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労務情報

年金事務所調査がやってきた!? ~ 調査のポイントや慌てないための実務対応を解説 ~

公開日:2022年11月10日(当記事の内容は公開時点のものです)

監修:社会保険労務士法人 ヒューマンリソースマネージメント
特定社会保険労務士 馬場栄 
監修:社会保険労務士法人
ヒューマンリソースマネージメント
特定社会保険労務士 馬場栄 


年金事務所調査がやってきた!? ~ 調査のポイントや慌てないための実務対応を解説 ~

今週のピックアップ

【労務情報】
◆ 社会保険の手続き漏れはありませんか
◆ 年金事務所調査とはどのようなものか
◆ 年金事務所調査のポイントは
◆ 年金事務所調査より怖い、会計検査院調査とは

【KING OF TIME 情報】
◆ 積立休暇設定について
◆ フレックスタイム制の「不足時間」集計について
◆ KING OF TIME セミナー情報
☞ KING OF TIME 情報は 《 こちら 》


社会保険の手続き漏れはありませんか

社会保険の加入は、パートタイマーやアルバイト等の短時間労働者の方についても、原則として週の所定労働時間が正社員の4分の3以上(一般的には所定労働時間が週40時間の会社であれば、週30時間以上)であれば加入が義務付けられています。
一方で、勤務時間や出勤日数が少ない方は、これまで社会保険の適用対象外となっていましたが、少子高齢化により現役世代となる労働人口が減少することから、社会保障制度の維持や多様な働き方を推進する等の社会的な背景もあり、法改正が行われ段階的に適用の範囲が拡大されることになりました。

【適用要件早見表】※日本年金機構HPより抜粋
労務画像1
社会保険適用拡大の詳細については、以前こちらの労務ブログでも取り上げていますので、ご参照ください。


☞ パート・アルバイトの社会保険適用拡大、準備は始めてますか? ~短時間労働者も社会保険の適用対象に~

 >>> 詳しくはこちら


2022年10月からの社会保険適用拡大では、厚生年金保険の被保険者数が100名を超える事業所について、新たに短時間労働者の社会保険加入が義務付けられました。
今回の法改正により上記の短時間労働者の加入が義務付けられる事業所については、年金事務所より既に個別の案内が届いているかと思いますが、まだ資格取得届等の手続きが完了していないようであれば、お早めの対応をお勧めいたします。

日頃労務相談をお受けする事業所の中には、制度の理解が不十分で本来社会保険の加入が必要な対象者の資格取得手続きを行っていなかったり、パートやアルバイトの方の社会保険加入は義務ではなく、本人の希望によるものと勘違いされているケースも散見されます。

年金事務所では、上記のような加入漏れを防止するため、適正に社会保険の手続き等が行われているか事業所に対して調査を実施しています。
今回は年金事務所が実施する調査を取り上げ、その調査の内容やポイントについて解説いたします。

年金事務所調査とはどのようなものか

年金事務所が実施する調査は大きく2つに分かれます。
(1) 未適用事業所の調査
日本年金機構では「国税源泉徴収義務者情報」を利用し、事業所自体がそもそも社会保険に加入していない、いわゆる未適用事業所に対して調査のうえ適用促進を行っています。
「国税源泉徴収義務者情報」は、厚生年金保険法第100条の2第2項《資料の提供》に基づき国税庁から日本年金機構に提供されています。提供されている情報は「事業所名称」や「事業所所在地」、「給与支給人員」等です。

法人を設立した場合は、在籍者が代表者1名であっても、原則として社会保険の加入が義務付けられています。上記のとおり年金事務所は法人毎の給与支払状況を把握していることから、たとえ制度の理解が不十分で社会保険の加入手続きを行っていなかったとしてもその言い訳は通用しません。

日本年金機構の令和3年度事業報告によると『国税源泉徴収義務者情報により把握した適用調査対象事業所への取組状況』として以下の数値が公表されています。

労務画像1
(出典:日本年金機構 令和3年度業務実績報告書)


また、困難性の高い事案については、令和3年4月より日本年金機構本部に設置された「特別法人対策部特別適用対策グループ」が対応するとされており、未適用事業者に対する立入検査を実施する等して適用対策強化が図られています。

