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労務情報

【給与計算の知恵袋】退職時の社会保険手続きのキホン

公開日:2024年1月25日(当記事の内容は公開時点のものです)

監修:社会保険労務士法人 ヒューマンリソースマネージメント
特定社会保険労務士 馬場栄 
監修:社会保険労務士法人
ヒューマンリソースマネージメント
特定社会保険労務士 馬場栄 


【給与計算の知恵袋】退職時の社会保険手続きのキホン

今週のピックアップ

【労務情報】
◆ 基礎知識(Learning)
◆ よくある間違い、勘違い(Trouble)
◆ 実践のポイント(Tips)

【KING OF TIME 情報】
◆ 離職票の交付に必要な書類と期限について
◆ KING OF TIME 勤怠管理で出勤簿を一括出力する方法
◆ KING OF TIME 人事労務でWEB給与明細書を出力する方法

☞ KING OF TIME 情報は 《 こちら 》


基礎知識(Learning)

従業員の方が会社を退職する際、会社側で必要となる手続きは様々です。
年度末は1年間の中でも退職者が増加する傾向にありますので、入退社の手続き頻度がそれほど高くない企業においても、いざ従業員の退職手続きとなった場合に慌てることがないよう、今回は退職時に必要となる社会保険等の手続きをご案内します。

【社会保険(健康保険・厚生年金保険)の資格喪失】
(1)手続き書類・ポイント

事業主が以下の書類を提出します。
■ 健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届/厚生年金保険70歳以上被用者不該当届

この際、健康保険証の添付が必須となりますので、紛失等の理由により回収できない場合は、「健康保険被保険者証回収不能届」を併せて提出します。なお、被扶養者がいた場合は、本人の資格喪失手続きを行うことで、その資格も自動的に喪失するため、別途のお手続きは不要です。

(2)時期および届書の提出先
退職の翌日(資格喪失日)から5日以内に、日本年金機構の事務センター(または管轄の年金事務所)に届書を提出します(健康保険組合加入の事業所の場合は、健康保険組合へも資格喪失届の提出が必要)。

☞「従業員が退職・死亡したとき(健康保険・厚生年金保険の資格喪失)の手続き」(日本年金機構HP)

 >>> 詳しくはこちら


【雇用保険の資格喪失】
(1)手続き書類・ポイント

事業主が以下の書類を提出します。
■ 雇用保険被保険者資格喪失届

この手続きを行う際は、原則として「雇用保険被保険者離職証明書」(以下、離職票)を併せて提出することになりますが、転職先がすでに決まっている等の理由により離職票の交付を希望しない場合は提出不要です(59 歳以上の離職者は本人が希望するしないにかかわらず必ず離職票の交付が必要です)。

(2)時期および届書の提出先
退職日の翌々日(被保険者でなくなった事実があった日の翌日)から10日以内に、事業所を管轄するハローワークに提出します。

☞「雇用保険の事務手続き」(厚生労働省)

 >>> 詳しくはこちら


【住民税の手続き】
(1)手続き書類・ポイント

事業主が以下の書類を提出します。
■ 特別徴収に係る給与所得者異動届出書

退職後の住民税額については、退職した時期に応じて、次の通り対応します。

<1月から5月までに退職をした場合>
本人の申出がなくても、5月31日までの間に支払う給与または退職手当等から一括徴収します。ただし、一括徴収すべき税額が給与または退職手当等の金額を超える場合は、普通徴収とすることも認められています。

<6月から12月までに退職をした場合>
普通徴収への切替えとなり、退職した社員が自ら納付します。ただし、社員からの申出または同意があれば、退職時に支払う給与または退職手当等から一括して徴収することができます。なお、いずれの場合も転職先が決まっていて、本人からの申出があれば、特別徴収の継続の手続きを取ることで、転職先で引き続き特別徴収(毎月の給与から控除)をしてもらうことも可能です。

(2)時期および届書の提出先
給与の支払いを受けなくなった月の翌月10日までに、退職者の住所地の区市町村へ提出します。

☞「退職や転勤などにより、特別徴収ができなくなった場合」(千代田区HP)

 >>> 詳しくはこちら

よくある間違い、勘違い(Trouble)

◆資格喪失日と保険料の控除に注意する
社会保険(厚生年金保険・健康保険)、雇用保険ともに資格喪失日は退職日の翌日となります。
社会保険料の控除については、日割り計算ではなく、月単位で行われ、資格を喪失した月から保険料が発生しなくなることから、保険料が発生するか否か(最後の給与から控除するか否か)は、月末時点で会社に在籍している(退職日が末日)かどうかで判断することになります。

