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労務情報

【振替休日の誤解】休日を振り替えたら割増賃金の支払は必要ないのか!?

公開日:2023年3月9日(当記事の内容は公開時点のものです)

監修:社会保険労務士法人 ヒューマンリソースマネージメント
特定社会保険労務士 馬場栄 
監修:社会保険労務士法人
ヒューマンリソースマネージメント
特定社会保険労務士 馬場栄 


【振替休日の誤解】休日を振り替えたら割増賃金の支払は必要ないのか!?

今週のピックアップ

【労務情報】
◆ 振替休日を取得させることができない企業からの相談
◆ 振替休日とは何か
◆ 振替休日と代休の違いは
◆ 変形労働時間制でも振替休日の取得はできるのか
◆ 振替休日の再振替は可能か

【KING OF TIME 情報】
◆ KING OF TIME 人事労務のおすすめ機能
◆ WEB給与明細機能とは
◆ 項目のカスタマイズ機能とは
◆ KING OF TIMEシリーズ製品 お申し込みの注意点
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振替休日を取得させることができない企業からの相談

社会保険労務士のBさんが、オフィスで作業をしていると、電子部品を製造している顧問先企業E社の担当Fさんから、休日出勤に関する相談の電話がかかってきました。

担当Fさん:
半年ほど前から受注が増加していて、納期に間に合わせるため残業や休日出勤が増えています。基本的には休日に出勤した場合、振替休日を取得させていますが、人手不足の影響もあって、ここ数か月は振替休日を取得させることができていません。
振替休日が取得できないまま、3か月以上経過している社員もいて、どのように対処したらいいでしょうか。

社労士Bさん:
ご存じかと思いますが、前提として振替休日は、事前に振り替える日を特定することが必要です。また、できれば振替日は同一週内であることが望ましいですね。
御社の場合は土日休みの週休2日制で、法定休日を日曜日と定めていますが、日曜日の出勤が多いのでしょうか?

担当Fさん:
日曜日の出勤はほとんどありません、土曜日に出勤するパターンが大半です。土曜日に出勤した分を平日の休みに振り替えているのですが、業務が忙しくて、結果的に休みを取れていないというのが現状です。

社労士Bさん:
そうすると、土曜日の出勤分については、時間外割増賃金の支払いが必要となる可能性が高いですね。
振替休日を同一賃金計算期間内に取得できないようなケースもありますが、労働基準法の賃金全額払いの原則を考えると問題があります。

担当Fさん:
現状では振替休日を取得できなかったとしても、単純に累積カウントしているだけです。人によっては既に3、4日振替休日が溜まってしまっています。

社労士Bさん:
振替休日の取得期限について法的な定めはありません。ただし、給与計算上は同一賃金計算期間内に取得できなかった場合は、いったん休日勤務分も含めた賃金の支払いを行う必要があります。
振替休日で運用すれば、単純に割増賃金の支払いが必要無いと勘違いされていることが多いのですが、事前に振り替える日を決めたり、週40時間を超過した場合は残業計算が必要だったりと、実務上は正しく運用できていないケースが大半です。
御社の現状を考えますと、休日の振替ではなく代休で運用し、休日勤務分の給与をいったん支払って、代休を取得できた時にその分を賃金控除する、というシンプルな方法が良いかもしれません。


この相談の後、E社は、取得できていなかった振替休日を清算し、時間外割増分も含めて給与の支払いを行いました。また、社労士Bさんのアドバイスに従って、振替休日の運用をあらため、休日に働いた分は給与の支払いを行い、代休を取得させることができた場合は賃金控除を行う運用に変更しました。

振替休日とは何か

休日の振替とは、就業規則で定められた休日を、事前に手続きをして他の労働日と交換することです。従って、もともとの休日に労働させた日については休日労働とはならず、休日労働に対する割増賃金の支払義務も発生しません。
ただし、同一の週に振替休日を取らせることができず、週をまたがって振り替えた結果、週の法定労働時間(40時間)を超えた場合は、時間外労働が生じ、36協定の時間管理及び割増賃金の支払いが必要となります。
この振替休日による時間外労働に気づかないまま36協定違反となっていたり、割増賃金の未払いが隠れ債務となっている可能性があるため注意が必要です。

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振替休日を行うために必要な要件は、次のとおりです。
① 就業規則に振替休日の規定をすること
休日の振替は、労働条件として予定された休日を一方的に変更することから、あらかじめ就業規則に振替に関する規定が必要とされています。