(2) 適用事業所の調査
日本年金機構では、社会保険に加入している事業所に対して、おおよそ3、4年に1回程度全事業所を対象として、適正に社会保険に関する手続きが行われているか調査を実施しているといわれています。
ただし、その頻度や対象となる時期については明らかにされていません。実際に調査を受けた事業所の状況をお伺いすると、「算定基礎届」や「賞与支払届」の提出が漏れていたり、半年以上遡って資格取得や喪失手続きを行った等、社会保険手続きの不備があった事業所は調査が行われ、指摘を受けている印象があります。
年金事務所としても、加入指導件数等を公表していることから、適正に手続きが行われていない可能性がある事業所をピックアップし、重点的に調査していると考えられます。

年金事務所調査のポイントは

年金事務所調査では、まず事業者宛に調査に関する通知書が届きます。その後、期日までに必要書類を準備のうえ、年金事務所へ「郵送」または「持参」し、手続き漏れがないか等の調査を受けることになります。社会保険未適用の事業所に対しては、年金事務所の職員が事業所へ個別に訪問し、その実態を調査するケースもあるようです。

年金事務所調査では、以下のような書類の提出を求められることが多いようです。

【提出を求められる書類】
・調査票
・労働者名簿
・賃金台帳(過去2年間分)
・出勤簿またはタイムカード(過去2年間分)
・源泉所得税の納付書

年金事務所調査において確認される主なポイントは以下の2点です。
1. 加入、喪失の手続きが適正に行われているか
・入社日から資格取得手続きが行われているか(試用期間中は未加入となっていないか)
・役員の加入漏れはないか
・パート、アルバイトの加入漏れはないか など
2. 社員の給与金額(標準報酬)は適正に届出されているか
・「賞与支払届」の提出漏れはないか
・「月額変更届」の提出漏れはないか
・賃金台帳の金額と標準報酬月額に乖離はないか など

日本年金機構の業務運営に関する『令和4年度計画』によると、事業者調査について、「次の事業所は最優先の対象として、必ず実施する」とされています。

・ 令和4年10月の短時間労働者適用拡大の対象となる事業所
・ 一定期間以上の遡及又は大幅な報酬変更等の届出があり特に確認が必要な事業所
・ 被保険者等から通報が行われた事業所
・ 一定以上の所得があり未納が継続している国民年金被保険者等への就労状況調査により、適用の可能性がある従業員がいると考えられる事業所
・ 法務省出入国在留管理庁から提供される特定技能外国人情報により判明した未適用の外国人就労者を使用する事業所


またこの計画の中で、効果的な事業所調査として「雇用保険被保険者情報を有効に活用する」と記載されています。
年金事務所では雇用保険の加入者(所定労働時間が週20時間以上の勤務者)を把握しており、厚生年金保険の被保険者数が100名を超える事業所において、雇用保険加入者で社会保険に加入していないような場合は、指摘を受ける可能性が高いと考えられます。

年金事務所調査より怖い、会計検査院調査とは

会計検査院とは、国のお金が適切に使われているかどうかをチェックする機関です。その検査の中で、例年『健康保険及び厚生年金保険の保険料等の徴収に当たり、徴収額が不足していたもの』(いわゆる社会保険の加入漏れ)の検査を行っています。
その内容としては、年金事務所が適正に事務を行っているかが検査対象となるため、加入漏れが疑われる事業所に対して調査が行われ、適正でないと思われる事態が判明した場合は、管轄する年金事務所に対してその是正報告を求めます。
会計検査院の令和2年度決算検査報告によると、検査の結果、適正に手続きが行われていなかった以下のような事例が公表されています。

<事例>
A会社は、サービス業の業務に従事する従業員118人を使用していた。同会社の事業主は、これらの従業員のうち102人については労働時間が短く常用的な使用でないとして、年金事務所に対して被保険者資格取得届を提出していなかった。
しかし、上記の102人について調査したところ、同会社はこのうち14人を常用的に使用しており、被保険者資格取得届を提出すべきであった。
このため、健康保険 保険料6,533,962円、厚生年金保険 保険料8,529,630円、拠出金157,462円、計15,221,054円が徴収不足となっていた。
なお、これらの徴収不足額については、本院の指摘により、全て徴収決定の処置が執られた。

