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【残業代単価について】~計算方法は正しいかを確認しよう~

公開日:2020年1月16日(当記事の内容は公開時点のものです)

監修:特定社会保険労務士 馬場栄


正社員もバイトも雇用契約書は毎年更新しよう

今週のピックアップ

【労務情報】
◆ 残業代単価の計算方法について
◆ 月の平均所定労働時間(計算式の分母)
◆ 賃金(計算式の分子)
◆ 家族手当・住宅手当
◆ 皆勤手当や調整手当なども残業代単価に含む

【KING OF TIME 情報】
◆ 残業の設定
◆ 時間帯区分設定を使って勤務時間を時間帯ごとに集計する
◆ 人件費概算の単価割増率を設定する
◆ 給与計算サービスとの連携


残業代単価の計算方法について

以前のメルマガ「休日と休暇の違い」でも少し触れましたが、今回は残業代単価の計算方法について、詳しくご説明したいと思います。

残業代単価は、「1時間あたりの単価(時給)×法定割増率」で求めます。
そこでポイントとなる「1時間あたりの単価(時給)」ですが、時給の方であれば「その方の時給」、日給の方であれば「その方の日給÷その日の所定労働時間数」となります。

そして、月給の方の時給は、「月給÷月の平均所定労働時間」で求めます。


月の平均所定労働時間(計算式の分母)

なぜ、計算する際に「月の平均所定労働時間数」を使うかというと、月の所定労働時間は、その月の暦日数(28~31日)によって変わってしまうからです。
そのため、その月の暦日数によって時給が変動してしまいますので、給与計算を行う上であまり現実的ではありません。
そこで、1年間を通じた「平均の所定労働時間」を使うことで、単価も年間通じて一定となり残業代計算も容易になることなどから、こちらを用いることが一般的です。

月の平均所定労働時間は、
「(365日-年間休日日数)×1日の所定労働時間÷12か月」で求めます。

「365日-年間休日日数」とは、年間の労働日数のことです。
年間の労働日数を求める際に考慮するのは「休日」であって、「休暇」は考慮しない(年間休日日数には含めない)ことは、以前のメルマガ「休日と休暇の違い」でお伝え致しました。

「(365日-年間休日日数)×1日の所定労働時間」とは、年間の所定労働時間数のことです。 その年間の所定労働時間数を12か月で割ることで、月の平均所定労働時間が求められます。


賃金(計算式の分子)

この賃金の取り扱いについて、間違っているケースが散見されます。

どのような賃金が、この計算式の分子に含まれるのでしょうか。
労働基準法では、「この賃金に該当するものは何か?」ではなく、「この賃金から除けるものは何か?」として、具体的に除ける賃金を限定列挙しています。

残業代単価から除ける賃金は、以下の通りです。
・家族手当
・通勤手当
・別居手当
・子女教育手当
・住宅手当
・臨時の賃金
・1か月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)

つまり、その方に支払っている賃金は原則全て計算式の分子に含めなければならない。
ただし、上記の限定列挙された手当については除くことができる、という内容になっております。

以下、よくある間違いについてご説明していきます。


家族手当・住宅手当

こちらは名称ではなく実態で判断します。

残業代単価から除くことができる「家族手当」とは、扶養家族数や、これを基礎とする金額を基準として計算した手当です。
例えば、扶養家族1人につき幾ら、といったパターンです。
上記のように計算し支給されていれば、残業代単価から除くことができます。しかし、家族手当と称しても、扶養家族数に関係なく一律支給されるものは、残業代単価からは除くことは出来ません。また独身者に対しても家族手当を支払っている場合、その手当は残業代単価から除くことは出来ません。

「住宅手当」についても、例えば「家賃月額の何パーセント」など、実際に掛かっている住居費用に応じて金額が計算されていれば残業代単価から除くことができますが、一律支給されている場合や、親元に暮らしており住居費用が発生していないような方に支給しているものであれば、残業代単価から除くことは出来ません。


皆勤手当や調整手当なども残業代単価に含む

毎月の給与で金額が変動する可能性のある皆勤手当や、全員ではなく該当の方のみに支給している調整手当等を、残業代単価に含めていないケースが散見されます。
金額が変動なのか固定なのか、支給対象者が全員なのか一部なのかは関係ありません。
繰り返し伝えますが、限定列挙されている手当に該当しない限りは、残業代単価に含める必要があります。

