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労務情報

迫る法改正!雇用契約書の内容変更だけでは不十分!~労働条件明示義務について徹底解説~

公開日:2024年1月11日(当記事の内容は公開時点のものです)

監修:社会保険労務士法人 ヒューマンリソースマネージメント
特定社会保険労務士 馬場栄 
監修:社会保険労務士法人
ヒューマンリソースマネージメント
特定社会保険労務士 馬場栄 


迫る法改正!雇用契約書の内容変更だけでは不十分!~労働条件明示義務について徹底解説~

今週のピックアップ

【労務情報】
◆ 4月に迫った法改正!直前の準備では間に合わない!?
◆ 就業場所や業務の変更範囲を明示することで起こりうるトラブルとは
◆ 更新上限を新たに設定する場合の注意点
◆ 無期転換申込権により正社員と同等の待遇となるのか
◆ 改正に向けての準備チェックリスト

【KING OF TIME 情報】
◆ KING OF TIME データ分析の「雇用動向」とは
◆ その他KING OF TIME データ分析で確認できる項目

☞ KING OF TIME 情報は 《 こちら 》


4月に迫った法改正!直前の準備では間に合わない!?

いよいよ2024年4月に迫ってきた法施行について、法改正に沿った具体的な内容、押さえておくべきポイントや予想されるトラブル事例の対応方法などをお伝えします。

今回の改正に対する対応は多岐にわたって影響してきます。特に影響が大きい有期契約労働者の契約更新回数の状況整理&確認作業、無期転換社員の労働条件などの整備など、事前にすべき作業は多いです。直前に準備を始めると間に合わない可能性もありますので、早め早めに準備を進め、慌てずに法改正を迎えるようにしましょう。

労働条件を明示するための雇用契約書の内容の変更はもちろんですが、これから法改正対応する方は本ブログを是非ご活用ください。

就業場所や業務の変更範囲を明示することで起こりうるトラブルとは

労務画像1

就業場所・業務について、限定がない場合には変更の範囲を「会社の定める営業所」「会社の定める業務」と記載しておきます。会社が今後営業所を拡大したり、新たに業務展開することが想定される場合にも対応できます。

就業場所を限定する場合には、変更の範囲を明示する必要があります(東京23区内、A営業所など)。テレワークが通常想定される勤務場所の一つとなっている場合には、自宅やサテライトオフィスなど、テレワークが可能な場所を明記しておく必要があります。なお、応援や出張、研修などの一時的で突発的な内容については記載しなくても問題ありません。

また、業務を限定する場合も、雇入れ直後はレジ業務で、業務に慣れてきたら品出しや在庫管理などの業務を担当してもらうのであれば、雇い入れ直後へ「レジ業務」、業務の変更範囲へ「レジ業務、品出し業務、在庫管理業務」などと記載しておく必要があります。

労務トラブルの多くは、労使双方の認識の違いから発生します。明示した労働条件と齟齬が出ないように、事前に担当してもらう業務を整理することはもちろんですが、どういった場合に変更となるのかなど、口頭でも補足説明する方が良いでしょう。

<予想されるトラブル事例>
■ 変更の範囲を明示した際に、業務の範囲や勤務地を限定して欲しいと言われた

近年、多様な働き方が認められるようになり、育児や介護等の理由で転勤はしたくない、ジョブ型の勤務で専門性を伸ばしたいなど、業務や勤務地を限定した働き方を望む方は増えてきています。
今回の法改正を受けて、業務や勤務地の変更の範囲を明示することになるため、従業員から業務や勤務地を限定したいといった話が出てくることが想定されます。
会社として応じる義務はありませんが、そのようなニーズがあることも想定して、妥協案は検討しておくべきでしょう。
一例として、勤務地限定社員、職務限定社員などの制度を設け、多様な働き方を認める方法も考えられます。制度を設ける際には、正社員との均衡が取れるように、限定する内容に基づいて待遇差をどうするかなども検討しておきましょう。

更新上限を新たに設定する場合の注意点

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契約更新上限を明示する場合には、残りの契約上限を記載する方法でも構いませんが、混乱を避けるためには、当初の契約から数えた上限を明示し、現在までの契約期間や更新回数が何回目かを通算して明示することが望ましいです。

例)初回契約2021年4月、上限5年としている場合
● 契約期間:期間の定めあり(2024年4月1日~2025年3月31日)
● 更新上限の有無:有(通算契約期間上限5年/現在通算3年)

また、更新上限の設定がない場合においては更新上限について記載がなくてもよいですが、労使の認識を合わせるためにも明確に更新上限なしと記載しておくことをお勧めいたします。
なお、契約期間については、一部の方を除き一契約期間につき3年が上限となっています。

<予想されるトラブル事例>
■ 契約の更新上限を新設したが従業員の理解が得られない

契約の更新上限を新しく設ける場合や、契約期間の上限を短縮する場合は、事前に新設ないしは短縮に至った理由を説明しなければなりません。
予定していた事業が何らかの理由で縮小することとなり、契約更新の上限も設ける場合や契約期間を短縮することとなった場合には、比較的理解が得られやすいと考えられます。ただし、その場合でも、なるべく早めに説明し、労働者が次のアクションを早い段階で取れるようにすることが望ましいでしょう。

