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” 1日休む=プラスマイナスゼロ”ではない?代休・振替休日の違いと正しい給与計算・運用方法 [前編|代休]

公開日:2026年2月5日(当記事の内容は公開時点のものです)

監修:社会保険労務士法人 ヒューマンリソースマネージメント
社会保険労務士 岩下 等
監修:社会保険労務士法人
ヒューマンリソースマネージメント
社会保険労務士 岩下 等


1日休む=プラスマイナスゼロではない? 代休・振替休日の違いと正しい給与計算・運用方法 [前編|代休]

今週のピックアップ

【 労務情報 】
◆ その運用、大丈夫ですか?
◆ 似て非なるもの!「代休」と「振替休日(振休)」の定義を再確認
◆ 「1日休めば給与はプラスマイナスゼロ」という誤解
◆ 支払日のズレが「未払い」を生む?正しい精算ステップ
◆ 他にもある、代休運用時の実務ポイント
◆ トラブルを未然に防ぐ「会社を守るためのチェックポイント」

【 KING OF TIME 情報 】
◆ 「KING OF TIME」シリーズで代休を管理するための機能

 その運用、大丈夫ですか?

会社が従業員に休日出勤をさせた(またはさせる)際に、「代休」や「振替休日(振休)」を付与して調整する運用は、多くの会社で行われています。
この代休や振替休日について、言葉の定義は押さえていても、実際の運用が正しく行えていないケースが意外と多いのが実情です。特に多いのは、労働時間の集計と、それに紐づく給与計算・支払い方法に関する「誤解」や「誤用」です。

「休みを与えているのだから、賃金はプラスマイナスゼロでいいはず」
「代休を取ったタイミングで割増分を精算しているから問題ないはず」

もし、貴社でこうした運用がなされているとしたら、知らぬ間に未払い賃金が発生し、思わぬ労務トラブルの原因になるかもしれません。

本ブログでは2回にわたり、混同しやすい「代休」と「振替休日」について、それぞれの実務上のポイントを詳しく解説します。前編では、トラブルの火種になりやすい「代休」についてお届けします。

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 似て非なるもの!「代休」と「振替休日(振休)」の定義を再確認

まずは、基本となる言葉の定義を整理しましょう。
最大の違いは、「休みを入れ替えたタイミングが、休日出勤の前か後か」という点です。定義はシンプルですが、それによって生じる「割増賃金の支払い義務」には大きな差が生まれます。

■ 代休(事後処理)
①定義: 休日出勤をさせた「後」に、代わりの休みを与えること。
②効果: 休日出勤したという事実は消えません。
③賃金: 割増賃金の支払いが必要です。
・法定休日の場合:休日割増(35%増)
・法定外休日の場合:時間外割増(25%増 ※週40時間超の場合)

■ 振替休日(事前処理)
①定義:休日出勤をさせる「前」に、あらかじめ勤務日と休日を入れ替えること。
②効果:「休日労働」にはなりません。
休日が労働日に、労働日が休日に入れ替わるため、もともとの休日に働いても「通常の労働日」の勤務扱いとなります。
③賃金: 原則として割増賃金は不要です。
※ただし、振り替えた結果、その週の労働時間が40時間を超える場合は、超過分に対して25%増の支払いが必要になります。

【人事担当者が押さえるべき重要ポイント】
振替休日を運用するには、就業規則への根拠規定が必須です。規定がない場合、たとえ事前に調整していても法的には「代休」とみなされ、割増賃金の支払い義務が生じます。また、規定があっても、「事前に」「振替日を特定して」指示していなければ、振替休日とは認められないため、運用の徹底が不可欠です。

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 「1日休めば給与はプラスマイナスゼロ」という誤解

代休について最も多い誤解は、「休日に1日働かせても、代わりに1日休ませたのだから給与は相殺できる(プラスマイナスゼロ)」という考え方です。

なぜ相殺できないのか。それは、代休が「事後の休み」であり、「休日に勤務した」という事実が法的に消えないからです。そのため、休日出勤に対して発生する「割増賃金」については、代休を与えたとしても別途支払う義務が生じます。

ここで重要になるのが、出勤した日が「法定休日」か「法定外休日」かという区別です。

①法定休日(原則として週に1日の休日)に出勤した場合
・割増率:135%(休日割増賃金)
・精算の考え方:代休として1日休ませることで、基礎となる「100%分」は相殺できますが、割増分の「35%」は支払いが必要です。

②法定外休日(会社が定めた法定休日以外の休日)に出勤した場合
・割増率:125%(時間外割増賃金)
※その週の労働時間がすでに40時間を超えている場合
・精算の考え方:代休として1日休ませることで、基礎となる「100%分」は相殺できますが、割増分の「25%」は支払いが必要です。

■ 例 代休説明

【実務のヒント:法定休日の「特定」はすべき?労基法大改正も踏まえて】
法定休日をあらかじめ特定(例:日曜を法定休日とする)している会社もあれば、特定していない会社もあります。特定していない場合、土日のどちらかに出勤しても、もう一方が休みであれば、そちらを法定休日として処理することが可能です。

しかし、これでは「いつが割増の高い法定休日なのか」がその都度変わり、担当者の管理が煩雑になるだけでなく、従業員にとっても分かりづらいものとなります。現在は法定休日の特定は義務ではありませんが、実務上の混乱を防ぐために就業規則等で特定しておくことが望ましいとされています。
なお、現在進められている労働基準法の改正、いわゆる労基法大改正の議論の中でも「法定休日の特定義務化」が検討されており、今後の動向には注意が必要です。

