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【5分でざっくりわかる】社会保険の適用と被扶養者の認定

公開日:2024年8月1日(当記事の内容は公開時点のものです)

監修:社会保険労務士法人 ヒューマンリソースマネージメント
特定社会保険労務士 馬場栄
監修:社会保険労務士法人
ヒューマンリソースマネージメント
特定社会保険労務士 馬場栄


【5分でざっくりわかる】社会保険の適用と被扶養者の認定

今週のピックアップ

【労務情報】
◆ 従業員51人以上の企業で社会保険の適用拡大
◆ 社会保険の適用要件
◆ 制度や年齢による適用の違い
◆ 被扶養者の認定基準
◆ 被扶養者の範囲と収入条件
◆ 社会保険と所得税法の違い
◆ 国内居住要件

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従業員51人以上の企業で社会保険の適用拡大

2024年10月から社会保険の適用範囲が拡大し、厚生年金保険の被保険者数が51人以上の企業で働くパート、アルバイト等通常の労働者より所定労働時間が短い社員の社会保険加入が義務化されます。
これまでも、厚生年金保険の被保険者数が101人以上の企業で、週20時間以上働く短時間労働者は社会保険の加入対象となっていましたが、この範囲がさらに拡大されることになります。

【参考】社会保険適用拡大 特設サイト[事業主のみなさま]|厚生労働省

厚生年金保険の適用拡大が予定されている企業等で働くパート・アルバイト等の社員は、被保険者数が51人以上の場合、以下すべての要件を満たすことで『短時間労働者』として社会保険に加入する必要があります。

☑ 週の所定労働時間が20時間以上30時間未満(週所定労働時間が40時間の場合)
・契約上の所定労働時間であり、臨時に生じた残業時間は含みません。
・契約上20時間に満たない場合でも、実労働時間が2か月連続で週20時間以上となり、なお引き続くと見込まれる場合には、3か月目から加入対象となります。

☑ 所定内賃金が月額8.8万円以上
基本給および諸手当を指します。ただし残業代・賞与・臨時的な賃金等は含みません。
<含まれない手当等>
・1か月を超える期間ごとに支払われる賃金 (賞与等)
・時間外労働、休日労働および深夜労働に対して支払われる賃金(割増賃金等)
・最低賃金に算入しないことが定められた賃金(精皆勤手当、通勤手当および家族手当)

☑ 2か月を超える雇用の見込みがある
☑ 学生ではない


この「社会保険の適用拡大」に加え、ニュース等でも話題になることの多い「年収の壁」の問題について、会社側で正しく労務管理を行うためには、「社会保険の適用」や「被扶養者の認定」の基本的な理解が不可欠といえます。

今回は、「社会保険の適用」と「被扶養者の認定」をテーマに取り上げて、わかりやすくご案内したいと思います。

社会保険の適用要件

社会保険適用の基本的な考え方として、事業所に「常時使用される人」は、国籍や性別、賃金の額等に関係なくすべて被保険者となります。
ここでいう「常時使用される」とは、雇用契約書の有無等とは関係なく、適用事業所で働き、労務の対価として給料や賃金を受けるという使用関係が常用的であることをいい、法人の場合は、事業主のみの場合でも被保険者として社会保険の加入が必要です。
原則として、70歳以上の方は、社会保険のうち健康保険のみの加入となり、たとえ従業員が年金受給者であっても、社会保険の加入要件を満たしている場合は対象となります。

制度や年齢による適用の違い

社会保険(健康保険・厚生年金保険)と労働保険(労災保険・雇用保険)の適用については、以下のような違いがあります。

【社会保険と労働保険の適用の違い】
■ 社会保険
<役員>

法人から労務の対償として報酬を受けている者は、加入が必要。事業主のみの場合(従業員を雇っていない場合)であっても対象。
<パート・アルバイト等>
1週間の所定労働時間および1か月の所定労働日数が同じ事業所で同様の業務に従事している通常の労働者の4分の3以上の者は、加入が必要。

■ 労働保険
<役員>

労災保険および雇用保険の加入なし。
※兼務役員は、従業員部分については労災適用、業務や賃金の比重により雇用保険加入。
<パート・アルバイト等>
労災保険は加入。雇用保険は下記の要件を満たした場合に加入が必要。
① 31日以上引き続き雇用されることが見込まれる、かつ
② 1週間の所定労働時間が20時間以上の者

次に、社会保険の年齢による適用の違いは、以下のとおりです。
■ 70歳未満
年齢による制限はなし。
20歳未満や、65歳以上(年金受給者)でも法人に使用される者は、加入が必要。

