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労務情報

【1年単位の変形労働時間制の誤解】月1回のシフト変更であれば認められるのか!?

公開日:2023年8月31日(当記事の内容は公開時点のものです)

監修:社会保険労務士法人 ヒューマンリソースマネージメント
特定社会保険労務士 馬場栄 
監修:社会保険労務士法人
ヒューマンリソースマネージメント
特定社会保険労務士 馬場栄 


【1年単位の変形労働時間制の誤解】月1回のシフト変更であれば認められるのか!?

今週のピックアップ

【労務情報】
◆ 月1回だけのシフト変更であれば認められるのか!?
◆「1年単位の変形労働時間制」とは
◆「1年単位の変形労働時間制」のよくある間違い
◆「1年単位の変形労働時間制」の実践ポイント

【KING OF TIME 情報】
◆ 管理者用スマートフォンアプリとは
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◆ 管理者用スマートフォンアプリに追加された機能について
◆ 2023年6月バージョンアップ解説セミナー動画について
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月1回だけのシフト変更であれば認められるのか!?

E社は建物の電気設備工事を主な業務としている企業で、1日8時間、週40時間を超える勤務も発生することから「1年単位の変形労働時間制」を導入しています。
ある時、この会社の管理部門に勤めるFさんが、転職してきたGさんから勤務に関する相談を受けました。

Gさん:
「うちの会社って1年単位の変形労働時間制でしたよね。年度初めに勤務の年間カレンダーが示されていると思うのですが、なぜか月1回は必ずシフトが変更されています。業務の都合もありますからカレンダーどおりの勤務が難しいのはわかりますが、これって法令違反じゃないでしょうか。もともと休みの予定だった日が、労働日に変更されるのは正直困ります。以前勤務していた会社も1年単位の変形労働時間制でしたが、このようなことはありませんでした。」

Fさん:
「私が現在の担当になって4、5年経ちますが、以前から社内ルールとして月1回だけならシフトの変更はOKということで運用しているようです。気にはなっていたのですが、これまで特に指摘も受けたことがなかったので、ずっとそのように運用していました。もし法令に違反するようであれば直していかないとだめですね。」

Fさんは、E社で導入している勤怠管理システムの会社で主催する労務管理のセミナーに参加した際、参加者特典の社会保険労務士による無料個別相談会の申込みを行い、この件について相談をしてみました。

Fさん:
「うちの会社では、1年単位の変形労働時間制を導入しているのですが、その時の業務の都合にあわせてほとんどの人が月1回はシフトを変更しています。私も以前の担当から月1回だけのシフト変更であれば問題ないと引継ぎを受けたのですが、調べてみてもどこにもその根拠が見つかりませんでした。やはりこのような運用は問題があるのでしょうか。」

社労士Bさん:
「そういった運用は御社独自のローカルルールですね。恐らく月1回くらいであれば問題ないだろうという判断で、昔の担当者が運用ルールを作ったのではないでしょうか。他の企業でも、独自の解釈でローカルルールを運用しているケースはありますが、法令に沿っていないものは、行政や裁判等の争いになった際には『ウチは昔から、そのルールで問題無くやっています』といった言い訳は通用しません。1年単位の変形労働時間制においては、業務都合によるシフトの変更は認められていませんので、運用の見直しが必要と考えられます。」

Fさん:
「やはりそうなのですね、これを機会に見直しを図っていきたいと思います。これまでこのような相談ができなかったので、今後社労士さんとの顧問契約なども検討してみたいと思います。」

「1年単位の変形労働時間制」とは

厚生労働省の就労条件総合調査(令和4年)によると、変形労働時間制を採用している企業の割合は64%で、そのうち採用している変形労働時間制の内訳としては、以下のような割合となっています。

・「1年単位の変形労働時間制」  34.3%
・「1か月単位の変形労働時間制」 26.6%
・「フレックスタイム制」     8.2%


この調査結果からもわかるとおり、1年単位の変形労働時間制が変形労働時間制の中で最も多く利用されています。

☞【参考】令和4年就労条件総合調査_概況(厚生労働省)

 >>> 詳しくはこちら

1年単位の変形労働時間制は、1年以内の期間を平均して、1週間あたりの労働時間の平均が40時間に収まるのであれば、1日8時間、週40時間を超えて労働をさせることが出来る制度です。
一般的には、季節によって繁忙のあるレジャー施設や宿泊業、夏休みなどの長期休暇がある学校などで採用されることが多いかと思いますが、建設業や運送業などでも導入されているケースが多い印象です。

1年単位の変形労働時間制のメリットとしては、繁忙期に1日10時間のシフトを組んだり、週6勤務とする代わりに、閑散期は1日の労働時間を6時間と短くしたり、週休3日制とするなど、勤務実態に応じた弾力的な働き方とすることで、残業時間の抑制や、従業員の休息時間を確保することが可能となります。

一方でデメリットとしては、労働日や労働時間の上限時間が決まっていたり、労使協定を毎年締結し、届出する必要があるなど、正しく運用することが難しく、煩雑になる点です。
また、通常の労働時間制とは勤怠集計の考え方が違いますので、労使双方でしっかりと残業集計のルールを理解しておかないと、労使間のトラブルの原因となったり、気づかないうちに残業代が未払いになっていたというケースがありますので注意が必要です。

1年単位の変形労働時間制の導入の注意点については、厚生労働省のリーフレットもご参照ください。

☞【参考】「1年単位の変形労働時間制導入の手引き」(東京労働局)

