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裁量労働制の概要と勤怠管理の必要性|類似労働制度との違いや近年の法改正も解説

公開日:2025年12月2日(当記事の内容は公開時点のものです)

裁量労働制の概要と勤怠管理の必要性|類似労働制度との違いや近年の法改正も解説

裁量労働制は、あらかじめ「みなし労働時間」を定め、実際の労働時間にかかわらず、「みなし労働時間」に基づいた「みなし賃金」を支払う制度です。技術職や研究職など、一定の専門性を持つ職種で導入されることが多い制度ですが、労働時間や残業の管理方法に悩む担当者も少なくありません。勤怠管理が不要になるわけではないため、制度の性質やルールを正しく理解して運用することが求められます。
本記事では、裁量労働制の仕組みや類似の労働制度との違い、さらに裁量労働制における勤怠管理の重要性や運用ポイントについて解説します。

❖ 裁量労働制とは?
❖ 裁量労働制の種類と対象となる職種
❖ 裁量労働制と似た労働制度との違い
❖ 裁量労働制のメリットとデメリット
❖ 裁量労働制における勤怠管理の必要性
❖ 裁量労働制の勤怠管理を適切に運用する3つのポイント
❖ 裁量労働制の導入体制づくりに勤怠管理システムが適している理由
❖ 裁量労働制の勤怠管理ならKING OF TIME!
❖ 勤怠管理体制を整えて裁量労働制をスムーズに運用しよう

裁量労働制とは?

裁量労働制の大きな特徴の1つが、労働者自身が業務の進め方や勤務時間の配分、開始・終了時刻などを自分で決められることです。こうした裁量を前提として、賃金は実際の労働時間ではなく、あらかじめ取り決めた「みなし労働時間」を基準に支払われます。これにより、時間の使い方を柔軟に調整しながら働くことが可能となっています。

(例)
みなし労働時間:8時間
実労働時間:10時間
支払われる賃金:あらかじめ定めた8時間分

ただし、すべての業種で自由に導入できるわけではなく、後述する、厚生労働省が定める対象の職種や業務にのみ適用できます。

◇ 裁量労働制における労働時間の考え方
先述のとおり、裁量労働制では所定の労働時間をあらかじめ定め、実際の労働時間に関係なく、その時間働いたものとみなして賃金を計算します。

先ほどの例では、「みなし労働時間」が8時間に対し10時間働いても、支払われる賃金は8時間分と解説しました。反対に、実際には5時間しか働いていなくても、同じように8時間分の労働として扱われます。従業員は「今日は多めに進めておこう」「今日は早めに切り上げよう」と調整できるのです。

つまり、裁量労働制は原則として「残業」の概念がない制度設計といえます。労働時間よりも、能力や成果によって評価される働き方です。

◇ 裁量労働制における時間外労働の考え方
裁量労働制には残業の概念はありませんが、時間外労働や深夜労働などに対する割増賃金は発生します。
まず、法定労働時間は1日8時間、週40時間と定められており、これを超えた部分は時間外労働として扱われます。例えば、「みなし労働時間」を1日9時間に設定されている場合、法定労働時間を上回る1時間分は割増賃金の対象です。また、深夜労働(22時~翌5時)や法定外休日の労働も割増賃金の対象となります。

そのため、「みなし労働時間」での賃金計算だからといって日数だけカウントすれば良いということはなく、労働時間の把握が欠かせません。

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裁量労働制の種類と対象となる職種

裁量労働制イメージ1

裁量労働制には、「専門業務型」と「企画業務型」の2種類があります。それぞれ対象となる職種や業務、導入に必要な条件が異なるため、制度を活用する際は自社の業務に合致するか慎重に検討することが重要です。

◇ 専門業務型裁量労働制
専門業務型裁量労働制の対象となるのは、業務の性質上、その進め方などを労働者の裁量に委ねる必要がある業務です。厚生労働省では次の20種類を対象としています。

・新商品または新技術に関する研究開発・人文科学または自然科学に関する研究などの業務
・情報処理システムの分析または設計業務
・新聞または出版の事業、放送番組制作のための取材や編集業務
・衣服、室内装飾、工業製品、広告等の新たなデザインを考案する業務
・放送番組、映画等のプロデューサーまたはディレクター業務
・コピーライターの業務
・システムコンサルタントの業務
・インテリアコーディネーターの業務
・ゲーム用ソフトウェアの創作業務
・証券アナリストの業務
・金融工学等に基づく金融商品開発業務
・大学での教授研究の業務
・M&Aアドバイザーの業務
・公認会計士の業務
・弁護士の業務
・建築士の業務
・不動産鑑定士の業務
・弁理士の業務
・税理士の業務
・中小企業診断士の業務

