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【労務情報】やっぱり気になる労基法大改正!~大改正を見据え、今こそ考えたい「今後の自社の働き方」~

公開日:2026年1月8日(当記事の内容は公開時点のものです)

監修:社会保険労務士法人 ヒューマンリソースマネージメント
社会保険労務士 岩下 等
監修:社会保険労務士法人
ヒューマンリソースマネージメント
社会保険労務士 岩下 等


【労務情報】やっぱり気になる労基法大改正!~大改正を見据え、今こそ考えたい「今後の自社の働き方」~

今週のピックアップ

【 労務情報 】
◆ 見送り報道が気になる今、今後に備えて全体像を押さえる
◆ なぜ「労基法大改正」として注目されているのか
◆ なぜ今、抜本的な見直しが検討されているのか
◆ 「複雑すぎるルール」と「形骸化した対話」という構造的課題
◆ 改正議論を読み解くキーワードは「守る」と「支える」
◆ 実務担当者が今からでもチェックすべきポイント
◆ 大改正は人事労務戦略のアップデートのチャンス

【 KING OF TIME 情報 】
◆ KING OF TIME|残業時間の管理

 見送り報道が気になる今、今後に備えて全体像を押さえる

最近、「労働基準法の大改正」という言葉を耳にする機会が増え、いつもの改正以上に注目を集めています。
人事労務のご担当の方はもちろん、経営層の方々におかれましても、「結局、何が変わるのか」「自社にどの程度の影響があるのか」と気になる方も多いのではないでしょうか。
そんな折り、「厚生労働省が法案提出見送り」のニュースが年末に流れ、ますます先行きが気になるところです。

特に、現場や実務面での影響に意識が向きやすいテーマですが、今回の法改正がどのような着地を見せたとしても、その多くは、これまでの改正と同じで、最終的な実務対応は、就業規則や運用ルール、システム設定の部分的な見直しに落とし込まれていくでしょう。
その意味では、いつもの法改正対応と大きく変わらない面もあると考えられます。

今回の記事では、議論されている個別具体的な項目やその内容、対応方法には踏み込まず、法改正が検討されている背景や今後の方向性といった全体像を解説します。
今後、会社の方針を定めたり、情報を読み解くための軸を持っておくことが、結果として、改正が決まった際のスムーズな対応にもつながると考えるからです。

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 なぜ「労基法大改正」として注目されているのか

なぜ、今回の見直しは「通常の法改正」とは異なる形で注目されているのでしょうか。
数十年に一度の機会であることや検討項目や会社への影響が多岐にわたる可能性があることも理由の1つです。しかし、より注目すべきなのは、改正の目的や意義そのものにあります。
今回の議論は、戦後に作られた労働基準法を、単に改正するのではなく、現在の状況や将来を見据え、その前提や構造から見直そうとする点に大きな特徴があります。

イメージとしては、システムでいえば、古いOSにカスタマイズやアドオンを重ねながら、何とか対応してきたものを、いよいよ「メジャーバージョンアップ」するようなものです。また、建物に例えるなら、増改築を繰り返して迷路のようになった古い母屋を、構造から見直して「フルリノベーションする」といったイメージでしょうか。

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 なぜ今、抜本的な見直しが検討されているのか

労働基準法は、戦後に制定されてからは、社会の変化に対し「例外」や「特例」を設ける形で対応してきた歴史があります。現在の議論を理解するために、簡単に時期を3つに分けて見ておきましょう。

①戦後(1947年〜)
労働基準法は、新憲法のもと、戦前の封建的な労使関係を改め、工場労働を中心とした、画一的な働き方を前提に制定されました。全国一律の最低労働基準を罰則付きで定め、労働者を一律に保護することが主な目的でした。

②1980年代後半
サービス経済化や国際競争の激化、女性の社会進出、IT化などが進み、一律規制では現場に対応できないケースが増加しました。
その結果、週40時間制への移行や、労使合意を前提とした柔軟な制度(変形労働時間制など)が「特例」として段階的に導入されていきました。

③現代
デジタル技術の発展、テレワークの定着、副業・兼業の普及、職業人生の長期化などにより、働く「場所・時間・形態」について、個人の選択が前提となる時代に入っています。

この状況下では、従来の「例外を足していく」手法そのものが限界に近づいていると考えられています。結果として、制度全体の分かりにくさや運用負担が増している点も、課題として指摘されています。

会社においては、こうした変化を認識し、働く人の仕事や生活に対する意識の多様性に目を向けることが求められているともいえます。そのうえで、会社側の意識や制度、運用を含めたアップデートが必要となる局面だと位置づけることもできます。

また、今回の見直し議論には、2019年以降進められてきた「働き方改革」の効果検証という意味合いも含まれています。時間外労働の上限規制など一定の成果が見られる一方で、現場では「柔軟性が不足している」「管理が形式化している」といった課題も指摘されるようになりました。

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 「複雑すぎるルール」と「形骸化した対話」という構造的課題

これまでの改正の積み重ねは、現場に二つの構造的な課題をもたらしています。

(1)ルールの複雑化と管理の形式化
例外規定が増えた結果、特に労働時間に関する制度は極めて分かりにくくなっています。その結果、本来は社員の健康や働きやすさを守るための制度が、本来の目的と乖離した運用になっているケースも見受けられます。

例えば、制度の複雑化により、会社が意図せずコンプライアンス違反のリスクを抱えたり、管理が形式化することで、実務担当者の仕事が「行政から指摘されないための書類を整えること」に終始してしまうという状況も見かけます。

