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労務情報

そうだったのか!?時間把握・管理のよくある勘違い ~思わぬトラブルが起きる前に。転ばぬ先の杖~

公開日:2021年10月21日(当記事の内容は公開時点のものです)

監修:社会保険労務士法人 ヒューマンリソースマネージメント
特定社会保険労務士 馬場栄 
監修:社会保険労務士法人
ヒューマンリソースマネージメント
特定社会保険労務士 馬場栄 


そうだったのか!?時間把握・管理のよくある勘違い ~思わぬトラブルが起きる前に。転ばぬ先の杖~

今週のピックアップ

【労務情報】
◆労働時間管理を改めて確認すべき背景
◆改めて労働時間とは?
◆労働時間管理が不要という勘違い
◆在宅勤務の労働時間の把握方法
◆兼業、副業時に注意すべき労働時間の管理


【KING OF TIME 情報】
◆アラート設定とは
◆残業時間をわかりやすく表示するには
◆通知機能とは
☞ KING OF TIME 情報は 《 こちら 》


労働時間管理を改めて確認すべき背景

労働時間を適正に把握し、時間外等の労働時間数を会社が導入する労働時間制(1か月変形労働時間制やフレックス制など)のルールにそって正しく集計することは、給与の未払い防止や時間外上限規制への対応、社員の健康確保等において大切なポイントです。

働き方改革の推進により、会社だけでなく社員の方々においてもこれらに対する意識・関心が高まっています。

労働基準監督署の監督でも、残業代の未払いや過重労働の是正だけでなく、これらの元となる労働時間の把握をガイドラインにそってきちんと行っているかという点も注視していると見受けられます。

加えて、民法改正(2020年4月~)に伴い、労働基準法上の賃金請求権の消滅時効期間が2年から5年(当分の間は3年)に延長されました。これにより、例えば、誤った労働時間の管理で未払いが出ていた場合、年数が長いほどその累積額も大きくなるため、未払い残業代請求をされた場合の影響も大きくなりえます。

また、リスクマネージメントの観点だけでなく、在宅勤務や副業・兼業など多様な働き方を進めるうえで、今まで以上に丁寧な労働時間の把握・管理が必要になると言えるでしょう。


改めて労働時間とは?

労働基準法が定義する労働時間とは、労働者が「使用者の指揮命令下に置かれている時間」のことを言います。
これは客観的にみて、労働者の行為が使用者の指揮命令下に置かれたものと評価できるか否かによって決まるため、就業規則や労働契約等で、例えば、業務のための準備など特定の行為を労働時間に含めないと定めてあるからと言って、そのまま労働時間に含めないとすることはできず、丁寧に実態を把握し判断する必要があります。

例えば、次のようなケースに要する時間は、会社が定めた始業時刻前、終業時刻後であっても労働時間となりえますので注意が必要です。

・作業前後に更衣室で着替えることが義務付けられている着替え
・会社の指示により行われる朝礼、ミーティング、準備運動
・作業上必要な清掃や機械点検、業務引継ぎなど
・会社指示による研修の受講、勉強会への参加
・残業申請がなくても会社が認識している残業
・会社に立ち寄ったうえで客先に訪問することが義務付けられている場合、会社から客先への移動
・休憩時間の来客対応や電話番

例えば、研修などについては、どういったものが会社の指示によるもので労働時間として取り扱うか、社員の任意のもので労働時間としては取り扱わないか、着替えや準備時間については、いたずらに長くならないようルールを定めるとともに、例えば、残業申請制については、定めたルールをきちん運用することがポイントです。

労働時間管理が不要という勘違い

■管理監督者に関する誤解

管理監督者とは、労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にある者のことを言います。そのため、労働時間等に関する規制を適用することがなじまないことから、労働基準法第41条によって労働時間・休憩・休日の適用が除外されており、結果、残業代の支払いが不要ということになります。

会社における管理職や役職者が必ずしも管理監督者になるとは言えず、残業代の支給が必要となる場合がありますので注意が必要です。具体的には、以下の4つの要件で実態から判断します。

(1)経営者と一体性がある(経営会議等に参加し、かつ発言権がある)
(2)人事考課権がある(部下の昇給・昇格、採用権などがある)
(3)出退勤について裁量がある(遅刻・早退等控除やマイナス評価されない)
(4)職務や職責に見合う待遇である(一般的な社員と比べ相当の待遇差がある)

