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労務情報

【長時間労働が抱える問題点】~負のスパイラルに陥る前に~

公開日:2019年12月5日(当記事の内容は公開時点のものです)

監修:特定社会保険労務士 馬場栄

入社時に取り付ける身元連帯保証書の効果

今週のピックアップ

【労務情報】
◆ 世間の関心は高まり、目は厳しくなってきている
◆ 企業名公表とその影響
◆ 社員の健康面への影響
◆ 長時間労働による問題が起きてしまったら……
◆ 損害賠償金額の相場はどのくらい?
◆ 事前の予防が大切

【KING OF TIME 情報】
<長時間労働の予防策>
◆ 勤務間インターバル不足カウント機能
◆ 時間外労働の上限規制
<年を越す前に必要な設定>
◆ 祝日設定
<年末年始の営業時間>
◆ 年末年始のサポートセンターの営業時間


社労士からのアドバイス

世間の関心は高まり、目は厳しくなってきている

この数年12月になるとブラック企業大賞なるものの発表があり、ネットニュースなどをにぎわせています。
昨年の大賞、特別賞に選ばれた各企業については、いずれも長時間労働による過労で精神疾患や脳疾患の発症者を出したことなどが選定理由に挙げられています。

近年、働き方改革関連法の成立等もあり、企業の労務管理(特に長時間労働)に対する姿勢や取り組みについて、世の中の関心は高まっており、また、その目は厳しくなってきています。企業はこれ以上長時間労働の問題を看過できないところにきているといっても過言でないでしょう。

今回は長時間労働が抱える問題点についてお届けいたします。


企業名公表とその影響

厚生労働省においても、一定の基準等に該当する企業名公表をおこなっています。

1. 法違反に対する制裁
2. 過労死等ゼロ緊急対策(H28年12月)に基づくもの

なお、2. については企業名公表の目的を、対象企業への制裁としておこなうものでなく、その事実を広く社会に情報提供することにより、他の企業におけるコンプライアンス意識の向上や法令違反の防止の徹底、自主的な改善を促進させ、同様の問題が発生しないようにすることとしています。

いずれにしても、ひとたび企業名が出てしまうと、企業イメージの低下は免れ得ません。働く社員のモチベーションも低下、採用面においては応募者が敬遠するなど悪影響はい大きいでしょう。


社員の健康面への影響

前述のほか、長時間労働の影響として考えられることはいくつもあります。
またそれらが連鎖して負のスパイラルに陥ってしまう恐れもあります。
例えば、長時間労働 社員のやる気・生産性の低下 社員の心身不調 離職率の増加 人手不足 長時間労働 ≫(繰り返し)

特に問題なのが、社員の心身の不調(健康面への影響)です。
一般的に労働時間が長ければその分、休養や睡眠に充てる時間は減ったり、労働時間が長いということは、それだけ仕事量が多かったり、納期に追われたりと精神的負担も大きくなることが考えられます。
結果、体調維持や疲労回復に影響を及ぼすことが考えられます。

そのため働き方改革の中でも、努力義務ではありますが、勤務間インターバル制度(前日の終業時刻から翌日の始業時刻まで一定時間以上の休息時間を設け、生活時間と睡眠時間の確保するもの)が規定され、2019年4月より施行されています。

☞ 勤務間インターバル制度(厚生労働省)

 >>> 詳しくはこちら


さらに、長時間労働等が恒常的におこなわれることで疲労の蓄積が生じ、脳・心臓疾患、精神疾患が発症することがあります。これらが労災か否かを判断するポイントのひとつに労働時間があります。長時間労働により、業務と発症との関連性が強まるとされており、その目安は下記のとおりとなっています。

脳・心臓疾患
1. 発症前1ヶ月間におおむね100時間
2. または発症前2~6ヶ月間の1ヶ月平均がいずれかの期間でおおむね80時間
を超える時間外労働が認められる場合は、業務と発症との関連性が強いと評価できること

精神障害
〇発症直前の時間外労働が
・1ヶ月でおおむね160時間以上
・2ヶ月間連続して1ヶ月当たりおおむね120時間以上
・3ヶ月間連続して1ヶ月当たりおおむね100時間以上

