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労務情報

【給与計算の知恵袋】最低賃金

公開日:2023年9月14日(当記事の内容は公開時点のものです)

監修:社会保険労務士法人 ヒューマンリソースマネージメント
特定社会保険労務士 馬場栄 
監修:社会保険労務士法人
ヒューマンリソースマネージメント
特定社会保険労務士 馬場栄 


【給与計算の知恵袋】最低賃金

今週のピックアップ

【労務情報】
◆ 令和5年度 最低賃金の動向
◆ 基礎知識(Learning)
◆ よくある間違い、勘違い(Trouble)
◆ 実践のポイント(Tips)

【KING OF TIME 情報】
◆ 社内展開するための3つのポイントとは
◆ 自社独自のマニュアルを作成される場合
☞ KING OF TIME 情報は 《 こちら 》


令和5年度 最低賃金の動向

令和5年7月28日に開催された中央最低賃金審議会で示された「令和5年度地域別最低賃金額改定の目安について」などを参考として、各地方最低賃金審議会が調査・審議して答申した結果が取りまとめられました。
令和5年度の地方最低賃金審議会の答申のポイントとしては、次のとおりです。

※『令和5年度 地域別最低賃金 答申状況』
● 47都道府県で、39円~47円の引上げ(引上げ額が47円は2県、46円は2県、45円は4県、44円は5県、43円は2県、42円は4県、41円は10都府県、40円は17道府県、39円は1県)。

● 全国加重平均額は昨年度から43円引上げの1,004円となり、昭和53年度に目安制度が始まって以降で最高額となった。

☞【参考】厚生労働省 最低賃金特設サイト

 >>> 詳しくはこちら

基礎知識(Learning)

【最低賃金制度とは】
最低賃金法に基づき、国が賃金の最低額を定めたもので、使用者はその最低賃金以上の賃金を労働者に支払わなければなりません。
最低賃金は、正社員のみならず、契約社員、パート・アルバイト、嘱託社員、派遣社員、外国人技能実習生などの雇用形態、また時給、日給、月給などの支給形態に関わらず、全ての労働者に対して適用されます。そのため時給制のパート・アルバイトはもちろんのこと、正社員や月給制の社員でも最低賃金を下回っていると違法となります。意外と見落としがちなのが、月給制の契約社員や新卒で入社し数年の社員など、給与を低めに設定していたり、昇給額が最低賃金の上昇ペースより遅い場合などは気づかぬうちに下回ってしまうケースがあるため注意が必要です。

【最低賃金の種類】
種類は、下記の2種類があります。
※両方が同時に適用される場合には、使用者はいずれか高い方の最低賃金額以上の賃金を支払わなければなりません。

《地域別最低賃金》
産業や職種に関係なく、都道府県内の事業場で働くすべての労働者(雇用形態や呼称を問わず)とその使用者に対して適用されます。各都道府県ごとに定められています。

《特定最低賃金》
特定地域内の特定の産業の基幹的労働者とその使用者に対して適用されます。
地域別最低賃金よりも、金額水準の高い最低賃金を定めることが必要と認めた産業について設定されており、全国で226件の最低賃金が定められています(令和5年3月末日現在)。
※18歳未満又は65歳以上の方、雇入れ後一定期間未満で技能習得中の方、その他当該産業に特有の軽易な業務に従事する方などには適用されません。

【最低賃金の対象となる賃金】
毎月、実際に支払われる賃金から次の賃金を除外したものが最低賃金の対象となります。
(1) 結婚手当など、臨時に支払われる賃金
(2) 賞与など、1箇月を超える期間ごとに支払われる賃金
(3) 時間外割増賃金など、所定労働時間を超える時間の労働に対して支払われる賃金
(4) 休日割増賃金など、所定労働日以外の日の労働に対して支払われる賃金
(5) 深夜割増賃金など、午後10時から午前5時までの間の労働に対して支払われる賃金のうち、通常の労働時間の賃金の計算額を超える部分
(6) 精皆勤手当、通勤手当及び家族手当

