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労務情報

即実践できる!導入すると従業員に喜ばれる「時間単位の年次有給休暇」のいろは

公開日:2023年7月6日(当記事の内容は公開時点のものです)

監修:社会保険労務士法人 ヒューマンリソースマネージメント
特定社会保険労務士 馬場栄 
監修:社会保険労務士法人
ヒューマンリソースマネージメント
特定社会保険労務士 馬場栄 


即実践できる!導入すると従業員に喜ばれる「時間単位の年次有給休暇」のいろは

今週のピックアップ

【労務情報】
◆ 年次有給休暇を「時間単位」で取れると何ができるようになる?
◆ 時間単位の年次有給休暇を導入するためには?
◆ [ 導入編 ] 導入にあたってどんなことに気を付ければいいの?
◆ [ 番外編 ] こんな時はどうすればいいの?

【KING OF TIME 情報】
◆ 有休の初回付与日を従業員ごとに日付指定できるようになりました
◆「深夜所定外」を「深夜所定」として計上できるようになりました
☞ KING OF TIME 情報は 《 こちら 》


年次有給休暇を「時間単位」で取れると何ができるようになる?

近年、女性の社会参画が進み育児をしながら働く方や、高齢化社会で介護をしながら働く方などが増えてきており、子供の病院付き添い、親の介護などで仕事を途中で抜けざるを得ないといった悩みを持つ方も多くなりました。
そんな時、年次有給休暇を使いたいけど、1時間や2時間のために半日や1日の年次有給休暇を使うのはもったいない、結局子供の看病で年次有給休暇が消えてしまう…そんなこともしばしば。
また、週末は病院が混雑する…、役所の手続きが…など平日にしかできないことも多くあるのが現実です。混雑を避けて時間が使えるとより効率的に過ごせるようになるはずです。

そんなお悩み解決の一助となり、ES(Employee Satisfaction=従業員満足度)を向上させるテーマとして、年次有給休暇の「時間単位」取得について取り上げさせていただきます。

時間単位の年次有給休暇(以下、時間単位年休)については、すでに広く知られていますが、導入するにはハードルが高いイメージがあるかと思います。
・就業規則に定めるだけでいいの?
・時間単位での管理が大変そう…
・管理簿のレイアウトを変える手間が…
などで導入を踏みとどまっている会社様が多いと感じます。たしかに導入する際に、決めなければならないルールがいくつかありますが、ポイントを抑えれば問題はありません。

導入すれば、従業員の皆さまに確実に喜ばれる「時間単位の年次有給休暇」について解説していきます。

時間単位の年次有給休暇を導入するためには?

就業規則への記載および労使協定の締結が必要です。
♦ 就業規則への記載内容
 ① 対象の従業員の範囲
 ② 1日の年次有給休暇に相当する時間数
 ③ 利用単位(1時間単位or2時間以上の単位など)
 ④ 時間単位年休に支払われる賃金の扱い
 ⑤ その他取り扱い
 例)上記以外の事項については、前条の年次有給休暇と同様とする…など

♦ 労使協定の締結(労働基準監督署への届出は不要)
 ① 対象の従業員の範囲
 ② 時間単位で取得できる日数の上限(5日以内の範囲)
 ③ 1日分年次有給休暇に相当する時間単位年休の時間数
 ④ 取得単位(2時間や3時間などでも設定できますが、1時間で設定するのが一般的)

♦ 時間単位の管理と運用について
時間単位年休の管理は、勤怠システムを利用すると簡単な事前設定で運用から管理まで持っていくことが可能となりますので、合わせて検討してみてください。

☞ KING OF TIMEでの時間単位年休の設定について

 >>> 詳しくはこちら


☞ KING OF TIMEでの年次有給休暇の管理簿の出力方法について

 >>> 詳しくはこちら

[ 導入編 ] 導入にあたってどんなことに気を付ければいいの?

(1)年次有給休暇の年5日取得義務にはカウントされない?
現在、年10日以上付与された方については、年5日年次有給休暇を取得する義務がありますが、この5日の取得には、時間単位年休はカウントされません。
時間単位年休のみで5日分取得したとしても、年5日の取得義務をクリアしたことにはなりませんので、ご注意ください。1日単位でしっかり休んでいただくことが法律の趣旨となりますので、1日単位で年次有給休暇が取れる環境を醸成していきましょう。

(2)うちの会社では年次有給休暇を時間単位で10日分使えるようにしたいけど、できるのか?
時間単位年休は最大年5日まで(所定労働時間が8時間であれば最大40時間分)となりますので、年7日分や10日分とすることはできません。なお、前年に未使用分が残っていて繰り越した場合でも、繰り越した分を含めて5日までとなります。
例)前年 3日:4時間残り → 今年 3日:4時間(前年)+ 1日:4時間(今年)=計5日分

(3)時間単位年休でも、使用者の時季変更権は行使できるの?
時間単位年休を使うことで事業の正常な運営を妨げることとなる場合には、使用者の時季変更権は行使することが可能です。
ただし、時間単位での請求を日単位、ないしは日単位での請求を時間単位へ変更することは時季変更権には当たらないとされております。つまり、従業員の方から1日単位で請求があった際に、1日休まれるのは困るので会社が一方的に時間単位に切り替えるということは認められませんのでご注意ください。
例)(✕)5/3:1日の年休で請求 ⇒ 5/3:4時間の年休へ変更

(4)取得については繁忙時間などを外すなど制限をかけられる?
導入にあたり事前に、取得に関して時間や時季に制限をかけることはできません。
例)(✕)毎週土日はお店が忙しいから時間単位の年休は使えないルールを設ける。

(5)時間単位年休を取得した際の賃金はどう計算するべき?
基本的な考え方は、日単位の年次有給休暇と同じです。
年次有給休暇取得時の賃金の取り扱いについては、過去のブログをご参考下さい。


☞ 間違えて運用していませんか?~パート・アルバイトの年次有給休暇~

 >>> 詳しくはこちら

※1日単位の年次有給休暇の取得と同じ方法で賃金を算定する必要がありますので、時間単位休暇を取得した場合のみ違う取り扱いとすることはできません。

[ 番外編 ] こんな時はどうすればいいの?

