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労務情報

賞与の減額や不支給は違法?! ~改めて就業規則の記載内容を確認しましょう~

公開日:2022年5月12日(当記事の内容は公開時点のものです)

監修:社会保険労務士法人 ヒューマンリソースマネージメント
特定社会保険労務士 馬場栄 
監修:社会保険労務士法人
ヒューマンリソースマネージメント
特定社会保険労務士 馬場栄 


賞与の減額や不支給は違法?!
~改めて就業規則の記載内容を確認しましょう~

今週のピックアップ

【労務情報】
◆ 賞与は支給が義務になることも?
◆ 特定の従業員だけ減額することは不当査定!?
◆ 査定期間中に懲戒処分した社員にも賞与は減額出来る?
◆ 産前休業・育児休業中の社員にも賞与を支払う必要がある?
◆ 育児休業明けの時短社員は、賞与も減らせる?
◆ 賞与計算から控除する保険料の例外的取扱い

【KING OF TIME 情報】
◆ 打刻エラー勤務の処理方法
◆ 休暇残数不足の表示について
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賞与は支給が義務になることも?

人事担当者にとっては、夏の賞与の準備の時期に差し掛かり、評価結果の取りまとめなど、忙しい時期になっていることかと思います。

今回は、賞与でよくあるご相談事例から、注意点をご紹介していきます。

賞与は、法律上、支給する義務はありませんし、賞与を支給する場合でも、ルールや金額については会社側の裁量で決めてよいことになっています。ただし、就業規則の定め方によっては、賞与を支払う義務が発生してしまいます。
たとえば、次のような定め方をしている場合です。

「賞与は毎年7月10日と12月10日にそれぞれ基本給の1か月分を支給する」

上記のように支払い時期や支給額を明確に定めている場合は、会社の業績の良し悪しに関わらず、必ずその時期に決められた額を支払わなくてはならないということになります。

「賞与は毎年7月と12月の年2回支給する」

このような記載の場合は、規定だけを見れば、支給額までは定めていないため金額の増減は可能となりますが、支給しないことには触れられていないため、支給自体は行う必要が生じます。

このように就業規則に定めることは、会社と社員との約束事となるため、それが果たせるのであれば問題ありませんが、コロナ禍のような出来事やそれに関わらず、業種や企業規模によっては、景気の動向に左右されやすいこともあるため、社員への賞与支給が負担となってしまうこともあるでしょう。やむを得ず、減額して支給した結果、社員から就業規則を根拠に賞与の満額支給を請求される恐れもあります。

そのため、就業規則には支給しない可能性を記載するとともに、あまり具体的に決めすぎないことも選択肢として検討すべきでしょう。賞与支給の有無や支給する場合の金額、支給時期等、規定で会社に明確な裁量を持たせることで、負担軽減やリスク回避をすることができます。

特定の従業員だけ減額することは不当査定!?

経営状況などから賞与原資を算出し、止む無く社員全体の賞与を5%減額するというようなケースもあるかと思います。このような全体的な減額は不当査定とはされませんが、特定の従業員だけを大幅に減額をするような場合は、会社の裁量を逸脱し、不当査定として賠償責任を命じられる可能性もありますので、注意が必要です。

たとえば、就業規則には、
「本人の勤続年数、個人業績を考慮して賞与支給します」
「賞与の評価期間は次の通りとする。6月支給:評価期間10月1日~3月31日」
などと記載されている企業も多いと思いますが、次のようなケースは問題となる可能性があります。

・評価項目にない “勤怠態度が悪い” という理由で支給額を大幅に減額する。
・就業規則に記載のない内容を評価基準として用いて減額する。
・評価期間以外の言動を理由に減額する。

自社の就業規則に賞与の評価基準がどのような記載になっているか、改めて確認してみてはいかがでしょうか。

査定期間中に懲戒処分した社員にも賞与は減額出来る?

ある従業員が賞与の査定期間中に懲戒処分を受けたような場合、それを理由に賞与を減額することは可能でしょうか。

まず、懲戒処分については、「二重処罰の禁止」という考え方があり、一度懲戒処分が確定した事実について、再度の懲戒処分をすることは許されません。
例えば、ある行為について、出勤停止の懲戒処分を行った従業員に対して、さらに減給処分をするようなことは認められないということです。

では、賞与の減額は二重処罰に当たるでしょうか。

そもそも賞与の金額については、会社に裁量が認められているため、裁量の範囲内であれば二重処罰禁止の原則に違反することにはなりません。

ただし、就業規則等において、賞与の支給条件、査定期間などが定められている場合には、その条件の範囲内で賞与減額を行わなければならないということになります。

そのため、もし、懲戒処分を行ったことだけを理由に、賞与を一律不支給というような場合は、会社に認められる裁量の範囲を逸脱し、違法と判断される可能性があります。

産前休業・育児休業中の社員にも賞与を支払う必要がある?

産前産後休業や育児休業などで休業中の従業員にも賞与を支給しないといけないのでしょうか。 法律では、産前産後休業や育児休業を取得した従業員について、下記のような不利益な取扱いをすることを禁止しています。

労務_画像1


引用:妊娠・出産・育児休業等を契機とする不利益取扱いに係るQ&A
 >>> 詳しくはこちら

ここでいう「賞与などにおける不利益な算定」についてですが、単に、休業により労働の提供がなかった期間を働かなかったものとして取り扱うことは不利益な取扱いには当たりません。つまり、休業期間を欠勤扱いし、賞与の支給金額を減額することは違法とは言えないということになります。

他方、過去、「出勤率90%未満の従業員は賞与支給の対象外とする」と定めた賞与規程が有効か無効かの判断をした裁判例では、次のように判断されています。

賞与の支給条件に出勤率などを考慮する場合、休業期間中を欠勤として扱い、その結果、出勤率を満たさないというような取扱いは出来ないと判断されていますので、運用間違いをしないように注意が必要です。

育児休業明けの時短社員は、賞与も減らせる?

