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労務情報

【フレックスタイム制の誤解】社員は働く日も自由に選択することはできるのか!?

公開日:2023年6月8日(当記事の内容は公開時点のものです)

監修:社会保険労務士法人 ヒューマンリソースマネージメント
特定社会保険労務士 馬場栄 
監修:社会保険労務士法人
ヒューマンリソースマネージメント
特定社会保険労務士 馬場栄 


【フレックスタイム制の誤解】社員は働く日も自由に選択することはできるのか!?

今週のピックアップ

【労務情報】
◆ コアタイムが無い場合の勤務日は?
◆ フレックスタイム制の考え方
◆ フレックスタイム制の留意点
◆ フレックスタイム制の実践ポイント

【KING OF TIME 情報】
◆ 夏季休暇の作成
◆ 夏季休暇の登録〈 加算タイプ 〉
◆ 夏季休暇の付与〈 減算タイプ 〉
☞ KING OF TIME 情報は 《 こちら 》


コアタイムが無い企業の勤務日は?

K社は企業向けにマーケティングを支援するサービスの提供を行っている会社で、社員の柔軟な働きかたを推進するため、コアタイムの定めの無いフレックスタイム制を採用しています。
ある日、この企業の管理部門で働くTさんが社員Fから相談を受けました。

社員Fさん:
「うちの会社ってコアタイムの無いフレックスでしたよね?今月は月の前半に働きすぎて、すでに月の所定労働時間を超過しています。プロジェクト業務の作業がほとんど終わっているんですけど、今月の残り1週間は出勤しなくても問題ないですか。ネットで調べたら、フレックスタイム制でも働く日までを自由に決めることはできないって書いてありました。」

Tさん:
「・・・・。これまでそういった質問を受けたことがなかったんですが、理屈では月の所定労働時間を満たしていたら出勤しなくても良さそうですね。顧問契約している社労士に聞いてみますね。」

その日の午後、Tさんは顧問の社労士Bさんに電話して、この社員からの質問について、どのように対応すべきか聞いてみました。

社労士Bさん:
「なるほど、わかりました。確かにフレックスタイム制に関する厚生労働省の手引きによれば、コアタイムを設定しないことで、実質的に出勤⽇も労働者が自由に決められることも可能とするような記載があります。
ですので、会社として、勤務日の選択も社員に委ねるという方法を採用することは可能ですが、その場合は労使間で認識の齟齬が生じないよう、就業規則にもその旨をきちんと明記しておく必要がありますね。
ただし、労務管理の観点からは、働く日までを社員に委ねるのは避けたほうが良いと考えます。御社の場合は所定の休日を定めていますので、今回のケースでは、所定の休日以外に休むようであれば年次有給休暇を取得してもらう対応とすべきです。」

Tさん:
「そうなのですね・・・。出勤日まで社員に委ねることを目的にフレックスタイム制を導入したわけではありませんでしたが、今回のことを機にもう一度社内でも話あってみたいと思います。ありがとうございました。」

フレックスタイム制の考え方

フレックスタイム制とは、一定の期間についてあらかじめ定めた総労働時間の範囲内で、労働者が⽇々の始業・終業時刻、労働時間を⾃ら決めることのできる制度です。
フレックスタイム制を導入するためには、①就業規則等に始業時刻・終業時刻を労働者の決定に委ねることを定め、そのうえで②労使協定を締結することが必要とされています。

このフレックスタイム制の労使協定では、以下6つの内容を定める必要があります。
(1)対象となる労働者の範囲
(2)清算期間
(3)清算期間における総労働時間(所定労働時間)
(4)標準となる1日の労働時間
(5)コアタイムを定める場合には、その開始・終了時刻
(6)フレキシブルタイムを定める場合には、その開始・終了時刻

なお、清算期間が1か月を超える期間とした場合には、上記6つの内容に加えて清算期間の起算日も定め、労使協定を労働基準監督署へ届出する必要があります。

この中でコアタイムの定めは任意とされており、1日のうちで必ず働かなければならない時間帯(コアタイム)を無くすことで、社員にとってはさらに自由度の高い働き方が可能となります。
一方でコアタイムが無いことで、定例会議の設定が難しくなるなど、社内外のコミュニケーションに支障が出てくる可能性もあるため、コアタイムを設けるかどうかの判断は慎重な検討が必要です。

フレックスタイム制の留意点

【 遅刻・早退の取扱い 】
フレックスタイム制の場合、始業・終業時刻は本人の裁量に委ねられており、基本的には遅刻や早退という概念がありません。
フレックスタイム制は、清算期間での所定労働時間と、実労働時間との過不足に応じて賃金を支払う制度です。よって、所定労働時間に満たなかった場合に賃金控除ができるというものになりますので、フレックスタイム制では遅刻・早退による賃金控除を行うことはできません。

一方で、コアタイムを設けている場合、この時間帯に遅刻・早退をした時に賃金控除を行うことはできませんが、人事考課という観点で、昇給・降給の評価や賞与の査定などに反映させるという方法が考えられます。 コアタイムが無い場合は、遅刻や早退という考え自体がそもそも無いことになり、社員にとっては働きやすい環境となりますが、会社側にとっては勤怠の管理が難しくなるといえるでしょう。

【 年次有給休暇の取扱い 】
フレックスタイム制において年次有給休暇を取得した場合には、労使協定で定めた「標準となる1⽇の労働時間」の時間数を労働したものとして取り扱います。
賃⾦計算にあたっては、実労働時間に「年次有給休暇を取得した⽇数×標準となる1⽇の労働時間」を加えて計算します。

