監修:社会保険労務士法人 ヒューマンリソースマネージメント
特定社会保険労務士 馬場栄 監修:社会保険労務士法人
ヒューマンリソースマネージメント
特定社会保険労務士 馬場栄

今週のピックアップ
【 労務情報 】
◆ 導入前の準備
◆ 社内および取引先との調整
◆ 導入および運用開始
【 KING OF TIME 情報 】
◆ KING OF TIME 電子契約
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導入前の準備
電子契約への移行は、契約締結にかかる時間やコストの削減、印紙税の負担軽減など、多くのメリットをもたらします。一方で、紙の契約書とは異なるフローや法的要件を理解し、社内や取引先との調整を行う必要があります。
そこで今回は、電子契約の導入ステップを「導入前の準備」「社内および取引先との調整」「導入および運用開始」の3つに分け、それぞれのポイントや留意事項を整理しました。
① 現状分析と電子契約導入における目的の明確化
まずは、契約書の作成から社内承認、締結、保管に至る現在の流れを可視化し、非効率な部分やリスクを把握します。例えば、社内稟議に時間がかかっている、契約書の作成・郵送に日数を要している、契約書が整理されないまま保管されている、といった課題が見つかるはずです。これらの課題が電子契約導入でどう解決するか、導入の目的や優先事項を明確化します。
② 電子契約導入に向けた業務フローの再構築
課題の整理が終わったら、現状の契約関連業務フローを見直し、必要に応じて電子契約専用のプロセスを策定します。従来の紙契約とは手順が変わるため、契約書の起案から社内承認、締結、保管に至るまでの流れを洗い出し、電子化後のワークフローを明確に定義します。
【留意点】
自社が取り扱う契約書の種類について、電子契約で締結できるか法的に問題ないかの事前確認が必要です。現在ほとんどの契約書は電子化が可能ですが、それでも法律上書面での交付が義務づけられた契約(「事業用定期借地契約」など)が一部残っている点は注意が必要です。
社内および取引先との調整
① 電子契約導入に向けた社内体制の整備
電子契約を本格導入する前に、社内体制と取引先との調整を行います。まず社内向けには、電子契約の導入によって変更になる業務フローやルールを関係者へ周知します。従来との違いや注意点(例えば、紙の契約書ファイルは作らずPDFで保管すること、承認はシステム上で行うこと等)を分かりやすく伝え、疑問や懸念があれば申し出てもらい対策を検討します。
② 取引先との電子契約導入に向けた調整
次に取引先向けには、電子契約への移行予定を事前に連絡し、新しい契約手続きの進め方について説明・相談します。具体的には、どの電子契約システムを使用するか、取引先担当者にはどのような操作(例:メールで届く契約書へのアクセスと承認ボタンのクリックなど)をしてもらうことになるか、といった実務面の段取りを共有します。
双方で認識齟齬がないよう調整した上で、電子契約による締結に合意します。相手方によっては電子契約に抵抗感を示す場合もありますが、電子契約のメリット(効率化や印紙税コスト削減等)や法的効力について丁寧に説明することで同意を得られる可能性があります。
【留意点】
締結した電子契約書は、紙の契約書と同様、法律で定められた保存期間(法人税法では7年など)で保存する義務があります。保存期間中、必要なときに速やかに閲覧・出力できるよう、社内でのファイル管理ルール(ファイル名や分類のルールなど)を定めておくとよいでしょう。また、契約内容によっては機微な情報を扱っているケースもあるため、契約書にアクセスできる権限管理の設定などにも注意が必要です。
導入および運用開始
① 電子契約システムの選定と導入準備
電子契約システムは、無料トライアルやデモを活用し、自社の業務フローに適したシステムかを評価します。その後、社内ルールの整備やシステムの操作手順をマニュアル化し、社員への説明を行います。
② 電子契約システムの操作研修と導入後の運用
説明においては、実際の画面を使いながら契約書の作成・送信・署名手順、受信した契約書の確認方法、承認の流れなど、一連の操作を習得させます。
また、使い始めてから当初想定していなかったことが発生しても、運用上の問題点や改善点があれば都度見直していきます。
【留意点】
本格運用の前に、一部の契約案件で試験的に電子契約を実践してみるのも有効です。テスト運用を通じて社内外で問題が生じないかを確認し、運用ルールの微調整を行います。また、導入当初は試験的に一部の契約を電子化して運用感覚を掴み、徐々に対象を広げていくと現場への負荷を抑えられます。
以上の手順を踏むことで、紙の契約書から電子契約へのスムーズな移行が可能となります。法的に有効で安全な電子契約を導入することで、契約業務の効率化やコスト削減を図りつつ、コンプライアンスの強化とビジネススピードの向上を実現できるでしょう。
KING OF TIME 情報
「KING OF TIME電子契約」は、紙で行っていた契約業務をクラウドで完結することができるサービスです。
オンライン上ですばやく契約締結が可能で、印紙代や封筒代などのコスト削減に加え、 契約書の郵送や保管の手間を軽減することができます。
既存のインフラを活用しながら効率的に電子契約へ移行していただくことが可能です。
本記事が皆様のお役に立てれば幸いです。
今後もKING OF TIMEをご愛顧いただけますよう邁進してまいりますので、何卒よろしくお願いいたします。