■ 70歳以上75歳未満
厚生年金保険の加入なし。
健康保険のみ加入が必要(厚生年金保険の資格喪失年月日は、70歳に到達する誕生日の前日)。

■ 75歳以上
厚生年金保険も健康保険も加入なし(健康保険が後期高齢者医療制度に移行。資格喪失年月日は、75歳の誕生日当日)。

被扶養者の認定基準

次に、被扶養者についてですが、該当するかどうかの判断要素として、以下の①~③をすべて満たした場合に被扶養者の認定を受けることができます。

① 被扶養者の対象範囲に該当しているか(同居が必要な場合は要件を満たしているか)
② 収入条件はクリアしているか
③ 国内に居住しているか

※詳細は後述します。

被扶養者の認定を受けた場合、対象者ごとに健康保険証が発行されることになりますが、2024年12月2日以降は原則として「マイナ保険証」を利用することとなり、健康保険証の発行は行われない予定です。

詳細については、以前の労務ブログでも取り上げていますので、ご参考にしてください。

【参考】【5分でざっくりわかる】マイナンバーカードの健康保険証利用

被扶養者の範囲と収入条件

被扶養者の範囲は、健康保険法で被保険者の3親等内の親族と定められており、被保険者と「同居していることが条件でない人」と「同居していることが条件となる人」に分かれます。

【被扶養者の範囲】
■ 同居していることが条件でない人

・配偶者(内縁関係を含む)
・子(養子を含む)、孫
・兄姉弟妹
・父母(養父母を含む)等の直系尊属

■ 同居していることが条件となる人
・上記以外の3親等内の親族
・被保険者の配偶者(内縁関係を含む)の父母、連れ子
・被保険者の配偶者(内縁関係を含む)死亡後のその父母、連れ子

次に、被扶養者の収入条件を整理すると以下のとおりです。

【被扶養者の収入条件】
① 年間収入が130万円未満であること

・原則として、認定対象者の年間収入が130万円未満で、かつ被保険者の年間収入の半分未満であること。
・認定対象者の年間収入が被保険者の半分以上であっても、130万円未満である場合は、被保険者の収入によって生計を維持していると認められること。

② 別居の場合は仕送り額で判断
認定対象者が被保険者と別居している場合には、年間収入が130万円未満で、かつ被保険者からの仕送り額より少ないこと。

③ 60歳以上(または障害者)の場合は180万円未満
認定対象者が60歳以上、または障害厚生年金を受けられる程度の障害者の場合には、年間収入が180万円未満であること。

社会保険と所得税法の違い

社会保険と所得税法では、扶養の考え方に以下のような違いがあります。

【社会保険と所得税法上の扶養の考え方の違い】
■ 対象範囲
<社会保険>

3親等内の親族(内縁関係を含む)。
<所得税>
6親等内の血族と3親等内の姻族(戸籍上の親族であること)。

■ 収入の範囲
<社会保険>

課税・非課税に関わらず継続して得られるものは収入と判断されるため、失業等給付、遺族・障害年金、傷病・出産手当金、通勤手当も対象。
<所得税>
失業等給付、遺族・障害年金、傷病・出産手当金、通勤手当は対象外。

■ 収入の金額
<社会保険>

今後1年間の収入見込みが130万円未満。
<所得税>
その年の1月1日から12月31日の年間収入が103万円以下。

国内居住要件

令和2年4月の改正健康保険法の施行により、「健康保険の被保険者に扶養されている者(被扶養者)」の認定要件に新たに国内居住要件が追加されました。

■ 国内居住要件の考え方
住民基本台帳に住民登録されているかどうか(住民票があるかどうか)で判断し、住民票が日本国内にある方は原則、国内居住要件を満たすものとされています。

■ 国内居住要件の例外
日本国内に住所がないとしても、外国に一時的に留学をする学生、外国に赴任する被保険者に同行する家族等の一時的な海外渡航を行う者等については、日本国内に生活の基礎があると認められる者として、国内居住要件の例外として取り扱われます。

今後、社会保険の適用範囲がさらに拡大していくことも検討されています。今回取り上げた加入要件を正しく理解して、適切な労務管理を行っていきましょう。




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本記事が皆様のお役に立てれば幸いです。
今後もKING OF TIMEをご愛顧いただけますよう邁進してまいりますので、何卒よろしくお願いいたします。


監修元:社会保険労務士法人 ヒューマンリソースマネージメント

 
 
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