〇他の心理的負荷が大きい出来事と発生した場合、その前後の時間外労働が
・月100時間
など

☞ 「脳・心臓疾患の労災認定」(厚生労働省)

 >>> 詳しくはこちら

☞ 「精神障害の労災認定」(厚生労働省)

 >>> 詳しくはこちら


これらに対しては、「長時間労働者に対する面接指導制度」があります。
これは長時間の労働により疲労が蓄積し健康障害発症のリスクが高まった労働者について、その健康の状況を把握し、これに応じて本人に対する指導を行うとともに、その結果を踏まえた措置を講じるものです。
・本人の申し出により医師の面接指導が必要となる対象労働者の要件は、「時間外・休日労働時間が1ヶ月当たり80時間を超え、かつ疲労の蓄積が認められる者」とされています。
・2019年3月までは月100時間超。4月以降、月80時間超に変更されています。
・研究開発業務従事者は上記の他、月100時間超の場合、本人の申し出がなくても医師による面接指導をおこなわなければなりません。

☞ 「産業医・産業保健機能」と「長時間労働者に対する面接指導等」が強化されます(厚生 労働省) P.6 ~

 >>> 詳しくはこちら


長時間労働による問題が起きてしまったら……

例えば、過去の事件や判例に次のようなものがあります。

1. 電通事件
2015年12月に入社1年目の社員が自殺した事件。
10月の1ヶ月間の時間外労働が約105時間に上り、仕事量の著しい増加で残業時間が急増してうつ病を発症したためとして、東京労働局三田労働基準監督署は労災と認定し、労災保険の支給を決定されました。
電通と元上司らは労働基準法違反容疑で書類送検され、元上司は不起訴(起訴猶予)となりましたが、電通は罰金50万円の東京簡裁判決が確定。これを受けて経産省は、電通に対して1ヶ月間、新たな補助金の交付や新規契約を停止する措置を取りました。
この事件の責任を取るという形で、社長が辞任するなど会社に多大な影響を与えました。

2. 光通信事件
社員(33歳)が心不全で亡くなった事件で、労基署は死亡前6ヶ月以内の時間外労働が、月平均62時間であり、過労死ラインである1ヶ月80時間を下回ることなどにより労災認定しませんでした。しかし、社員の両親がこれを不服として争ったところ、裁判所は死亡前36ヶ月分の勤務実態をチェックし、労災認定しました。

裁判後、会社と遺族との和解が成立し、会社は和解金を支払うに留まりましたが、それでも損害賠償請求が約1億6千万円ということを考慮すると、和解とはいえ、相当な金額を支払ったのだと推測できます。

1. の例では上司は不起訴となっていますが、安全配慮義務を怠った会社だけでなく、役員個人が果たすべき義務(社員が過重な長時間労働等により、心身の健康を損なうことのないように、適正に労働時間等の管理を行ったり、長時間労働が生じたときは、直にこれを是正するなど)を怠ったとして、賠償請求されるケースもでてきています。
また、2. の例のように、労災認定されなくても、損害賠償請求されるケースもあります。


損害賠償金額の相場はどのくらい?

では、実際に損害賠償金額の相場はどれくらいかかるのでしょうか。
損害賠償金額は、以下のように構成されています。

・慰謝料、逸失利益、弁護士費用、葬儀費用、治療費など
 ≫ 損害賠償金総額は約8000万円〜1億円が相場です。

国が労災認定した場合、政府による労災補償を一定額受けられますが、死亡時でも前払いで通常1000万円程度です。
また、労災事故により下半身不随などの後遺症が残ってしまった場合には、死亡時の損害賠償金額の約1.5倍〜1.8倍多く掛かると考えられています。つまり、労災事故が起こった場合、会社は約2億円の損害賠償金を支払うケースも十分考えられるということです。


事前の予防が大切

今年の4月に施行された働き方改革の目玉には、時間外上限規制(36協定の法制化)がありますが、これはまさに、これまでお伝えしてきた問題を未然に防ぐためのものでもあります。

