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【2026年最新】会社が公表すべき労働指標・完全ガイド|法改正への対応と義務を「採用の武器」に変える分析手法

公開日:2026年4月9日(当記事の内容は公開時点のものです)

監修:社会保険労務士法人 ヒューマンリソースマネージメント
社会保険労務士 岩下 等
監修:社会保険労務士法人
ヒューマンリソースマネージメント
社会保険労務士 岩下 等


【2026年最新】会社が公表すべき労働指標・完全ガイド|法改正への対応と義務を「採用の武器」に変える分析手法

【この記事のまとめ】

2026年現在、101人以上の企業には「男女の賃金格差」や「女性管理職比率」、301人以上の企業には「男性の育児休業取得率」「中途採用比率」の公表が法令により義務付けられています。それぞれ、法令により公表時期が定められており、正確なデータ集計と適切な情報開示が求められます。情報の公表は単なる義務への対応ではなく、自社の実態を客観的に可視化し、誠実に伝えるための戦略的な取り組みです。

はじめに:人的資本開示は「義務」から「企業の価値」へ

近年、さまざまな法改正により会社が公表を求められる人的資本データが拡大しています。
特に2025年4月に施行された改正育児・介護休業法によって従業員数301人以上の企業にも「男性の育休取得率」の公表義務が拡大されました。さらに、2026年4月に施行された女性活躍推進法では公表の必須項目が拡大され、多くの中堅・中小企業が「自社の数値をどう正しく算出し、どう見せるか」というフェーズに突入しています。本記事では、義務化された項目の最新情報を整理するとともに、「業種別の実態」や「企業の価値につなげる方法」について解説します。


今週のピックアップ

【 労務情報 】
◆ 1. 【法律別】公表義務がある項目と対象範囲の再確認
◆ 2. 公表までの実務ガイド
◆ 3. 【業種別】統計から見る数値の傾向と公表時のポイント
◆ 4. 努力義務を『武器』に変える:100人以下の企業が公表すべき理由
◆ 5. 現場を悩ませる「集計」の課題とシステム活用のすすめ
◆ 6. よくある質問
◆ まとめ:信頼される企業であるために

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 1.【法律別】公表義務がある項目と対象範囲の再確認

実務担当者がまず直面するのが「わが社はどの法律の、どの義務に該当するのか?」という点です。2026年時点での最新基準を詳しく紐解きます。

① 女性活躍推進法(従業員数101人以上の企業が対象)
女性活躍推進法では、従業員数が101人以上の企業に対し、「一般事業主行動計画」の策定と、自社の女性活躍状況の情報公表を義務付けています。また、法改正により2026年4月1日からは情報公表の必須項目が拡大されました。

改正内容の詳細は以下の過去ブログでご紹介しています。
【担当者の「頑張り」に依存した対応から卒業】2026年度の法改正はシステムで乗り切ろう

② 育児・介護休業法(従業員数301人以上の企業が対象)
育児・介護休業法では、男性労働者の育児休業等の取得状況を年1回公表することが義務付けられています。2025年4月1日からは法改正によって公表義務の対象が、従来の従業員数1,000人超の企業から、従業員数300人超の企業まで拡大されました。

■ 公表内容
以下のいずれかの割合

1. 育児休業等の取得割合
=育児休業等をした男性労働者の数÷配偶者が出産した男性労働者の数

2. 育児休業等と育児目的休暇の取得割合
=(育児休業等をした男性労働者の数+小学校修学前の子の育児を目的とした休暇制度を利用した男性労働者の数)÷配偶者が出産した男性労働者の数

■ 公表時期
前事業年度終了後、おおむね3か月以内
➡ 3月決算企業の場合は6月末が公表期限になります。

■ 公表方法
インターネットなど一般の方が閲覧できる方法で公表が必要です。
厚生労働省が運営する「両立支援のひろば」での公表が推奨されています。

③ 労働施策総合推進法(従業員数301人以上の企業が対象)
労働施策総合推進法では、従業員数が301人以上の企業に対して、中途採用に関する環境整備を推進することを目的に、中途採用比率の公表を義務付けています。

