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【税務情報】今年は増える!?再年調と扶養是正
実務者負担軽減のために押さえるべきポイント

公開日:2025年11月27日(当記事の内容は公開時点のものです)

監修:税理士法人総合経営サービス
植松 伸

【税務情報】今年は増える!?再年調と扶養是正|実務者負担軽減のために押さえるべきポイント

今週のピックアップ

【 税務情報 】
◆ 今年の年調では申告内容と実際の所得のズレに要注意
◆ 「再年調」とは?
◆ 再年調が必要となる典型6パターン
◆ 「どこまで会社が対応するか」の実務判断
◆ 再年調しないと起こる「扶養是正」
◆ ミス・扶養是正を防ぐための予防策
◆ 担当者を守るのは「従業員アナウンス」

【 KING OF TIME 情報 】
◆ KING OF TIME 給与

今年の年調では申告内容と実際の所得のズレに要注意

総合経営サービスの植松です。
11月も終盤となり、12月に入ると年末調整もいよいよ大詰めを迎えます。
今年は「基礎控除」「給与所得控除」の所得要件の見直し、「特定親族特別控除」が新設などに加え、年の途中で税制改正が施行される非常に珍しい年となっています。

そのため、配偶者や大学生のお子様を扶養に入れている従業員については、所得判定が細分化し、例年であれば多少の誤差があっても結果に影響しなかった項目も、今年は影響が出やすくなっているため、より丁寧な所得把握が欠かせません。
しかし、実際には従業員が申告した内容と実際の所得額等にズレが起こりうることも見越して、年末調整後の「再年調」の実施について、事前に整理しておくことが重要です。
今回は、再年調について解説していきます。

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「再年調」とは?

再年調とは、年末調整が終わった後に給与や所得見積額、扶養異動、控除内容などに変更が生じたり、相違が判明した場合に、翌年1月31日まで会社が年末調整をやり直せる制度です。

■ 年末調整〜再年調の流れ
11〜12月:従業員が申告書提出
12月中 :会社が年末調整
年調後 :変更が発生/相違が判明
翌年1月31日:従業員が正しい資料を再提出 → 会社が再年調(再計算・還付/追徴)

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再年調が必要となる典型6パターン

実務で特によく起こる6つのパターンをまとめると次のとおりです。

いずれも年末調整後に、
①本年分の給与を追加で支給等したとき
②扶養親族等の数が異動(増減)した場合
③配偶者控除や配偶者特別控除の所得の見積額に差額が生じた場合
④特定親族特別控除(大学生など)の所得の見積額に差額が生じた場合
⑤保険料を支払った場合/申告漏れがあった場合
⑥住宅ローン控除(2年目以降)の申告書が提出されたとき

これらについて、1月31日までに従業員から正しい資料が提出されれば、会社で再年調が可能です。
なお、上記①について、年末調整の対象は「当年の1月~12月中に支払われた給与等」です。そのため、支給の決定が12月でも実際に支給されるのが翌年1月の場合は「翌年の所得」となりますので、再年調は不要です。逆にいえば、再年調はできませんのでご注意ください。

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「どこまで会社が対応するか」の実務判断

再年調は法律上、1月31日まで行えますが、実務では従業員からの修正申告を1月末まで受け続けることは現実的ではありません。
そのため多くの企業では、「従業員が申告すべき事項」の締切を社内期限(例:12月初旬)で区切り、期限後の変更は本人の確定申告で対応するという運用をしています。

■実務的な整理
① 従業員由来(申告漏れ・資料遅れ)の変更
→ 会社は再年調不可 → 本人が確定申告で調整
例:
・扶養異動の申告漏れ
・大学生や配偶者の所得見積誤差(1月末以降確定)
・保険料控除証明書/住宅ローン控除資料の提出遅れ

会社が対応するのは、申告書の社内締切(12月初旬)まで。
締切を過ぎた変更は、原則として本人が確定申告を行います。

② 会社由来(支給漏れ・計算誤り等)
→ 翌年1月31日まで会社が再年調を行う義務
例:
・遡及給与、追加支給
・支給漏れ、控除漏れ
・年税額計算の誤り
・会社が入力した所得データの不備
・源泉徴収漏れ

