
企業には従業員の労働時間を適切に管理し、健全な職場環境を維持する責任があります。近年は法的な規制が強化されていることもあり、勤怠管理の重要性はますます高まっています。
勤怠管理は法改正に迅速かつ適切に対応する必要があります。長時間労働の是正や雇用格差の解消、多様な働き方の実現を目指す「働き方改革」への対応も、企業にとって避けて通れない課題です。
本記事では、働き方改革の目的や背景を整理しつつ、企業が実践すべき勤怠管理のポイントと、システム導入によって得られるメリットを解説します。
❖ 働き方改革の目的と背景とは?
❖ 働き方改革で求められる企業側の対応
❖ 働き方改革における労働基準法の改正点
❖ 働き方改革に対応した勤怠管理の7つのポイント
❖ 働き方改革への対応には勤怠管理システムがおすすめ
❖ 「KING OF TIME」が働き方改革対応に適している理由
❖ まとめ
働き方改革の目的と背景とは?
まずは、働き方改革とは何か、どのような背景で施行されたかをあらためて確認しておきましょう。
◇ 働き方改革の概要
働き方改革とは、国が掲げる「一億総活躍社会」の実現を目指した労働環境改善の取り組みです。2018年6月に「働き方改革関連法」が成立し、翌2019年4月から順次施行されました。
働き方改革は、大きく分けて次の3つの柱で構成されています。
・長時間労働の是正
・正規・非正規間の格差是正
・多様で柔軟な働き方の実現
 参考: 働き方改革~一億総活躍社会の実現に向けて|厚生労働省
◇ 働き方改革の目的と背景
働き方改革の背景には、少子化にともなう労働人口の減少や、日本の根強く残る長時間労働の慣習があります。
働き方改革の目的の一つが、柔軟な働き方や多様なライフスタイルに対応できる体制を整えることで、労働力不足の問題を解決することです。働きやすさを改善し、労働人口を確保しようとしています。
また、正規雇用と非正規雇用の格差を是正し、処遇を改善することも働き方改革の目的です。公平な労働環境を整えることで、従業員の満足度やモチベーションを高め、生産性の向上につなげます。
働き方改革で求められる企業側の対応

働き方改革の3つの柱を実現するためには、企業側が具体的な対応を進める必要があります。単に制度を導入するだけではなく、職場の文化や仕組みを変えていく姿勢が欠かせません。
ここでは、それぞれの柱に沿って企業に求められる対応を整理します。
◇ 長時間労働の是正
まず求められるのは、時間外労働の上限規制を遵守し、無駄な長時間労働を抑えることです。そのためには、正確な勤怠管理を徹底し、従業員一人ひとりの労働時間を適切に把握する体制が不可欠です。
また、企業文化や慣例を見直し、長時間労働を前提としない働き方へシフトする必要があります。
業務の効率化や生産性の向上を図り、従業員が定時で業務を終えられる環境が整えば、ワークライフバランスの改善にもつながります。
◇ 正規・非正規雇用の格差解消
続いて重要となるのが、正規・非正規間の格差是正です。その核となるのが「同一労働・同一賃金」の導入であり、同じ内容の仕事をしている限り公正に評価されるべきであり、雇用形態にかかわらず不合理な待遇差があってはなりません。さらに、非正規雇用者にも教育訓練の機会や福利厚生を整備し、スキルアップや働く意欲を高めることも求められます。
◇ 多様な働き方に対応した環境の整備
テレワークやフレックスタイム制など、多様な働き方への対応も重要です。働く時間や場所を柔軟に設定でき、子育てや介護を担う従業員も無理なく仕事を続けられる環境づくりが求められています。
また、高齢者や身体的制約のある人々も活躍できるよう、柔軟な就労制度を整えることが重要です。
さらに、副業や兼業を認めることで、従業員の新しい挑戦や成長をあと押しし、多様なキャリア形成を可能にします。
ただし、柔軟な働き方が広がると労働時間の管理が難しくなる側面もあります。そのため、どのような勤務形態であっても適切に労働時間を把握できる仕組みを整えることが、企業にとって大きな課題といえるでしょう。
働き方改革における労働基準法の改正点
