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「いつものあの人に」はもう通用しない!36協定を無効にしないための「労働者代表」選出ガイド

公開日:2026年2月12日(当記事の内容は公開時点のものです)

監修:社会保険労務士法人 ヒューマンリソースマネージメント
社会保険労務士 岩下 等
監修:社会保険労務士法人
ヒューマンリソースマネージメント
社会保険労務士 岩下 等


「いつものあの人に」はもう通用しない!36協定を無効にしないための「労働者代表」選出ガイド

今週のピックアップ

【 労務情報 】
◆ よくある質問とそれに対する回答
◆ 「いつものあの人に」は経営リスク
◆ 選出不備は「残業の違法化」と「金銭的リスク」に直結
◆ 労働者代表に求められる「3つの要件」と「NG行為」
◆ 法改正の焦点!報告書が示す「データ開示」と労使対話の未来
◆ システムによる「選出プロセスの適正化」と「データ開示」
◆ まとめ

【 KING OF TIME 情報 】
◆ 「KING OF TIME」シリーズで36協定の管理に関連する機能

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 よくある質問とそれに対する回答

Q. 4月の36協定更新に向け、2月中に代表者を決めなければなりません。しかし、ただでさえ日数が少なくて忙しい2月に、選挙のような手間のかかるイベントはとても負担です。なので、今年も「いつものあの人」にお願いしようと考えているのですが、問題ありませんか?

A. その「2月の憂鬱」、痛いほど分かります。しかし、その判断が4月からの残業をすべて「違法」にするきっかけになりかねません。選出の不備は、36協定が無効になることに直結するからです。「手間をかけない」ことと「手を抜く」ことは違います。電子投票、電子契約等のシステムを活用すると、配布・回収の手間をほぼゼロにしつつ、法的に有効な記録を残せます。さらに今後、法改正で労働時間等の「データ開示」が義務化される動きもあるようです。今のうちにシステム化しておくことが、将来のさらなる業務増への最大の防衛策になります。

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 「いつものあの人に」は経営リスク

36協定の締結や就業規則の変更時期が近づくと、「例年どおり、いつものあの人に労働者代表をお願いすればいいか」と考えていませんか?
もしそうなら、その「慣例」は今すぐ見直す必要があります。「誰でもいいから、とりあえずハンコをもらう」という運用が、企業にとって最大級の経営リスクになりつつあるからです。
本記事では、改めて押さえておきたい労働者代表の選出に関わる法的要件から、「労働基準関係法制研究会」で議論されている「データ開示義務」の動向、そしてシステムを活用した効率的かつ適法な実務フローまでを解説します。

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 選出不備は「残業の違法化」と「金銭的リスク」に直結

過半数代表者(労働者代表)は、労働組合がない事業場において、会社側と各種労使協定を締結する重要な当事者です。もし選出プロセスに不備があり、代表者が法的に無効と判断された場合、企業は以下の重大なリスクを負うことになります。

リスク1:「36協定」が無効となり、すべての残業が違法に
最も深刻な影響は、時間外・休日労働に関する「36協定」が無効になることです。労働基準法は原則として法定労働時間(1日8時間・週40時間)を超える労働を禁止しており、36協定はこの禁止を解除する手段と位置づけられています。つまり、選出の不備により協定自体が無効となれば、会社は「残業させていること自体が労働基準法違反」という状態に陥ります。

リスク2:変形労働時間制などが否認され、多額の「未払い残業代」が発生
変形労働時間制の多くは労使協定が適用要件になっています。労使協定が無効になると変形労働時間制の適用も否認されます。そうなると、過去に遡って「原則的な労働時間(1日8時間)」で残業代を計算し直さなければなりません。その結果、本来不要だったはずの割増賃金が大量に発生し、突発的な「未払い残業代」の支払いという大きな金銭的損失を被ることになります。

リスク3:賃金控除や休暇制度が無効となり、日常業務が「違法」に
労働時間制度以外にも、以下の運用について法的根拠が失われます。

・賃金・支払い関連
給与からの天引き(親睦会費・社宅費等)や、賃金の銀行振込・デジタル払い
・休日・育児関連
代替休暇、有給休暇の計画的付与、育児・介護休業者の対象除外など