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☞【参考】【厚生労働省】最低賃金の対象となる賃金

 >>> 詳しくはこちら

【最低賃金額の確認方法】
● 時間給制の場合
時間給 ≧ 最低賃金額(時間額)
→ 1時間当たりの金額(いわゆる時給額)が最低賃金以上であればOKです。

● 日給制の場合
日給 ÷ 1日の所定労働時間 ≧ 最低賃金額(時間額)
→ 1時間当たりの金額を算出し、その額が最低賃金以上であればOKです。
ただし、日額が定められている特定(産業別)最低賃金が適用される場合には、
日給 ≧ 最低賃金額(日額)

● 月給制の場合
月給 ÷ 1箇月平均所定労働時間 ≧ 最低賃金額(時間額)
→ 月給を1か月の平均所定労働時間数で割り、1時間当たりの金額を算出し、
その額が最低賃金以上であればOKです。

● 出来高払制その他の請負制によって定められた賃金の場合
出来高払制等により計算された賃金総額 ÷ 当該賃金計算期間に労働した実際の総労働時間数 ≧ 最低賃金額(時間額)
→ 歩合やインセンティブなどの金額をその月の総労働時間(実働合計、残業や休日労働など含む)で割り、1時間当たりの金額を算出し、その額が最低賃金以上であればOKです。
出来高の場合は、上記の3つとは違い「月の平均所定労働時間数」ではなく、残業なども含めた実際に働いた時間数の合計(総労働時間数)で割って1時間当たりの単価を出すことがポイントです。

よくある間違い、勘違い(Trouble)

① 使用者と本人合意のうえで、最低賃金額未満の賃金を定めている
たとえ本人が合意したうえで最低賃金未満の賃金を定めていたとしても、法律によって無効とされ、最低賃金額と同額の定めをしたものとされます(特定最低賃金額以上の賃金額を支払わない場合にも、罰則が定められています)。 また、実運用で見落としがちなのが、雇用契約書に記載の額面が、取り交わした時点では最低賃金を上回っていたものの、途中で最低賃金が変わった場合は、それ以降、最低賃金額以上の賃金を支給する必要がありますので注意が必要です。

② 派遣労働者の最低賃金を間違えている
派遣労働者については、派遣元の事業場の所在地に関わらず、派遣先の事業場がある都道府県の最低賃金が適用されます。使用者は、派遣元の事業場に適用される最低賃金のみではなく、派遣先の事業場に適用される最低賃金を把握しておく必要があります。
特に、最低賃金の低い地域から高い地域に派遣している場合にこの誤解があると、最低賃金を下回ってしまう可能性があるため注意が必要です。

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☞【参考】【厚生労働省】派遣労働者の最低賃金は?

 >>> 詳しくはこちら

③ 在宅勤務者の最低賃金を間違えている
在宅勤務者については、在宅勤務を行う場所に関わらず、会社所在地の都道府県の最低賃金が適用されます。例えば、会社所在地が東京で、地方で在宅勤務を行う社員がいる場合は、東京の最低賃金を上回ることが必要です。
最低賃金が会社所在地の方が高い場合、こちらを誤解していると最低賃金を下回ってしまう可能性もあるため注意しましょう。

実践のポイント(Tips)

① 給与改定と契約更新のタイミングによって最低賃金を下回らないよう注意する
給与改定や契約更新が、4月など最低賃金が上がる前に行っている会社では、その時点では最低賃金を上回っていても、10月に改定されると下回ってしまうことがあります。
これを回避する方法としては、以下のような方法が考えられます。

● 給与改定や契約更新時期を10月にする
● 3~5%(40~50円)程度の上昇を見込んで行う
● 10月に再度給与改定を行う

手間やコストを考えると、給与改定や契約更新の時期を10月にしてしまうのがベストですが、こういった対応が難しい場合は、毎年度最低賃金を確認のうえ、金額を下回ることが無いように都度の対応が必要となってきます。