■ 公表内容
直近3事業年度の各年度について採用した正規雇用労働者の中途採用比率

【中途採用比率の計算式】
中途採用比率(%)= 各年度の正規雇用労働者の中途採用者数 ÷各年度の正規雇用労働者の採用者数 ×100
公表は採用が終了した直近3事業年度分が対象で、年度ごとの数値を公表する必要があります。

■ 公表時期
おおむね年に1回
➡ 前回の公表からおおむね1年以内に、可能な限り速やかに公表します。

■ 公表方法
「インターネットの利用その他の方法」での公表が必要です。具体的には、自社のホームページや、厚生労働省が運営する「しょくばらぼ」の利用などが想定されています。

【実務の落とし穴】従業員数のカウント方法
各法令で、従業員数について「常時雇用する労働者」を基準とすることが定められています。これは、単に正社員を指すのではありません。雇用形態に関わらず、以下のいずれかを満たす労働者が対象となります。

・期間の定めなく雇用されている者
・過去1年以上継続して雇用されている、または1年以上継続雇用される見込みがある者

これに該当する場合は、「パート」や「アルバイト」として雇用していたとしても「常時雇用する労働者」の人数にカウントします。この判定を誤ると、義務化の対象であることに気づかないリスクがあるため、システムで正確な在籍期間を把握することが不可欠です。

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 2. 公表までの実務ガイド

情報公表は「数字が出たから載せる」という単純な作業ではありません。まず、自社がどの数値を公表する必要があるのかを把握し、逆算してデータ整備を進めることが重要です。
「女性活躍推進法」「育児・介護休業法」では、公表時期について「事業年度終了後、概ね3か月以内」と定められています 。つまり、日本に多い3月決算の企業の場合は、6月末までの公表が求められます。

公表義務項目チェックリスト

従業員数 根拠法令 公表義務項目 公表場所 公表時期
101~300人 女性活躍推進法 ・男女間賃金差異
・女性管理職比率
・選択項目から1項目以上
自社ホームページ、「女性活躍推進企業データベース」など 事業年度終了後、概ね3か月以内
301人以上 女性活躍推進法 男女間賃金差異
女性管理職比率
選択項目から2項目以上
自社ホームページ、「女性活躍推進企業データベース」など 事業年度終了後、概ね3か月以内
301人以上 育児・介護休業法 男性労働者の育児休業等の取得割合 または 育児休業等と育児目的休暇の取得割合 自社ホームページ、「両立支援のひろば」など 事業年度終了後、概ね3か月以内
301人以上 労働施策総合推進法 中途採用比率 自社ホームページ、「しょくばらぼ」など 概ね1年に1回(前回の公表から概ね1年以内)

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 3.【業種別】統計から見る数値の傾向と公表時のポイント

自社の数値を公表する際、人事担当者が最も懸念するのは「この数値は他社と比較して低すぎないか?」という点です。しかし、労働指標は業種の構造(職種構成や雇用形態の比率)に大きく左右されます。
ここでは、厚生労働省の最新統計に基づき、業種ごとの傾向とその背景にある「正当な理由」を解説します。

① 製造業:歴史的な人員構成が賃金格差に影響
厚生労働省の「令和6年賃金構造基本統計調査」によると、製造業における男女の賃金格差は他業種と比較して大きく出る傾向があります。

・傾向:男性の賃金を100とした場合、女性の賃金は70.8(全産業平均は75.8)。
・背景:製造業では伝統的に、深夜残業や休日出勤を伴う「技能職・現業職」に男性が多く、事務・補助職に女性が偏る「職種分離」が根強く残っています。また、男性の平均勤続年数が長いことも、年功序列的な賃金体系下では格差を広げる要因となります。
・公表時のポイント:「過去の採用構造による勤続年数の差」や「深夜手当の有無」が理由であることを説明することで、数値差の背景を補足できます。

② サービス業・卸売・小売業:非正規比率が数値を左右
サービス・小売業では女性の就業比率が高いものの、算出区分によって数値が大きく変動します。

・統計的傾向:「正規雇用」に限定すると格差は小さい(80%〜90%台)が、「全労働者」で見ると格差が広がりやすい。
・背景:サービス業は非正規雇用(パート・アルバイト)の割合が高く、その多くを女性が占めています。短時間労働者が「全労働者」の平均値を押し下げるため、見た目上の格差が大きく表れます。
・公表時のポイント:公表時には「1時間あたりの平均賃金」を参考値として併記することで、雇用形態による労働時間の差を除外した、実態に近い平等をアピールできます。

