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【電子契約】「採用内定通知書」の電子化

公開日:2025年6月19日(当記事の内容は公開時点のものです)

監修:社会保険労務士法人 ヒューマンリソースマネージメント
特定社会保険労務士 馬場栄
監修:社会保険労務士法人
ヒューマンリソースマネージメント
特定社会保険労務士 馬場栄


【電子契約】「採用内定通知書」の電子化

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【 労務情報 】
◆ 基礎知識(Learning)
◆ よくある間違い(Trouble)
◆ 実践のポイント(Tips)

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 基礎知識(Learning)

①「採用内定通知書」の法的意義
「採用内定通知書」は、主に新卒や中途採用において、企業が内定者に対して採用決定を正式に伝える文書です。
一般的に「採用内定」とは、労働契約上の効力が発生する「解約権留保付労働契約」と解されることが多く、企業・内定者双方に一定の拘束力が生じます。
もっとも、法令上「採用内定通知書」の書面交付が明確に義務付けられているわけではありません。企業によっては、口頭だけで内定を伝えるケースも見受けられますが、トラブル回避の観点から、内定の通知を文書で行い、あわせて労働条件を明示することが望ましいでしょう。

②「採用内定通知書」の活用場面
「採用内定通知書」は、採用選考の最終段階において、企業と内定者の間で重要な合意事項を確認するために欠かせない文書です。
まず、これによって最終選考を通過した候補者に「正式に採用が決定した」という事実を明示的に伝えられるため、口頭連絡にありがちな誤解や認識のズレ、曖昧さを排除できます。また、受け手側の安心感も得られるでしょう。
さらに、入社日や勤務地、業務に加え、予定される賃金などの基本的な労働条件を示すことで、内定者自身も待遇や勤務スタイルをあらためて理解し、これらの情報に基づいて検討することができ、納得したうえで入社の意思決定ができるようになります。
こうした手続きを踏むことで、双方が認識を共有し、後から「聞いていない」「話が違う」といったトラブルの発生を未然に防ぐ効果が期待できます。

③「採用内定通知書」と労働契約の関係
採用内定は、実質的に労働契約が成立しているとみなされるケースが多く、企業が一方的に内定を取り消すことは容易ではありません。正当な理由(やむを得ない事由)がないにもかかわらず、企業都合で内定を取り消した場合、民事上の損害賠償請求や解決金の支払いなど、法的責任が問われるリスクがあります。
また、内定者が入社を辞退する場合、企業はそれまでの採用活動や研修準備などにかけた時間やコストが無駄になるだけでなく、必要な時期に人員を確保できず、再度採用活動を行う必要が生じるなど、大きな負担を強いられることがあります。とくに、入社日直前の辞退は企業活動への影響も甚大です。
こうした双方のリスクを踏まえ、「採用内定通知書」において労働条件や内定の法的拘束力について明確に整理・提示し、企業と内定者双方の認識をしっかりとすり合わせておくことが、無用なトラブルを避ける上で非常に重要です。

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 よくある間違い(Trouble)

①「内々定期間」であれば撤回はできると思っている
「内々定期間」とは、企業が正式な内定通知を出す前に口頭などで採用見込みを示す段階で、一般には法的拘束力が弱いとされます。ただし、当事者のやり取りや研修参加などの実態によっては、後に「実質的な合意があった」とみなされ、一方的な撤回により損害賠償請求を受けるリスクも否定できません。
企業としては、内々定を出す場合でも採用条件や合意事項を明確に伝え、トラブルを招かないよう慎重に対応することが望ましいでしょう。とくに、内々定者に研修などを「義務付ける」場合には、事実上の拘束力が生じたと判断されるおそれがあるため、実施する際はあくまで任意参加の旨を明確化するなど、トラブルを回避するための対策が求められます。

② 本人の合意のないまま「内定通知書」と「労働条件通知書」の内容を変更している
内定通知書で仮の給与や勤務地といった労働条件を提示した後、本人の明確な合意を得ないまま、労働条件通知書や雇用契約書を交付する段階で正式な内容と称して条件を変更してしまうケースが見受けられます。しかし、「内定通知書」に記載された労働条件も労働契約の一部と解される可能性があり、一方的な変更は「話が違う」として大きなトラブルに発展しかねません。

労働条件を変更する必要が生じた場合は、必ず内定者に対して変更内容を丁寧に説明し、個別の明確な同意を得なければなりません。そして、変更後の条件は改めて書面(または電子書面)で明示し、再度合意を取り付けることが不可欠です。
トラブル防止の観点からは、当初から可能な限り確定した労働条件を提示することが望ましいですが、変更が生じる可能性があるのであればその旨と、変更の可能性のある項目、変更時の手続きについて事前に説明しておくことも考慮すべきでしょう。
最終的には、「労働条件通知書」の交付に加えて「雇用契約書」を取り交わし、双方が労働条件について明確に合意した証を残しておくことがより安全です。ただし、雇用契約書の締結段階であっても、入社直前に不利な条件変更を提示することは、内定者が実質的に同意せざるを得ない状況を作り出すものであり、後々の紛争リスクとなるため注意が必要です。

③ 内定通知書に記載の条件を満たさなかった場合や健康状態の不調が理由であれば内定を取り消しできると思っている
企業によっては「資格取得ができなかった」などを取り消し事由と定めることもありますが、実際には合理的な理由が必要とされ、解雇に準ずる厳格な要件を満たさないと認められません。
また健康状態の不調を理由に、企業が内定を取り消せるかというと、これも容易にできるわけではありません。健康面の問題であっても、企業側が合理的配慮や就業制限の有無を検討せずに取り消しへ踏み切った場合、差別的な取り扱いと見なされるリスクがあります。こうした点を軽視すると、後に損害賠償や法的紛争に発展するおそれがあるため注意しましょう。

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 実践のポイント(Tips)

「採用内定通知書」の交付も電子契約の仕組みを活用することで、紙の書面をやり取りすることなくスムーズに行うことができます。とくに複数の応募者と同時進行でやり取りを行う場合などに印刷や発送の手間がなくなり、作業負担の軽減や書類管理の効率化が期待できます。

基本的に「採用内定通知書」は企業側から一方的に送るものですが、電子契約システムの書類送付の機能などを活用すれば、送付した文書が閲覧されているかを確認することができます。
もっとも、内定者が紙の書面を希望する場合には、紙ベースでの通知書交付も選択肢として用意しておき、内定者が安心して手続きを進められるよう配慮することが求められます。

「KING OF TIME 電子契約」での『採用内定通知書の送付方法』は、以下のオンラインヘルプを参考にしてください。

【 参考 】採用内定通知書の送付方法|KING OF TIME オンラインヘルプ

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本記事が皆様のお役に立てれば幸いです。
今後もKING OF TIMEをご愛顧いただけますよう邁進してまいりますので、何卒よろしくお願いいたします。


監修元:社会保険労務士法人 ヒューマンリソースマネージメント

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