これらが無効になれば、例えば、給与天引きが労働基準法の「賃金全額払いの原則」に違反するなど、会社の定めたルールや運用自体が法令違反という事態を招きます。

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 労働者代表に求められる「3つの要件」と「NG行為」

以下の3つが労働者代表の要件です。これらが欠ければ選出は無効となる可能性があります。

要件1:管理監督者ではないこと
労働基準法に規定する「監督又は管理の地位にある者」は労働者代表にはなれません。部長や工場長など、経営者と一体的な立場にある人が選ばれると、会社の意向をそのまま反映してしまう「利益相反」の状態になるためです。

要件2:使用者の意向に基づかないこと
選出に会社の意図が介入してはいけません。以下のケースは「不適切な選出」とみなされる可能性が高いため注意が必要です。

【よくあるNG行為】会社による指名
社長が「君、今年もよろしく」と指名したり、立候補者がいないからと管理職が適当な社員を選んだりするのは、使用者の意向が強く働いているとみなされます。

【よくあるNG行為】親睦会代表などの自動就任
「親睦会の幹事=労働者代表」とする慣習も、あくまで親睦目的で選ばれたに過ぎず、協定締結権限の委任がないため無効です。兼任させる場合は、別途その旨を明示して信任を得る必要があります。

要件3:民主的な手続きで、全労働者の過半数に選出されていること
「36協定締結のため」という目的を明らかにしたうえで、投票や挙手などで客観的に支持を確認する必要があります。以下には特に注意してください。

【よくあるNG行為】信任プロセスの省略
「異議があれば申し出を」と回覧板を回覧し、無反応の場合は「信任」とみなす方法はリスクがあります。「信任する人は署名」など積極的な意思表示を確認しましょう。

【よくあるNG行為】分母の計算間違い1(パート等の除外)
正社員だけで過半数を計算してはいけません。雇用形態に関わらず「事業場の全労働者」を分母とすることが絶対条件です。

【よくあるNG行為】分母の計算間違い2(棄権者の除外)
返信がない人を計算の分母から除外してはいけません。意思表示のない人も含めた「全労働者」の過半数から、明確な信任を得る必要があります。

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 法改正の焦点!報告書が示す「データ開示」と労使対話の未来

「40年ぶりの労基法改正」の土台となっている「労働基準関係法制研究会報告書」において、労働者代表のあり方を抜本的に見直す提言がなされました。労働組合の組織率が低下する中、多くの事業場で36協定の当事者となる「過半数代表者」の実効性を高める狙いです。
報告書では、以下の4つの柱で法改正やルール化が提言されています。

・選出手続きの厳格化
使用者の意向を排除し、投票や信任などの民主的な手続きを必須とする

・情報・リソースの提供
判断材料となる情報の提供や、活動時間・社内設備(メール・会議室)の利用を認める

・不利益取扱いの禁止等
代表者であることによる解雇等の禁止、任期制や複数名選出の検討

・複数事業場での一括手続き
本社と各拠点の代表者による、全社的な労使コミュニケーションの容認

上記の中で、企業実務へのインパクトが最も大きいと考えられるのが「情報提供(データ開示)」です。
これまで一部の企業で散見された「実態を知らないままハンコを押すだけ」の36協定締結を防ぐため、今後は単に協定案を見せるだけでなく、以下のような「判断に必要な実態データ」の提示義務化が想定されています。

・時間外労働の実績
部署平均だけでなく、「誰が・どの業務で・何時間(最長)」残業しているかの内訳

・協定の影響範囲
今回の上限設定により、具体的に誰が影響を受けるかの明示

・過去の検証データ
前回の協定内容が正しく守られていたかどうかの履行状況

これらの法改正を見据え、人事労務担当者は以下の体制整備を進める必要があります。

・データの可視化体制(対36協定)
代表者から求められた際、事業場ごとの「最長残業時間」や「業務内容」などの実績データを即座に提示できるよう、集計フローを確立する

・活動環境の整備(対便宜供与)
「代表者活動を勤務時間とみなす」「意見集約に社内メールや会議室を使わせる」など、具体的な支援ルールを検討する

・一括管理の検討(対多店舗展開)
支店や店舗が多い企業では、本社と各拠点の代表者がオンライン等で一括して協議・締結を行う体制(システムや運用フロー)への移行を検討する

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 システムによる「選出プロセスの適正化」と「データ開示」