会計検査院から社会保険の加入漏れの指摘を受けた場合は、本来加入が必要であった時点まで遡って資格取得手続きが必要となり、最大2年間分の社会保険料を請求されます。また、社会保険料の請求を受け、期限内に支払いを行うことが出来ない場合は「延滞金」の支払いも必要となります。
このように制度を十分に理解していなかったことにより、遡って加入手続きを行った結果、多大な金銭的負担が発生する可能性があることは知っておきたいところです。

年金事務所から調査の通知が届いたとしても、適正に社会保険の手続きを行っていれば慌てる必要はありません。調査のお知らせが届いた時に、その通知を無視や放置したり、調査に対して虚偽の書類を提出してしまったりすると、悪質と判断され処罰の対象となる可能性があります。
厚生年金保険法102条では、年金事務所が実施する調査に対して「文書その他の物件を提出せず、また当該職員の質問に対して答弁せず、若しくは虚偽の陳述をし、若しくは検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した時には6カ月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する」とされています。
万が一社会保険の手続き漏れを指摘された場合は、年金事務所からの指示に対して真摯に対応することを心がけましょう。
しかし、そのような事態が起こらないようにするためにも、近年進化の著しいクラウド型の労務管理システムを有効に活用する等して、日頃から手続き漏れが発生しない仕組みを構築することが重要と考えられます。




KING OF TIME 情報


今回は10月にバージョンアップされた新機能についてご紹介します。
新機能を活用して今後のKING OF TIME運用にお役立ていただけますと幸いです。

◆ 積立休暇設定について
◆ フレックスタイム制の「不足時間」集計について



積立休暇設定について

積立休暇とは、失効した有給休暇を指定先の休暇として引き続き利用できる制度です。
KING OF TIMEでは、設定 > スケジュール > 休暇区分設定 > 有休【編集】から
積立設定を利用すると、有給休暇が失効するタイミングで自動で積立先の休暇に付与することができるようになります。

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このような方におすすめです。
・福利厚生の一環として、失効した有給休暇を引き続き従業員に与えたい
・今まで手動で積立休暇を運用していたが、自動付与で管理したい
・積立元の失効情報と積立先の付与情報をデータで残したい


詳しい設定方法や注意事項は以下のオンラインヘルプよりご確認ください。

☞ 失効した有給休暇を積立休暇として利用するためにはどうすればよいですか?

 >>> 詳しくはこちら




フレックスタイム制の「不足時間」集計について

給与計算時に控除項目をもとに計算される方も多いかと存じます。
そこで今回のバージョンアップで、所定時間に満たない不足時間が「フレックス所定労働不足時間」として集計できるようになりました。
※月の基準時間と所定時間を2段階で設定されている場合に限ります。
 タイムカード画面への表示はもちろん、データ出力や連携も可能です。

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このような方におすすめです。
・カスタムデータ項目設定を使わずに、フレックスの所定労働不足時間を計算したい
・控除項目を給与計算ソフトに連携させたい
・所定労働時間と変形労働の基準時間を分けて集計し、かつ不足分も抽出したい


不足時間の確認方法や、データ出力方法は以下のオンラインヘルプをご確認ください。

☞ タイムカードの「フレックスタイム集計項目」はどのように確認すればよいですか?

 >>> 詳しくはこちら

☞【エクスポート】月別データ[CSV]の出力項目一覧

 >>> 詳しくはこちら



KING OF TIME セミナー情報

KING OF TIMEでは定期的にセミナーを開催し、ご利用いただきたいおすすめの機能や、バージョンアップにより新しく追加された機能などをご紹介しています。
今後もさまざまな機能に関するセミナーを開催予定ですのでぜひご参加ください!
■【 ご契約中のお客様限定 】
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本記事が皆様のお役に立てれば幸いです。
今後もKING OF TIMEをご愛顧いただけますよう邁進してまいりますので、何卒よろしくお願いいたします。


監修元:社会保険労務士法人 ヒューマンリソースマネージメント

 
 
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