なお、労働基準法の管理監督者に該当したとしても、深夜時間帯(22時から翌日5時)に働いた場合は、深夜割増(25%)を支払う必要があります。また、2019年4月に労働安全衛生法が改正され、管理監督者についても、会社は健康管理という観点で、労働時間の把握が義務化されています。

<参考>労基法で考えている管理監督者とは(過去ブログ)
 >>> 詳しくはこちら

■定額残業制に関する誤解

定額残業制(固定・前払い・みなし残業制などとも呼ばれます。)とは、本来、残業代は残業時間数に応じた金額を算出し支払うのに対し、あらかじめ一定時間数の残業代を定額で支給する制度です。

定額残業制に関して、よくある間違いとしては、実際の残業時間数に応じた残業代が定額残業代を超えても追加の支払いをしないことです。また、定額残業制だから労働時間の把握もしなくていいと誤解されているケースも見受けられます。

定額残業制は任意の制度で、これを導入したからといって、会社の残業代支払いの義務や労働時間の把握義務が免除されるわけではありません。むしろ、労働時間をきちんと把握し、実際の残業時間数に応じた残業代が定額残業代を超える場合は、その差額を支払わなければ、定額残業制そのものが否定される恐れもあります。
定額残業制が否定されないためには、その他、賃金規程に定額残業手当の定義をしっかり定めること、雇用契約書等に定額残業代の金額、相当する残業時間数を明記するなど必要です。

<参考>意外なところに落とし穴?定額残業制のポイント(過去ブログ)
 >>> 詳しくはこちら

■年俸制に関する誤解

年俸制は、日給制や月給制などと同じく、給与の決め方や支払い方の1つの方法であり、こちらも年俸制だからと言うことで、残業代の支払いや労働時間の把握義務が免除されることはありません。

役員や個人事業主とは違い、一般の社員であれば、給与の決め方や支払い方に関わらず、労働時間の把握や必要に応じて残業代の支払いが必要です。

さらに、同じ年収400万(月額30万×12か月+賞与20万×2回)でも、年俸制と月給制では、支払う残業代は年俸制の方が高くなる場合があります。なぜなら、年俸制の残業代の時間単価は、賞与部分の支払額も含め計算するため、賞与部分を含めなくてもよい月給制の残業代の時間単価と比べて高くなるためです。

残業代対策のつもりが、逆に高い残業代を支払うことになることもあるため注意が必要です。

<参考>確かめよう労働条件(厚生労働省)
 >>> 詳しくはこちら

在宅勤務の労働時間の把握方法

コロナの影響により在宅勤務制度を一時的にでも導入した会社は多いと思います。
在宅勤務を導入した会社では、どのように時間管理すればよいか分からないなどの理由で、時間管理をあきらめるは言い過ぎかも知れませんが、とりあえず、みなし労働制やフレックス制としたり、社員まかせにしている会社も見受けられます。

在宅勤務だからと言って、必ずしも時間の把握や管理が行えないと言うことはありません。 労働時間の把握・管理方法としては、どの時間帯に何の仕事をしていたかを報告させるというタスク管理による方法があります。ただ、社員の負担になり過ぎないように、アプリケーションソフトを使うなどの工夫も必要でしょう。

また、在宅勤務導入前からタスク管理をしていなかった場合には、社員から「信用されていない気がする」などの反発を受けてしまう可能性もありますので、モチベーション維持にも配慮しつつ、必要性や有用性を丁寧に説明し、実施させるとよいでしょう。

その他には、労務管理ツールで、PCのログイン、ログオフ状況を把握する方法や、オンライン会議システムを常時接続し(音声のみ等、プライバシーへの配慮は必要)、常にコミュニケーションが取れる環境にしておくといった方法もあります。

いずれの方法が合うか、会社の状況や風土に馴染むかどうかと言うところもポイントとなりますので、そうした観点からも検討するとよいでしょう。

とりあえず導入した制度の要件と実態がずれている場合には、制度の適用が否定される場合もあります。 在宅勤務の場合、長時間労働になってしまう恐れもあり、健康への影響や見えない残業が累積していることも懸念されるため、むしろ積極的に労働時間を把握・管理、ベースとなるルール決めをしておく(そのうえで必要に応じ適切な制度を導入する)ことが大切と考えます。

