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労務情報

【給与計算の知恵袋】入社時の社会保険手続きのキホン

公開日:2024年3月7日(当記事の内容は公開時点のものです)

監修:社会保険労務士法人 ヒューマンリソースマネージメント
特定社会保険労務士 馬場栄 
監修:社会保険労務士法人
ヒューマンリソースマネージメント
特定社会保険労務士 馬場栄 


【給与計算の知恵袋】入社時の社会保険手続きのキホン

今週のピックアップ

◆ 基礎知識(Learning)
◆ よくある間違い、勘違い(Trouble)
◆ 実践のポイント(Tips)

基礎知識(Learning)

4月は新年度の始まりであり、多くの企業が新入社員(新卒・中途)を迎えるため、入社手続きが多くなることが一般的です。
新入社員を迎える際の手続きとしては、「労働契約の締結」や「個人情報(連絡先や家族情報、給与振込先など)の収集・確認」、「社内システムへのアクセス設定」など多岐にわたりますが、今回は入社時に必要となる社会保険等の手続きをご案内します。
入社時の社会保険等の手続きを遅らせると、健康保険証の発行遅延や保険料の誤徴収などトラブルの原因となります。担当者の方は手続きの流れを把握し、スムーズに対応できるよう準備しておくことが重要です。

【社会保険(健康保険・厚生年金保険)の資格取得】
(1)手続き書類・ポイント
事業主が以下の書類を提出します。
・「健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届/厚生年金保険 70歳以上被用者該当届」

社会保険(健康保険・厚生年金保険)では、適用事業所に常時使用される人は、国籍や性別、賃金の額等に関係なくすべて被保険者となります(70歳以上の人は健康保険のみの加入となります)。
手続きを行う際は、健康保険証の不正利用防止等の観点から、事業主が対象者の氏名、生年月日、性別、住所、マイナンバーまたは基礎年金番号等を確認のうえ、資格取得届に記入して届け出ることが必要となります。なお、添付書類の提出は原則として不要です。

(2)時期および届書の提出先
入社日から5日以内に、日本年金機構の事務センター(または管轄の年金事務所)に届書を提出します(健康保険組合加入の事業所の場合は、健康保険組合へも資格取得届の提出が必要です)。

☞「就職したとき(健康保険・厚生年金保険の資格取得)の手続き」(日本年金機構HP)

 >>> 詳しくはこちら


【雇用保険の資格取得】
(1)手続き書類・ポイント
事業主が以下の書類を提出します。
・「雇用保険被保険者資格取得届」

雇用保険の適用事業所に雇用される労働者は、原則としてその意志にかかわらず被保険者となります(勤務する所定労働時間等によっては、雇用保険の適用対象外となる場合があります)。手続きにあたっては、添付書類の提出は原則として不要です。
なお、この届出によってハローワークから交付された「雇用保険被保険者証」については、事業主から本人にお渡しください。

(2)時期および届書の提出先
雇用した日の属する月の翌月10日までに、事業所を管轄するハローワークに提出します。

☞「雇用保険の事務手続き」(厚生労働省)

 >>> 詳しくはこちら


【住民税の手続き】
(1)手続き書類・ポイント

(入社等により、個人住民税を普通徴収から特別徴収に変更する場合)
事業主が以下の書類を提出します。
・「特別徴収切替届出(依頼)書」

新卒採用の社員については、前年の所得が発生していないことから、入社時の手続きは不要です。入社2年目の6月から徴収します。

(中途入社の社員で、前職から継続して特別徴収の希望があった場合)
・「給与支払報告・特別徴収に係る給与所得者異動届出書」

対象の社員が転職前の会社から上記書類を発行してもらっており、自社(転職後)に提出があった場合は、会社で書類の「新しい勤務先」の欄に追記し提出します。

(2)時期および届書の提出先
特別徴収を開始する月の前月10日(必着)までに、入社した社員の住所地の区市町村へ提出します。

☞ 「入社等により、特別徴収に切り替える場合」(千代田区)