働き方改革関連法は、2019年4月に施行されました。それ以降も少しずつ改正を重ね、多様な働き方に対応する体制を整えています。
労働基準法のおもな改正内容は、以下のとおりです。
| 施行年 | 改正内容 | 詳細 | 
|---|---|---|
| 2019年 | 時間外労働の上限規制 | 
            原則「月45時間・年360時間」、特例でも「年720時間以内、2~6か月の平均がすべて80時間以内・月100時間未満」 | 
        
| 2019年 | 年次有給休暇の取得義務化 | 年10日以上付与される労働者に「年5日分を時季指定で取得させる」ことを義務化 | 
| 2019年 | フレックスタイム制 | 清算期間を1か月から最長3か月に延長 | 
| 2019年 | 高度プロフェッショナル制度 | 年収約1,075万円以上の専門職を労働時間規制の対象外とする制度を導入 | 
| 2019年 | 勤務間インターバル制度 | 勤務終了後から次の勤務開始までの休息時間確保を努力義務化 | 
| 2020年 | 賃金請求権の消滅時効期間延長 | 消滅時効期間が2年から5年に延長 | 
| 2020年 | 賃金台帳などの記録の保存期間延長 | 労働者名簿や賃金台帳等の保存期間が3年から5年に延長 | 
| 2020年 | 付加金の請求期間延長 | 付加金(未払いの割増賃金に上乗せされる金銭)の請求権が2年から5年に延長 | 
| 2023年 | 割増賃金引き上げ | 中小企業にも「月60時間超の時間外労働に対して割増率50%」を適用 | 
| 2023年 | 賃金支払い方法 | 労働者の同意があれば、デジタルマネー(電子マネー等)での支払いを認める | 
| 2024年 | 時間外労働の上限規制の適用拡大 | 建設業・自動車運転業務・医師にも上限規制を適用 ※特例あり | 
| 2024年 | 労働条件明示の拡充 | 就業規則や雇用契約で明示すべき労働条件を追加し、周知義務を強化 | 
参考: 働き方改革関連法のあらまし(改正労働基準法編)|厚生労働省
参考: 労働基準法の一部を改正する法律(令和2年法律第13号)の概要|厚生労働省
参考: 働き方改革関連法の施行に伴う法改正のポイントをまとめました!|厚生労働省
参考: 資金移動業者の口座への賃金支払(賃金のデジタル払い)について|厚生労働省
参考: 建設業・ドライバー・医師等の時間外労働の上限規制(旧時間外労働の上限規制の適用猶予事業・業務)|厚生労働省
参考: 令和6年4月から労働条件明示のルールが改正されます|厚生労働省
働き方改革に対応した勤怠管理の7つのポイント

働き方改革の内容の多くは、労務に関連したものです。特に勤怠管理において、企業が注意したい7つの重要なポイントを整理して解説します。
◇ 1.残業時間の罰則付き上限規制の実施
働き方改革関連法では、残業時間(時間外労働)に罰則付きの上限が設けられました。原則は「月45時間・年360時間以内」であり、特別な事情があっても「時間外労働は年720時間以内、時間外労働+休日労働は2か月~6か月の平均80時間以内・月100時間未満」に制限されます。
さらに、月60時間を超える時間外労働には50%の割増賃金を支払うことも義務化されました(月60時間以内は25%)。
なお、厚生労働省が2025年2月に公表した調査(対象期間:2024年9月21日~10月21日)によると、45時間を超えて残業した人は全体の3%とわずかでした。
違反が明らかになると労基署による是正勧告や未払い賃金の支払い指導が行われ、悪質な場合には書類送検や罰金の対象になる可能性もあります。企業には、正確な勤怠管理と業務効率化による長時間労働の抑制が強く求められています。
 参考: 労働時間制度等に関する実態調査結果について(速報値)|厚生労働省
◇ 2.年次有給休暇の取得義務化
年次有給休暇の取得についても改正され、年10日以上の有給休暇が付与される従業員には、使用者(企業側)が「年5日分を必ず取得させる」ことが義務化されました。企業は、従業員の希望を踏まえつつ取得時季を指定できます。
業務に支障が出ない形で、休暇取得を進められる環境づくりが大切です。