《 所定外労働時間の具体的な計算例 》
(前提)
・清算期間における総労働時間160時間(所定労働時間)
・標準となる1 日の労働時間を8時間
・清算期間中の実労働時間150時間
・年次有給休暇の取得日数2日

(所定外労働時間)
・みなし労働時間:150時間(実労働)+8時間×2(有給2日)=166時間
・所定外労働時間:166時間-160時間(所定労働時間)=6時間

【 休日の取扱い 】
フレックスタイム制は、労働者が⽇々の始業・終業時刻、労働時間を自由に選択できるにすぎず、基本的には所定労働日に出勤が義務付けられていると考えられます。
厚生労働省が作成している「フレックスタイム制のわかりやすい解説&導入の手引き」では、コアタイムを設けないことで、働く日も自由に選択することが可能との記載があり、いわゆるフレックスデイを容認していますが、少なくとも週1回の休日(法定休日)は会社で定めておくことが必要と考えられます。また、働く日も自由にするということであれば、会社と社員との間で認識に齟齬が生じないよう就業規則にもその旨を明記しておきましょう。

【 完全週休2日制の場合の特例 】
完全週休2日制の会社でフレックスタイム制を導入した場合、曜日のめぐり次第で、1日8時間相当の労働でも清算期間における法定労働時間の総枠を超えてしまうことがあります。
この場合、完全週休2日制の労働者が対象で、労使協定により、所定労働日数に8時間を乗じた時間数を清算期間における法定労働時間の総枠とすることができます。

《 完全週休2日制の法定労働時間の総枠の具体的な計算例 》
(前提)
・31日の月で労働日が23日
(法定労働時間の総枠)
・8時間×23日=184時間

フレックスタイム制の実践ポイント

【 清算期間が1か月を超えるフレックスタイム制の導入には注意が必要 】
2019年4月施行のフレックスタイム制に関する法改正で、フレックスタイム制の清算期間の上限が3か月となりました。このことで労働者の都合に応じたより柔軟な働き方が期待されましたが、実際に清算期間を3か月とするフレックスタイム制を導入している企業はあまりないように感じます。

この理由としては、最終月まで所定労働時間の過不足がわからないため、労働時間の管理が煩雑となることや、最終月の労働時間数が非常に多くなってしまう可能性があることなどが考えられます。

これからフレックスタイム制の導入を検討している企業は、上記のような懸念点も含めて清算期間をどうするか慎重にご検討ください。

【 勤怠管理システムの導入は必須 】
フレックスタイム制を導入した場合、日々の始業・終業時刻や労働時間数を社員に任せることとなるため、会社にとっては労働時間の管理が難しくなるという懸念点があります。

月の前半はあまり働かないで、後半に偏って労働時間が長くなるケースや、本人もあまり自覚のないまま毎日の労働時間が長くなり、結果として法定労働時間を大幅に超過してしまうケースなどが散見されます。

フレックスタイム制は1日単位の時間外労働は発生しませんが、日々の勤怠管理は当然に必要となります。勤怠管理システムを使用すれば、リアルタイムでその月の勤務状況がわかるため、会社側でも勤怠が安定していない社員や、働きすぎの社員をピックアップして状況のヒアリングを行うことなども可能となるでしょう。




KING OF TIME 情報


今回は多くの企業が取り入れている「夏季休暇」についてご紹介します。

◆ 夏季休暇の作成
◆ 夏季休暇の登録〈 加算タイプ 〉
◆ 夏季休暇の付与〈 減算タイプ 〉



夏季休暇の作成

休暇区分設定にて〈 加算タイプ 〉または〈 減算タイプ 〉の夏季休暇を作成します。

〈 加算タイプ 〉
「取得(消化)日数」のみを管理する場合に使用します。
例えば、「今年の夏季休暇は8/14~8/16の3日間」と決まっており、会社側でスケジュールを登録する場合に適しています。

〈 減算タイプ 〉
「付与日数」、「取得(消化)日数」、「残日数」を管理する場合に使用します。
会社指定の日ではなく、「7/1~9/30まで」など特定期間内で従業員が自由に取得できる場合は、夏季休暇の上限日数を管理者が毎年付与する必要があります。
また、従業員が休暇の申請をする際、付与した上限日数以上の休暇申請ができないように制限することも可能です。

☞ 残日数管理しない休暇の作成方法(加算タイプ)

 >>> 詳しくはこちら

☞ 残日数管理する休暇の作成方法(減算タイプ)

 >>> 詳しくはこちら



夏季休暇の登録〈加算タイプ〉

加算タイプの「夏季休暇」の場合は、事前にスケジュール登録しましょう。

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☞ 月間スケジュールの手動登録 / 削除方法(スケジュール管理)

 >>> 詳しくはこちら



夏季休暇の付与〈減算タイプ〉

減算タイプの「夏季休暇」の場合は、事前に一斉付与しましょう。
※従業員は付与対象日以降に休暇の申請、取得ができるようになります。

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☞ 夏季休暇など、特定の期間内だけで取得できる休暇の作成方法

 >>> 詳しくはこちら



本記事が皆様のお役に立てれば幸いです。
今後もKING OF TIMEをご愛顧いただけますよう邁進してまいりますので、何卒よろしくお願いいたします。


監修元:社会保険労務士法人 ヒューマンリソースマネージメント

 
 
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