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その課長は本当に「管理監督者」? 判断の4要件と今後求められる勤怠管理

公開日:2026年2月26日(当記事の内容は公開時点のものです)

監修:社会保険労務士法人 ヒューマンリソースマネージメント
社会保険労務士 岩下 等
監修:社会保険労務士法人
ヒューマンリソースマネージメント
社会保険労務士 岩下 等


その課長は本当に「管理監督者」?判断の4要件と今後求められる勤怠管理

今週のピックアップ

【 労務情報 】
◆ よくある質問とそれに対する回答
◆ 「管理職だから残業代ゼロ」は危険?企業が抱える潜在リスクとは
◆ 「名ばかり管理職」を防ぐ管理監督者の4要件
◆ 残業代が不要でも「時間管理」は義務?管理監督者に適用される法律の境界線
◆ 今後の法改正はどうなる?報告書が示す「健康・福祉確保措置」の方向性
◆ 法改正リスクをシステムで解決!「正しく・楽に」管理する実践的手法
◆ まとめ

【 KING OF TIME 情報 】
◆ 「KING OF TIME」シリーズで管理監督者の管理に対応する機能

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 よくある質問とそれに対する回答

Q. 4月の異動で課長昇進が決まった社員が「これからは時間は気にせずバリバリ働きます!残業代も不要です!」と張り切っています。正直、本人も納得しているし、その意気込みに水を差したくはありません。役職者になるのですから、細かい時間管理から解放してあげたいのが本音なんですが……。

A. 新任管理職の意欲は頼もしいですが、その認識のまま4月を迎えるのは危険です。まず、「社内の役職者=労基法上の管理監督者」ではないと強く認識してください。役職名だけで判断していると、実態が伴わない場合に多額の未払い残業代を請求されるリスクがあります。また、労働基準法上の管理監督者であっても、深夜割増賃金の支払いや健康確保のための時間把握は義務です。客観的な記録を残すことは、決して新任管理職のやる気を削ぐことではなく、過労やトラブルを未然に防ぎ、会社と社員の双方を守るための不可欠な業務だと心得てください。

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 「管理職だから残業代ゼロ」は危険?企業が抱える潜在リスクとは

「管理職だから時間管理は不要」という企業の根強い誤解は、未払い残業代請求や従業員の健康被害といった重大なリスクを招きます。厚生労働省も管理監督者の健康確保措置の導入を検討しており、今後はより厳格な時間管理が求められます。
本記事では、改めて確認すべき管理監督者の要件から最新の動向、システムを活用した実務対応までを網羅的に解説します。

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 「名ばかり管理職」を防ぐ管理監督者の4要件

労働基準法上の「管理監督者」として認められるためには、単に役職名がついているだけでは不十分です。実態として以下の4つを満たしているかが、判断の基準となります。

経営者と一体性があるか
経営会議等に参加し、かつ発言権があるかどうかが問われます。例えば店長のような責任者であっても、その権限が店舗や部署の運営管理に限られており、会社全体の経営方針の決定などに参画していないのであれば、経営者との一体性は認められず、管理監督者性が否定される可能性が高くなります。

人事労務管理上の権限があるか
部下の採用や人事考課(昇給、昇格、賞与等を決定するための評価)、解雇などの権限を持っているかが重要です。仮にこれらのプロセスに関与していても、あくまで上申するだけであり、最終的な決定権が本社や上層部にあるような場合は、実質的に人事権はないとみなされ、管理監督者とは認められない可能性があります。

勤務時間に裁量があるか
自身の勤務時間について、自身の裁量でコントロールできる状態にあるかどうかがポイントです。遅刻や早退をした際に賃金が控除されていたり、人事評価でマイナス査定をされていたりする場合は、裁量があるとは言えません。また、店舗などでアルバイト等の人員不足を埋めるために、自らがシフトに入り長時間労働を余儀なくされているような実態があるケースでも、勤務時間の自由裁量はないと判断され、管理監督者該当性は否定されやすいといえます。

相当の待遇差があるか
経営者と一体的な立場という重要な責任を担っていることに見合う、相応の待遇がなされているかを確認します。例えば、長時間労働のために時給換算すると一般従業員を下回ってしまうような場合や、残業代を支払わなくなった結果、以前よりも給与総額が減ってしまうようなケースでは、相当の待遇差がないとされ、管理監督者性が否定される可能性が高いです。

【参考】 労働基準法における管理監督者の範囲の適正化のために|厚生労働省

これら4つは、どれか一つを満たせばよいというものではなく、総合的に判断されます。重要なのは、「会社の管理職=労働基準法上の管理監督者」ではないという点です。これらをすべて満たしておかないと、管理監督者とは認められないおそれがあることを認識しておく必要があります。