(1)所定労働時間に1時間未満の端数がある場合は?
例えば、所定労働時間が7時間30分の会社の場合、時間単位で取得出来る5日は何時間分に相当するでしょうか?このような会社の場合は、
① 先ず1日の端数である30分を切り上げて、1日8時間と考えます。
② 次に、労使協定に定める時間単位で取得できる日数の上限を上記①に掛けます。
上記の計算で、1年間で取得できる時間数を求めます。
例)(〇)7時間30分の所定労働時間 → 8時間へ切り上げ、1日8時間 × 5日 = 40時間
  (✕)7時間30分 × 5日 = 37時間30分 → 38時間へ切り上げ

(2)年の途中で契約が変更になった場合は?
1日の8時間が所定労働時間の従業員の契約が育休明けに時短勤務に変わったことを受けて、10月1日から6時間へと契約が変更になりました。この場合には、時間単位年休の使用可能時間は変わるのでしょうか…?

この時、12日(1日ないしは半日で使える分)、3日と5時間(時間単位で使える分)合計15日と5時間分残っていると仮定します。

まず、12日分(1日ないしは半日で使える分)については、変更はありません。
次に時間単位の3日と5時間についてです。3日分については、1日の使用可能時間数が8時間から6時間に変更となります(この場合3日 × 6時間 = 18時間 まで)。そして残っている5時間については、契約時間が8時間から6時間(3/4)に変更となったため、比例して減らしていきます。5時間 × 3/4 = 3.75時間 ⇒ 1時間未満は切り上げて4時間とします。

労務画像1

(3)計画年休で時間単位分まで指定することはできるの?
保有している年次有給休暇のうち、5日を超える部分について使用者が指定して付与ができる計画年休ですが、指定ができるのは1日ないしは半日単位に関する部分だけとなりますので、時間単位年休は対象外となります。
例)21日保有(前年分7日、今年分14日)とした場合
・16日分は計画年休で指定可能(※時間単位での指定はNG)
・残5日分の範囲内で、1日、半日、時間単位で利用可能
時間単位の年休は「時間を指定して」使用するものなので、事前に計画して付与することは法の趣旨に反する、ということです。

(4)パート・アルバイトについても運用は同様でいい?
労使協定において、制度を利用できる「対象者」を限定することが可能です。よって、パート・アルバイトの方も必ず時間単位年休の対象者とする必要は無く、対象外とすることは可能です。しかしながら、年次有給休暇の取得単位についても労働条件の一つとなりますので、正社員と変わらない働き方をしているパート・アルバイトの方がいる場合、同一労働・同一賃金の観点で問題となる可能性がありますので、注意をしましょう。

今回の記事をきっかけに、時間単位の年次有給休暇の導入を進めてみてはいかがでしょうか。 詳しい内容については社会保険労務士へぜひご相談ください。




KING OF TIME 情報


今回は6月にバージョンアップされた新機能についてご紹介します。
新機能を活用して今後のKING OF TIME運用にお役立ていただけますと幸いです。

◆ 有休の初回付与日を従業員ごとに日付指定できるようになりました
◆「深夜所定外」を「深夜所定」として計上できるようになりました



有休の初回付与日・分割付与日を従業員ごとに日付指定できるようになりました

有休の初回付与日や分割付与日を、従業員ごとに日付指定できるようになりました。
これにより、有休の初回付与を「入社日から半年後の1日付け」とするなど、従業員単位でより柔軟な設定ができます。なお、CSVインポートで一括登録も可能です。

例)従業員の有休の初回付与日を入社日から半年後の1日付けとしたい
入社日:2023年5月10日
初回の有休付与日:
2023年11月10日(入社から半年後)→ 2023年11月1日(入社から半年後の1日付け)

KOT画像1

このような運用におすすめです。
■ 有休の初回付与日や分割付与日を日付指定している
■ 従業員情報をCSVインポートで一括登録をしている



「深夜所定外」を「深夜所定」として計上できるようになりました

日ごとの「深夜所定外」を自動的に「深夜所定」に計上する機能が追加されました。
これによりフレックスタイム制の深夜所定外と深夜所定を正しく計上できます。

KOT画像2 

このような運用におすすめです。
■ フレックスタイムを採用している
■ コアタイムの設定があり、日単位の深夜所定外時間を計上しない

☞ アップデートのお知らせ(2023年6月13日リリース)

 >>> 詳しくはこちら





本記事が皆様のお役に立てれば幸いです。
今後もKING OF TIMEをご愛顧いただけますよう邁進してまいりますので、何卒よろしくお願いいたします。


監修元:社会保険労務士法人 ヒューマンリソースマネージメント

 
 
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