なお、導入には、過半数労働組合または過半数代表者との労使協定の締結が必要です。

 参考: 専門業務型裁量労働制について|厚生労働省

◇ 企画業務型裁量労働制
企画業務型裁量労働制の対象業務は、事業運営にかかわる企画、立案、調査、分析など、事業の中核となる業務です。なかでも、業務の進め方や時間配分について、労働者の裁量に委ねる必要がある性質の業務に適用されます。また、制度を導入する際は労使委員会を設置し、委員8割以上の賛成が必要です。
労働者に裁量が委ねられるため、単に経験や能力があるだけではなく、セルフマネジメント能力や主体性、責任感がある人材に適用する必要があるでしょう。

 参考: 企画業務型裁量労働制について|厚生労働省

◇ 2024年(令和6年)4月の改正
2024年4月の法改正により、専門業務型、企画業務型いずれの裁量労働制でも、制度適用には労働者本人の同意を得ることが必須となりました。さらに、これまで企画業務型でのみ義務とされていた「健康・福祉確保措置」が、専門業務型にも拡充されました。
健康・福祉確保措置には、勤務間インターバルの確保、深夜労働の回数制限、労働時間が一定時間を超過した場合に制度の適用を解除する措置などが該当します。

また、企画業務型では、労使委員会の運営規程に記載する項目が増え、賃金・評価制度の説明や適正な制度の運用の確保が求められるほか、労使委員会や定期報告の頻度も変更となりました。

 参考: 裁量労働制の導入・継続には新たな手続きが必要です|厚生労働省

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裁量労働制と似た労働制度との違い

裁量労働制と似た働き方には次のような制度が挙げられます。

・フレックスタイム制度
・高度プロフェッショナル制度
・変形労働制
・事業場外みなし労働時間制

それぞれの特徴や違いは次の表のとおりです。

制度 概要 労働時間の考え方 割増賃金の有無 おもな対象 その他の特徴
裁量労働制 業務の進め方や時間配分を労働者の裁量に委ねる制度 実労働時間ではなく「みなし労働時間」で計算 深夜・休日労働には割増賃金が必要 専門職(弁護士、研究職など)や企画職 本人同意が必要、成果主義的な働き方が可能だが長時間労働化のリスクあり
フレックスタイム制度 労働者が始業・終業時刻を選べる柔軟な制度 実労働時間を集計して清算期間内で調整 所定の労働時間を超えた分は割増賃金が発生 幅広い職種で導入可能 コアタイム(勤務必須時間)を設定する場合がある
高度プロフェッショナル制度 高度専門職に適用される労働時間規制を除外する制度 労働時間の規制なし(労働時間管理から完全除外) 原則なし(深夜・休日労働も対象外) 高度専門職(金融ディーラー、アナリストなど) 年収要件や本人同意が必要、健康確保措置が義務
変形労働制 一定期間内で平均して法定労働時間を満たせば良い制度 1日・1週間の労働時間を柔軟に配分 法定労働時間を超えた分には割増賃金が必要 繁閑のある業務 法定労働時間を1か月単位・1年単位で調整可能
事業場外みなし労働時間制 実労働時間の把握が難しい業務に適用 あらかじめ定めた「みなし労働時間」で計算 深夜・休日労働には割増賃金が必要 外回り営業・出張など労働時間の把握困難な業務 裁量労働制と異なり「場所」が基準で業務裁量性は問われない

 参考: フレックスタイム制のわかりやすい解説&導入の手引き|厚生労働省
 参考: 高度プロフェッショナル制度について|厚生労働省
 参考: 1年単位の変形労働時間制|厚生労働省

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裁量労働制のメリットとデメリット

裁量労働制イメージ2

裁量労働制の導入は、働き方や業務運営にさまざまな影響をもたらします。制度を導入することで得られる効果と、知っておくべきポイント、注意点を整理しておきましょう。

◇ 裁量労働制のメリット
裁量労働制は出退勤の自由度が高く、専門性を活かしながら自分のペースで仕事を進められることが大きなメリットです。時間に縛られない働き方が可能なため、効率的に業務を遂行でき、生産性やモチベーションの向上にもつながります。結果として、ワークライフバランスを整えやすくなる点もメリットです。
また、自律的な働き方が求職者を引きつけ、優秀な人材を確保できる可能性が高まります。加えて、企業側にとっても、労働時間の管理負担を軽減できる点がメリットです。基本的には「みなし労働時間」に沿った賃金計算になるため、人件費の目途が立てやすくなるでしょう。

◇ 裁量労働制のデメリット
一方で、裁量労働制は「みなし労働時間」を前提としているため、実際の労働時間が見えにくくなるという課題があります。適切な勤怠管理を行わなければ、長時間労働や過重労働につながるリスクがあり、心身の不調や離職の原因になることもあるでしょう。
さらに、成果重視の働き方にプレッシャーを感じてしまう人もいるでしょう。個人の裁量が大きいため、チームでの業務調整が難しくなるケースも想定されます。

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裁量労働制における勤怠管理の必要性

賃金の計算のベースが実労働時間ではなく「みなし労働時間」の裁量労働制ですが、勤怠管理が不要になるわけではありません。特に次の3点において、勤怠管理は重要な役割を持っています。