雇用保険の保険料については、退職日に関わらず、給与支払いの都度、その支給額に雇用保険料率を掛けた金額を徴収します。

〇 具体例:社会保険料の退職日(資格喪失日)による発生の有無
・退職日:3月31日→資格喪失日:4月1日 ・・・保険料は3月分まで発生
・退職日:3月30日→資格喪失日:3月31日・・・保険料は2月分まで発生

特殊なケースとして、社会保険の資格を取得した同じ月にその資格を喪失した場合(いわゆる同月得喪)は、社会保険料の日割り計算は行われないため、1か月分の納付が必要になります。

社会保険料を控除する際の細かいルールについては、以前こちらの労務ブログでも取り上げていますのでご参考にしてください。

☞『社会保険料を給与から控除する際のルールを再確認! ~保険料発生の有無や給与の締め日や支払日による控除のタイミング~』

 >>> 詳しくはこちら


◆雇用保険の資格喪失理由に注意する
雇用保険の基本手当(以下、失業保険)を受ける場合、資格喪失届及び離職票の離職理由等により、失業保険の受給条件が変わってくるため、喪失理由を適正に記載する必要があります。
退職者から、本当は自己都合の退職なのに、会社都合(本来は解雇や退職勧奨に応じた退職)として欲しいという相談を受けるケースがあります。これは会社都合のほうが、失業保険の受給額等が有利になるため、そのような意図で申出を行うものと考えられます。
もし仮に誤った喪失理由で失業保険を受給した場合は、事実を偽った不正受給となります。本人だけでなく会社側も処罰を受ける可能性があることから、このような対応を行うことが無いよう注意しましょう。

◆60歳以上の社会保険被保険者の同日得喪の手続きに注意する
通常、社会保険に加入している方の雇用形態が変わっても、雇用が継続している場合(例えば、正社員からパート社員に雇用形態が変わる場合など)は、たとえ給与が著しく変動したとしても、給与に応じた保険料に変わるのは、変更した月を含め4か月目からとなります。(標準報酬月額の随時改定:月額変更届を行います。)

一方で、60歳以上の方が、退職後1日の間もなく継続して再雇用された場合は、資格喪失届と同時に同日付で資格取得届を提出することで、再雇用された月から再雇用後の給与に応じた標準報酬月額に決定することができます。退職理由は定年に限りません。
そのため、この点だけを考慮すれば、例えば、60歳以降に嘱託社員に雇用形態を変更し、給与を変更する場合は、一度、退職で区切りをつけて再雇用とするのも一案です。
なお、この手続きを行う際は、以下の①と②の両方または③の書類の添付が必要になります。

① 就業規則、退職辞令の写し(退職日の確認ができるものに限る)
② 雇用契約書の写し(継続して再雇用されたことが分かるものに限る)
③「退職日」および「再雇用された日」に関する事業主の証明書

実践のポイント(Tips)

◆退職後に健康保険の任意継続を希望するか確認する
退職後の健康保険には、以下の表のように3通りの方法があります。
保険料に関しては、退職者本人が、ご家族の扶養に入ることが出来ない場合、任意継続に加入するほうが、国民健康保険よりも安くなるケースが一般的です(任意継続は保険料の上限があるため)。
また、健康保険の扶養者がいる場合は、引き続き、扶養者とすることができるため(国保に加入すると扶養していた方もそれぞれ保険料がかかるため)、やはり任意継続の方が保険料を抑えられることになります。

なお、厚生年金は任意継続の制度がないため、退職後は国民年金を納めることとなります。

保険の給付については、任意継続被保険者である間は、在職中の被保険者が受けられる保険給付と同様の給付を原則として受けることができますが、傷病手当金・出産手当金は、任意継続被保険者には支給されませんのでご注意ください(資格喪失後の継続給付を除く)。

退職後すぐに再就職しないなどの理由で、任意継続を希望する場合は、「健康保険任意継続被保険者資格取得申出書」を退職日の翌日から20日以内(20日目が土日、祝日の場合は翌営業日)の期限厳守で、保険者に提出する必要があります(郵送で申請される場合は、20日以内に必着)。
退職者はこういった手続きに不慣れなケースが多いため、期限が到来して、任意継続の手続きが出来なくなってしまうことを防ぐためにも、会社側からの丁寧な案内が必要と考えられます。

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出典:『退職後の健康保険加入のご案内』(協会けんぽHP)