② 試用期間中であっても、最低賃金は適用される
最低賃金は、雇用形態に関係なく原則すべての労働者に適用されます。
ただし、最低賃金が適用されない「最低賃金の減額の特例許可制度」というものがあります。一般の労働者より著しく労働能力が低い場合などに、最低賃金を一律に適用するとかえって雇用機会を狭めるおそれなどがあるため、次の労働者については、使用者が都道府県労働局長の許可を受けることを条件として、個別に最低賃金の減額の特例が認められています。

(1)精神又は身体の障害により著しく労働能力の低い方
(2)本採用決定前の試験的使用期間中の方
(3)基礎的な技能等を内容とする認定職業訓練を受けている方のうち厚生労働省令で定める方
(4)軽易な業務に従事する方
(5)断続的労働に従事する方

なお、上記の特例許可を受けようとする使用者は、「最低賃金の減額の特例許可申請書」を作成し、所轄の労働基準監督署長を経由し都道府県労働局長に提出が必要ですが、実際に使用者が「最低賃金の減額の特例許可の申請」を労働局長に行うケースは極めて少ないため、ほとんどのケースで試用期間中であっても最低賃金が適用される、というのが現状です。

③ 固定的賃金の変動となるため、随時改定(月額変更届)のチェックも忘れずに行う
最低賃金の引上げは固定的賃金の変動(昇給)となるため、最低賃金の引上げとあわせて、次の要件をすべて満たした場合は随時改定の対象になります。

(1)昇給または降給等により固定的賃金に変動があった
(2)変動月からの3か月間に支給された報酬(残業手当等の非固定的賃金を含む)の平均額に相当する標準報酬月額が、これまでの標準報酬月額との間に2等級以上の差が生じたとき
(3)3か月とも支払基礎日数が17日(特定適用事業所に勤務する短時間労働者は11日)以上

☞【参考】【日本年金機構】随時変更(月額変更届)

 >>> 詳しくはこちら

最低賃金の引上げだけでは標準報酬月額に2等級以上の差が生じることは少ないかもしれませんが、標準報酬月額の比較は、上記の2のように残業手当のような非固定的賃金額も含めた3か月の報酬の平均で見るため、たまたま残業が多い月が重なったなどの場合に、随時改定となる可能性があります。こちらの手続きも忘れないようにご注意ください。

☞ 給与計算・年末調整もできる「KIING OF TIME給与」について

 >>> 詳しくはこちら




KING OF TIME 情報


今回はお客様の中でお悩みの多い、KING OF TIMEの初期設定が終わってから従業員へスムーズに社内展開するためのポイントをご紹介します。

◆ 社内展開するための3つのポイントとは
◆ 自社独自のマニュアルを作成される場合



社内展開するための3つのポイントとは

KING OF TIMEは管理者と従業員がそれぞれ活用をしてはじめて役に立つものです。
そのため利用者である従業員にいかに利用促進を図れるかがポイントとなります。

以下3つのポイントを意識しましょう。
・勤怠管理システム(KING OF TIME)を導入する背景や目的、メリットを伝えること
・利用する機能の優先順位や運用スケジュールを決めること
・社内の問い合わせ窓口を定めて、従業員に周知すること

勤怠システム(KING OF TIME)を導入する具体的なメリットや、機能の優先順位などの詳細は以下オンラインヘルプをご参照ください。

☞【初期設定後は3STEPで社内展開】従業員にスムーズに運用展開するポイント

 >>> 詳しくはこちら



自社独自のマニュアルを作成される場合

KING OF TIMEでは、操作方法をまとめた従業員マニュアルを用意しています。

KOT画像1

PDF形式、Word形式でご用意しております。 従業員が日常でKING OF TIMEを使用するシーンを加えるなど、自社ご利用の範囲内に限りで複製・編集していただいて問題ございません。
自社独自のマニュアル作成時にお役立てください。

☞【PDF / Word】従業員マニュアル

 >>> 詳しくはこちら



本記事が皆様のお役に立てれば幸いです。
今後もKING OF TIMEをご愛顧いただけますよう邁進してまいりますので、何卒よろしくお願いいたします。


監修元:社会保険労務士法人 ヒューマンリソースマネージメント

 
 
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