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労務情報

パワハラ対応義務化から半年、実務担当者が陥りがちな問題対応とは ~裁判例から見るヒアリングのポイント~

公開日:2022年9月29日(当記事の内容は公開時点のものです)

監修:社会保険労務士法人 ヒューマンリソースマネージメント
特定社会保険労務士 馬場栄 
監修:社会保険労務士法人
ヒューマンリソースマネージメント
特定社会保険労務士 馬場栄 


パワハラ対応義務化から半年、実務担当者が陥りがちな問題対応とは~裁判例から見るヒアリングのポイント~

今週のピックアップ

【労務情報】
◆ ハラスメント対応義務化から半年が経過
◆ 相談を受けた場合の流れが定まっていない
◆ ヒアリング順序を間違えない
◆ 被害者と加害者からヒアリングするだけでは不十分?
◆ プライバシーへの配慮は最重要
◆ 相談窓口はパワハラを判断する場ではない

【KING OF TIME 情報】
◆ 有給休暇付与機能とは?
◆ 有休付与対象者が表示されたら
◆ 年次有給休暇管理簿データ
☞ KING OF TIME 情報は 《 こちら 》


ハラスメント対応義務化から半年が経過

2022年4月から中小企業にもパワーハラスメントへの対応が義務化され、約半年が経過しました。
就業規則の見直しは一応は行なったものの、具体的な運用方法までは決まっていなかったり、まだハラスメントに関する相談を受けたことがなく、実際にハラスメント対応を行なったことがないという会社もあるのではないでしょうか。
今回のブログでは、実務担当者が陥りがちなNG行為を紹介しつつ、ヒアリング対応する際のポイントを解説していきます。

まず、パワハラ防止法では、以下の内容を企業に義務付けしています。

(1)事業主の方針等の明確化、およびその周知・啓発
職場におけるハラスメントの内容や対応方針等を明確化することはもちろんですが、ハラスメントに係る言動があった場合には、厳正に対処する旨の方針及び対処の内容を就業規則や服務規律などに規定し、管理監督者を含む労働者に周知・啓発することが求められます。

(2)当該相談者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備
相談窓口を設置するだけではなく、適切に対応するため、ハラスメントが発生する恐れのある場合や、該当するか否か微妙な場合であっても、広く相談対応することが求められます。

(3)職場におけるパワーハラスメントに掛かる事後の迅速かつ適切な対応
事案が生じてから、誰が対応するかなどを検討するようでは、対応を遅らせることになります。予め、相談窓口と担当部署との連携や対応手順を明確に定めておきましょう。
ハラスメントの事実関係が確認できた場合には、被害者、行為者に対して適正な措置を講じる必要があります。
また、ハラスメントが生じた事実が確認できなかった場合でも、改めてどういった内容がハラスメントに該当するかを社内周知し、ハラスメント予防として再発防止措置を講じる必要があります。

(4)相談者・行為者等のプライバシーを保護すること、その旨を労働者に対して周知すること、パワハラの相談を理由とする不利益取扱いの禁止
ハラスメント事案については、特に個人のプライバシー保護の必要性が高いことから、安心して相談できるように必要な措置を講じるとともに、その旨を周知しておく必要があります。また、パワハラの相談をした労働者に対して不利益な取り扱いをしないことはもちろんのことですが、事実関係を調査するために、同僚等の関係者にヒアリングを行った場合、その関係者に対しても不利益な取り扱いをしないよう注意してください。

相談を受けた場合の流れが定まっていない

相談窓口は設置したものの、相談を受けた場合の流れが決まっていないと、実際にパワハラ事案が生じてから、誰が対応するかなどを検討するようでは対応を遅らせることになります。まずは、パワハラ相談を受けた場合に、どのような流れで対応するのか、厚生労働省のモデル例などを参考にして、自社にあった相談の流れを決めておきましょう。

労務画像1

☞ 職場におけるパワーハラスメント対策が事業主の義務になりました(厚生労働省)