実務上、再年調が必須となるケースは「会社起因」だけで、件数は多くないのが通常です。

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再年調しないと起こる「扶養是正」

前述のとおり、従業員に起因する申告内容の変更等は、基本的に「本人が確定申告で調整」で問題ありません。
しかし、従業員が確定申告をしなかった場合や扶養・所得の誤りがそのまま放置されている場合、税務署は会社に対して「扶養控除等の控除誤りの是正について」の通知を送ります。いわゆる 「扶養是正」 です。
会社が年税額の誤りについて確認・再計算し、不足税額を徴収して納付するよう求める通知です。

■扶養是正が来ると会社に発生する事務負担
・対象従業員への確認・説明
・税務署へ回答
・年税額の再計算
・従業員からの不足税額の徴収(延滞税はかかりません)
・納付手続き
・源泉徴収票・法定調書の再提出(必要に応じて)

つまり、従業員が確定申告をしないと、最終的には会社に重い負担がかかるという構図です。

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ミス・扶養是正を防ぐための予防策

扶養是正が来てから対応するなら再年調を実施した方がよいという考え方もあるでしょう。
しかし、再年調するにしても扶養是正に対応するにしても、その件数を減らす。つまりは、発生させないことが重要です。
発生の根本原因は、従業員の申告内容が正しくないことです。

■従業員への案内(予防策)
以下を従業員に確実に伝えることで、再年調・扶養是正の両方を大幅に減らせます。

①扶養判定の注意点を事前案内
(例:所得判定の基準、判定時期、よくある誤り)

②「収入」ではなく「所得」で判断すること
 ➡収入-給与所得控除=所得。

③12月の見込み額は慎重に算出
 ➡年末にシフトが増える学生・配偶者は要注意。

④保険料控除は「12月支払分」を必ず反映
 ➡年末に支払った分が抜けるケースが多い。

⑤提出期限は厳守(社内締切を明確化)
 ➡締切を守らない場合、締め切り後に変更等生じた場合は、本人が確定申告となる旨を明記。

こうした情報を事前に示すことで、従業員の申告精度が上がり、結果的に 再年調も扶養是正も数を減らすことができます。

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担当者を守るのは「従業員アナウンス」

今年は税制改正により、例年以上に扶養誤りが起こりやすい状況です。

改めてポイントは以下の通りです。

・扶養の申告漏れ防止
・所得見積の精度向上
・書類提出期限の厳守
・誤りや変更があった場合は本人に確定申告してもらう

特に、できるだけ正しく申告、確定後に確認し相違があれば確定申告。が重要です。
これらのアナウンスを徹底することが、もっとも効果的で現実的な予防策 です。

再年調・扶養是正の発生を未然に防ぎ、担当者の負担を最小限に抑えるため、今年は特に早め・丁寧な周知をおこなっておきましょう。

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KING OF TIME 情報

年末調整で発生しがちな「所得のズレ」「申告漏れ」「扶養是正」は、勤怠・申告情報・給与計算が分断されることで起こりやすくなります。KING OF TIME 給与なら、勤怠や人事情報と連携して年末調整を行えます。再年調や扶養是正のリスクを軽減し、実務者の負担も削減できます。

【参考】KING OF TIME 給与 >>>

本記事が皆様のお役に立てれば幸いです。
今後もKING OF TIMEをご愛顧いただけますよう邁進してまいりますので、何卒よろしくお願いいたします。

監修者紹介

税理士法人総合経営サービス 植松 伸

下町生まれの税理士の植松伸です。
税理士になる前は建設系の労働組合で働いていたので、建設業等の許認可や健康保険事務組合の知識もあり、それらの業務を弊社グループ内へつなぐことも大事にしています。
趣味は観賞魚飼育で、現在自宅に水槽が10個あります。
魚を眺めたり、水の音はとてもリラックスできるのですが、水槽の掃除等のメンテナンスに時間がかかるので、ちょっと増やしすぎたと反省する毎日です。

監修元:税理士法人総合経営サービス

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