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 支払日のズレが「未払い」を生む?正しい精算ステップ

「代休を取ったときに、差額の35%(または25%)だけ支払う」
「代休を取るまで、休日出勤手当の支払いを保留する」
実務上、このような運用をしている会社は少なくありません。しかし、この運用には「賃金全額払いの原則」および「毎月払いの原則」に抵触する重大なリスクが潜んでいます。

なぜなら、代休の場合は「先に休日出勤をした」という事実があるからです。労働を提供した時点で、その月の賃金として割増分を含む手当を支払う義務が発生しています。

同一の賃金計算期間(締日まで)に代休を消化できれば、その月の中で支払われることになりますが、代休の取得が翌月以降(締日をまたぐ)になる場合、出勤した月で手当を支払わなければ、その時点で「未払い」の状態となります。

【正しい精算のステップ】
①休日出勤した月の給与:一旦、休日労働分の給与(135%または125%)を全額支払う。

②代休を取得した月の給与:労働義務が免除された分(100%相当)を控除する。
※時給制の場合は、代休日の分を支給しないことで精算します。

この手順を踏むことで、結果的に従業員の手元に残るのは「差額の35%(または25%)」となり、法的な整合性が保たれます。

このように「代休を取るまで支払いを保留する」といった運用では、代休が未消化のままの場合、それに伴い、賃金の未払い状態も続き、リスクを抱え続けることとなります。
「代休が10日もたまっている」という話も耳にしますが、これは「多額の未払いリスクを抱えている」と言い換えることができるため注意が必要です。

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 他にもある、代休運用時の実務ポイント

代休の運用について、その他ポイントを3つ挙げます。

① 期限切れ代休の取り扱い
「代休は1か月以内に取得すること。期限を過ぎたら消滅する」といった規定を設けている会社も多いでしょう。
この場合、すでに休日出勤をした月の給与で「割増分(135%や125%)」を全額支払っていれば、期限後に「休みを取る権利」のみを消滅させることは可能です。

しかし、前述のように「代休を取得したら差額を支払う」といった運用の場合、代休の時効が来たからといって本来払うべき賃金まで消滅させることはできないため注意しましょう。

② 有給休暇との優先順位
従業員から「代休ではなく、まずは有給休暇を使いたい」と言われるケースがあります。
法的には有給休暇が優先されるため、会社が一方的に有休を拒否して代休を使わせることはできません。
休日出勤分の賃金をきちんと支払っていれば、代休の代わりに有休を取らせること自体は、会社にとっては、従業員の労働時間を抑えつつ、有休の消化率も高められます。また、従業員にとっても、代休が無給の場合は有休により給与を減らさずに済むため、よい面もあります。代休を優先的に取らせたい場合は、就業規則に「代休がある場合は、原則として代休から優先的に消化すること」と定めておき、強制はできませんが、管理上のルールとして従業員に働きかけるのがよいでしょう。

③36協定や月60時間超の割増賃金への影響
代休を与えても、休日出勤した「時間数」は、36協定の上限時間数や月60時間超の割増賃金(50%以上)を計算するための累計時間から除外されません。

特に、以下の判定基準の違いは間違いやすいため、改めて確認しておきましょう。
・36協定の「月100時間未満」「複数月平均80時間以内」チェック:「時間外労働」だけでなく、「法定休日」の労働時間も合算して判定します。

・月60時間超の「50%割増」判定:こちらは「法定休日」を除いた、「時間外労働(週40時間超の法定外休日を含む)」のみで判定します。

代休もさることながら、そもそも「その出勤がどの枠でカウントされるのか」を正確に把握しておかなければ、意図せぬ協定違反や賃金不足を招く恐れがあります。休日労働の管理は、仕組みを正しく理解した上での運用が不可欠です。

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 トラブルを未然に防ぐ「会社を守るためのチェックポイント」

「代休」は、現場の運用としては非常に便利ですが、正しく運用しないとリスクを抱えてしまいます。意図せぬ未払いや労務トラブルを防ぐために、今回の内容を参考に、まずは自社の現状を改めて見直してみましょう。

特に、以下の3点は確認をお勧めします。
①就業規則の明文化
会社・担当者・従業員の間で認識のズレが起きないよう、「そもそも代休は有給か無給か」といった基本事項から、付与条件、取得期限、賃金の精算方法まで、明確に規定し周知しておきましょう。

②システム設定の整合性
勤怠管理システムや給与ソフトの設定が、今回の割増ルール(135%や125%の自動計算、控除のタイミングなど)と合致しているか、今一度チェックしてください。

③「時間は消えない」という意識の共有
代休を与えても、36協定などの時間カウントからは除外されません。現場のマネージャー層へも、この点、正しく伝えることが重要です。

※「振替休日」については、今後のブログでお届けします。

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KING OF TIME 情報

「KING OF TIME」シリーズには、代休、振替休日を適切に管理するための機能が備わっています。
導入の際には、以下のオンラインヘルプもご参照ください。

【代休】設定方法 / 取得方法

「振休」と「代休」の違い

本記事が皆様のお役に立てれば幸いです。
今後もKING OF TIMEをご愛顧いただけますよう邁進してまいりますので、何卒よろしくお願いいたします。

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監修元:社会保険労務士法人 ヒューマンリソースマネージメント

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