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【電子契約】雇用契約書(労働条件通知書)の電子化

公開日:2025年6月5日(当記事の内容は公開時点のものです)

監修:社会保険労務士法人 ヒューマンリソースマネージメント
特定社会保険労務士 馬場栄
監修:社会保険労務士法人
ヒューマンリソースマネージメント
特定社会保険労務士 馬場栄


【電子契約】導入後の社内教育のポイント

今週のピックアップ

【 労務情報 】
◆ 基礎知識(Learning)
◆ よくある間違い(Trouble)
◆ 実践のポイント(Tips)

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 基礎知識(Learning)

①「労働条件通知書」の法的位置づけと記載事項
「労働条件通知書」は、労働基準法第15条や同法の施行規則に基づき、使用者が労働者に対して労働条件を明示するために交付する書面です。これは、労働者が安心して就業し、後々のトラブルを未然に防止する上で極めて重要な役割を果たします。
「労働条件通知書」には、必ず明示すべき事項(絶対的明示事項)が定められており、これらを明確に記載することで、使用者・労働者双方の権利義務関係を整理し、労働条件をめぐるトラブルを防止することになります。

【 参考 】採用時に労働条件を明示しなければならないと聞きました。具体的には何を明示すればよいのでしょうか。|厚生労働省HP

また、2024年4月からは、以下の内容についても新たに労働条件の明示が必要とされています。

《すべての労働者》
・就業場所と業務の変更の範囲(入社後の異動について)

《有期契約労働者》
・更新の上限の有無と内容(通算契約期間または更新回数について)
・無期転換申込機会、無期転換後の労働条件

【 参考 】2024年4月からの労働条件明示のルール変更備えは大丈夫ですか? [PDF]|厚生労働省

②「雇用契約書」と「労働条件通知書」の関係
法令上は、書面で必要事項が明示されていればどちらを利用しても問題ありません。ただし、「雇用契約書」は使用者と労働者が相互に契約内容を確認し、署名・押印(または電子署名)を交わすため、双方の認識の齟齬を防ぎ、より実質的な合意を可視化しやすい点が特徴です。
「労働条件通知書」は、基本的には使用者から労働者に一方的に交付されるものなので、「このような労働条件は聞いていなかった」「書面はもらったが合意はしていない」というトラブルが起こりえます。これを防止するためには、雇用契約書を取り交わす方が望ましいでしょう。

③ 就業規則との整合性
就業規則の記載内容と異なる労働条件を設定する場合、就業規則より有利な内容であれば有効ですが、就業規則の記載を下回る不利な条件は無効となる可能性があります。
意図せず、就業規則の改定が漏れていたことにより、個別の労働契約が不利な条件となっているケースも散見されるため、年に1度は就業規則等の自社規程の内容が改正法に対応しているか、実際の運用と乖離していないか、などチェックすることをおすすめします。

【 参考 】労働契約法第12条|e-gov法令検索

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 よくある間違い(Trouble)

① 口頭合意で済ませて「雇用契約書(労働条件通知書)」に反映していない
口頭での説明だけでは、後から「話が違う」といったトラブルが生じるリスクが高まります。とくに賃金や労働時間といった労働者にとって重要な条件は、必ず文書に盛り込むことが不可欠です。実際、口頭合意のままにしてしまい、約束していた給与額や残業の扱いについて後々争いに発展するケースは少なくありません。こうした紛争を未然に防ぐためにも、あらかじめ口頭で説明した内容を「雇用契約書(労働条件通知書)」に明確に記載し、双方で内容を確認・合意しておくことが大切です。
また、口頭合意だけで済ませた場合、入社後の労働条件の変更や業務内容の追加・拡大などが生じた際に、その根拠を示すことが難しくなります。スムーズに対応するためにも、変更・追加の可能性については、前述の異動の可能性など必ず記載しなければならないことに限らず、確実に契約書に明記しておくのが望ましいでしょう。

② 必須記載事項をすべて記載していない
「雇用契約書(労働条件通知書)」は、前述のとおり「絶対的明示事項」が定められています。これらの項目を正しく記載・交付しないと、労働基準法に違反しているとみなされるリスクや、従業員とのトラブルに発展する可能性が高くなります。
電子契約で締結する場合でも、同じ項目をきちんと明示して交付しなければなりませんが、簡易的な内容のみとしているケースもみられるため注意しましょう。

③ 必要であれば労働条件の内容は会社が一方的に変更できると思っている
雇用契約は労働者と使用者の合意によって成立する双務契約です。したがって、労働条件を変更する場合は、原則として労働者の同意が必要になります。就業規則の変更による労働条件の不利益な変更が認められる場合もありますが、「変更後の内容が合理的である」「従業員への周知や説明が十分になされている」など、厳格な要件を満たさないと無効となる可能性があることはおさえておきましょう。

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 実践のポイント(Tips)

2024年1月に施行された改正電子帳簿保存法では、電子取引における取引情報の保存が完全義務化され、「雇用契約書」や「労働条件通知書」の電子データでの授受も対象となりました。

社員が希望した場合は、労働条件の明示を電子データで行うことが認められていますが、改正電子帳簿保存法に対応するためには、国税庁の「電子帳簿保存法一問一答」(問2-2、問4)にあるとおり、メールソフト上に送受信データを保管するだけでは、訂正や削除の履歴管理、タイムスタンプ付与といった要件を満たすことができません。
雇用契約書を電子化する際は、単にファイルをメールで送受信するだけでなく、電子データの真正性や検索性が担保できる電子契約サービスを導入する必要があります。これにより、事務作業の効率化や紙書類の管理コスト削減といったメリットを得ながら、コンプライアンスを両立させることが可能となるでしょう。

【 参考 】電子帳簿保存法一問一答 [PDF]|国税庁

ただし、社員が書面での交付を希望する場合はそれに応じる必要があるため、電子契約を導入する場合でも、書面での通知を希望する社員には紙ベースでも交付できる準備を整えておきましょう。

ちなみに「KING OF TIME 電子契約」での『雇用契約書の取り交わし方法』は、以下のオンラインヘルプを参考にしてください。

【 参考 】雇用契約書の取り交わし方法|KING OF TIME オンラインヘルプ

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KING OF TIME 情報


「KING OF TIME 電子契約」では、労働条件通知書や雇用契約書といった重要な書類を一元的に管理できます。
また、従業員一人ひとりに紐づく書類をまとめてワークフロー化できるため、過去の書類もスムーズに閲覧でき、属人化の防止にもつながります。これにより、 作業効率の向上と管理コストの削減を実現しながら、コンプライアンス の確保も可能になります。

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本記事が皆様のお役に立てれば幸いです。
今後もKING OF TIMEをご愛顧いただけますよう邁進してまいりますので、何卒よろしくお願いいたします。


監修元:社会保険労務士法人 ヒューマンリソースマネージメント

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