労働者代表選出においては、「民主的な選出プロセス」と「データに基づく実質的な協議」に加え、今後の法改正を見据えた「環境整備(リソース提供)」や「一括管理」への対応が急務です。しかし、従来のような回覧板を用いたアナログな手法では、以下の課題があるため限界と言わざるを得ません。

・合意形成プロセスの複雑化
リモートワーク者などを含む全従業員への投票依頼に加え、多拠点間の調整や回収業務にも膨大な手間がかかる

・データ集計の過大な負担
部署別・個人別の残業データ集計など、判断に必要な情報の加工に多くの時間を要し、タイムリーな開示が困難である

解決策1:「電子投票」や「電子契約」で選出プロセスを適正化する
報告書で求められる「投票環境の整備(便宜供与)」への最適解は、デジタルツールの活用です。適正なプロセスを担保しつつ、人事労務担当者の業務負担を劇的に減らすことができます。

・電子投票・WEBアンケート(候補者の選出)
労働者代表の選出に特化したシステム等は、候補者の選出に最適です。公募から結果通知までを自動化する機能を持つものもあり、業務効率化に直結します。

・電子契約サービス(回覧板の代替・信任署名)
特化システムの導入コストが負担である場合、他の契約業務でも汎用的に使える「電子契約サービス」が有効です。これを回覧板の代替として候補者への「信任署名」を集めることで、「誰がいつ同意したか」という客観的な証跡を確実に残せます。

これらのシステム導入により、出社していない従業員もスマートフォン等から参加できるため「公平性」が担保されます。同時に、「いつ告知し、何人が信任したか」というログが確実に残るため、適正なプロセスを経て選出されたことの強力な「証明材料」となります。
また、特化サービスや電子契約の一斉送信機能を活用することで、配布・回収の手間を大幅に削減できます。

解決策2:「勤怠管理システム」でデータ開示義務に対応する
報告書の中で言及されている「判断に必要な情報の提供(データ開示)」に対しては、勤怠管理システムの機能を活用することでスムーズに対応できます。

・ワンクリック集計機能
手作業では膨大な時間がかかる「部署別の月平均残業時間」や「個人の年間最大残業時間」などを、システム上で即座に算出・可視化できます。

・アラート・予実管理機能
現在の残業時間だけでなく、このペースでいくと月末・期末にどうなるかという予測を表示し、協定違反になりそうな従業員を早期に発見します。

これらの機能を活用すれば、労働者代表からデータの提示を求められても、集計作業に時間を取られることなく即座に事実データを提示できる体制が整います。
また、感覚的な話ではなく「客観的な数値」に基づいた協議が可能になるため、労使双方にとって納得感のある合意形成が図れます。
さらに、アラート機能によって「法違反が発生する前」に対策を打てるようになるため、コンプライアンスリスクを未然に防ぐ強力な防衛策となります。

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 まとめ

今後の法改正を見据えると、労働者代表の選出は単なる「形式的な手続き」から、客観的なデータに裏打ちされた「実質的な労使コミュニケーション」へと確実に変容していきます。
これからの人事労務担当者には、電子投票や電子契約を活用して選出プロセスの疑義を排除すること、そして勤怠管理などの実態データを即座に提示できる基盤を整えることの両立が不可欠です。
こうしたテクノロジーの活用は、法的リスクの回避だけでなく、従業員が納得して働ける「風通しの良い職場環境」の実現にも直結します。すなわち、システム導入は単なる事務作業の効率化ではなく、企業のガバナンスを根本から強化するための重要な投資と捉えるべきです。

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KING OF TIME 情報

「KING OF TIME」シリーズでは、今回紹介した「判断に必要な情報の提供(データ開示)」に対応するための機能が備わっています。これらを活用することで、将来の法改正対応を先取りすることができます。
導入の際には、以下のオンラインヘルプもご参照ください。

36協定の管理に必要な基礎知識

「KING OF TIME データ分析」の機能紹介

長時間労働を予防するおすすめ機能

【アラート機能】集計時間が一定時間を超過 / 不足している場合にアラート表示する方法(時間アラート)

勤務予定と勤務実績の差異を確認する方法(予実機能)

本記事が皆様のお役に立てれば幸いです。
今後もKING OF TIMEをご愛顧いただけますよう邁進してまいりますので、何卒よろしくお願いいたします。

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監修元:社会保険労務士法人 ヒューマンリソースマネージメント

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