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労務情報

なんちゃってフレックスとは? ~フレックスタイム制よくある誤解。制度導入後の運用管理はシステムで効率化~

公開日:2022年2月24日(当記事の内容は公開時点のものです)

監修:社会保険労務士法人 ヒューマンリソースマネージメント
特定社会保険労務士 馬場栄 
監修:社会保険労務士法人
ヒューマンリソースマネージメント
特定社会保険労務士 馬場栄 


なんちゃってフレックスとは?

今週のピックアップ

【労務情報】
◆フレックスタイム制ってみんなやってるの?安易な導入は禁物
◆なんちゃってフレックスが多い
◆よくある誤解
◆労働時間・残業時間管理は必須
◆制度導入後の運用や管理も見据える

【KING OF TIME 情報】
◆ 従業員設定とは
◆ 従業員の新規登録
◆従業員登録時のチェックポイント
☞ KING OF TIME 情報は 《 こちら 》


フレックスタイム制ってみんなやってるの?安易な導入は禁物

フレックスタイム制度とは、一定の期間(清算期間)について、あらかじめ総労働時間の上限を定め、その範囲内で社員が日々の始業・終業時刻や労働時間数を自ら決めることができる制度です。清算期間は1か月が上限でしたが、2019年4月から3か月に延長されたことで、より広く柔軟に運用ができるようになっています。

ただ、厚生労働省の2021年の就労条件総合調査によると、フレックスタイム制の導入企業割合は 6.5%と少しずつ増えてきてはいますが、他の変形労働制(1年単位の変形労働時間制 31.4%、1か月単位の変形労働時間制25.0%)に比べるとまだ低い数値にとどまっています。
企業規模別では、大企業での採用割合が多くなっています。
1,000人以上28.7%、300~999人15.6%、100~299人8.7%、30~99人4.1%
こちらは2018年のデータになりますが、業種別に見ると、情報通信業(25.3%)や学術研究、専門・技術サービス業(13.9%)など、一部業種では導入が進んでいる制度であります。

このように大きくは業種や職種、会社規模による向き不向きもありますが、対象となる社員にとっては、業務の都合に合せて労働時間を効率的に配分でき、また、プライベート(子育てや介護など含めた様々なニーズ)を含めた時間調整もできるため、仕事と生活の調和を図りやすくなります。会社にとっても、労働生産性や社員の職場定着率UPなどが期待できます。

逆に、デメリット(時間帯によって取引先への対応者が不在、社内の連携不足、仕事や時間管理がルーズな社員の生産性や効率低下など)も考えられるため、導入にあたっては、会社や社員の状況に応じて慎重に検討する必要があります。
特に、日々の始業・終業時刻や労働時間数を社員に任せることとなるため、会社が時間管理をしづらくなったり、場合によっては、制度に基づいた時間管理(残業計算)が煩雑になるため、これらについては、勤怠システムの活用も含めた、時間管理ルールや運用法で対策を講じておくことがポイントです。

なんちゃってフレックスが多い

冒頭にも記載したとおり、フレックスタイム制は、働く時間を社員に委ねるというのが本来のスタイルです。それにより、割増となる残業時間の集計方法も、原則は、「日の単位」(1日8時間超)、「週の単位」(週40時間超)でカウントするのに対し、フレックスタイム制では、特例ルールとして「月の単位」(月ごとの法定労働時間超)のみで行えばよいことになっています。(深夜、休日割増は原則と同じです。)しかし、会社ではフレックスと言いながら、実態はそうではない(原則ルールの)会社が多くみられます。つまり、残業集計だけがフレックスタイム制となってしまっている状態です。フレックス制でないとなれば、残業代も原則通り計算しなおし、差額があれば別途支払う必要も生じるため注意が必要です。

まず、フレックスタイム制度を導入するためには、以下2つの要件を満たす必要があります。
1.就業規則等に始業時刻・終業時刻を労働者の決定に委ねることを定めること。
2.労使協定を締結すること。

労使協定では、以下6つの内容を定める必要があります。
(1)対象となる労働者の範囲
(2)清算期間
(3)清算期間における総労働時間(清算期間における所定労働時間)
(4)標準となる1日の労働時間
(5)コアタイム(※任意)
(6)フレキシブルタイム(※任意)
※清算期間を1か月を超える期間とした場合には、上記6つの内容に加えて清算期間の起算日も定め、労使協定を労基署へ届出する必要があります。