③ 情報通信業・金融業:男性育休取得率の先進事例
育児休業取得率については、厚生労働省の「令和6年度雇用均等基本調査」がベンチマークとなります。

・統計的傾向:男性の育休取得率は全体で 40.5% ですが、情報通信業では58.1%、金融・保険業では63.6%とこの数値を大きく上回っています。
・背景:これらの業種はリモートワークの導入率が高く、仕事と家庭の両立が物理的に行いやすい環境にあります。また、大手企業を中心に「男性育休の取得」をKPI(重要業績評価指標)に掲げる動きが先行しています。
・公表時のポイント:自社の取得率が平均を下回る場合は、単なる取得の有無だけでなく「育休取得日数の平均」や「復職率」を併記し、質の高さを強調する戦略もあります。

自社のベンチマークを特定する方法
上記のような一般的な業種ごとの分析に加え、厚生労働省が運営するホームページからも「同業他社のリアルな数値」を確認することができます。

1.「女性の活躍推進企業データベース」:法に基づき公表された企業の生データを確認できます。「業種」と「所在地」「企業規模」を絞り込んで検索することで、自社の競合にあたる企業の数値を把握できます。
2.「両立支援のひろば」:育児休業取得率や、仕事と家庭の両立支援に関する企業の取り組み事例が蓄積されています。

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 4. 努力義務を『武器』に変える:100名以下の企業が公表すべき理由

ここまで「義務化」を中心にお伝えしてきましたが、「うちの会社は従業員100名以下だから関係ない」と思われた方もいらっしゃるかもしれません。しかし、2026年現在の労働市場において、小規模企業こそ数値を把握し、可能な範囲で公表することには大きな意義があります。

「努力義務」をどう捉えるか
女性活躍推進法では、100人以下の企業に対しては数値の公表が「努力義務」とされています。 努力義務とは、「直ちに義務ではないが、取り組むよう努めるべきこと」を指します。これを「やらなくていい」と捉えるのではなく、「今のうちに体制を整えておくべき準備期間」と捉える企業が、次世代の成長を掴んでいます。

小規模企業が今、数値を公表・把握すべき3つの理由
① 採用市場での「透明性」による差別化
知名度で大手に劣る小規模企業にとって、求職者の最大の不安は「実際の残業代や休暇の取りやすさはどうなのか?」という点です。義務のない段階から、自社ホームページ等で「有休取得率」や「残業時間」を自主的に開示している事実は、それだけで「誠実で透明性の高い企業」という強力なメッセージになります。

②「101人の壁」への円滑な移行準備
事業が拡大し、従業員が101人を超えた瞬間、これまで努力義務だった項目が「法的義務」へと変わります。その時に慌てて過去のデータを集計し直すのは至難の業です。少人数のうちからシステムを活用して「常に数値を出せる体制」を作っておくことで、組織拡大時の管理リスクを最小限に抑えられます。

③ 組織の「健康状態」の可視化と改善
数値を公表・把握することは、社外へのアピールだけでなく、社内向けの「健康診断」でもあります。「実は特定の部署だけ残業が偏っている」「離職率が特定の時期に上がっている」といった事実は、データにして初めて気づくことも多いものです。公表を前提に数値を追うことで、課題を早期に発見し、より良い職場環境づくりへの一歩を踏み出すことができます。

まずは何から始めるべき?
最初からすべての項目を公表する必要はありません。まずは自社の強みと言える指標(例:残業時間が月平均10時間以内、など)から着手してみるのがおすすめです。

小規模企業の強みを生かすヒント
大企業では数値の改善に数年かかることもありますが、100人以下の組織なら、数値を可視化して課題が見つかれば、すぐに制度を整えて翌年には結果を出すことが可能です。この「変化の速さ」こそが、小規模企業の大きな魅力となります。

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 5. 現場を悩ませる「集計」の課題とシステム活用のすすめ

