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【給与計算の知恵袋】令和5年度の年末調整

公開日:2023年11月2日(当記事の内容は公開時点のものです)

監修:社会保険労務士法人 ヒューマンリソースマネージメント
特定社会保険労務士 馬場栄 
監修:社会保険労務士法人
ヒューマンリソースマネージメント
特定社会保険労務士 馬場栄 


【給与計算の知恵袋】令和5年度の年末調整

今週のピックアップ

【労務情報】
◆令和5年度の年末調整
◆住宅ローン控除の借入限度額・控除率・控除期間
◆扶養控除の適用対象者(非居住者扶養親族の適用範囲変更)
◆退職手当を有する配偶者・扶養親族欄の追加
◆年末調整で必要となる書類

【KING OF TIME 情報】
◆ Myレコーダーで打刻時に所属選択ができるようになりました
◆ 「打刻時の所属選択」活用法
☞ KING OF TIME 情報は 《 こちら 》


令和5年度の年末調整

早いもので11月に入りました。年末調整ご担当の方におかれましては、せわしない時期を迎えているのではないでしょうか。
今回は、令和5年度の年末調整の変更点や、実践のポイントを取り上げて解説いたします。

改めて、年末調整とは、狭義には、社員の1月から12月までの毎月の給与から控除してきた1年分の所得税額と生命保険料控除等を加味した当年の正確な所得税額の過不足額を算出し、年末の給与(賞与)で清算することです。
給与所得者の場合は、原則として年末調整を行うことになります。

令和5年度の年末調整の主な変更点は以下のとおりです。
●住宅ローン控除の借入限度額・控除率・控除期間
●扶養控除の適用対象者(非居住者扶養親族の適用範囲変更)
●退職手当を有する配偶者・扶養親族欄の追加

次のパラグラフから詳しく内容をご紹介いたします。
年末調整業務の全体像については、以前こちらの労務ブログでも解説しています。

☞【参考】【5分でざっくりわかる】年末調整のキホン ~年末調整の全体像をわかりやすく解説~

>>> 詳しくはこちら

住宅ローン控除の借入限度額・控除率・控除期間

住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)を受けられる条件(借入限度額・控除率・控除期間)が以下のように変更されています。
こちらは2022年度からすでに変更となっている点ですが、会社における実務としては実質、今年がスタートとなります。なぜかというと、住宅を取得した社員が住宅ローン控除を受けるためには、初回(1年目)は本人が確定申告をする必要があるからです。2回目以降は年末調整で、住宅借入金等特別控除申告書や住宅ローンの年末残高等証明書を会社に提出し行う流れとなっており、それが今年の年末調整にあたるためです。


■変更点(概要)

居住開始が2022年、2023年の場合
・借入限度額 :一般の住宅は4,000万から3,000万円に変更
一般の中古住宅の取得・増改築は2,000万円に変更
        ※その他、住宅性能×居住開始年別に細分化
・控除率   :1%から0.7%へ変更
・控除期間  :新築住宅は10年から13年へ延長
        中古住宅は従来どおり10年
・震災再建住宅:控除率0.9%、控除期間13年に変更
         ※震災再建住宅は、東日本大震災の被災者にかかる特例。
その他、住宅ローン控除適用対象の所得要件は、その年の合計所得金額が「3,000万円以下」でしたが、給与以外の所得も含めて「2,000万円以下」へ引き下げられました。

マンション等を購入した社員は、ご自身で調べたり、販売元等から説明を受けていることも多いため、制度の内容をある程度理解していると思いますが、いざ申告書を受けとった場合は、ご担当者が確認する役目となりますので、ポイントを押さえておきましょう。
上記の内容を一覧にまとめたものが、以下の表となります。詳細は国税庁㏋ご参照ください。

労務画像1

☞【参考】【国税庁】住宅の新築等をし、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)

 >>> 詳しくはこちら

扶養控除の適用対象者(非居住者扶養親族の適用範囲変更)

会社によっては、全く見かけないこともあるかもしれませんが、「非居住者扶養親族」とはなんでしょうか?
一言で言うと、「海外に住んでいて、現在進行形で日本から仕送りや生活費を受けている家族」のことで、例えば、「海外留学しているお子さん」と言うとイメージが沸きやすいかと思います。

非居住者である扶養親族のうち扶養控除の対象範囲は、従来、16歳以上であれば対象となっていましたが、令和5年度からは、16歳以上のうち30歳以上70歳未満の方は、下記のいずれかに該当しないと対象外の取り扱いとなっています。
逆に言えば、年齢が30歳以上70歳未満の非居住扶養親族のうち、下記のいずれにも『該当しない』人は、扶養控除の欄に名前があっても、控除カウントすることはできません。

■非居住者である扶養親族のうち30歳以上70歳未満でも対象者となる人
①留学により国内に住所及び居所を有しなくなった人
②障害者
③扶養控除の適用を受けようとする所得者から、その年において生活費又は教育費に充てるための支払を38万円以上受けている人

労務画像1

☞【参考】【国税庁】【令和5年分】年末調整のしかた(扶養控除の対象となる非居住者である扶養親族の範囲)

 >>> 詳しくはこちら

このように、これまで16歳以上であれば非居住者扶養親族にできましたが、その対象が条件付きとなったことに加え、上記に該当する非居住者扶養親族があり、扶養控除の適用を受けようとする場合は、その扶養親族に係る証明書類を、給与の支払者(事業主)へ提出しなければならないこととされました。
運用として、下記表中③の証憑確認が難しくなることが想定されますが、事前に必要となる書類を確認しておくなど、出来る準備をしっかり行いましょう。