育児休業を終えて、職場復帰される方で時短勤務を希望される方も多いと思います。 法律上は、3歳未満の子を養育する従業員は、時短勤務することが認められています。

たとえば、会社で定める労働時間が8時間である会社で、時短勤務により1日6時間勤務になったとします。時短勤務期間中は、ノーワークノーペイの原則から、月額給与が6/8相当になっている場合に、賞与も同じように6/8として良いかという問題です。

賞与も給与と同じ労働の対価として支払う賃金ですので、ノーワークノーペイの原則から、勤務時間に応じた分の減額は認められます。つまり、労働の提供が6/8になっているのであれば、それに相当する金額を支給することは問題ないということです。ただし、時短勤務というだけで、賞与を半額にするというような減額は、育児休業法に定める不利益取扱いに該当する可能性があります。

なお、過去に時短勤務中に定期昇給の金額が6/8相当額に減額されたのは不当だと争われた裁判では、
「働いていない分を減額していることとあわせて2重の減額となっている」
「労働者に短時間勤務制度の理由を躊躇させる恐れがある」
という理由から、育児介護休業法に定める不利益取扱いに当たるとして、不当と判断された事例もありますので、場面によって妥当かどうかを判断していく必要があります。

賞与計算から控除する保険料の例外的取扱い

賞与を支払うとき、賞与額からも、社会保険料(健康保険・介護保険・厚生年金保険の保険料)、雇用保険料、所得税を控除しますが、次のようなケースでは例外的な取扱いとなりますので、注意しましょう。

(1)退職する月に支払われる賞与
例えば、6月10日に賞与が支給され、6月15日に退職する場合、その賞与は、社会保険料控除の対象となりませんが、雇用保険料、所得税は控除の対象となります。
※退職日が末日の場合は、被保険者資格の喪失日が翌月1日となるため、通常と同じ取扱いになります。

・控除非対象:社会保険料(健康保険・介護保険・厚生年金保険の保険料)
・控除対象:雇用保険料、所得税

(2)賞与支払い月に40歳に達する場合
賞与支払月に40歳に到達した場合は、賞与からは介護保険料を控除しますが、給与の場合は、原則、前月分の保険料を控除するため、40歳に達した月に支払われる給与からは、介護保険料を控除しません。

・給与からは控除しない
・賞与からは控除する

(3)産前産後休業および育児休業期間中の賞与
毎月の社会保険料と同様に免除となりますが、雇用保険料、所得税は控除の対象となります。

今回は、様々な事例から賞与の取扱いにおける注意点を紹介いたしました。原則的には、会社の裁量に委ねられている賞与でも、就業規則の定め方や裁量の範囲を超えた不当な減額は、違法と判断されるケースもあるので、改めて安易な運用になっていないか確認いただけたらと思います。





KING OF TIME 情報


前回に引き続き、管理者画面『対応が必要な処理』欄についてご紹介いたします。
今回は打刻エラー勤務の処理方法、休暇残数不足の表示についてご案内いたします。

◆ 打刻エラー勤務の処理方法
◆ 休暇残数不足の表示について


打刻エラー勤務の処理方法

打刻エラー勤務とは、以下の5つの勤怠集計における不整合な打刻が発生した際にアラートを表示します。

(1)打刻のペアがそろっていない
(2)打刻が重複している
(3)正しい順番で打刻していない
(4)全日休暇取得日に打刻している
(5)集計結果が、遅刻または早退だけになっている

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(1)~(4)については、従業員に打刻修正やスケジュール申請を依頼しましょう。
管理者は必要に応じて、打刻の削除や修正を行いましょう。
(5)については、正しい集計になるように、該当日のスケジュール内容を確認しましょう。

ポイント:エラー勤務通知
前日までの勤怠にエラーが発生している場合、従業員や管理者にメール通知することができます。メール通知をする場合は、従業員や管理者のメールアドレスの登録が必要です。


☞ 「エラー勤務」に表示されるのは、どのような勤怠ですか?

 >>> 詳しくはこちら

☞ 出退勤のペアが揃っているのにエラー勤務になることはありますか?

 >>> 詳しくはこちら

☞ エラー勤務があった場合、メールで通知できますか?

 >>> 詳しくはこちら




休暇残数不足の表示について

休暇残数を超えて休暇を取得している場合に、休暇残数不足のエラーを表示します。


例えば、2022/04/06時点で有休残数が0日にも関わらず取得実績を登録すると、下記画像のように休暇残数不足のエラーが表示されます。

KOT画像3

減算タイプの残数管理できる休暇のみに表示されます。
減算タイプ…管理者があらかじめ付与を行い、付与された日数から取得する休暇のこと
 (例)有給休暇など
加算タイプ…取得した日数のみ管理する休暇のこと
 (例)公休など

KOT画像2

休暇残数不足のエラーが表示された場合、必要に応じて休暇の付与を行いましょう。
また、「負数の許可」設定をしておくと休暇残数不足のエラーを未然に防ぐことが可能です。

☞ 休暇の残日数が0日の場合は、休暇を取得できないように制限できますか?

 >>> 詳しくはこちら



本記事が皆様のお役に立てれば幸いです。
今後もKING OF TIMEをご愛顧いただけますよう邁進してまいりますので、何卒よろしくお願いいたします。


監修元:社会保険労務士法人 ヒューマンリソースマネージメント