厚生労働省の調査によると、全労働者のうち90%以上の労働者が年5日以上の有給休暇を取得できていると回答しています。企業としては、未取得者への働きかけや計画的付与の仕組みづくりなど、確実な運用を行うことが不可欠です。
 参考: 労働時間制度等に関する実態調査 第12表|厚生労働省
◇ 3.清算期間延長によるフレックスタイム制拡充
フレックスタイム制については、これまで1か月だった清算期間が最長3か月まで延長可能となりました。この制度改正により、繁忙期には労働時間を長めに、閑散期には短めにするなど、より柔軟な働き方が実現できます。
ただし、清算期間(最長3か月)全体での法定時間を基準に超過分を時間外として管理する必要があります。
 参考: フレックスタイム制のわかりやすい解説&導入の手引き|厚生労働省
◇ 4.勤務間インターバル制度の推進
勤務終了から次の勤務開始までに一定の休息時間を確保する、「勤務間インターバル制度」が努力義務として導入されました。これは、連続勤務などによる過重労働や健康被害を防ぎ、従業員が安心して働ける環境を整えるための取り組みです。
なお、この制度を導入する企業には厚生労働省によって条件付きの助成金制度も設けられており、2025年は11月28日まで申請可能(2025年9月25日時点)です。
 参考: 働き方改革推進支援助成金(勤務間インターバル導入コース)|厚生労働省
◇ 5.労働時間の客観的な把握の義務化
労働時間を把握する方法もより厳格となりました。自己申告に頼らず、ICカードや勤怠管理システムなどを活用し、客観性を確保した労働時間の記録が義務となっています。
正確なデータを取得できる打刻方法の採用は、長時間労働の抑制や残業代未払いの防止など、従業員の健全な就労環境の確保につながる取り組みです。
自己申告による出退勤の管理を行う場合には、併せて実態調査を行うなど、より厳正な管理体制が求められています。
 参考: 労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン|厚生労働省
◇ 6.高度プロフェッショナル制度創設
新たに導入された「高度プロフェッショナル制度」では、年収約1,075万円以上で高度な専門性を持つ労働者が、労働時間規制の対象外となりました。これにより、時間ではなく、成果物やもたらされる利益によって評価される柔軟な働き方が可能になります。
ただし、適切な休日の取得や健康管理などの課題が残るため、企業には適切なサポート体制が求められます。
 参考: 高度プロフェッショナル制度 わかりやすい解説|厚生労働省
◇ 7.総務省・厚生労働省主導のテレワーク推進
政府は子育てや介護と仕事の両立を支援するため、テレワーク制度の普及に力を入れています。テレワークを導入すれば、通勤時間を削減できるだけでなく、就労場所の自由度も高まります。
テレワークの導入は、子育てや介護をしながら無理せず働ける体制を整えるだけでなく、従業員の生産性向上や人材確保の観点でも有効です。ただし、テレワークでは労働時間が見えにくくなるため、勤怠管理システムの整備も同時に進める必要があります。
働き方改革への対応には勤怠管理システムがおすすめ

勤怠管理システムとは、従業員の出退勤記録を自動で集計し、労働時間、残業時間、休暇の取得状況などを一元管理できるツールです。特に働き方改革関連の法改正への対応において、勤怠管理システムの利点を解説します。
◇ 多彩な打刻方法により働く場所・働き方を選ばない
勤怠管理システムは、パソコンやスマートフォン、ICカード、指紋認証など、複数の打刻方法に対応しています。従業員はオフィスに限らず、自宅や外出先からでも正確に出退勤を記録できます。
多様な打刻方法は、リモートワークやシフト勤務といった柔軟な働き方にもスムーズに対応可能です。
◇ さまざまな雇用形態、就業ルールに対応している
勤怠管理システムは、正社員、契約社員、パートタイマーなど異なる雇用形態ごとに異なる就業ルールを登録できます。従業員ごとの労働条件を正確に管理でき、残業時間の計算など誤りやトラブルを防ぐことが可能です。