これらの要件は、実際の裁判においても厳格に適用されます。その代表的な例として、全国展開する飲食チェーンの店長が管理監督者に該当するかどうかが争われた裁判例を紹介します。
この裁判では、結果として店長の管理監督者性は否定されました。判決のポイントとなったのは主に以下の3点です。

➀店舗の責任者としての権限(アルバイトの採用やシフト決定など)はあるものの、企業全体の経営方針の決定等には参画していないこと

➁人員不足やアルバイトの欠勤等が生じた場合には自らシフトに入らざるを得ない状況であり、労働時間に関する自由裁量がなかったこと

➂管理監督者としての役職手当等は支給されていたものの、時間外割増賃金が支払われないことを正当化できるほどの十分な待遇とは言えなかったこと

このように、裁判所は実態を詳細に見て厳格に判断を下しています。「うちは店長だから大丈夫」「役職手当を出しているから大丈夫」という安易な判断は通用しません。自社の管理監督者の働き方がこれらの基準に照らして適切かどうか、見直す必要があります。

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 残業代が不要でも「時間管理」は義務?管理監督者に適用される法律の境界線

適用除外となる労働基準法の規定
管理監督者に該当すると判断された場合、労働基準法の一部の規定が適用除外となります。具体的には、労働時間(1週40時間、1日8時間)、休憩、休日に関する規定です。また、各種変形労働時間制やフレックスタイム制、時間外および休日の労働(いわゆる36協定)、みなし労働制や裁量労働制といった規定も対象外となります。

したがって、労働基準法上の管理監督者であれば、時間外労働や休日労働に対する割増賃金の支払義務は免除されます。しかし、注意が必要なのは、免除されるのはあくまで「これらの規定に限定される」という点です。すべての労働基準法の規定が及ばなくなるわけではありません。

管理監督者にも適用される規定(深夜割増・労働安全衛生法)
管理監督者であっても、適用される重要な規定がいくつかあります。まず、労働基準法上の深夜業の規定です。22時から翌朝5時までの深夜時間帯に労働させた場合、管理監督者であっても25%以上の割増賃金を支払わなければなりません。

また、年次有給休暇の規定も管理監督者に適用されます。年10日以上の有給休暇が付与される管理監督者には、年5日の取得義務も課されます。

さらに、労働安全衛生法の観点も重要です。2019年4月の法改正により、管理監督者を含むすべての従業員について、客観的な方法による労働時間の状況把握が義務化されています。月80時間を超える時間外・休日労働があった従業員から申し出があれば、医師による面接指導を実施する義務もあります。

つまり、法的に見ても「管理監督者だから完全に時間管理が不要」ということはないのです。

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 今後の法改正はどうなる?報告書が示す「健康・福祉確保措置」の方向性

今後の法改正の動きとして注目すべきなのが、厚生労働省の「労働基準関係法制研究会」の報告書です。ここでは、管理監督者に対する健康・福祉確保措置の方向性が示されています。

現状、裁量労働制や高度プロフェッショナル制度には、制度導入の過程で健康・福祉確保措置の設定が義務付けられています。一方で管理監督者については、労働安全衛生法上の労働時間の把握や医師による面接指導の対象とはなっているものの、それ以外の特別な健康・福祉確保措置は設けられていません。報告書ではこの点が指摘され、新たな措置の検討に取り組むべきとされています。

検討の方向性としては、各制度の措置を分かりやすく揃えていくことが必要だとされています。ただし、管理監督者は要件に合致すれば自動的に適用除外となる法律上の立て付けであるため、労働基準法以外の法令で規定することも選択肢として挙げられています。

また、法規制だけでなく、企業内の情報開示の仕組みや、労使による自発的な議論の場作りを後押しすることも検討されています。さらに、本来は要件を満たさない従業員が管理監督者として扱われている「名ばかり管理職」の問題を踏まえ、制度趣旨に沿った要件の明確化も必要とされています。

こうした議論が進んでいることを踏まえると、企業は将来的な法改正を見据え、先手を打った対応を進めておくことが求められます。

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 法改正リスクをシステムで解決!「正しく・楽に」管理する実践的手法

ここまでの解説で、管理監督者であっても厳格な要件確認と適切な時間管理が必要不可欠であることをお伝えしました。

しかし、これらを紙のタイムカードなどのアナログな手法で管理しようとすると、実務の負担は計り知れません。例えば、深夜割増賃金を支払うためには、日々の勤務記録から「22時以降の労働時間」だけを正確に抜き出して集計する必要があります。また、健康確保のために「月80時間」のラインを超えないよう監視し続けるのも、手作業では限界があり、計算ミスや確認漏れのリスクが常につきまといます。
さらに、管理監督者本人にとっても、アナログによる打刻は負担が大きく、定着しにくいという課題もあります。