なお、「臨時の賃金」とは、「臨時的、突発的事由にもとづいて支払われたもの」を言います。例えば、結婚手当や私傷病手当、見舞金等を福利厚生として設ける場合、支給条件をあらかじめ決めていると思いますが、支給事由の発生が不確定であり、かつ非常に稀に発生するものになりますので、ここでいう臨時の賃金に該当します。

予め支給条件が決まっているものの、月によって条件に合致したりしなかったりするような手当(営業報奨金等)は、臨時の賃金には該当しません。算定期間が1か月以内の場合(1か月の営業成績に基づいて支給有無・額を決める等)、このような手当も、残業代の単価に含める必要があります。

なお、賞与については、基本的に残業代単価から除くことができますが、年俸制の方は注意が必要です。例えば「年俸金額÷14か月」を月給の金額とし、残りの2か月分を夏・冬の賞与で1か月分ごとに支払っているような会社の場合、その賞与額は既に決定しておりますので、残業代単価に含める必要があります。


せっかくKING OF TIMEで残業・休日・深夜労働時間を正確に把握したとしても、その方の残業代単価が誤っていれば意味がありません。
正しい給与を支払うためにも、自社の単価計算が正しいか、是非一度ご確認下さい。

☞ 【参考】割増賃金の基礎となる賃金とは?

 >>> 詳しくはこちら



KING OF TIME 情報


今回は、残業時間の管理に関連のある、以下の機能についてご案内します。

◆ 残業の設定
◆ 時間帯区分設定を使って勤務時間を時間帯ごとに集計する
◆ 人件費概算の単価割増率を設定する
◆ 給与計算サービスとの連携



残業の設定

残業時間を管理しようと様々な設定を実施したり、残業の申請制を導入しても残業時間が正しく集計されない場合があります。考えられる原因は4つあります。

・残業の設定が行われていない
・勤務刻限が設定されている
・退勤予定後の労働時間が計算されていない
・残業の申請を行っていない

そんな時は、一括でのスケジュール編集をおすすめいたします。
複数従業員のスケジュールを一括で変更したい場合に、ご利用ください。


残業の設定

対処法はそれぞれ異なります。
詳しくは、以下のヘルプをご参照ください。

☞ 残業が計上されないのはなぜですか?

 >>> 詳しくはこちら



時間帯区分設定を使って勤務時間を時間帯ごとに集計する

本システムでは、労働時間を時間帯別に集計できます。
残業時間など時間帯によって給与が変わるなどで、時間帯ごとに勤務時間を集計したい場合は「時間帯区分設定」をご利用ください。

時間帯区分設定

詳しくは、以下のヘルプをご参照ください。

☞ 「時間帯区分設定機能」とは何ですか?

 >>> 詳しくはこちら



人件費概算の単価割増率を設定する

本システムでは人件費の概算を出力できますが、時間給・日給の単価割増率も設定できます。残業時間も加味した人件費の概算を出したい場合に便利です。

人件費概算の単価割増率を設定

詳しくは、以下のヘルプをご参照ください。

☞ 単価登録時の補助機能はありますか?

 >>> 詳しくはこちら



給与計算サービスとの連携

勤怠データは給与計算サービスと連携することもできます。

給与計算サービスとの連携

詳しくは、以下のヘルプをご参照ください。

☞ 「マネーフォワードクラウド給与」と連携するにはどうすればよいですか?

 >>> 詳しくはこちら

☞ 給与前払いサービス「CYURICA」と連携するにはどうすればよいですか?

 >>> 詳しくはこちら

☞ 「人事労務freee」と連携するにはどうすればよいですか?

 >>> 詳しくはこちら



以上、「残業代単価」についてご案内いたしました。
本記事が皆様のお役に立てれば幸いです。
次回は「専門業務型裁量労働制の落とし穴」について、お伝えする予定です。

今後もKING OF TIMEをご愛顧いただけますよう邁進してまいりますので、何卒よろしくお願いいたします。

 
 
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