公表する数値の算出は、一見シンプルに見えて、実際の現場では多くの担当者が苦労しています。

担当者が直面する3つの課題
・集計の複雑さ:各数値の算出方法は行政から示されていますが、複数の区分での集計が必要であるなど、複雑な集計が必要な場合もあります。Excel等による手作業での集計は、ミスの原因となりやすい点です。
・集計期間のズレ:それぞれの数値は事業年度単位での集計が必要です。集計に必要な勤怠、給与、人事などのすべてのデータで期間のズレが生じないようにする必要があります。
・担当者の属人化:「算出ロジックはあの人しか知らない」という状況では、担当者交代の際に対応が困難になってしまいます。

システムで解決できること
勤怠管理・人事管理・給与計算のシステムを連携させてデータを一元管理することで、公表に必要なデータの抽出が格段に容易になります。

・属性フラグの管理:雇用区分や入退社年月日を正確に登録することで、「常時雇用する労働者」の自動判定が可能になります。
・カスタムデータ出力:性別、雇用区分、役職、有給取得日数など、公表に必要な項目を組み合わせたCSVを任意のタイミングで出力できます。

KING OF TIMEでは、勤怠・人事・給与のデータを一元管理し、公表に必要な指標の算出をサポートしています。30日間の無料体験も実施中です。詳しくはKING OF TIME 公式サイトをご確認ください。

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 6. よくある質問

Q:男性の育児休業取得率は、従業員数300人以下の企業も公表すべきですか?
A:法的義務はありませんが、採用ブランディングの観点からは「任意公表」を強く推奨します。特にITや専門職採用では、数値があるだけで競合他社に差をつけられます。

また、従業員数が101~300人の場合、女性活躍推進法に基づく公表義務の選択項目として「男女別の育児休業取得率」を選択して公表する企業も増えています。

Q:女性活躍推進法に基づく情報の公表項目は、法令で定められた最低限の数だけで問題ないでしょうか?
A:法令遵守(コンプライアンス)の観点では最低限の項目数で問題ありませんが、厚生労働省は「多角的な状況把握のため、複数の項目を公表すること」を推奨しています。理由は、一つの指標だけでは自社の取り組みの実態を正しく伝えるのが難しいケースがあるためです。

例えば、「女性管理職比率」が現在は低かったとしても、併せて「採用者に占める女性比率」や「男女の平均継続勤務年数の差異」などを公表することで、「現在は将来の管理職候補を積極的に育成している段階である」といった前向きな背景を伝えることができます。

自社の強みをより具体的にアピールし、求職者や投資家からの信頼を得るためにも、義務化された最低ラインに留まらず、自社の実態を最もよく表す項目を2〜3個組み合わせて開示することを検討してみてはいかがでしょうか。

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 まとめ:信頼される企業であるために

2026年、労働指標の公表は単なる「事務作業」から、企業の信頼性を支える「インフラ」へと進化しました。システムを活用することで、そこに蓄積された従業員の人事情報、勤怠打刻、給与計算などのデータは、会社が「人を大切にする企業」であることを証明するための宝の山です。

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KING OF TIME 情報

「KING OF TIME」シリーズでは、会社が公表すべき労働指標の確認、集計に役立つ機能が備わっています。
以下のオンラインヘルプもご参照ください。

育児休業取得状況の公表のためのデータ取得方法

「配偶者が出産した男性労働者の数」の確認方法
※「育児休業等の取得割合」の計算に必要な「配偶者が出産した男性労働者の数」をKING OF TIME 人事労務から確認できます。

「育児休業」の確認 / 操作方法
※育児休業の取得状況や年度別の推移を確認できます。

「給与」の確認 / 操作方法
※総支給額の平均(男女別)を確認できます。

「人的資本」の確認 / 操作方法
※公表義務の対象となっている数値をはじめ、企業の人的資本経営に関するさまざまなデータをグラフで確認できます。

本記事が皆様のお役に立てれば幸いです。
今後もKING OF TIMEをご愛顧いただけますよう邁進してまいりますので、何卒よろしくお願いいたします。

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監修元:社会保険労務士法人 ヒューマンリソースマネージメント

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