◇ 1.労働時間を客観的に把握できる
2019年の働き方改革関連法で、客観的な方法での労働時間把握が義務化され、勤怠管理システムなどを活用した出退勤時間の記録が求められます。
裁量労働制では勤務時間の自由度が高い分、無理をしすぎる従業員が出る可能性もあります。健康上のリスクや賃金に関するトラブルにつながりかねません。日々の勤怠管理によって労働時間を把握することは、法定労働時間を超えて働かないよう管理するうえで重要であり、こうしたリスクの回避にも役立ちます。

 参考: 客観的な記録による労働時間の把握|厚生労働省

◇ 2.過重労働を防止し従業員の健康を守れる
企業には従業員の健康を守る義務があります。これは裁量労働制という自律主体性の高い働き方であっても等しく対象で、定期健康診断の実施や勤務間インターバル制度の導入、健康相談窓口の設置などの健康・福祉確保措置を講じる必要があります。
過重労働を未然に防ぐためには、勤怠管理を通じて実際の労働時間や業務負担状況を把握することが重要です。

◇ 3.割増賃金の計算・支払いができる
先述のとおり、裁量労働制には残業の概念はないものの、時間外労働や深夜労働、休日労働に該当する場合は、割増賃金を支払う必要があります。割増賃金の計算のためには、正確な勤怠管理が不可欠です。管理が不十分だと割増賃金の未払いなど、法令違反や従業員とのトラブルに発展しかねないため、注意が必要です。

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裁量労働制の勤怠管理を適切に運用する3つのポイント

勤怠管理働き方改革イメージ3

裁量労働制を導入した後、付随業務や勤怠管理をスムーズに行うためのポイントを3つ紹介します。

◇ 1.実際の労働時間を把握する仕組みを作る
ここまで述べたとおり、裁量労働制の運用においても労働時間を正確に把握することは不可欠です。パソコンのログやICカード打刻など、客観的なデータを活用して労働時間を記録する仕組みを整えましょう。労働時間の把握は、法令遵守だけでなく、従業員の健康を守るためにも重要です。割増賃金が発生していない場合でも、みなし労働時間との乖離を確認することで、長時間労働が生じていないかチェックできます。

◇ 2.深夜労働や休日労働は事前承認制にする
裁量労働制で割増賃金が発生するおもなケースは、深夜労働や休日労働です。しかし、労働時間の把握が難しいことから、これらの労働が確認できず未払いが生じるリスクがあります。リスクを回避するため、深夜労働や休日労働については事前承認制の導入が望まれます。

◇ 3.労使委員会で運用状況の確認を実施する
企画業務型裁量労働制を導入する場合は、労使委員会を設置し、委員会で運用状況の定期確認を実施する必要があります。定期報告も義務付けられており、初回は6か月以内に1回、以降は1年以内ごとに1回、所定の様式で所轄労働基準監督署へ提出しなくてはなりません。
おもな報告内容には、対象者の労働時間の状況や、健康・福祉確保措置の実施状況、対象者の同意および撤回の状況などが含まれます。

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裁量労働制の導入体制づくりに勤怠管理システムが適している理由

勤怠管理システムを活用すれば、労働時間や休日労働、深夜労働の自動集計が可能です。また、残業アラートを通知する機能により、残業時間の上限に達する前に知らせることができ、長時間労働の抑止にもつながります。
さらに、時間外労働や休日労働、休暇取得などの事前申請および承認を勤怠管理システム上で実施できるため、事前承認制の導入も円滑に進められます。有給休暇の取得状況も確認できるため、健康・福祉確保措置の適切な運用にも役立つでしょう。

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裁量労働制の勤怠管理ならKING OF TIME!

クラウド型勤怠管理システムのKING OF TIMEでは、雇用区分ごとに「裁量労働制」を設定でき、「みなし労働時間」に応じた労働時間の計上が可能です。深夜時間帯に打刻すると、自動的に深夜労働として計上され、割増賃金計算に自動反映されるため、割増賃金の未払いリスクを回避できます。
打刻方法は、パソコンのログ、ICカード、生体認証などさまざまな方法から選択でき、高度プロフェッショナル制度やフレックス制度に対応した機能も備えているため、多様な働き方に柔軟に対応できます。定期的なバージョンアップにより法改正にも迅速に対応できるため、常に法令に則った運用が可能です。

導入費用無料、月額コストが1人当たり300円と導入しやすく、30日間無料体験もあるため実際に操作を試してから導入を決められる点も魅力です。

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勤怠管理体制を整えて裁量労働制をスムーズに運用しよう

裁量労働制は、労働時間の自由度が高い一方で、勤怠管理が課題になりやすい働き方です。過重労働の防止や従業員の健康維持のためには、労働時間の把握が欠かせません。勤怠管理システムを導入すれば、労働時間の自動集計によって管理の手間を大幅に軽減できます。KING OF TIMEの勤怠管理システムが提供する裁量労働制対応の機能を有効活用し、制度を正しく運用して、従業員の健康と企業の生産性を守りましょう。

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