② 振替日を事前に特定すること
休日の振替は、日付を特定したうえで、遅くとも休日労働をさせる前日までに、労働者に通知することが必要です。

③ 法定休日の要件を満たしていること
休日の振替を行うためには、1週1日の休日または4週4日の休日が確保されていることが必要です。

振替休日と代休の違いは

休日の振替と混同されることも多い代休については、休日労働が行われた場合に、その代償として以後の特定の労働日を休みとするものであって、前もって休日を振り替えたことにはなりません。従って、休日労働分の割増賃金を支払う必要があります。

「ウチは振休を利用しているから…」という企業で、詳しく話を伺ってみると実態は代休で、加えて割増賃金を支払っておらず、残業代未払いが発生しているというケースは残念ながら決して少なくはありません。

振替休日と代休の間違った運用については、以前こちらの労務ブログで詳しく解説していますので、ご参照ください。

☞ 間違えて運用していませんか? 振替休日・代休の運用

 >>> 詳しくはこちら

変形労働時間制でも振替休日の取得はできるのか

【1か月単位の変形労働時間制】
通達によると、「変形期間を平均し週40時間の範囲内であっても使用者が業務の都合によって任意に労働時間を変更するような制度はこれに該当しない」とされていますが、休日の振替が全く認められていないわけではありません。 ただし、裁判例によると、休日の振替を行うためには、就業規則に労働者が予測可能な程度に具体性のある変更事由を定めておくことが必要と考えられます。

また、振替休日を行った結果、所定労働日に変更された日に、8時間を超えて働いた場合は時間外労働としなければならないほか、週の労働時間が40時間を超えた場合は、その時間も時間外労働となります。

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☞ 参考:「1箇月単位の変形労働時間制」導入の手引き(東京労働局)

 >>> 詳しくはこちら

【1年単位の変形労働時間制】
通常の業務の繁閑等を理由とした休日の振替は原則認められないと考えられます。ただし、労働日の特定時に予期しない事情が生じ、やむを得ず休日の振替を行うことは一定の要件のもと認められています。

大阪労働局ホームページの「よくあるご質問(労働時間・休日)」によると、以下のような記載があります。

通常の業務の繁閑等を理由として休日振替が通常行われるような場合は、1年単位の変形労働時間制を採用できません。
労働日の特定時に予期しない事情が生じ、やむを得ず休日の振替を行う場合には、
1. 就業規則で休日の振替がある旨規定を設け、あらかじめ休日を振り替えるべき日を特定して振り替えること
2. 対象期間(特定期間を除く)において、連続労働日数が6日以内となること
3. 特定期間においては、1週間に1日の休日が確保できる範囲内にあることが必要です。

☞ 参考:よくあるご質問(労働時間・休日)Q.10(大阪労働局)

 >>> 詳しくはこちら


なお、振替休日を行った結果、所定労働日に変更された日に、8時間を超えて働いた場合や、週の労働時間が40時間を超えた場合の時間外労働の考え方については、前述の「1か月単位の変形労働時間制」と同様です。

【フレックスタイム制】
フレックスタイム制とは、清算期間と清算期間内の総労働時間を定めて、日々の始業・終業時刻を労働者に委ねる制度であり、振替休日を取得させることは可能と考えられます。
また、フレックスタイム制においては「月単位」でのみ残業時間を考えますので、休日を振り替えた結果、その週に働いた時間が40時間を超えた場合でも、時間外労働の割増賃金の支払いは必要ありません。あくまで、清算期間の総労働時間が法定労働時間の総枠を超えた場合に、時間外労働の割増賃金の支払いが必要となります。

振替休日の再振替は可能

休日の振替を行った後に、業務の都合でその日に休むことができなかった場合、再度休日の振替を行うことは可能でしょうか。
再度の休日の振替やその取得できる期限について法律では明確に定めがないことから、法定休日(1週1休または4週4休)が確保されていれば、振替休日の再振替も可能と考えられます。
ただし、同一賃金計算期間内に振替休日を取得できないようなケースでは、労働基準法の賃金全額払いの原則から、いったん休日出勤により生じた時間外割増や休日割増賃金の支払いを行う必要があると考えられます。




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今回はその中でも「KING OF TIME 人事労務」についてご紹介いたします。


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◆ WEB給与明細機能とは
◆ 項目のカスタマイズ機能とは
◆ KING OF TIMEシリーズ製品 お申し込みの注意点



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☞ 給与明細は発行できますか?

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☞ 動画マニュアル:給与明細発行編

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☞ 従業員情報の項目をカスタマイズするにはどうすればよいですか?

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☞ 条件を絞って従業員を抽出するにはどうすればよいですか?

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KING OF TIMEシリーズ製品 お申し込みの注意点

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本記事が皆様のお役に立てれば幸いです。
今後もKING OF TIMEをご愛顧いただけますよう邁進してまいりますので、何卒よろしくお願いいたします。


監修元:社会保険労務士法人 ヒューマンリソースマネージメント

 
 
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