そこで推奨されるのが、システムを活用した管理方法です。以下では、システム導入により、法令遵守と業務効率化をどのように両立できるのか、具体的な手法を解説します。

電子契約サービス
まずは「入口」の管理として、雇用契約書で労使双方の認識を合わせることが重要です。
管理監督者としての職務内容や責任、労働条件(深夜割増以外の時間外手当が支給されないこと等)を雇用契約書や労働条件通知書で具体的に明示し、会社と本人の間で認識の齟齬がないようにするとよいでしょう。

この際、電子契約サービスを活用することで、雇用契約書の締結・保管を大幅に効率化できます。また、昇進や異動に伴う契約内容の変更履歴もクラウド上で明確に管理できるため、万一の紛争時にも強力な証拠となります。

管理監督者の該当性を明示した契約書を確実に交わしておくことは、リスクマネジメントの第一歩です。しかし、契約書を結べばそれで安心というわけではありません。契約上の定義と実際の働き方に乖離が生じていないか、定期的にモニタリングすることも必要です。

勤怠管理システム
次に、日々の運用においては、勤怠管理システムを活用して管理監督者にも「打刻」をさせることが重要です。

厚生労働省の「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」では、管理監督者は対象外とされています。しかし、2019年の労働安全衛生法改正により、現在では管理監督者を含むすべての従業員について、健康確保の観点から労働時間の状況を把握することが企業に義務付けられています。
そのため、勤怠管理システムを用いて労働時間の状況を客観的に把握できる体制を構築することは、法的な義務を果たすためにも不可欠です。

ここで重要なのは、打刻の目的を正しく伝えることです。管理監督者の要件である「勤務時間の裁量」を侵害するものであってはいけません。打刻はあくまで「深夜割増賃金を支払うため」「健康確保のため」に必要な手続きです。勤務時間を管理・束縛する意図はないという点を、従業員に明確に説明する必要があります。誤解を防ぐために、雇用契約書などの特記事項として「打刻の目的」を記載することも有効な手段です。

・集計の自動化
勤怠管理システムを導入すれば、複雑な集計も自動化できます。特に効果的なのは以下の3点です。

➀深夜帯(22時から翌朝5時)の労働時間を自動集計し、深夜割増賃金の計算を効率化
➁月80時間超の残業を自動検出し、医師面接指導の対象者を漏れなく把握
➂年次有給休暇の残日数を管理し、年5日取得義務の履行状況を確認

これらの自動集計機能を活用することで、担当者の手計算によるミスや確認漏れを防ぎ、法令遵守を確実に実行できます。

・アラート設定
さらに、勤怠管理システムのアラート機能を使えば、「働き過ぎ」を未然に防ぐ仕組みも作れます。深夜帯の労働があった場合や、一定時間以上の労働が続いた場合だけでなく、月間の残業時間が80時間に達する見込みとなった段階で、本人と上長にアラートメールを自動送信することができます。

法改正のトレンドを見ても、今後はより厳格な健康確保措置が求められる可能性が高まっています。今からシステムを活用し、健康リスクを予防的に管理できる体制を構築しておくことが重要です。

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 まとめ

管理監督者の時間管理は、法令遵守と健康確保に欠かせない経営課題です。まずは法的な要件を確実に満たし、深夜割増や健康管理のための実務を徹底する必要があります。しかし、複雑な管理を紙のタイムカードなどで行うのは限界があり、ミスのリスクも伴います。解決策はシステムの活用です。契約の明示から記録、集計までを自動化することで、負担なく確実な法対応が可能になります。法改正も見据え、システムで盤石な体制を築くことが、企業の信頼と働きやすい環境につながります。

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KING OF TIME 情報

「KING OF TIME」シリーズでは、今回紹介した「管理監督者」の労務管理に対応するための機能が備わっています。
導入の際には、以下のオンラインヘルプもご参照ください。

労働基準法における「管理監督者」の取り扱いと設定例

労働条件通知書の交付方法

雇用契約書の取り交わし方法

【アラート機能】集計時間が一定時間を超過 / 不足している場合にアラート表示する方法(時間アラート)

【アラート機能】18歳未満の深夜労働に対してアラート表示する方法(時間帯アラート)

データ分析>「法令関連」 > [割増賃金 / 医師面談]タブの確認 / 操作方法

本記事が皆様のお役に立てれば幸いです。
今後もKING OF TIMEをご愛顧いただけますよう邁進してまいりますので、何卒よろしくお願いいたします。

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監修元:社会保険労務士法人 ヒューマンリソースマネージメント

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