 >>> 詳しくはこちら

よくある間違い、勘違い(Trouble)

◆ 保険料の控除のタイミングに注意する
【社会保険料】

基本的な考え方としては入社日=資格取得日となるため、4月1日や15日など4月中の入社であれば、保険料は4月分から発生することになります。
一般的には、社会保険料の控除は翌月給与から行いますが、企業によっては当月分の給与から控除を行っているケースもあるため注意が必要です。

【雇用保険料】
雇用保険料は「支払われた給与×保険料率」で計算され、給与支払いの都度保険料の控除を行います。したがって、入社後初めて支払われる給与から徴収が開始されます。

☞『社会保険料を給与から控除する際のルールを再確認!
~保険料発生の有無や給与の締め日や支払日による控除のタイミング~』

 >>> 詳しくはこちら

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【控除の具体例】
<例1>入社日:4月1日、末締め当月末払い、社会保険料は当月控除
社会保険料 :4月末払の給与から徴収
雇用保険料 :4月末払の給与から徴収

<例2>入社日:4月1日、末締め当月末払い、社会保険料は翌月控除
社会保険料 :5月末払の給与から徴収
雇用保険料 :4月末払の給与から徴収

<例3>入社日:4月1日、末締め翌月15日払い、社会保険料は翌月控除
社会保険料 :5月15日払の給与から徴収
雇用保険料 :5月15日払の給与から徴収
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◆ 同時に複数の事業所に勤務する社員がいる場合の社会保険手続きに注意する
従業員が同時に複数(2か所以上)の適用事業所に勤務する場合、以下のような手続きの流れとなりますので確認しておきましょう。

① 従業員本人が主たる事業所を選択し、選択した事業所の所在地を管轄する年金事務所(事務センター)に「健康保険・厚生年金保険被保険者所属選択/二以上事業所勤務届」を提出します。
②ここで選択した事業所の所在地を管轄する年金事務所が、その対象者に関する事務を行うことになります。また、選択した事業所において健康保険証が発行されます。
※健康保険組合加入の事業所を選択する場合は、健康保険組合でも別途お手続きが必要です。
③ 保険料の額については、それぞれの会社の報酬を合算して、標準報酬月額を算定し、決定します。
④ 年金事務所からは、それぞれの会社の事業主に対して、支払われる給与に基づき按分した保険料の請求が行われます。

☞「被保険者が複数の適用事業所に使用されることになったとき」(日本年金機構HP)

 >>> 詳しくはこちら

☞「副業・兼業の促進に関するガイドライン」パンフレット(厚生労働省)

 >>> 詳しくはこちら


◆ マイナンバーの届出漏れがないよう注意する
入社時に行政への手続きを行う際、マイナンバー記入欄がある届書は、原則としてマイナンバーを記入して提出することが必要です。
また、従業員からマイナンバーを取得する際は、なりすまし防止のため、
① 番号確認(正しい番号であることの確認)
② 身元(実在)確認(番号の正しい持ち主であることの確認)
が必要ですので注意しましょう。
確認方法は下表のとおりです。

労務画像1

出典:「雇用保険の届出に マイナンバーの記載が必要です」(厚生労働省)


☞「事業主の皆さまへ(マイナンバーの利用)」(日本年金機構HP)

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実践のポイント(Tips)

◆ 短時間勤務者が加入要件を満たしているかチェック
入社する従業員が、社会保険(健康保険・厚生年金保険)および雇用保険の加入要件を満たしているかどうかをチェックします。パートタイマーやアルバイトの方は、所定労働時間数が短くても加入が必要な場合もあるため注意しましょう。

【社会保険】
パートタイマーやアルバイト等でも事業所と常用的使用関係にある場合は、被保険者となります。1週間の所定労働時間および1か月の所定労働日数が同じ事業所で同様の業務に従事している通常の労働者の4分の3以上である方も対象です。