※健康保険組合に加入の事業所の場合は、該当の健康保険組合で任意継続の手続きが必要

◆離職票の交付を迅速に行う
退職した従業員が失業給付を受けるためには、離職票をハローワークに持参し、手続きを行うことが必要です。 雇用保険の資格喪失の届出が遅れた場合には、退職者への離職票の交付が遅れ、離職者本人が失業給付の手続きを進めることできないため、必ず期限内に届出を行うよう注意しましょう。
離職票は3枚セットになっており、1枚目は会社保管、2枚目はハローワーク保管、3枚目を退職者に交付します。実務上は、本人から離職票の交付を希望しないというはっきりとした意思表示が無い限り、遅れの無いように手続きを行い、退職者に発行しておくことが無難な対応と考えられます。

また、失業給付の手続きは離職者本人が行いますが、事前にその流れを会社から案内しておくことでスムーズな手続きが可能となるでしょう。

☞「基本手当について」(ハローワーク インターネットサービス)

 >>> 詳しくはこちら


◆手続きは電子申請がおすすめ
社会保険(健康保険・厚生年金保険)や雇用保険の資格喪失手続きは、e-Govを活用し、インターネットで電子申請を行うことが出来ます。
電子申請のメリットは場所や時間を問わないということです。例えば、在宅勤務をしていても自宅から申請できたり、24時間365日オンラインで申請ができます。他にも、申請時に不備がないかといったシステムチェックや、処理状況・結果通知をPCで確認でき、データ管理も簡単に行うことができます。
電子申請を行うことができる労務管理のクラウドシステムの活用も広がっていることから、まだ利用していない会社は導入を検討してみてはいかがでしょうか。

☞「電子申請・電子媒体申請」(日本年金機構)

 >>> 詳しくはこちら

☞「雇用保険関係手続き電子申請のご案内」(厚生労働省)

 >>> 詳しくはこちら




KING OF TIME 情報


今回は、離職証明書の交付時に利用できるKING OF TIMEの機能をご紹介します。

◆ 離職票の交付に必要な書類と期限について
◆ KING OF TIME 勤怠管理で出勤簿を一括出力する方法
◆ KING OF TIME 人事労務でWEB給与明細書を出力する方法



離職票の交付に必要な書類と期限について

離職票を交付する場合は、ハローワークに会社から離職証明書を提出する必要があり、従業員の退職日の翌々日から10日以内に提出することが求められます。

・雇用保険被保険者資格喪失届(退職日の翌日から 10 日以内)
・離職証明書(3 枚複写)
・出勤簿又はタイムカード(退職日から遡って 12 ヶ月分)
・支給の内訳と交通費が分かる賃金台帳又は給与明細書(退職日から遡って 12 ヶ月分)
・退職理由の確認できる書類のコピー ※退職理由により提出書類が異なります

☞ 資格喪失届・離職証明書の交付に必要な書類
(厚⽣労働省・都道府県労働局・労働基準監督署リーフレット)

 >>> 詳しくはこちら

KING OF TIME 勤怠管理とKING OF TIME 人事労務では、これらの必要な書類のうち、出勤簿と給与明細の出力ができます。



KING OF TIME 勤怠管理で出勤簿を一括出力する方法

KING OF TIME 勤怠管理では、従業員単位でタイムカード(PDF)と日別データ(CSV)を最大 5 年分まで一括出力できます。こちらの機能は知る人ぞ知る便利機能ですが、1 名ずつの出力と限定されているため、離職証明書を提出する場合におすすめです。

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☞【エクスポート】数ヶ月分~数年分のデータを一括出力する方法(日別データ[CSV]、タイムカード[PDF])

 >>> 詳しくはこちら



KING OF TIME 人事労務でWEB給与明細書を出力する方法

KING OF TIME 人事労務では、WEB給与明細を発行すると従業員・管理者ともに発行した給与明細をPDF出力することができます。
従業員のWEB給与明細確認手順は以下の通りです。

1.KING OF TIMEにログイン > メニュー > 「従業員情報の確認と各種申請」をクリック

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2.人事労務のトップ画面 > 明細閲覧 > 該当の給与明細をクリック

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3.PDFでプレビューよりご確認ください。

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従業員は退職後、KING OF TIMEにログインできなくなります。従業員の退職後にWEB給与明細発行があった場合、管理者は給与明細をPDF出力し、送付するなどでご対応ください。

☞ 発行済みの給与明細はどこで確認できますか?

 >>> 詳しくはこちら



本記事が皆様のお役に立てれば幸いです。
今後もKING OF TIMEをご愛顧いただけますよう邁進してまいりますので、何卒よろしくお願いいたします。


監修元:社会保険労務士法人 ヒューマンリソースマネージメント

 
 
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