(2)「対話」の形骸化という脆弱な基盤
現代の働き方においては、労使の「対話と合意(労使コミュニケーション)」を基盤として、柔軟な働き方を可能にすることが前提となっています。
しかし、現状の仕組み(過半数代表者との合意など)は、多くの会社で形骸化し、単に「ハンコをもらうだけの儀式」に陥っているケースも少なくありません。
この脆い基盤の上に、さらに制度の柔軟性を積み上げようとすることに、制度的な限界が来ているのです。

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 改正議論を読み解くキーワードは「守る」と「支える」

今回の改正議論を読み解くうえで重要なのが、「守る」と「支える」という二つの視点です。これは、どこまでを共通ルールとし、どこからを個別判断に委ねるかという整理にあたります。

「守る」の視点
どんなに働き方が多様化しても、心身の健康を維持するための最低基準を、シンプルかつ実効的な形で確実に担保すること。

「支える」の視点
労働者それぞれの事情に応じた多様な働き方を選択できるよう、柔軟な制度設計によって後押しすること。

この両立を図るため、「原則はシンプルに」「調整は柔軟に」「その前提として実効性のある労使コミュニケーションを整備する」という方向性が示されています。

これらの議論では、まず、心身の健康確保を前提としつつ、労働者本人の選択や会社ごとの実情に応じた働き方を可能にするという考え方が、専門家や審議会を中心に共有され、その具体的な制度設計が検討されてきました。

それに加え、成長戦略や生産性向上といった政策全体の方向性の中で、こうした考え方をどのように位置づけ、制度として後押ししていくかという政策的な視点が加わっています。

こうした流れの中で、従来の画一的な規制を前提とした制度から、健康確保を軸に一定の柔軟性を持たせた仕組みへと見直していく必要性が、改めて整理されつつあるといえるでしょう。
この方向性は、従来の働き方改革における「労働時間の上限規制」や「過労防止の仕組み」との関係から、どのようなバランスで制度設計を進めていくかが今後の大きな鍵となっています。

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 実務担当者が今からでもチェックすべきポイント

これらの議論は、将来の法改正を見据えたものではありますが、裏を返せば、その多くが、すでに現場で顕在化、あるいは潜在的に存在している課題でもあります。
法改正の有無にかかわらず、対応が遅れることでトラブルや指摘につながりやすいポイントでもあるため、実務担当者としては今のうちから整理しておきたいところです。

①「集団的管理」と「個別の働き方」のズレ
現行法は「全員一律」の管理を前提としていますが、実際の職場はどうでしょうか。
正社員だけでなく、パート・アルバイト、嘱託社員、育児・介護による短時間勤務者など、働き方は自然と多様化しています。
それにもかかわらず、就業規則が正社員用の1種類しか整備されていない、といったケースは典型例といえるでしょう。

②「労働時間の量」と「休息の質」のズレ
「残業時間さえ守ればよい(量的管理)」という考え方は、すでに限界を迎えつつあります。
スマートフォンでの深夜対応など、目に見えない負荷が蓄積する中、今後は「睡眠や休息の確保(質的管理)」へと焦点が移っていくと考えられます。

③「会社による保護」と「自律的な選択」のズレ
労働者を「守られるべき弱い存在」とのみ捉える制度は、自律的に働きたい社員の意欲を削いでしまう側面があります。
今後は、保護と自由のバランスをどのように取るのか、その再定義が会社にも求められていくでしょう。

あわせて、労使コミュニケーションの実態も点検が必要です。
例えば、36協定締結時の労働者代表の選出が形骸化していないか、雇い入れ時や契約更新時、会社ルールの変更時に十分な説明がなされているかなど、日常的に従業員の声を聞く仕組みが、形式面・実態面の双方で整っているかは、今からでも確認しておきたいポイントです。

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 大改正は人事労務戦略のアップデートのチャンス

今回の大改正は、短期的には負担に感じられる面もあるでしょう。
しかし別の見方をすれば、時代や事業環境に合わなくなった社内の意識や慣習を、構造から見直すための数少ない好機とも言えます。
実際、このような大きな転換期でもなければ、会社が自社の労働環境や制度を根本から見直すきっかけを得ることは、決して容易ではありません。

2026年通常国会への法案提出は見送られましたが、その背景には、「意欲ある人が能力を発揮できるための柔軟な制度設計」と、労働政策審議会で議論されてきた「健康確保のための新たな規律(休息の質の担保など)」との間で、なお整理・調整を要する論点が残っていることがあると考えられます。
これらは、働き方の自由度と健康確保をどのように両立させるかという、根本的なテーマでもあります。つまり、「これからの日本に本当に必要な働き方とは何か」について、より多角的に、慎重な検討を進めるための時間と位置づけることもできるでしょう。

会社においても、通常は目先の改正や個別の問題への対応に終始してしまう傾向があります。
しかし、この猶予期間を、「自社において、これから本当に必要(理想的)な働き方とは何か」を考え、定義するための準備期間として活用してみてはいかがでしょうか。

法律はあくまで最低基準であり、採用市場や競争環境は常にそれ以上を会社に求めています。法改正の動きを単なる「義務」と捉えるのではなく、採用力・生産性・会社の持続可能性を高めるための「ヒント」として読み解き、活用されるとよいでしょう。

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本記事が皆様のお役に立てれば幸いです。
今後もKING OF TIMEをご愛顧いただけますよう邁進してまいりますので、何卒よろしくお願いいたします。


監修元:社会保険労務士法人 ヒューマンリソースマネージメント

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