さらに、シフト制や変形労働時間制など複雑な勤務体系にも対応しており、企業内の多様な働き方に柔軟に適応できます。
◇ 労働時間の適切な管理ができる
勤怠管理システムでは、従業員のオフィスへの入退出時間や残業時間、パソコンの稼働状況と出退勤打刻の差異などを正確に把握できます。時間外労働の算出など労働時間の管理を効率化できます。
また、時間外労働が法定上限に近づいた際に通知を送るなど、さまざまなアラート機能も備わっており、法令違反を未然に防ぐ仕組みが整っています。データの自動集計による割増賃金計算も可能なため、労務管理のミスも大幅に軽減できます。
◇ 有給・休暇の適切な管理ができる
勤怠管理システムでは、年次有給休暇や特別休暇などの取得状況が自動で記録されます。従業員の休暇残日数を一目で確認でき、未消化の休暇について通知を送ることもできます。また、独自の休暇制度を登録できる場合もあります。
勤怠管理システム上で休暇の申請・承認を実行できるため、従業員と管理者双方の負担軽減が期待できます。
「KING OF TIME」が働き方改革対応に適している理由
KING OF TIMEは、企業が働き方改革に対応するうえで便利な特徴や機能を備えた勤怠管理システムです。多彩な機能により、従業員の勤怠状況を正確に把握し、法令遵守と業務効率化の両立を支援します。KING OF TIMEの概要と、働き方改革対応をサポートする機能を紹介します。
◇ KING OF TIMEは低コストで運用可能なクラウド型勤怠管理システム
KING OF TIMEは、初期費用無料で、月額1人当たり300円で全機能を利用できるクラウド型勤怠管理システムです。生体認証やGPS活用も含めた多様な打刻方法に対応し、シフト管理や給与計算などの機能も備えているため、幅広いニーズに対応できます。
さらに、法改正の内容は自動アップデートで反映されるため、法令違反のリスクが軽減します。チャットや電話などのサポート体制も充実しており、30日間の無料体験で使用感を試してから導入を決めることも可能です。
◇ 働き方改革に対応してKING OF TIMEでできること
KING OF TIMEには非常に多くの便利な機能がそろっています。
なかでも、働き方改革に対応した代表的な機能は次の5つです。
| 関連する働き方改革 関連の法律  | 
            設定内容 | 管理内容 | 管理者確認 | 
|---|---|---|---|
| 有給休暇5日以上取得義務 | 有給休暇付与機能で、10日以上付与された従業員に対する警告基準を設定 | 
            年間5日以上取得できていない従業員を警告表示 | 
            管理画面で確認可能 | 
        
| 時間外労働の上限規制 | 時間外労働の上限値と警告値を設定 | 上限に達した従業員を抽出 | 管理画面で確認可能 | 
        
| 高度プロフェッショナル制度 | 義務休日取得基準日、警告基準、健康措置基準値を設定 | 警告基準に達した従業員を表示 | 管理画面で確認可能 | 
| 勤務間インターバル制度 | インターバル時間を設定 | インターバル不足の回数をカウント | 管理画面で確認(従業員:タイムカードおよび通知メールで確認) | 
| 月60時間超割増賃金率引上げ(中小企業猶予措置廃止) | 割増残業の基準時間を設定 | 割増残業時間をリアルタイム集計 | 管理画面で確認(従業員:タイムカードで確認) | 
まとめ
働き方改革に対応した勤怠管理は、企業の法令遵守と従業員の働きやすさを両立させる重要な手段です。適切な勤怠管理を通して休暇や勤務時間の状況を正確に把握することで、業務運営の効率化も可能になります。
勤怠管理システムを導入すれば、多様な働き方や就業ルールに対しても柔軟に対応可能です。「KING OF TIME」は、リアルタイム管理やアラート機能、法改正対応の自動アップデートにより、企業の働き方改革を力強くサポートするサービスです。まずは30日間の無料体験から、お気軽にお試しください。
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