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【5分でざっくりわかる】労務監査のキホン

公開日:2023年7月20日(当記事の内容は公開時点のものです)

監修:社会保険労務士法人 ヒューマンリソースマネージメント
特定社会保険労務士 馬場栄 
監修:社会保険労務士法人
ヒューマンリソースマネージメント
特定社会保険労務士 馬場栄 


【5分でざっくりわかる】労務監査のキホン

今週のピックアップ

【労務情報】
◆ 労務監査は会社の「健康診断」
◆ 労務監査とは
◆ ex.労務監査のチェックポイント/就業規則
◆ ex.労務監査のチェックポイント/労働時間管理
◆ よくある誤り

【KING OF TIME 情報】
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労務監査は会社の「健康診断」

情報通信業のF社に務めるEさんは、F社の規模拡大に伴ってバックオフィス部門を強化するため、管理部の管理職として採用された中途入社の社員です。
Eさんは前職でも管理部門で労務管理の仕事を行っていたことから、労働基準法や社会保険等について一定の知識を有していました。
現在のF社の状況は、必要な規程が整備されていなかったり、労働基準法に違反する労働時間管理を行っていたりと、Eさんは何から手を付けていいのか日々頭を悩ましていました。

■ F社が行っている労基法に違反する運用
・36協定を締結する際の労働者代表を会社側で選任している。
・就業規則が法改正に対応できておらず、何年も見直しを行っていない。
・1か月単位の変形労働時間制を採用しているが、業務の都合にあわせて頻繁にシフトの変更を行っている。
・日々の労働時間を15分間単位で端数切捨て処理している。
・労働者性の強い各部門の課長職も「管理監督者」扱いとしており、残業代を支払っていない。
・年次有給休暇を年5日取得出来ていない社員が多い。

Eさんは、上記の問題をどうにか解消していきたいと思っていましたが、まずは現状を把握することが最優先だと考えていました。そこで、知人から紹介してもらった社会保険労務士のBさんに「労務監査」について相談に行きました。

社労士Bさん: 「御社の現在の状況は、労務管理上の問題が多そうです。対応策を検討するためにも、どの程度の違反があるのか、現状把握することが最重要と考えます。会計監査と異なり、労務監査は任意のため、実施している会社は多くはありませんが、まずは会社の状況を可視化することで、今後の労務トラブルの予防にもつながるでしょう。」

Eさん:
「どれくらいの指摘を受けるかわかりませんが、会社の健康診断だと思って、まずは労務監査を受けてみたいと思います。」

労務監査とは

労務監査とは、企業で労働社会保険諸法令に違反がないかどうかを確認するものです。 労務監査は企業に法律上義務付けられているものではありませんが、M&AやIPOに向けて自社の労務リスクを把握したい企業や、会社規模の拡大に伴って、外部の目で自社の状況をチェックしたい企業などが監査を受ける傾向にあります。

IPO審査時に労務管理で重要視されるのは以下のような点といわれています。
■ 未払い賃金がないか
割増賃金の計算方法、管理監督者の適用、不適正な定額残業制度、不適正な勤怠端数処理、最低賃金、歩合給(インセンティブ)に対する残業代

■ 労働時間の適正な把握ができているか
ガイドラインに則した客観的な方法による時間把握

■ 就業規則がきちんと整備され、かつ実際に運用されているか
最新の法改正内容の反映、雇用区分ごとの就業規則整備

■ 働き方改革関連(時間外上限規制・年休5日取得 等)
時間外上限規制や36協定の範囲内での残業、年休5日取得義務と年休管理簿、長時間労働者に対する医師面接指導

労務監査の項目は多岐にわたります。
前述の労働基準法関係以外にも、以下のようなものがあります。
■ 安全衛生法に関する事項
安全衛生管理体制、安全・衛生基準、健康診断の実施と事後措置など

■ 男女雇用機会均等法に関する事項
母性健康管理、性差別、ハラスメント対応など

■ 労働者派遣法・職業安定法に関する事項
派遣管理、高年齢者の雇用、外国人の雇用など

■ 労働保険・社会保険に関する事項
労災保険・雇用保険の適正な加入、健康保険・厚生年金保険の適正な加入など

【労務監査のおおまか流れ】
(1)事前準備
監査範囲、スケジュールの決定
(2)労務監査の実施
書面審査、実地調査、ヒアリング
(3)労務監査報告
監査結果の報告、対応策の検討、課題の改善