<参考>厚生労働省HP
フレックスタイム制のわかりやすい解説&導入の手引き

 >>> 詳しくはこちら


よくある誤解

まず、フレックスタイム制に関する労使協定がないというのをよく見かけます。また、労使協定は事業場ごとに締結が必要ですが、本社だけ締結していて本社以外の事業場では締結していないといったケースもよくある話です。

また、社員に始業や終業時間等を完全に委ねていないケースも多いです。
年末年始の設定 <引用元> 厚生労働省

(1)時差出勤制度とフレックスタイム制を混同している
遅くまで働いた社員に対して、「次の日は午後からでいいよ」と言った運用をもって、フレックスタイム制としているケースも見られますが、これは会社が指示を出しているわけで、始業・終業の時刻を社員に委ねているとは言えません。
また、始業終業時刻を前後1~2時間程度ずらすことを認める運用をされている会社もありますが、1日の所定労働時間数は変わらない(本人が決められない)のであれば、これも正しいフレックスタイム制とは言えません。
その他、社員に出社や退社時間の予定を事前に申請させ、上長の許可を必要とするルールを設けているケースなどもあり、これをフレックスタイム制とするのも問題があります。

(2)コアタイム外に実施される会議にフレックスタイム制の対象者も参加させている
例えば、コアタイムを10時から15時までとしている場合、9時に打合わせが必要となっても、フレックスタイム制の社員に対して、9時出勤を強制することができません。コアタイムの範囲外はあくまでも社員の自由裁量に委ねられるためです。
他にも、コアタイムでないのにも関わらず、電話番やお客様対応のため、当番制で対応させているといったことも見られます。
なお、1日のうち大半をコアタイムで設定することも、フレックスタイム制度の趣旨に反するという判断をされる可能性もありますので注意が必要です。

(3)コアタイムに遅刻した場合に賃金カットをしている
フレックスタイム制の場合、始業・終業時刻は本人の裁量に委ねられますので、遅刻や早退と言う概念がありません。コアタイムを設けておけば、コアタイムに対する遅刻・早退という話はありますが、この遅刻・早退に対しては、その分の賃金カットはできません。
というのも、フレックスタイム制の場合、1日や1週間の単位で見るのではなく、1か月単位で会社の決めた時間を超えているか超えていないかで見ることになっているからです。
こうした場合の対応とし、会社としては「コアタイムに会社にいなかった。会社のルールを守らなかった」ということで、人事評価でマイナス点をつけるなどが検討できます。

労働時間・残業時間管理は必須

フレックスタイム制であっても、会社として社員の時間管理を行うことは免除されていません。きちんと労働時間を把握するとともに、法律に則り残業時間が発生した場合は残業代を支払う必要があります。深夜労働や休日労働に対しても割増は発生しますので、その時間を把握することも必要です。
清算期間が1か月以内か超えているかいないかで、残業時間の計算方法が異なります。特に1か月を超える期間としている場合はより複雑となりますので、クラウド型勤怠管理システムの機能を活用し管理することが最も正確かつ効率的でしょう。

<参考>KING OF TIMEオンラインヘルプ
「1ヶ月のフレックスタイム制」を設定できますか?

 >>> 詳しくはこちら

<参考>「3ヶ月のフレックスタイム制」を設定できますか?
 >>> 詳しくはこちら

時間外上限規制についても適用されます。こちらもクラウド型勤怠管理システムの機能を活用し管理することが最も正確かつ効率的でしょう。
特に、長時間労働になっている社員がいないか確認することは重要です。あまりに残業時間が多い社員がいる場合は、フレキシブルタイムの時間帯を短めに設定するのも一案です。

フレキシブルタイムとは、社員が自由に働ける時間帯のことです。コアタイムと同様、制度上、必ず設ける必要があるものではありませんが、これがないと、長時間労働の問題の他、例えば、ある社員が「自分は夜型人間だから」と、毎日夜中に働くことも可能となり、実際に働けば、22時から翌5時までの勤務に対しては深夜割増を支払う必要も生じます。加えて、働く時間が他の社員とあまりにもずれてしまうと、円滑なコミュニケーションも取りづらくなるでしょう。
会社はこれをやめさせたくても、社員に働く時間を任せている以上、会社としてはコントロールできない事態に陥る可能性もあります。