無期転換防止の目的で契約更新上限を新たに設ける場合、従業員の理解が得られない可能性が高いと考えられます。対策として、正社員登用制度を設け、会社の基準を満たせば正社員登用する、満たせない場合は更新上限で雇用を終了するという形にすることで、合理性を持たせる方法を検討してみるのも良いでしょう。

無期転換申込権により正社員と同等の待遇となるのか

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無期転換ルールとは、同一の使用者との間で、有期労働契約が5年を超えて更新された場合に、有期契約労働者からの申込みにより、期間の定めのない労働契約に切り替わるルールです。

この無期転換は、有期労働契約が通算5年を超えるすべての方が対象となります(一部特例があります)。労働者が無期転換を希望する場合には、使用者は断ることができない点がポイントとなります。また、申込みは口頭でも問題ありませんが、後日、申込みをしたかどうかの争いが生じる可能性がありますので、申込書・受理書などを用意しておくと良いでしょう。

<予想されるトラブル事例>
■ 無期転換申込権により正社員と同等の待遇を求められる

無期契約社員になった場合でも、正社員と同等の待遇とする法的義務はなく、労働協約、就業規則、個々の労働契約で別段の定めがない場合、契約期間以外は、無期転換前の同一の労働条件が適用されます。

一方で、適正に定められた労働協約、就業規則に無期転換後の労働条件を記載することで、労働条件を変更することも可能です。そのため、正社員と同等の待遇にする代わりに、勤務地や業務内容を限定しないなど、正社員並みの責任を負わせることも可能です。

改正に向けての準備チェックリスト

① 雇用契約書のフォーマットの整理
労働条件を明示する場面で必要となる書類の棚卸、記載内容をチェックしましょう。
チェックする際には、下記厚生労働省のモデル労働条件通知書を参考にしフォーマットを修正しましょう。
なお、今回の法改正とは直接関係はありませんが、モデル書式には、「就業規則を確認できる場所・方法」が追加されています。改めて就業規則の周知方法に問題がないかも確認しておきましょう。

☞ モデル労働条件通知書

 >>> 詳しくはこちら

② 求人内容の確認
今回の法改正に合わせて、職業安定法も同じタイミングで改正がされます。
内容としては求職者に対しても、就業場所や従事すべき業務の変更の範囲、有期労働契約を更新する場合の基準を明示しなければならなくなります。
よって、複数の媒体に求人を出している場合には、棚卸と内容の確認に時間を要する可能性がありますので、早めの対応が良いでしょう。

☞ 参考:募集時などに明示すべき労働条件が追加されます!(厚生労働省パンフレット)

 >>> 詳しくはこちら

③ 就業規則等の確認・整備
社内ルールの運用の根拠となる就業規則、その他関連規程を今一度確認しておきましょう。勤務地や職務を限定した社員制度を採用する場合には、就業規則にその内容を追加する必要があります。また、正社員登用制度を設ける場合や、無期転換社員の労働条件を一律に定めるのであれば、就業規則へ追加する必要があります。
まずは、現行の就業規則にどのように定められているか確認し、今回の法改正に伴う変更が必要かどうかという手順で進めることをおすすめします。




KING OF TIME 情報


今回は、KING OF TIME データ分析で全社状況が確認できる「雇用動向」についてご案内いたします。

2024年4月より、労働条件明示のルールが改められることにより、有期契約社員(パート・アルバイト)を中心に契約内容の見直しと、それに伴う現状の把握が直近の課題となります。これらを把握するためにKING OF TIME シリーズ製品を活用し、現状確認を早めにおこないましょう。

◆ KING OF TIME データ分析の「雇用動向」とは
◆ その他KING OF TIME データ分析で確認できる項目



KING OF TIME データ分析の「雇用動向」とは

KING OF TIME 勤怠管理とKING OF TIME 人事労務それぞれのデータを自動連携した従業員情報(男女比率や平均在籍年数)をまとめて確認することができます。
また雇用区分ごとに絞って表示することができるため、有期契約社員の契約内容の見直しとなる対象者がいないかなどの確認にお役立てください。

雇用動向トップ画面
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雇用区分別画面
KOT画像2

☞「雇用動向」では、どのようなことが確認できますか?

 >>> 詳しくはこちら



その他KING OF TIME データ分析で確認できる項目

KING OF TIME データ分析ではご紹介した機能以外にも多数の機能を搭載しております。 主な機能としては「従業員の有給管理状況の可視化」「打刻時間とPCログとの乖離時間の把握」「労働生産性の把握」などがあります。
詳細につきましては、下記オンラインヘルプをご参照ください。

☞ KING OF TIME データ分析ではどんなことができますか?

 >>> 詳しくはこちら

☞ 有給休暇「年5日取得義務」では、どのようなことが確認できますか?

 >>> 詳しくはこちら

☞ 勤怠差異「基準時刻と打刻 / ログ / 入退室の差異」ではどのようなことができますか?

 >>> 詳しくはこちら

☞ 生産性データ「全社」では、どのようなことが確認できますか?

 >>> 詳しくはこちら



本記事が皆様のお役に立てれば幸いです。
今後もKING OF TIMEをご愛顧いただけますよう邁進してまいりますので、何卒よろしくお願いいたします。


監修元:社会保険労務士法人 ヒューマンリソースマネージメント

 
 
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