 >>> 詳しくはこちら

ヒアリング順序を間違えない

一般的なヒアリング順序は、まずは被害者から口頭での被害相談があることが想定されますので、その流れで被害者からヒアリングし、その内容を踏まえ、加害者からヒアリングを行います。ただ、被害相談が必ずしも口頭で相談があるとは限りません。例えばメールや報告書のような書面で申告があった場合、被害者との面談などを経ず、あわてて加害者から先にヒアリングしてしまうことは問題になる可能性があります。

ハラスメントは上司と部下などの力関係を背景として生じることが多いです。
そのため、上司から先にヒアリングを行うと、相談者を匿名としても、上司は状況を察して個人を特定し、当該相談者に対して圧力をかける可能性も考えられます。
結果として、上司から嫌がらせを受けるなどの2次被害が発生し、ハラスメント問題がより大きくなってしまう可能性があります。

まずは被害者の意向を確認するため、被害者に対して事情聴取をすることが鉄則です。加害者にどこまで話をしてよいかなど、被害者の意向を確認し、承諾を得て調査を進めるようにしましょう。

被害者と加害者からヒアリングするだけでは不十分?

パワハラ相談を受けた場合は、迅速かつ正確な確認をする必要があります。ここでいう、正確な確認というのは、パワハラ指針によれば、次のように記載されています。

”相談者と加害者の双方からヒアリングするだけでは足りず、双方の主張する事実関係に不一致があり、事実確認が不十分ということであれば、第三者からも事実関係を聴取するなどの措置を講じていること”

ある裁判では、十分なヒアリングが行われておらず、適切なパワハラ調査が行われていないのでは?ということが争点となりました。

この裁判では、
・当事者以外の社員5名にヒアリングを行っていた
・パワハラとは認められなかったものの、ヒアリング過程で、加害者も行き過ぎた点があったと反省している

ということからも、適正な調査が行われていたと認定されています。

当事者以外に5人までヒアリングをすればOKということではなく、適切な調査を行っていると認められるためには、その調査の信用性も重要です。少なくとも当事者同士からの聞き取りに加えて、相談者の同意を取り付けた上で、事情を知っている可能性のある同部署の社員などの第三者からも聞き取りを行っておく必要があると言えます。

なお、第三者にヒアリングを行う際に、当事者にあまりに近しい社員(例えば、プライベートでも非常に仲が良い同僚など)に行う場合、どちらかの肩を持つ可能性も否めません。客観的な状況を確認するためにも、単に第三者にヒアリングをすればよいのではなく、誰に対してヒアリングを行うかという点も重要になります。

プライバシーへの配慮は最重要

パワハラの証拠として被害者が提出した資料を、本人の許諾なく開示されたことが問題とされた裁判例では、一部、被害者の主張が認められ違法と判断されました。

ハラスメント相談で取得する情報は、原則として個人情報またはプライバシーに該当する情報として考えます。そのため、利用目的やどこまで情報を公開してよいかなど、予め相談者に確認をしておくことが重要です。また、当初の予定より広い範囲での開示が必要となった場合は、マスキングなど行ない必要最小限の範囲で事実関係のみを抽出したり、都度、当事者に承諾を得るといった対応をしておく必要があります。

また、被害者から預かった資料について、被害者が再三返却を求めたものの、返却するタイミングが遅いということで、慰謝料が認められたという裁判例もあります。

そのため、預かった資料について当初の目的が達成されたのであれば、速やかに被害者へ返却する、もし、返却出来ないのであれば、必ずその理由を回答するようにしましょう。

また、相談を受けた日から〇日以内にはハラスメントに対する対応に関して回答する、調査の結果については、速やかに通知するなどの取り決めも有効です。このように、報告や通知を一定期間内に行うなどの社内規定の整備をしておくことで、速やかに必要な対応を取ることができます。

相談窓口はパワハラを判断する場ではない

実際に、パワハラのヒアリングを行っていると、「上司から仕事が遅いと言われました」などの相談を受け、一見すると、明らかにパワハラとは思えないような事案もあるのではないでしょうか。
ついつい、その場で「それはパワハラには該当しません」と判断するのは危険です。

