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労務情報

間違えて運用していませんか?【1年単位の変形労働時間制(その2)】 ~年の途中で入退社が発生した場合やシフト変更の注意点など~

公開日:2021年7月29日(当記事の内容は公開時点のものです)

監修:社会保険労務士法人 ヒューマンリソースマネージメント
特定社会保険労務士 馬場栄 
監修:社会保険労務士法人
ヒューマンリソースマネージメント
特定社会保険労務士 馬場栄 


間違えて運用していませんか?【1年単位の変形労働時間制(その2)】 ~年の途中で入退社が発生した場合やシフト変更の注意点など~

今週のピックアップ

【労務情報】
◆1年の途中で入退社が発生した場合の取扱いは?
◆1年の途中での勤務シフトの変更は認められるか?
◆裁判例に学ぶ勤務シフトの変更のポイント
◆新型コロナウィルス感染症対策による特例


【KING OF TIME 情報】
◆コンプライアンスを遵守するためのアラート機能
☞ KING OF TIME 情報は 《 こちら 》


1年の途中で入退社が発生した場合の取扱いは?

1年単位の変形労働時間制では、1年という長い期間で運用するため、年の途中で入社したり、退職したりする社員が発生する可能性もあります。

例えば、年の前半の繁忙期だけ勤務し、途中退社したため、閑散期に勤務しなかった社員がいたとします。繁忙期のため、週の所定労働時間が45時間だったとしても、割増賃金は払われません。また、閑散期の勤務実績がないため、実際に勤務した期間だけでみると、結果的に週平均の労働時間が40時間以上になってしまっているということになります。

このように1年を通じて勤務していれば、閑散期に労働時間の調整がなされ、通年で見たときに、週の平均労働時間が40時間以下になりますが、こういった繁忙期だけ働かさせてしまうのは不合理ということになります。

そのため、こういった場合は、実際に労働した期間の1週間平均の労働時間が40時間を超えている場合、その超えた時間については、割増賃金を支払う必要があります。(対象期間中に、すでに時間外・休日労働として割増賃金を支払った時間は除きます)

<中途採用者・退職者の割増賃金の計算方法>


(1)日の単位によって支払った残業時間
(2)週の単位によって支払った残業時間※(1)で計算された時間は除く
それぞれの計算方法についての詳細は、前回の労務ブログを参照ください。
>>> 詳しくはこちら

具体的には次のような計算方法をしなければなりません。ここでは、計算が複雑にならないように、所定労働時間だけ労働したものと仮定しています。

対象期間:4月1日~3月31日(365日)
中途退職日:9月30日
実労働時間:1,100時間


このケースでは、1,100時間(実労働時間)-1045.7時間(法定労働時間の総枠)=54.3時間分の割増賃金の支払いが必要ということになります。


1年の途中での勤務シフトの変更は認められるか?

1年単位の変形労働時間制は、あらかじめ労働日と休日、労働日ごとの勤務時間をカレンダーで定め、事前に労働者に周知することを義務付けており、このカレンダーで特定された労働日、労働時間を使用者が恣意的に変更することは出来ません。仮に労使の合意があったとしても、対象期間の途中で労働日や労働時間を変更することはできません。

とはいっても、1年という長い期間で行う事業の中で、顧客の要望や予定されていたイベントの中止など、突発的な理由により、代休や振替休日、または、出勤時間や退勤時間を変更せざるを得ない状況は発生します。

休日の振替を行う場合について、行政解釈によれば、「労働日の特定時には予期しない事情が生じ、やむを得ず休日の振替をおこなわなければならなくなることも考えられるが、そのような休日の振替までも認めない趣旨ではない」とされています。

具体的には、下記の条件を満たしている必要があります。
①就業規則において休日の振替の規定があり、事前に振替となる日を特定すること。
②対象期間(特定期間除く)においては連続労働日数が6日以内となること。
③特定期間においては1週間に1日の休日が確保できていること。

なお、同一週内で10時間シフトの日と休日を振替えて、当初の休日に8時間以上勤務させた場合、当初の休日は労働日ではなかったため(予め決められたスケジュールではない)、8時間を超えて労働させた場合、8時間を超える労働時間については、時間外割増手当の支払いが必要ということになります。10時間を超えたところからではありませんので、注意が必要です。

裁判例に学ぶ勤務シフトの変更のポイント

A社事件(広島高裁H14.6.25)では、1か月変形労働時間制について、勤務時間の変更が争われた裁判ですが、その中で勤務変更について、「業務上のやむを得ない必要がある場合に限定的かつ例外的措置として認められるにどどまる」と判断されています。

また、変更にあたっては、就業規則等において、勤務を変更し得る旨の条項を定め、その中で、労働者にどのような場合に勤務変更が行われるかを了知させるため、例外的、限定的事由を具体的に記載し、その場合に限って勤務変更が可能である。と判断されています。

この裁判では、会社側が敗訴し、どういったケースであれば勤務日の変更が認められるかは明示されておらず、上記判断理由を参考に、個々のケースによって判断が分かれることになるかと思います。ただ、原則的には、勤務日や勤務時間の変更は認められないことを念頭において運用していく必要があると言えます。

