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税務情報

【税務情報】年末調整における控除証明書等の電子的交付

公開日:2024年11月21日(当記事の内容は公開時点のものです)

監修:税理士法人総合経営サービス
植松 伸


【税務情報】年末調整における控除証明書等の電子的交付

今週のピックアップ

【税務情報】
◆ 年末調整を簡単にするマイナポータル活用
◆ マイナポータル連携の対象となる控除証明書
◆ マイナポータル連携を利用するための事前準備
◆ 電子的交付のメリットとデメリット
◆ 今後の動きを注視


【KING OF TIME 情報】
◆ 給与計算・年末調整
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 年末調整を簡単にするマイナポータル活用

総合経営サービスの植松です。
前回に引き続き、年末調整の手続きに関して取り上げたいと思います。

従来、年末調整や確定申告で、生命保険料控除などの適用を受ける場合には、保険会社等から書面により交付を受けた控除証明書などを収集・保管し、申告書に添付等する必要がありました。
これが、平成31年1月以降、保険会社等が控除証明書を電子データで交付することができるようになり、電子的控除証明書等の交付を受けた方は、申告書に添付し、勤務先や税務署に電子的に提出・送信ができるようになりました。
令和2年10月からは、マイナポータルを通じて電子的控除証明書を一括取得することができるようになっています。また、取得した情報を国税庁が提供する「年調ソフト」などへ自動入力が可能となる「マイナポータル連携」も始まりました。
マイナポータルを使用するためには、基本的にマイナンバーカードが必要になります。
マイナンバーカードの普及率は、令和5年12月末時点で、73.0%(総務省発表値)でしたので、かなりの方が持っているはずですが、控除証明書の電子的交付等を利用している方はまだまだ少ないという印象です。

今回は、年末調整を簡単にするマイナポータルを利用した、保険料の控除証明書等の電子的交付についてご案内いたします。

 マイナポータル連携の対象となる控除証明書

マイナポータル連携とは、年末調整や確定申告の手続きにおいて、マイナポータル経由で控除証明書等のデータを一括取得し、国税庁が提供する「年調ソフト」などの各種申告書の該当項目へ自動入力する機能です。
マイナポータルに連携可能な控除証明書は以下のとおりです。ちなみに、生命保険会社の連携対応は85%、損害保険会社は90%だそうです。

① 生命保険料控除証明書
② 地震保険料控除証明書
③ 社会保険料控除証明書(国民年金保険料)
④ 社会保険料控除証明書(国民年金基金掛金)
⑤ 小規模企業共済等掛金控除証明書(小規模企業共済掛金と個人型確定拠出年金掛金(iDeCo)に限る)
⑥ 年末残高等証明書(住宅借入金等控除証明書)
⑦ 住宅借入金等控除証明書


マイナポータルに電子的データが自動的に送られてくるわけではありません。また、上記すべての証明書について電子的データにする必要もありません。まず、今年は生命保険料控除証明書だけ電子的データにするなどの対応も可能です。

 マイナポータル連携を利用するための事前準備

マイナポータル連携をするための事前準備は、マイナンバーカードを手元に用意して、以下の5ステップを行います。

1)マイナンバーカードを使ってマイナポータルにログインし、利用者登録をする。
2)マイナポータルのおかねコーナーの「年末調整」および「年末調整の事前準備」ページにアクセスし、取得したい証明書を選択する。
3)マイナポータルとe-Taxを連携する。マイナポータルとe-Taxを連携することで、データの自動入力が可能になります。
4)民間送達サービス(e-私書箱等)と、証明書を発行する企業を連携する。
5)証明書を発行する企業ごとに、証券番号等を入力するか、保険会社のマイページ等の登録をしている方はログインする。


ここで一つ重要なことは、ご家族の電子的データを取得する場合には、その家族のマイナンバーカードも必要になるということです。
マイナポータルのメニューから「代理人登録」を選択し、代理人の設定を行う際に代理人のマイナンバーカードを認証して、委任する権限等を選択していけば代理人の登録は完了します。
これにより、お子様名義の国民年金保険料の控除証明書等も、自身のマイナポータルで取得できるようになります。

 電子的交付のメリットとデメリット

電子的交付のメリットとして、以下のようなことが考えられます。
● 電子的データにした証明書等について、年末調整関係の書類チェック等の事務作業時間が削減できる点。
● 郵送の必要がないため、テレワーク等の従業員からも資料が集めやすい点。
● 紙の保管が必要なくなるので、オフィスに保管スペースがいらなくなる点。

年末調整の書類チェックは、以下のようなケースで負担が軽減されると思われます。
たとえば、生命保険料控除証明書でいえば、その生命保険の種類がまず「新制度」「旧制度」に分かれ、さらに「新制度」は「一般」「介護医療」「個人年金」、「旧制度」は「一般」「個人年金」に分かれます。
そしてその区分に分けたうえで、区分ごとの保険料支払金額を記入するのですが、ここに落とし穴があります。証明書には支払保険料が2つ書いてあるのです。
ひとつは「証明額」、もうひとつは「申告額」とあり、「証明額」の金額を記載したくなるのですが、「証明額」は基本的に9月までに支払い済の金額で、「申告額」は12月までの払込み見込額になりますから、「申告額」を記載する必要があります。

電子的データになればこうした転記ミスが無くなるので、年末調整書類の内容チェックの確認に要する時間を大幅に削減できることは、大きな利点と言えるでしょう。

対してデメリットとしては、以下のような懸念が考えられます。
● 最終的にはすべて電子的データにする場合、移行時期は電子的データと紙が混在すると業務効率が下がる点。
● スマートフォン等の操作が苦手な方に対するフォローが必要になる点。
● 前述のとおり最初の手続きに少し手間がかかるという点。

個人的には、一度電子化が軌道に乗ればメリットも大きいことから、可能な限り進めていくのが良いと思います。

 今後の動きを注視

ここにきてにわかに、年末調整廃止の議論や、年収の壁(103万円)の引き上げなど税制に絡む話題が世間を賑わせています。
年末調整という制度は、日本独自のものではなく、世界でも一定の国が採用しています。
ドイツやノルウェー、ポルトガル、韓国などで似たような制度があります。
イギリスの場合は、給与を支払う都度、調整する制度になっているため、結果的にはほとんどの給与所得者は申告する必要が無くなっています。
個人所得税の源泉徴収制度があるアメリカ、フランス、イタリアなどは、年末調整制度はないので確定申告をする必要があります。
実は年末調整を廃止し、全員確定申告に変更するというのは、国際的にみると特別な話ではありません。
いずれにしても、私たち税理士から見ても近年の個人所得税は複雑なシステムになっていると感じますので、税制改正など今後の動きを注視していきましょう。

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【参考】 KING OF TIME 給与|給与計算・年末調整 >>>



監修者紹介

税理士法人総合経営サービス 植松 伸

下町生まれの税理士の植松伸です。
税理士になる前は建設系の労働組合で働いていたので、建設業等の許認可や健康保険事務組合の知識もあり、それらの業務を弊社グループ内へつなぐことも大事にしています。
趣味は観賞魚飼育で、現在自宅に水槽が10個あります。
魚を眺めたり、水の音はとてもリラックスできるのですが、水槽の掃除等のメンテナンスに時間がかかるので、ちょっと増やしすぎたと反省する毎日です。

本記事が皆様のお役に立てれば幸いです。
今後もKING OF TIMEをご愛顧いただけますよう邁進してまいりますので、何卒よろしくお願いいたします。


監修元:税理士法人総合経営サービス

 
 
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