相談窓口担当者が行うことは、相談者の認識する事実関係をヒアリングすることが目的であって、相談者を指導することが目的ではありません。そのため、ヒアリングをする際は、主観を交えた意見などを差し込むことは避け、被害事実の内容、日時、場所などを正確に聞き取り、聞き取った事実に相違がないかを確認する手続きだということ忘れてはいけません。

一見すると、パワハラとは思えないような内容でもじっくりとヒアリングを行っていくと、実は複数回にわたって行われていたり、みんなの前で長時間注意を受けていたなどの事実からパワハラと判断されるというケースもあり得ます。

相談窓口担当者は、以下の点に注意しながらヒアリングを行うようにしましょう。

・偏見を持たず、まずは信頼関係を作ることを意識する
・相談者の話を否定せずに聞く
・相談者の精神状態にも配慮し、うまく話が出来ていない可能性もあることを念頭におく
・相談者に落ち度があるような言動はしない


いかがだったでしょうか。今回ご紹介した事例を自社に当てはめた際に、たしかに実際に相談があった際の詳細な対応は決まっていない。といった部分もあったのではないでしょうか。今回のブログを参考に、実際に相談を受けることを想定して、不明確な箇所があるようであれば、改めて運用ルールの確認をしていただけたら幸いです。






KING OF TIME 情報


4月1日に入社の場合、法定通りのルールだと10月1日に年次有給休暇の付与日を迎えます。
そこで今回は「年次有給休暇」に関わる機能をご紹介いたします。

◆ 有給休暇付与機能とは?
◆ 有休付与対象者が表示されたら
◆ 年次有給休暇管理簿データ



有給休暇付与機能とは?

勤務日数や全労働日をもとに勤続年数に応じた有休付与日と日数を自動で計算します。
さらに付与対象者がいる場合、管理者画面の「対応が必要な処理」に「有休付与対象者」が表示されるため、付与忘れを防止することができます。
正しい有休付与日数を算出するため、従業員の入社日を必ず登録しましょう。

☞「有給休暇付与機能」はどのように設定しますか?

 >>> 詳しくはこちら




有休付与対象者が表示されたら

有休付与対象者が「対応が必要な処理」に表示されましたら、管理者は自動計算された付与日数が正しいか最終確認をしましょう。

「付与すべて」や「棄却すべて」にチェックをいれて適用をしない限り、「保留」にチェックが入った状態で、アラート表示が残り続けてしまいます。

付与日・付与日数の自動計算はKING OF TIME上でされますが、最終的な付与・棄却は、管理者が手動で行います。
有休付与対象者のアラートが表示されましたら、いずれかの操作を必ず行いましょう。

~補足~
有休付与対象者画面の黄色やピンク色のエラー原因を解説します。

KOT画像2


① 出勤率(%)が黄色くエラー表示されている場合は、出勤率が80%未満、または勤務日数が足りず出勤率が計算できないことが原因です。
この場合は、付与対象にはなりません。
確認後は、適切に処理しましょう。

② 付与日数がピンク色でエラー表示されている場合は、勤務日数が足りなかったり、設定が不足していることが原因です。
タイムカードや、有給休暇付与設定を再度確認しましょう。

また表示されている付与日数が、希望している日数と相違している場合は、正しく設定されていない可能性があります。「有給休暇付与機能」の設定を見直してみましょう。

☞ 「有給休暇付与機能」で算出された有休を、付与するにはどうすればよいですか?

 >>> 詳しくはこちら




年次有給休暇管理簿データ

KING OF TIMEでは、年次有給休暇管理簿データの出力ができます。
付与・取得詳細の管理にお役立ていただけます。ぜひご利用ください。

☞ 「有給休暇管理簿」を出力できますか?

 >>> 詳しくはこちら



KING OF TIME セミナー情報

KING OF TIMEでは定期的にセミナーを開催し、ご利用いただきたいおすすめの機能や、バージョンアップにより新しく追加された機能などをご紹介しています。
今後もさまざまな機能に関するセミナーを開催予定ですのでぜひご参加ください!
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本記事が皆様のお役に立てれば幸いです。
今後もKING OF TIMEをご愛顧いただけますよう邁進してまいりますので、何卒よろしくお願いいたします。


監修元:社会保険労務士法人 ヒューマンリソースマネージメント

 
 
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