新型コロナウィルス感染症対策による特例

新型コロナウィルス感染症の影響により、労働者への休暇取得やイベントの中止や規模縮小等の要請に伴い、特例的に変形労働時間制の途中での労働日や労働時間の変更や、労使協定の解約も可能となっています

■対象事業場
あくまでも特例的な措置となるため、以下に該当する事業場になります。
・新型コロナウィルス感染症の対策を行う期間を対象期間に含む変形労働時間制を実施している事業場
・新型コロナウィルス感染症の対策が求められることに伴い当初の計画通り変形労働時間制を実施することが著しく困難になったため、以下の①~④いずれかの対応をする事業場

①新型コロナウィルス感染症の対策を行う期間における労働日数や労働時間数を変えることなく、労働日や労働時間の配分を当初の計画から変更すること
例:当初の計画では、土日を休日としていたが、7月は平日を休日にし、平日の所定労働時間を減らし、その分、もともと出勤日である土曜日の労働時間を増やす等

②新型コロナウィルス感染症の対策を行う期間における労働日数や総労働時間を当初の計画から減少させること
例:7月の事業活動を減少させ、減少した労働分を秋以降に振り返る等

③発熱などの風邪症状が見られる職員等の休暇取得やスポーツ、文化イベント等の中止、延期又は規模縮小等の対応を補うため、新型コロナウィルス感染症の対策を行う期間における労働日数や総労働時間を当初の計画から増加させること
例:新型コロナウィルス感染症対策を行うための事業活動の減少を補うため、その他の地域の事業場で、夏以降に予定していた労働分を別の月に振り返る等

④上記①~③以外の場合であって、新型コロナウィルス感染症対策の実施の影響により、新型コロナウィルス感染症の対策を行う期間以外の期間における労働日数や総労働時間等を当初の計画から変更すること

■労使協定の解約
現在締結されている労使協定を解約させる場合、解約までの期間に1週間当たり40時間を超えて労働させていた場合には、就業規則等を変更し、その超えて働かせていた時間に対して割増賃金を支払うなど労使協定の解約が労働者の不利になることのないように留意が必要です。

いずれの場合においても、労働基準監督署に当初の計画通りに実施することが著しく困難になった理由や変更内容を届出する必要があります。

詳しくは、こちらを参照してみてください
新型コロナウィルス感染症対策に伴う変形労働時間制の労使協定の変更、解約について(厚生労働省)
>>> 詳しくはこちら

今回は、2回にわたって、1年単位の変形労働時間制についてご紹介しました。1か月単位の変形労働時間制と同様に、変形労働時間制は、会社側が企業実態に併せて、労働時間を柔軟に運用する制度です。 そのため、法律上のルールも多く、しっかりと運用しないといけない制度ということになります。




KING OF TIME 情報


前回に引き続き、1年単位の変形労働設定についてご紹介いたします。

◆コンプライアンスを遵守するためのアラート機能



コンプライアンスを遵守するためのアラート機能

全メニュー > エラー勤務 > [1年単位の変形労働]タブで、年単位の変形労働に関する アラートを確認できます。

管理画面ホーム > 「対応が必要な処理」に表示される「1年単位の変形労働」からも確認できます。

アラートの種類は以下になります。
■スケジュール未登録の従業員一覧
■スケジュール不適合の従業員一覧

コンプライアンス
・1日の労働時間…1日の労働時間が 10時間 を超えた日がある場合に表示します。
・1週の労働時間…1週の労働時間が 52時間 を超えた週がある場合に表示します。
・1年の労働時間…1年の労働時間が 2085.7時間(閏年は2091.4時間) を超えた場合に
表示します。
・連続労働日数…連続した労働が 6日 (特定期間に設定してある期間は 12日)を超えた場合に
表示します。
・週48時間 連続3回…週の労働時間が48時間を超えた週が連続3回を超えた場合に表示します。
・週48時間 3カ月3回…初日から3ヶ月ごとに区切った期間内で週の労働時間が48時間を超えた週が3回を超えた場合に表示します。
・総労働日数…1年の労働日が 280日 を超えた場合に表示します。

任意
・月の労働時間…月の労働時間数が 月別労働時間設定で設定した労働時間 を超えた場合に
表示します。
・月の休日日数…月の休日日数が 月別労働時間設定で設定した休日日数 に満たない場合に
表示します。

■実績不適合の従業員一覧
・1日の労働時間…1日の労働時間が 10時間 を超えた日がある場合に表示します。
・1週の労働時間…1週の労働時間が 52時間 を超えた週がある場合に表示します。

■月別労働時間未登録一覧
・登録待ち…年変形の開始日が近づいている年、90日前から表示
・未登録…年変形の開始日を過ぎても登録されていない年(1年以上前の年は表示しない)

1年単位の変形労働設定



☞ 年単位の変形労働制に対応可能ですか?

 >>> 詳しくはこちら



本記事が皆様のお役に立てれば幸いです。
今後もKING OF TIMEをご愛顧いただけますよう邁進してまいりますので、何卒よろしくお願いいたします。


監修元:社会保険労務士法人 ヒューマンリソースマネージメント