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労務情報

【法定休日の誤解】法定休日を特定しておく必要はある?

公開日:2023年4月20日(当記事の内容は公開時点のものです)

監修:社会保険労務士法人 ヒューマンリソースマネージメント
特定社会保険労務士 馬場栄 
監修:社会保険労務士法人
ヒューマンリソースマネージメント
特定社会保険労務士 馬場栄 


【法定休日の誤解】法定休日を特定しておく必要はある?

今週のピックアップ

【労務情報】
◆ 法定休日を定めていない企業からの相談・・・
◆ 法定休日とは何か
◆ 休日は24時間休ませればOKではない
◆ 振替休日は2日に分けて与えても問題ない?
◆ 休日に勤務した場合の休日割増手当は何時からが対象になる?
◆ 法定休日を特定している場合、月60時間超過の時間外割増の計算も変わる

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法定休日を定めていない企業からの相談・・・

社会保険労務士のAさんが、オフィスで作業をしていると、製造業を営んでいる顧問先企業E社の総務担当Fさんから、休日の定め方に関する相談の電話がかかってきました。

担当Fさん:
弊社では、法定休日は特に定めていませんが、これまでは、慣習的に日曜日を法定休日として、日曜日に出勤した場合のみ、休日割増手当を支払っていました。「同じ休日なのに、日曜日だけ休日割増手当が支給されるのはおかしい」という従業員がいるのですが、土曜日に出勤した場合でも、法定休日として、休日割増手当を支払うべきなのでしょうか。

社労士Aさん:
法定休日は週に1回与える休日のことを指しますので、法定休日を特定していない場合は土日どちらを法定休日として取り扱っても問題はありません。つまり、土日どちらかにお休みが取れていれば、法定休日を与えていることになりますので、休日割増手当を支払う必要はありませんよ。

担当Fさん:
そうだったのですね。うちの場合は、土日どちらかはお休みが取れるようにしていたので、休日割増手当を支払う必要はなかったのでしょうか。今後は、従業員にもわかりやすいように、法定休日を特定しておく方がいいんでしょうか。

社労士Aさん:
法定休日を特定しておいた方が、従業員の方にもわかりやすく、今回のような問合せを受けることはなかったでしょうね。行政通達上も法定休日を特定しておくことが望ましいとされていますし、給与計算上も簡便になります。

法定休日とは何か

法律上定められている休日とは、週に1回の休日のことを指し、就業規則などでこれを上回る休日を定めている場合は法定外休日となります。
例えば、土日を休日としている企業も多いと思いますが、そのうち1日が法定休日となり、もう1日は法定外休日となります。
また、法定休日は、週に1回ではなく、4週間を通じて4回休日を与える方法でも問題ありませんが、こちらは例外的な取扱いで、原則的な運用は、週ごとに1回、休日を与えるということになります。

そのため、土日を休みとしている企業では、どちらを法定休日とし、どちらを法定外休日として取り扱うべきかという問題があります。
行政解釈では、週の休日のうち、どの休日を法定休日として取り扱うについて、以下のように示されています。

・法定休日を特定していない場合、歴週において後順に位置する休日が法定休日となる。

つまり、下図の例の通り、たとえば、歴週(日~土)としている場合、後順となる土曜日が法定休日となり、週の起算日を月曜日としている場合、後順となる日曜日が法定休日となります。

KOT労務1

なお、週の起算日については、就業規則で定めることも可能ですし、特に定めていない場合は、日曜日が起算日となります。

休日は24時間休ませればOKではない

法定の休日を与えたかどうかの判断基準は、暦日で与えたかどうかで判断されます。そのため、たとえば、土曜日の深夜まで作業が続き、日曜日まで業務が長引いた場合は、日曜日は休日を与えたことにはなりません。

KOT労務2

なお、以下のように、日常的に暦日を跨ぐような勤務が想定されている場合には、例外的に次のように取り扱ってもよいことになっています。

① 8時間3交替連続勤務の番方編成の場合
番方編成による交替制が就業規則等により制度化され、各番方の交替が規則的に定められているもので、シフト表などでその都度設定されるものでない場合には、継続24時間の休みを与えた場合には、休日を与えたことになります。

