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労務情報

賞与支給がトラブルの火種に? 〜同一労働同一賃金も踏まえ、自社の就業規則を再確認〜

公開日:2021年6月17日(当記事の内容は公開時点のものです)

監修:社会保険労務士法人 ヒューマンリソースマネージメント
特定社会保険労務士 馬場栄 
監修:社会保険労務士法人
ヒューマンリソースマネージメント
特定社会保険労務士 馬場栄 


賞与支給がトラブルの火種に? 〜同一労働同一賃金も踏まえ、自社の就業規則を再確認〜

今週のピックアップ

【労務情報】
◆賞与の支給状況
◆賞与は支給しなければならないの?
◆就業規則(給与規程)への規定のポイント➀
◆就業規則(給与規程)への規定のポイント➁
◆パート・アルバイト社員(短時間・有期契約社員)を支給対象外にできる?
◆就業規則は分けて作成しましょう
◆正社員とパート・アルバイト社員の違いをきちんと説明
◆会社の想いを賞与に乗せる
◆メルマガ読者特典詳細


【KING OF TIME 情報】
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賞与の支給状況

昨年(令和2年)の夏季賞与の支給状況については、厚生労働省が発表した毎月勤労統計調査によると、業種や事業規模にもよりますが、近年の増加傾向から一転して、減少となったところも多いようです。この夏の賞与についても調査会社の見通しなどでは、減少が予想されている状況です。

☞ <参考>概況:毎月勤労統計調査 令和2年夏季賞与の結果(厚生労働省)

 >>> 詳しくはこちら


賞与は支給しなければならないの?

労働基準法で、会社は社員との労働締結の際や就業規則に明示すべき事項(労働契約期間や就業場所、賃金の決定方法など)が定められています。しかし、賞与については、「会社が定めをしない場合にはこの限りでない(定める場合は賞与に関する事項を記載しておく必要がある)」とされています。

つまり、原則的には支給するかしないかは会社が決定できるというわけですが、就業規則や個別の労働契約書等の中で、賞与の支給条件や支給基準が明確に定められていると、会社に賞与の支払い義務が生じると考えられています。
また判例では、就業規則等に定めがなくても賞与支給が慣例となっている場合は、会社に支払い義務があるものとみなされる場合もあります。

自社の賞与に関する規定があるにも関わらず、一般的な認識の下に運用すると思わぬトラブルに発展する場合もあるため、注意が必要です。

☞ <参考>就業規則に記載する事項(就業規則を作成しましょう:厚生労働省)

 >>> 詳しくはこちら


☞ <参考>労働条件の明示(労働基準法の基礎知識:厚生労働省)

 >>> 詳しくはこちら


☞ <参考>「賞与不払い」に関する具体的な裁判例の骨子と基本的な方向性(厚生労働省)

 >>> 詳しくはこちら


就業規則(給与規程)への規定のポイント➀

お客様の就業規則を拝見すると、下記のように定めているものも見かけます。
➀「賞与は毎年7月10日と12月10日にそれぞれ基本給の1か月分支給する」
➁「賞与は毎年7月と12月の年2回支給する」

上記➀のように、支給時期や支給額を明確に定めている場合、会社の業績の良し悪しなどに関わらず、必ずその時期にその額を支払わなくてはならないと言うことになりえます。

上記➁については、規定だけ見れば、支給額までは定めていないため金額の増減は可となりますが、支給しないことには触れられていないため、支給自体は行う必要が生じます。

このように就業規則に定めることは、会社と社員との約束事となるため、それが果たせるのであれば問題ありませんが、コロナ禍のような出来事やそれに関わらず、業種や企業規模によっては、景気の動向に左右されやすいこともあるため、社員への賞与支給が負担となってしまうこともあるでしょう。やむを得ず、減額して支給した結果、社員から就業規則を根拠に賞与の満額支給を請求される恐れもあります。

そのため、就業規則には支給しない可能性を記載するとともに、あまり具体的に決めすぎないことも選択肢として検討すべきでしょう。賞与支給の有無や支給する場合の金額、支給時期等、規定で会社に明確な裁量を持たせることで、負担軽減やリスク回避をすることができます。
例)賞与は会社業績に応じ、社員の勤務成績、能力評価など総合的に勘案し、支給の有無、金額を個別に決定します。

求人票への記載も就業規則とズレがないように丁寧に記載しておきましょう。上記の例のような場合は、昨年の支給実績(目安)として載せておきます。

ある程度、社員と約束してあげた方が社員の安心感、安定にもつながりますので、このあたりは会社のお考えやご状況等々踏まえ、どこまで行うか検討しましょう。規定の見直しを行う場合には不利益変更となり得ますので、社員に丁寧に説明したうえで個別の同意が必要となります。


就業規則(給与規程)への規定のポイント➁

支給する場合の支給対象者を明確にしておくことも大切なポイントです。
前述のとおり、原則は賞与を支給するかしないか、支給する場合に誰に支給するかも会社が自由に決めることができますので、会社の方針に基づいて明確にしておきましょう。

例えば、賞与支給日に対して、直前に入社した社員に支給するか否か、支給する場合はどのように取り扱うか、同じく、休職期間中(明け)の社員、前後に退職する社員などについては、どのようにするかも定めておきましょう。

【規定例】
■支給しないケース
・入社6か月未満の社員は支給対象から除きます。
・休職期間中(私傷病)の社員は支給対象から除きます。
・賞与の支給対象者は、当該支給日に在籍する社員とします。
■支給するが支給額を調整するケース
・賞与の算定期間に対する在籍期間(出勤日数)に応じて按分します。
  など

新入社員や退職する社員、休職(育休・介護休業等含む)に入る社員に対しては、誤解が生じないよう規定を基に丁寧に説明しておきましょう。

☞ <参考>【賞与】賞与支給の要件と不利益取扱い(独立行政法人労働政策研修・研修機構)

 >>> 詳しくはこちら ※外部リンクに移動します


パート・アルバイト社員(短時間・有期契約社員)を支給対象外にできる?

