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税務情報

【税務情報】年末調整後の電子申告(e-TaxとeLTAX)

公開日:2024年12月19日(当記事の内容は公開時点のものです)

監修:税理士法人総合経営サービス
植松 伸


【税務情報】年末調整後の電子申告(e-TaxとeLTAX)

今週のピックアップ

◆ 年末調整後の申告
◆ e-Taxの手続き
◆ eLTAXの手続き
◆ e-Tax、PCdeskの電子申告


 年末調整後の申告

総合経営サービスの植松です。
今回は年末調整後の申告について取り上げます。

以前は、紙の給与明細を従業員の皆さんへ配布していた企業が大半でしたが、最近では、給与明細をWeb上で確認できるようにしている企業が増えています。そのような企業では、年末調整後の各個人の源泉徴収票についても、Web上で公開されることが多いようです。

源泉徴収票を紙で配布している場合、一般的には会社の経理部等から年末調整後に1枚、従業員の方に配布します。そのため、複数枚必要であったり、別の時期になって再度発行してもらいたい場合は、会社側はその都度対応する必要がありました。
一方でWeb公開の場合、従業員の方は、公開期間中はいつでも閲覧できますし、ダウンロードしてPDF等にしておけば、必要なときにご自身でいつでも印刷できるので(会社側も手間が減り)便利ですね。

印刷した源泉徴収票には、法人の押印が無いけれど問題ないか聞かれることがありますが、もともと印鑑の押印は不要でした。紙で渡す場合に、法人印を押している事業所もありますが、法的な義務ではありませんので、押印があってもなくても正式なものとして問題ありません。

年末調整が終わり、従業員の皆さんへ源泉徴収票を配布(公開)した後は、「法定調書」と「住民税申告」が待っています。この2つの手続きは、いずれも1月末が提出期限となっており、もう一つ事業用の資産(償却資産)の申告も1月末が期限となります。
これらの申告は、法人の決算月には関係なく、1月から12月の集計又は12月末時点の状況について申告するものです。

「法定調書」はe-Tax(イータックス)を使用して申告し、「住民税申告」、「償却資産税申告」については、eLTAX(エルタックス)を使用して申告するのが便利です。
e-Taxは国(税務署)への申告用システム、eLTAXは地方自治体への申告用システムということになります。

 e-Taxの手続き

e-Taxは、前述のとおり、国税に関する申告用システムです。個人・法人を問わず、国税に関する申告や届出を電子的に行うことができます。
e-Taxソフトは、PC版、Web版があり、PC版は基本的に自分のPCにダウンロードして使います。Web版はスマートフォン等から使いやすいように作られています。

年末調整が終わった後、「法定調書」を1月末までに提出する必要がありますが、「法定調書」とは何を指すのでしょうか。広い意味では、法で定められた書類はすべて「法定調書」となるので、法人税や所得税の申告書も「法定調書」です。
しかし、一般的に「法定調書」という場合には、「給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表」のことを指します。

これは、事業者が毎年1月1日から12月31日までの期間に、下記の支払いをした金額を集計して記載し、提出するものです。

・給料及び賞与
・退職金等
・税理士、社会保険労務士、コンサルタント等の士業等に支払った又は発生した金額
・事務所、社宅、倉庫料等の家賃
・不動産の売買があった場合の売却先や購入先、仲介事業者への支払等


必要に応じて、給与の高い従業員や役員の源泉徴収票、年間5万円以上の士業等への支払調書などを添付して所轄の税務署へ提出します。非居住者等への支払については、また別の法定調書がありますが、ここでは割愛します。

ちなみに、士業等への支払調書については、税務署への提出は義務ですが、支払先の士業事務所、例えば我々のような税理士へ支払調書を送付することは、義務ではありません。
士業であれコンサル業であれ、「事業者」ですので、支払調書が無くても帳簿を付けていることが当たり前ですから、支払調書を送付する必要が無いことになります。

また、個人事業者の中には、支払調書を添付して確定申告しているのだから送ってもらわないと困るという方もいらっしゃいますが、支払調書は確定申告書にも添付義務がありません。そして、事業者は帳簿をつける義務があるので、困らないはずというのが税務署の見解です。むしろ、支払調書を集計して確定申告をしている場合には、青色申告の要件を満たしていないといわれる可能性もありますので、注意しましょう。

それから、支店がある法人については、各支店別に所轄の税務署へ、「法定調書」を提出することが原則となっていますが、事前手続きをすることにより、本店で一括処理をすることもできます。

話を戻して、合計表には、給与や家賃の集計結果を記載し、集計項目の基準に従って、源泉徴収票や支払調書を添付していきます。源泉徴収票や支払調書等を添付して提出する必要があるかどうかの判断は、ソフトが自動的に判断してくれるものもあります。