次のパラグラフで、労務監査のチェックポイントの一部をご紹介いたします。

ex.労務監査のチェックポイント/就業規則

【監査ポイント】
・就業規則は法律に沿った内容となっているか
・就業規則の周知
・就業規則の届出


就業規則は、労働者の賃金や労働時間などの労働条件に関すること、職場内の規律などについて定めたもので、常時10人以上の労働者を使用する使用者(企業単位ではなく事業場単位)は、就業規則を作成しなければならないとされています。
また、就業規則は労働者に周知されていることが必要な要件です。

就業規則の内容は、法定の記載事項が規定されているか、法令に違反している規定はないか、規定と運用が合致しているかといった観点から確認を行います。
就業規則には、必ず記載しなければならない事項と、事業場で規定をする場合に記載しなければならない事項が定められています。それぞれを「絶対的必要記載事項」と「相対的必要記載事項」と呼んでいて、この事項が漏れなく適正に記載されているかがチェックポイントになります。

〈 絶対的必要記載事項 〉
① 始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇並びに交替制の場合には就業時転換に関する事項
② 賃金の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項
③ 退職に関する事項(解雇の事由を含む。)

〈 相対的必要記載事項 〉
① 退職手当に関する事項
② 臨時の賃金(賞与)、最低賃金額に関する事項
③ 食費、作業用品などの負担に関する事項
④ 安全衛生に関する事項
⑤ 職業訓練に関する事項
⑥ 災害補償、業務外の傷病扶助に関する事項
⑦ 表彰、制裁に関する事項
⑧ その他全労働者に適用される事項

また、正社員用の就業規則は作成していて、有期契約社員等に対する就業規則を作っていない企業もありますが、正社員と有期契約社員等で就業ルールや待遇等を分けたい場合は、それぞれ就業規則を作成する必要があるため、そういった点もチェックポイントとなります。

ex.労務監査のチェックポイント/労働時間管理

【監査ポイント】
・労働時間・休憩・休日は適法に運用されているか
・労働時間の把握・記録は適正に行われているか


労務監査では、賃金台帳などの法定帳簿で、時間外労働や休日労働時間数が適正に記録されていることの確認や、それらが時間外・休日労働に関する協定届(以下、36協定)の限度時間や日数の範囲内となっているかを確認します。 とくに、上限規制を超える時間外・休日労働が行われることがないように適切な労働時間管理が行われているかは重要な確認ポイントになります。
また、残業や休日労働が行われている場合は、36協定の締結と労働基準監督署へ届出が行われているかもチェックポイントになります。

労働時間の適正な把握が行われているかは、未払い賃金が発生していないかを調べるためにも、労務監査において重要な確認項目とされています。
厚生労働省の「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」によると、労働時間の適正な把握のための原則的な方法としては、
① 使用者が、自ら現認することにより確認すること
② タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間の記録等の客観的な記録を基礎として確認し、適正に記録することとされています。

やむを得ず自己申告制で労働時間を把握している場合は、 自己申告を行う労働者や、労働時間を管理する者に対しても自己申告制の適正な運用等ガイドラインに基づく措置等について、十分な説明を行っていることが必要です。

よくある誤り

労務監査を行った際に指摘事項となりやすい、企業でよくある誤った運用例をいくつかご紹介します。

■ 週の残業集計を行っていない
勤怠管理システムを導入して勤怠管理を行う企業は増えてきましたが、正しく設定が行われないまま、残業集計を行っているケースがあります。1日8時間を超過した時間は残業としていても、週40時間を超えた時間を残業として集計する設定がなされていない企業が散見されますので、担当変更があった際などは注意して確認してみましょう。

■ 振替休日が正しく運用されていない
普段労務相談をお受けする企業でも、振替休日を正しく理解して運用している企業はほとんどない印象です。本来は代休なのに、振替休日として運用していると、気づかないうちに未払いの残業代が発生している可能性がありますので注意が必要です。

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■「管理監督者」だから労働時間管理を行っていない
2019年4月に労働安全衛生法が改正され、管理監督者についても、会社は健康管理という観点で、労働時間の把握が義務化されています。なお、労働基準法の管理監督者に該当したとしても、深夜時間帯(22時から翌日5時)に働いた場合は、深夜割増(25%)を支払う必要がありますのでご注意ください。

コンプライアンスの意識の高い企業には人が集まり、業績向上につながると考えられます。自社のコンプライアンス遵守の状況を把握し、労務トラブルを抑制するためにも労務監査の実施を検討してはいかがでしょうか。




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本記事が皆様のお役に立てれば幸いです。
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監修元:社会保険労務士法人 ヒューマンリソースマネージメント

 
 
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