まず、就業規則で賞与を支給する旨を定めている場合で、パート・アルバイト社員は支給しないと言った記載がなければ、賞与は正社員だけでなく、パート・アルバイト社員も含めて支給する必要があります。
では、パート・アルバイト社員には支給しないと定めていれば支給しなくてもよいかと言うと、話はそう単純ではありません。

すでに施行されている同一労働同一賃金(大企業2020年4月、中小企業2021年4月から)において、職務内容が同じなら同一の待遇(均等待遇)に、職務内容が違う場合には、その違いに応じた合理的な待遇差(均衡待遇)にしなければならないとされています。待遇については、賞与も含まれます。

同一労働同一賃金のガイドラインでは、賞与について、会社の業績等への貢献度に応じて支給するものについて、正社員と貢献度が同じなら、正社員と同じ賞与を支給、また、貢献に一定の相違がある場合においては、その相違に応じた賞与を支給しなければならない。とされています。
そのため、単にパート・アルバイト社員だからと言う理由だけで一律支給しないといった取り扱いは難しいと言うことになります。

過去の判例では、結果的にパート・アルバイト社員に対する賞与不支給は不合理ではないとされたケースもありますが、上記の観点や賞与支給の目的等、諸々の事情を考慮された上で問題ないと判断された結果であり、単にパート・アルバイト社員でも支給しなくてもよいと言うことではありません。結果だけを見て、安易な認識を持たないように注意が必要です。

☞ <参考>パートタイム・有期雇用労働法が施行されます(厚生労働省)

 >>> 詳しくはこちら


就業規則は分けて作成しましょう

「職務内容」に差があれば、それに応じた合理的な待遇差は可能と言うことになりますが、「職務内容」とは、職務、責任の度合い、人材活用の仕組みのことで、正社員登用制度の有無と言った将来のキャリア展開なども考慮されます。

職務内容に違いがあるか否かについては、正社員とパート・アルバイト社員、それぞれに適用される就業規則を比較し、職務の内容や責任、転勤・人事異動などによる職務内容・配置変更の可能性に違いがあるかで判断されます。

ここで問題となるのが、就業規則を分けて作成していない場合、会社はパート・アルバイト社員も含めたすべての社員に対し、同じ就業規則を適用していることとなります。そのうえで、パート・アルバイト社員にだけ賞与を支給しないとしている場合、職務内容に差がないのに、待遇が違うと判断される可能性があります。

過去、ご相談を頂いた会社の就業規則でも、これらを分けて作成していない会社も一定数ありました。そのため、職務内容に応じた待遇差を設ける場合には、まずは就業規則をきちんと分けて作成することをお勧めします。


正社員とパート・アルバイト社員の違いをきちんと説明

同一労働同一賃金の施行で、会社は「待遇決定に際しての考慮事項」「正社員との待遇差の内容や理由」などについて、パート・アルバイト社員の求めに応じ、説明する義務も課されています。
そうしたことも踏まえ、会社は、下記の点についてもきちんと整備し、説明ができるようにしておきましょう。

・正社員とパート・アルバイト社員の業務内容が、異なることを説明できるか?
・正社員とパート・アルバイト社員の責任の程度や権限が、異なることを説明できるか?
・パート・アルバイト社員の雇用契約管理をきちんと行っているか?(有期契約なのに、毎年契約書を取り交わさず、管理がずさんでないか?)
・パート・アルバイト社員から正社員への登用制度を設け、正社員になる道を設けているか?
など


会社の想いを賞与に乗せる

賞与は金額が多くても少なくても、すべての社員に100%満足してもらうのは難しく、会社にとっては悩ましいものですが、賞与の支給にあたっては、社員の勤務成績等のみならず、評価項目に会社の方針や会社が理想とする社員像を示す項目なども加え、結果に反映させることにより、会社の想いを伝える1つの手段として活用することも検討されてみてはいかがでしょうか。


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今回は、所属・雇用区分の変更方法についてご案内します。

◆所属・雇用区分の変更
◆過去日での所属・雇用区分の変更



所属・雇用区分の変更

異動等で所属や雇用区分が変更となる場合、異動日を指定し変更処理ができます。
変更後は、過去のタイムカードも最新の所属名・雇用区分名で表示・出力されます。

なお、雇用区分変更のタイミングによって、
労働時間の計算結果が変わる場合がございますので、ご注意ください。

☞ 従業員の所属・雇用区分を変更するにはどうすればよいですか?

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過去日での所属・雇用区分の変更

当月度の開始日以降、かつ勤怠締めを行っていない過去日であれば変更可能です。

例)
締め日:10日締め
作業日:1月23日
→異動日は1月11日~1月22日の間で指定できます。
当月度開始日以前の過去にさかのぼって変更する場合は、サポートセンターへご連絡ください。

過去日での所属・雇用区分の変更

ポイント
雇用区分を過去の日付で異動した場合、「勤怠データ再計算」が必要です。
「勤怠データ再計算」を実行しないと、異動日~異動処理した当日までの期間は、異動後の雇用区分の設定が適用されませんので、ご注意ください。

☞ 「勤怠データ再計算」とは何ですか?

 >>> 詳しくはこちら



本記事が皆様のお役に立てれば幸いです。
今後もKING OF TIMEをご愛顧いただけますよう邁進してまいりますので、何卒よろしくお願いいたします。


監修元:社会保険労務士法人 ヒューマンリソースマネージメント

 
 
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