながっています。

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 社内に定着させるためのポイント

システムを導入しても、それだけで効果が出るわけではありません。運用ルールが定まっていなければ、保存漏れや申請漏れが発生し、期待していた業務効率化につながらないこともあります。

そのため、運用ルールを明確にし、現場へ浸透させることが重要です。
例えば、「誰が」「いつまでに」「どのように」データを保存・申請するのかを決め、誰もがいつでも確認できる状態にしておくと、人による運用のばらつきを防ぎやすくなります。
また、社内規程やマニュアルを整備する際は、ルールを明確にするだけでなく、従業員が無理なく運用を続けられるルールになっているかという視点も欠かせません。

システムは導入して終わりではなく、日常業務の中で定着して初めて、その効果を十分に発揮します。

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 税務調査の実務動向と今後の制度改正

■税務調査の実務動向
制度開始から一定期間が経過していますが、現時点では、税務調査で電帳法に沿った運用ができているかどうかや、電子データの管理方法・保存状況について詳細な確認を受けるケースは、まだ多くないようです。

ただし、これは制度開始から間もないこともあり、税務調査での確認も、まだ本格化していない段階である可能性があります。今後もこの状況が続くとは限らないため、社内規程を整備した場合は、その内容に沿って運用しておくことが重要です。

一方で、税務調査は今後、電子データを活用した調査へ移行していくと考えられます。例えば、令和8年(2026年)9月には、国税庁の基幹システムが新しい「KSK2」へ全面的に移行する予定です。
また、最近では税務調査の連絡があった際に、実地調査の前に総勘定元帳などのCSVデータやPDFの提出を求められるケースも増えています。現時点で事前提出は法律上の義務ではありませんが、調査を円滑に進めるため、弊社でも顧問先の同意を得たうえで対応するケースが増えています。

制度面では、令和7年度税制改正により、令和9年(2027年)から、一定の要件を満たすシステムで電子取引データを保存している場合は、データ改ざんなど意図的な不正にかかる重加算税(10%部分)の対象外となる予定です。
また、個人事業主については、青色申告特別控除65万円の適用要件としても、この保存方法が新たな選択肢として認められる予定です。

このように、税務行政や税制面でも電子データの活用が進むことが見込まれます。そのため、今のうちから電子データを適切に保存・管理する運用体制を整えておくことが、将来の税務調査や制度改正への備えにもつながります。

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 まとめ

電帳法対応は、すべてを一度に進める必要はありません。まずは電子取引データの保存義務への対応を優先し、自社に合った運用ルールやシステムを段階的に整えていくことが大切です。

また、システムを導入するだけでは十分ではありません。利用者に合わせた仕組みや社内ルールを整え、日常業務の中で無理なく運用できる体制をつくることが、業務効率化や定着につながります。

今後は税務調査や制度面でも電子データの活用がさらに進むことが見込まれます。今のうちから適切な保存・管理体制を整えておくことが、将来の負担軽減にもつながるでしょう。

電帳法対応を単なる法令対応で終わらせるのではなく、自社の経理体制を見直し、将来を見据えた業務改善につなげる機会として活用したいところです。

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本記事が皆様のお役に立てれば幸いです。
今後もKING OF TIMEをご愛顧いただけますよう邁進してまいりますので、何卒よろしくお願いいたします。

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監修者紹介

税理士法人総合経営サービス 植松 伸

下町生まれの税理士の植松伸です。
税理士になる前は建設系の労働組合で働いていたので、建設業等の許認可や健康保険事務組合の知識もあり、それらの業務を弊社グループ内へつなぐことも大事にしています。
趣味は観賞魚飼育で、現在自宅に水槽が10個あります。
魚を眺めたり、水の音はとてもリラックスできるのですが、水槽の掃除等のメンテナンスに時間がかかるので、ちょっと増やしすぎたと反省する毎日です。

監修元:税理士法人総合経営サービス

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