 >>> 詳しくはこちら

「1年単位の変形労働時間制」のよくある間違い

(1)業務都合で柔軟にシフト変更を行っている
1年単位の変形労働時間制では、いったん特定した労働日や労働時間を変更することは出来ず、会社が恣意的にシフト変更を行っている場合、1年単位の変形労働時間制の適用そのものが否定される可能性があります。
あらかじめ対象期間中の労働日と労働時間を特定しておくことが大前提ですので、いったん特定したものを変更することは原則出来ないと考えて運用すべきでしょう。
労使協定の中で双方の合意があればシフト変更しても問題ないのではないか、と考えている方もいらっしゃいますが、上記のとおりそのような運用は認められていませんのでご注意ください。

(2)休日の振替を頻繁に行っている
振替休日については、就業規則に具体的な振替理由があり、その範囲内であれば、可能と考えられています。
ただし、具体的な事由として考えられるものの例としては、業務上重大な支障が出る場合などに限られており、通常の業務の繁閑などを理由として休日の振替を行うことは出来ないとされています。実務上は、1年単位の変形労働時間制において、対象期間中の労働日を変更することはハードルが高いと考えられます。

<1年単位の変形労働時間制で振替休日が認められるための要件>
① 就業規則で休日の振替がある旨規定を設けること
② 就業規則に定める休日の振替ができる具体的事由に該当していること
③ あらかじめ休日を振り替えるべき日を特定して振り替えること
④ 対象期間(特定期間を除く)において、連続労働日数が6日以内となること
⑤ 特定期間においては、1週間に1日の休日が確保できる範囲内にあること

「1年単位の変形労働時間制」の実践ポイント

(1)勤怠管理システムを活用して労働日や労働時間の上限を確認する
1年単位の変形労働時間制では、1か月単位の変形労働時間制との大きな違いとして、労働時間等について様々な制約があります。
日や週の労働時間の上限が定められており、1日10時間、週52時間までしかシフトを組むことができないため、この時間を超過した時間が残業時間となります。
また、週48時間を超える勤務シフトについては、連続3回まで、3か月の間に3週以内といった管理も必要となってきます。
KING OF TIMEに実装されているアラート機能を活用することで、シフトを登録する際には、労働時間数等を把握しながら、法律で決められたルールを守ることが可能となるでしょう。

(2)年の途中で入退社があった場合の対応に注意
1年単位の変形労働時間制を採用している職場で、年の途中に入退社があった場合はどのような対応が必要になるでしょうか。たとえば、繁忙期だけ勤務して、閑散期には退職してしまったというようなケースでは、繁忙期に週6勤務で毎週48時間働いていたというようなことも起こりえます。
1年単位の変形労働時間制では、年の途中に入退社があった場合は、賃金清算が必要になります。

具体的な賃金清算の方法は次のとおりです。
① 退職日まで(または入社日から)の法定労働時間の総枠を暦日で計算。
② ①で計算された法定労働時間の総枠と実労働時間を比較し、実労働時間の方が長い場合はその差を算出(日と週で残業時間として集計された時間数を除く)。
③ ②で算出された時間数を残業時間として、賃金清算する。

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※「1年単位の労働時間制導入の手引き」(東京労働局)




KING OF TIME 情報


今回は2023年6月にバージョンアップされ、より便利になった管理者用スマートフォンアプリについてご紹介します。

◆ 管理者用スマートフォンアプリとは
◆ 従業員用スマートフォンアプリとは
◆ 管理者用スマートフォンアプリに追加された機能について
◆ 2023年6月バージョンアップ解説セミナー動画について



管理者用スマートフォンアプリとは

2020年8月にリリースされたKING OF TIME初の「iPhone」「Android」で利用できるスマートフォン専用の管理者用アプリです。
管理者用アプリは緑色のアイコンが特徴で、主に打刻場所の設定や打刻範囲を制限できる「ジオフェンシング」機能を搭載しています。

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☞ 管理者用アプリの設定方法

 >>> 詳しくはこちら



従業員用スマートフォンアプリとは

従業員用スマートフォンアプリは白色のアイコンが特徴で、位置情報を取得して打刻ができます。他にもスマートフォンの本人認証打刻、打刻忘れやエラー勤務をプッシュ通知でスマートフォンにお知らせします。

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☞ 従業員用アプリの設定方法

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管理者用スマートフォンアプリに追加された機能について

管理者用スマートフォンアプリで申請承認ができるようになりました。
次の2つの申請項目が対象です。

① スケジュール/休暇申請
② 打刻申請

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☞ 管理者用アプリの申請承認機能について

 >>> 詳しくはこちら



2023年6月バージョンアップ解説セミナー動画について

KING OF TIMEでは年3回バージョンアップを実施しています。
各バージョンアップ内容について、具体的な活用方法やポイントを解説したセミナーを開催しています。今回バージョンアップされた内容の具体的な活用方法などは、下記URLより必要情報をご入力の上、セミナー動画をご視聴ください。

☞ 2023年6月バージョンアップ解説セミナーアーカイブ動画

 >>> 詳しくはこちら



本記事が皆様のお役に立てれば幸いです。
今後もKING OF TIMEをご愛顧いただけますよう邁進してまいりますので、何卒よろしくお願いいたします。


監修元:社会保険労務士法人 ヒューマンリソースマネージメント

 
 
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