<参考>在宅勤務における労務管理のポイント(その1)(過去ブログ)
 >>> 詳しくはこちら

<参考>在宅勤務における労務管理のポイント(その2)(過去ブログ)
 >>> 詳しくはこちら

<参考>フレックスタイム制を検討する際のポイント (過去ブログ)
 >>> 詳しくはこちら

兼業、副業時に注意すべき労働時間の管理

厚生労働省では、「働き方改革実行計画」をベースに、副業・兼業の普及促進を図っています。2018年に、そのガイドラインが作成(2020年に改定)され、モデル就業規則もガイドラインの作成・改定に合せて、副業・兼業についての規定を新設・改訂されました。

会社も多様な働き方の1つとして、副業を認めていこうと考えていく会社もあるかと思います。

副業を行った場合の労働時間は、本業、副業先の労働時間を通算する必要があります。そのため、1日の労働時間が合わせて8時間を超えた場合は残業代の支払いが発生します。

その残業代(割増分)をどちらが負担するかについては、労働契約をどちらが先に結んだかによりますので、一般的には副業先で負担することになります。ただし、次のようなケースでは、本業の会社でも残業代(割増分)を負担する必要が生じます。つまり、副業を認める場合(送り出すにしても受け入れるにしても)、労働時間の把握・管理は、自社における労働時間だけでなく、副業先で働いている労働時間についても行っておく必要があるため、そうした点も踏まえ、制度導入の検討を進めましょう。

例)ある日について、本業の所定労働時間が7時間、副業先での所定労働時間が1時間であることを本業の会社が把握している状況で、本業の会社が1時間残業させた場合



<参考>コロナをきっかけに「副業」の注目度がUP?!(過去ブログ)
 >>> 詳しくはこちら

労働時間の把握や管理については、会社の取扱いが適切であったとしても、社員がきちんと理解していないと無用なトラブルが生じる恐れもあるため、就業規則などで、会社の労働時間の取扱いやその合理性を社員に分かりやすく示しておくとよいでしょう。



KING OF TIME 情報


前回に引き続きアラート機能活用について、利用例をお伝えいたします。 アラート機能を活用することにより、テレワークなどで勤務している従業員の勤務状況把握にお役立てください。

◆アラート設定とは
◆残業時間をわかりやすく表示するには
◆通知機能とは

アラート設定とは

「日別」「週別」「月別」にて一定の「時間数」または「日数」を超過した集計項目について、わかりやすく判断がおこなえるように、色をつけることができる機能です。

☞ 一定の数値を超過している、あるいは不足している勤怠を抽出・確認することはできますか?

 >>> 詳しくはこちら

残業時間をわかりやすく表示するには

例として、残業20h超過のアラート設定をご紹介いたします。

1年単位の変形労働設定

1:アラート名として管理しやすい名称にて設定してください。
2:対象期間については「月別」単位での閾値を設定します。
3:対象勤怠については「残業」「深夜残業」を含めて設定します。

1年単位の変形労働設定
1年単位の変形労働設定

4:アラート対象時間については合計「20時間超過」と設定します。
5:表示色については任意で配色が可能です。
6:対象となる「雇用区分」「所属」の設定が可能です。

上記設定により残業時間合計が20hを超えた正社員のタイムカードに対して、
アラートにて色を付けることが可能です。

上記アラート設定した際の管理者画面
例)所属:本社 / 雇用区分:正社員 対象従業員:勤怠太郎
対象期間:2021/09/01~09/30
対象アラート:月間残業時間20h超過
アラート色:黄色

1年単位の変形労働設定

1:管理者画面では設定したアラート超過を対象者として絞り出し確認が可能です。
2:選択しているアラート条件詳細が表示されます。
3:実際の勤務時間からアラート対象となっている従業員に対して色が付くため、
一覧ですぐに確認いただけます。残業30h超過、残業40h超過など細かく設定されることを推奨いたします。

通知機能とは

アラート設定で作成した内容に対して、メール通知が可能な機能です。

☞ 勤務が一定時間、日数を越えた場合、メールで通知することはできますか?

 >>> 詳しくはこちら


本記事が皆様のお役に立てれば幸いです。
今後もKING OF TIMEをご愛顧いただけますよう邁進してまいりますので、何卒よろしくお願いいたします。


監修元:社会保険労務士法人 ヒューマンリソースマネージメント