これらを防ぐためには、自由に働ける時間帯、つまりフレキシブルタイムをきちんと定めることです。例えば、「朝の6時から10時までの間に仕事を始め、15時から19時までに仕事を終了すること。その間で好きに決めていいですよ」とします。つまり「朝6時前とか、19時より後は働いてはダメですよ」と、しっかり決めておくとよいでしょう。

年末年始の設定
<引用元> 厚生労働省

初めて制度導入する際には、フレックスタイム制が自社に本当に合っているかはわかりません。最初はお試し期間として、労使協定の有効期間を短く設定し、業務上支障が出ないか、社員がどんな働き方をするか、クラウド型勤怠管理システムを活用してきちんと時間把握を行い、それらを踏まえ、協定の更新の都度、自社の働き方にあった内容に変更できるようにした方がよいでしょう。フレックスは社員の裁量に委ねられますので、社員によっては、フレックスタイム制の対象者から外す検討をすることも必要です。

制度導入後の運用や管理も見据える

協定で定めるもののなかに、清算期間における総労働時間、いわゆる所定労働時間があります。フレックスタイム制では、清算期間を単位として所定労働時間を定めることとなり、原則、以下の計算式で求めた範囲内で設定する必要があります。

清算期間における法定労働時間の総枠=(清算期間の暦日数÷7日)×40時間
1か月単位であれば、下記のようになります。
年末年始の設定
<引用元> 厚生労働省(10進数の場合)

フレックスタイム制においては、清算期間を1か月単位で行う場合、割増となる残業代の計算方法は、上記の月ごとの法定労働時間を基準に、超えた時間数について割増をして支払います。
会社の所定労働時間数を一律月160Hとしていたり、月ごとの所定労働日数×8時間などと定めている場合、実働が所定の労働時間数は超えているが、法定の労働時間数は超えていない時間も出てきますが、その時間数分の支払いは必要ですが、割増は不要です。

つまり、割増が必要な時間と割増が不要な時間を2つの基準を設けて集計し、給与計算を行うわけですが、それなりに手間が掛かります。給与規程上、所定労働時間を超えたら割増で払うとしていれば集計はしやすいですが、本来、割増しなくてもよい時間についても割増して支払う必要が生じます。

例)所定労働時間160時間、法定労働時間177時間、実働190時間

所定労働時間(160時間)超 法定労働時間(177時間)以下
=17時間×単価(割増ナシ)

法定労働時間(177時間)超                
=13時間×単価×1.25(割増アリ)

制度を導入しても、運用や管理(する方)の手間や負担が増えてしまうと、その効果は薄れてしまいます。こうした点についても、クラウド型勤怠管理システムを活用し、運用管理をスムーズに行うことで制度導入の効果を最大限に高められるとよいでしょう。

<参考>KING OF TIMEオンラインヘルプ
変形労働タイプ「フレックス」の基準時間を2段階で設定できるようになりました(2022年2月8日リリース) 

 >>> 詳しくはこちら






KING OF TIME 情報


4月は新入社員の入社対応に追われる企業が多く、事前に対応できたら……とお考えになる担当者様もいらっしゃるのではないでしょうか。 今回は、従業員設定の《入社編》についてご案内いたします。
入社日前の従業員登録を行うことができますので、繁忙期前の事前登録をおすすめします。

◆従業員設定とは
◆従業員の新規登録
◆従業員登録時のチェックポイント

従業員設定とは

初期設定時や従業員の入退社時に従業員の基本データを登録します。
また、既に登録している従業員の所属/雇用区分の異動などの各種設定変更も行えます。

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従業員の新規登録

従業員の新規登録方法は以下の2つです。
・管理画面から1名ずつ「手動」で登録
・エクスポート/インポートから複数名を「CSVデータ」で一括登録

従業員数が多い企業は、CSVデータのインポートをご活用ください。

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本記事が皆様のお役に立てれば幸いです。
今後もKING OF TIMEをご愛顧いただけますよう邁進してまいりますので、何卒よろしくお願いいたします。


監修元:社会保険労務士法人 ヒューマンリソースマネージメント

 
 
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