クラウドソフトを使用している場合には、集計結果に、士業への支払調書や家賃支払額等を入力し、そのまま電子申告ができるものもあります。電子申告の機能が無いソフトを使用している場合には、集計結果をe-Taxソフトに転記して、電子申告をすることになります。

合計表は、転記すればよいのですが、源泉徴収票等の提出枚数が多い場合には、転記が大変なので郵送しても問題ありませんが、その調書の提出枚数が100枚以上ある場合には、電子申告かDVD等の光ディスクによる提出か、国税庁長官の認定を受けたクラウドサービスで提出する必要があります。
この枚数については、令和9年以降は30枚以上になるので、電子申告まで連動できるクラウドサービスを採用することが望ましいでしょう。

 eLTAXの手続き

eLTAXは、地方税に関する申告システムです。地方税に関する申告、届出を電子的に提出することができます。
年末調整の後でeLTAXを使用して行うのは、個人住民税の特別徴収等の申告です。
これは個人住民税の天引きシステムである特別徴収税額を決定するための申告になります。
1月末期限の地方税の申告には、償却資産税という事業者が使用している資産を、市区町村別に申告する必要がありますが、年末調整とは関係ないのでこちらも割愛します。
個人住民税の特別徴収については、従業員の所得が給与だけであれば、給与からの天引きで全額納付することになります。

しかし、その個人について不動産所得等があり、確定申告が必要な場合については、給与所得分とその他の所得分の個人住民税を合算して給与から控除するか、給与所得分は給与から控除し、その他の所得分は別途個人で支払うか選択することができます。
この選択は、確定申告の際にすることになりますので、個人住民税の特別徴収の申告の際には考慮する必要はありません。
原則として、給与所得分の個人住民税は、給与から特別徴収する必要がありますが、年末や来年6月までに退職予定である従業員については、退職またはその予定として普通徴収で申告します。

こちらの手続きについて、電子申告ができる以前は、従業員全員分の給与支払報告書を、各従業員が住んでいる自治体ごとに区分して、1月末までに各自治体あてに郵送する必要がありました。
私も経験がありますが、従業員全員分の給与支払報告書を2枚ずつ印刷し、会議室等で区分して、封筒を作成して郵送するのはなかなか大変な作業でした。

今はeLTAXのシステムを使えば、各自治体に一斉に送信できるので、手間がかからなくなっています。eLTAXについては、実際には「PCdesk(ピーシーデスク)」をダウンロードするか、Web版で申告や申請手続きを行います。
様々なソフトと連携できますので、まだ電子申告をしたことが無い方は一度試してみるとよいでしょう。使用するソフトによっては最初の設定が大変なようですが、電子申告ができるようになれば従業員が多い会社ほど時間が節約できます。

 e-Tax、PCdeskの電子申告

この2つは、国、地方自治体が作成した電子申告用のソフトです。
これらは、すべての事業者に対応できるように作成している汎用ソフトですので、このソフトのみで使用する場合には、使いにくさを感じる方も多いようです。企業が使用している給与ソフト等が、この仕組みを利用していて直接申告や申請できれば使いやすいと思います。

そもそもの話をしていませんでしたが、電子申告や電子申請をする場合には、電子証明書が必要になります。電子証明書は、電子手続きにおける会社の代表印のようなものになり、法人の電子証明書を作成しようとすると、法務局で作成するか、代表者のマイナンバーカードを利用することが多いと思います。 法務局で作成する電子証明書は、最大27か月有効で手数料は9,300円です。令和3年以降は手数料も下がりましたし、オンラインで作成できるようにもなりましたので、だいぶ便利になりました。

ただ、2年3か月ごとに電子証明書を発行し直さなければならないことが手間だという方もいるようです。民間の電子証明書では5年有効のものもありますが、発行手数料が高いので、どちらを選択するかは考え方次第です。
(私たち税理士は、税理士会が発行している電子証明書を使用しており、有効期間は5年くらいありますし、発行手続きも税理士会に申し込むだけなので、あまり面倒だとは思いませんが、電子証明書がもう少し身近にあればもっといいですね。)



監修者紹介

税理士法人総合経営サービス 植松 伸

下町生まれの税理士の植松伸です。
税理士になる前は建設系の労働組合で働いていたので、建設業等の許認可や健康保険事務組合の知識もあり、それらの業務を弊社グループ内へつなぐことも大事にしています。
趣味は観賞魚飼育で、現在自宅に水槽が10個あります。
魚を眺めたり、水の音はとてもリラックスできるのですが、水槽の掃除等のメンテナンスに時間がかかるので、ちょっと増やしすぎたと反省する毎日です。

本記事が皆様のお役に立てれば幸いです。
今後もKING OF TIMEをご愛顧いただけますよう邁進してまいりますので、何卒よろしくお願いいたします。


監修元:税理士法人総合経営サービス

 
 
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