労務画像1

☞【参考】【国税庁】令和5年1月以後に非居住者である親族について扶養控除等の適用を受ける方へ

 >>> 詳しくはこちら

退職手当を有する配偶者・扶養親族欄の追加

令和5年から「扶養控除等(異動)申告書」の様式が変更され、「住民税に関する事項」に「退職手当等を有する配偶者・扶養親族」欄が追加されました。
これにより、配偶者等に退職手当等が出た際に起こりうる、住民税での扶養控除等の適用漏れを防止しようとするものです。

ここでは、なぜ住民税において適用漏れが起こりうるか、について簡単に解説します。
まず、所得税と住民税との間で合計所得金額を算出する際の退職金の取り扱いが、以下のように異なります。

<相違点>
・所得税では『合計所得金額』に退職所得を含む
・住民税では『合計所得金額』に退職所得は含まない


そのため、例えば、退職所得を受け取った配偶者・扶養親族がいる場合、所得税では退職所得を含めて計算した結果、配偶者・扶養親族の合計所得額が適用基準を超え、控除を受けられない場合でも、住民税では、退職所得を含めずに計算した結果、適用基準の範囲内に収まり、控除を受けられることがあります。こうした場合に住民税での扶養控除等の適用漏れが起こりうるというわけです。
下記の記載例もご参考ください。

☞【参考】【国税庁】扶養控除等申告書(記載例)p2「4 住民税に関する事項の記入」

 >>> 詳しくはこちら

年末調整で必要となる書類

【必須の書類】
■給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
給与所得者が、その給与について諸控除を受けるための手続きに必ず必要な書類です。
扶養親族がいる場合はもちろんですが、いない場合でも「いない」という申告が必要になります。

【該当する人は提出が必要な書類】
■給与所得者の保険料控除申告書と控除証明書類
所得控除が受けられる生命保険料や確定拠出年金(iDeCo)等の掛金がある人

■給与所得者の配偶者控除等申告書
配偶者控除を受けられる人

■住宅借入金等特別控除申告書
住宅ローンを利用しマイホームの取得等をした人

■前職の源泉徴収票
転職で中途入社した人

企業などの源泉徴収義務者は、年末調整を行ったあとの提出書類に対して、決められた期間保管する義務があります。税法上は『その申告書等の提出期限の属する年の、翌年1月10日の翌日から7年間保存する必要がある』と決められていますので、書類の提出期限に当たる翌年1月10日の翌日を起算日とし、この起算日から7年間にわたって保管することが必要です。

近年では、年末調整の電子化が活発になっています。システムを活用することでペーパーレス化が進み、紙書類の確認にかかる工数を減らすことも可能となるでしょう。

☞【参考】【国税庁】年末調整手続の電子化に向けた取組について

 >>>詳しくはこちら

その他、年末調整全体や詳細に関しましては、国税庁から令和5年度の年末調整の手順等を解説した動画やパンフレットが示されておりますので、こちらもご参照ください。

☞【参考】【国税庁】年末調整がよくわかるページ(令和5年分)

 >>> 詳しくはこちら

☞ 給与計算・年末調整もできる「KIING OF TIME給与」について

 >>> 詳しくはこちら




KING OF TIME 情報


今回は2023年10月に新たに追加された機能についてご紹介します。 新機能を活用して、今後のKING OF TIME運用にお役立ていただけますと幸いです。

◆ Myレコーダーで打刻時に所属選択ができるようになりました
◆ 「打刻時の所属選択」活用法



Myレコーダーで打刻時に所属選択ができるようになりました

Myレコーダーとは、スマートフォンやPCのWebブラウザでタイムレコーダーURLにアクセスして打刻できる個人用のタイムレコーダーです。
この「Myレコーダー」で自所属以外の打刻所属を選択することができるようになりました。

☞【Myレコーダー】【携帯ブラウザ打刻】利用開始方法

 >>> 詳しくはこちら



「打刻時の所属選択」活用法

複数拠点を行き来する場合や、海外出張の際にも本機能を有効的にご利用いただけます。今回は海外出張時の現地時間に合わせた打刻記録を例にして、事前準備をご案内いたします。

事前準備1:所属設定

新たに所属を作成し、現地のタイムゾーンを選択します。
※タイムゾーンの表示がない場合は、サポートセンターへお問い合わせください。

KOT画像1

☞海外拠点での打刻管理に必要な設定

 >>> 詳しくはこちら


事前準備2:タイムレコーダー設定

Myレコーダーからの打刻所属選択で「ヘルプ登録済みの所属から選択」または「全ての所属から選択」のいずれかを登録します。
従業員単位で打刻所属の選択肢を制限されたい場合は、「ヘルプ登録済みの所属から選択」がおすすめです。

KOT画像2

☞「タイムレコーダー設定」の設定方法

 >>> 詳しくはこちら

その他、新機能リリース情報は以下のオンラインヘルプよりご確認ください。

☞「KING OF TIME 勤怠管理」:アップデートのお知らせ(2023年10月11日リリース)

 >>> 詳しくはこちら


本記事が皆様のお役に立てれば幸いです。
今後もKING OF TIMEをご愛顧いただけますよう邁進してまいりますので、何卒よろしくお願いいたします。


監修元:社会保険労務士法人 ヒューマンリソースマネージメント

 
 
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