また、従業員数が101人以上の事業所(2024年10月からは、従業員数が51人以上の事業所)については、以下の要件をすべて満たす短時間労働者の方も社会保険の加入対象となります。なお、ここでいう従業員数は、原則の厚生年金保険適用者数です。

① 週の所定労働時間が20時間以上30時間未満(週所定労働時間が40時間の場合)
・契約上の所定労働時間であり、臨時に生じた残業時間は含みません。
・契約上20時間に満たない場合でも、実労働時間が2か月連続で週20時間以上となり、なお引き続くと見込まれる場合には、3か月目から加入対象となります。
② 所定内賃金が月額8.8万円以上
基本給及び諸手当を指します。ただし残業代・賞与・臨時的な賃金等は含みません。
③ 2か月を超える雇用の見込みがある
④ 学生ではない

☞「適用事業所と被保険者」(日本年金機構HP)

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【雇用保険】
雇用保険の適用事業所に雇用される次の労働条件のいずれにも該当する労働者の方は、原則として全て被保険者となります。
① 1週間の所定労働時間が20時間以上であること
② 31日以上の雇用見込みがあること

また、パートやアルバイトなどの雇用形態や、事業主や労働者からの加入希望の有無にかかわらず、要件に該当すれば加入する必要があります。

☞「雇用保険の加入手続はきちんとなされていますか!」(厚生労働省HP)

 >>> 詳しくはこちら


◆ 扶養家族がいる従業員は異動届の手続きを一緒に行おう
入社した従業員に扶養家族がいる場合は、以下の書類を提出します。
・「健康保険被扶養者(異動)届 第3号被保険者関係届」

扶養の対象者が配偶者の場合は、この手続きを行うことで国民年金第3号被保険者となります。
社会保険の被扶養者は、以下の①~③をすべて満たした場合に認定を受けることができます。
① 被扶養者の対象範囲に該当しているか
<被保険者と同居している必要がない者>

・配偶者、子、孫および兄弟姉妹
・父母、祖父母等の直系尊属
<被保険者と同居していることが必要な者>
・上記以外の三親等内の親族(伯叔父母、甥姪とその配偶者等)
・内縁関係の配偶者の父母および子(当該配偶者の死後、引き続き同居する場合を含む)

② 収入条件はクリアしているか
・原則、年間収入が130万円未満であること
(60歳以上である場合または障害厚生年金を受けられる程度の障害を有する者である場合は、年間収入が180万円未満)
・同居の場合は、収入が扶養者(被保険者)の収入の半分未満
・別居の場合は、収入が扶養者(被保険者)からの仕送り額未満であること

③ 国内に居住しているか

☞「家族を被扶養者にするとき、被扶養者となっている家族に異動があったとき、被扶養者の届出事項に変更があったとき」(日本年金機構HP)

 >>> 詳しくはこちら


社会保険(健康保険・厚生年金保険)や雇用保険の資格取得手続きは、e-Govを活用し、インターネットで電子申請を行うことが出来ます。
退職手続きのブログでもお伝えしましたが、電子申請は在宅勤務をしていても、自宅から申請できたり、24時間365日オンラインで申請ができるというメリットがある以外に、申請時に不備がないかといったシステムチェックや、処理状況・結果通知をPCで確認できるなど、データ管理も簡単に行うことができます。
電子申請を行うことができる労務管理のクラウドシステム化も広がっていることから、まだ利用していない会社は導入を検討してみてはいかがでしょうか。

☞「電子申請・電子媒体申請」(日本年金機構)

 >>> 詳しくはこちら

☞「雇用保険関係手続き電子申請のご案内」(厚生労働省)

 >>> 詳しくはこちら



本記事が皆様のお役に立てれば幸いです。
今後もKING OF TIMEをご愛顧いただけますよう邁進してまいりますので、何卒よろしくお願いいたします。


監修元:社会保険労務士法人 ヒューマンリソースマネージメント

 
 
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