② 旅館業の場合
フロント係、調理係、仲番及び客室係に限って、2暦日に跨る休日となることやその時間帯が労働者に明示されていて、正午から翌日の正午までの24時間を含む継続30時間(当面の間27時間)の休息が確保されれば、休日を付与したことになります。

③ 自動車運転者の場合
タクシー、トラック、バスなどの自動車運転者は、休息時間(原則として8時間、令和6年4月以降は9時間)+24時間の連続した時間をもって休日を付与したことになるとされています。そのため、32時間以上の連続した時間の休息を与えれば、休日を付与したことにはなります。

振替休日は2日に分けて与えても問題ない?

振替休日を与える場合、半日を2日に分けて与えても問題ないでしょうか。
たとえば、次のように法定休日である日曜日の休日を振替出勤日として、月曜日と水曜日に半日ずつ休日を取らせるようなことが可能かどうかということです。

KOT労務3

前述の通り、休日は暦日で与える必要があります。
そのため、このように半日ずつ付与したとしても振替休日を与えたことにはならず、日曜日の休日については休日出勤扱いとして、休日割増手当を支払う必要があるということになります。

他方、法定休日を特定していない場合は、土曜日を週一回の法定休日とすることも可能なので、その場合、日曜日に法的な制約はありませんので、半日ずつ付与する形でも問題はありません。
また、休日出勤の代わりに休日を与える代休制度についても法律上の制限はありませんので、半日ずつ付与しても問題ないということになります。
まとめると以下のようになります。

KOT労務4

ただし、従業員の方の健康管理という側面から考えれば、暦日で休日を与える方が好ましいと言えます。

休日に勤務した場合の休日割増手当は何時からが対象になる?

平日から休日まで暦日にわたって仕事をした場合、何時から休日割増手当の対象となるでしょうか。
行政通達では、2暦日にわたって継続勤務が行われる場合には、それは1勤務として取り扱うこととされており、勤務の全体が始業時刻の属する日の労働として取り扱うこととされています。
ただし、休日は暦日で与えることとされていることから、割増手当は次のように計算しなければなりません。

KOT労務5

法定休日を特定している場合、月60時間超過の時間外割増の計算も変わる

法定休日を特定している場合と特定していない場合で、月60時間超過の時間外労働の算定において次のような違いがあります。以下、休日である日曜日に出勤した例でご説明します。

《 法定休日を日曜日と特定している場合 》
週に1回の休日があったとしても、日曜日の勤務は休日割増手当(35%割増)の支払いが必要となります。
時間外労働に含まれないため、月60時間の時間外労働の算定時間に含める必要はありません。

《 法定休日を特定していない場合 》
週に1回の休日があれば、休日割増手当(35%)の支払いは不要です。
ただし、時間外労働時間の計算に含める必要があります。
つまり、平日と法定外休日労働を合わせた労働時間が法定労働時間(1日8時間、週40時間等)を超え、その残業時間が月60時間を超過した場合は、60時間を超過した部分については、1.5倍での割増賃金の支払が必要ということになります。

なお、企業によっては、法定外休日の労働については、一律割増手当として1.25倍での支払いを行っている場合もあるかと思いますが、月60時間超過の対象となる残業時間は、法定労働時間を超過した時間数のみで判断して問題ありません。たとえば、週の途中に祝日などで、元々週4日しか労働日がなかった場合など、その週に法定外休日労働があったとしても、労働合計時間が法定労働時間(1日8時間、週40時間)を超えていなければ、残業時間としてカウントする必要はないということになります。

上記の通り、法定休日を特定していない場合、土日のどちらかを法定休日として扱うことによって、時間外労働が60時間に含める時間から除外することも可能ですが、あくまでも届出している休日労働に関する36協定の範囲内で行う必要があります。




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監修元:社会保険労務士法人 ヒューマンリソースマネージメント

 
 
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