・時間外労働=年720時間以内
・時間外労働+休日労働=月100時間未満
・時間外+休日労働の2~6ヶ月平均=月80時間以内

☞ よくわかる時間外上限規制(厚生労働省)

 >>> 詳しくはこちら


まずこれらの基準を超えないということが大切なポイントなります。
そしてそのベースとなるのが、労働時間を適正に把握するということです。労働時間管理は、残業代などの給与計算のためだけではありません。長時間労働が常態化している社員に対して指導したり、社員への仕事の配分や仕事の進め方、仕組みやシステム化などを再検討し、社員の健康管理や生産性・効率UPをはかるために役立てることこそ、今、企業が求められていることであり、同時にすべきことといえるでしょう。

さらには、結果を見てから事後に対策を立てるのではなく、一定基準を設け、随時チェックをかけながら、事前にしかるべき対応を取り、問題発生を未然に防ぐことができる仕組み作っていくことが、社員が健康で安心して仕事に専念し、活き活きと働くことができ、よいパフォーマンスを発揮できる職場環境の実現につながっていくのではないでしょうか。



KING OF TIME 情報


今回は、「長時間労働の予防策」と「年を越す前に必要な設定」をご案内します。
年末年始のサポートセンターの営業時間も最後に載せていますので、ご確認ください。

<長時間労働の予防策>
◆ 勤務間インターバル不足カウント機能
◆ 時間外労働の上限規制
<年を越す前に必要な設定>
◆ 祝日設定
<年末年始の営業時間>
◆ 年末年始のサポートセンターの営業時間

勤務間インターバル不足カウント機能

従業員の方の休息時間を確保するための「インターバル制度」に対応しております。
「インターバル不足カウント機能」と「アラート機能」を使うことで、インターバル時間が不足している従業員がいる場合に画面上でアラートを表示できます。
また、「メール通知機能」を組み合わせることでメールでも通知できます。

勤務間インターバル不足カウント機能

☞ 勤務間インターバル制度に対応していますか?

 >>> 詳しくはこちら



時間外労働の上限規制

何度かご紹介しているので、既にご利用いただいている方もいらっしゃるかとは存じますが、改めてご紹介いたします。
「時間外労働の上限規制」は今年2019年4月に施行された「時間外労働の上限規制」に対応する機能です。
警告時間や上限時間の基準を任意で設定できます。また、基準を超えて勤務している従業員を一覧で確認できます。

時間外労働の上限規制

☞ 時間外労働の上限時間を設定することはできますか?

 >>> 詳しくはこちら

その他の働き方改革にも対応しています。以下よりご参照ください。

☞ 【PDF】働き方改革マニュアル

 >>> 詳しくはこちら



祝日設定

2019年も残り僅かとなりました。
KING OF TIMEでは、年を越す前に来年の「祝日設定」を済ませておく必要がございます。
「祝日設定」をしていないと、自動スケジュールが正しく反映されませんので、お早めに「祝日設定」を行なっていただきますよう、お願いいたします。

セ祝日設定

☞ 祝日(会社独自の休日)を登録することは可能ですか?

 >>> 詳しくはこちら



年末年始のサポートセンターの営業時間


下記日程は休業期間となります。
2019年12月28日(土)~ 2020年1月5日(日)

サポートセンターの年末年始営業については以下となります。

2019年
12月27日(金) 時短営業 ( 09:30 ~ 13:00 )
※12:00 ~ 13:00 も営業しております。
12月28日(土) ~ 31日(火) 休業
2020年
1月 1日(水)~ 5日(日) 休業
1月 6日(月) 時短営業 ( 13:00 ~ 17:30 )
1月 7日(火) 通常営業 ( 09:30 ~ 12:00 / 13:00 ~ 17:30 )

休業期間中にいただく、お問い合わせフォーム・メールでのお問い合わせに対する回答は、2020 年 1 月 6 日(月)13:00 以降、順次対応させていただきます。
※弊社の休業期間中も、管理画面、タイムレコーダー 等のシステムは通常通りご利用いただけます。
別途、メールにて詳細をお送りしておりますので、そちらもご確認ください。
【件名】「KING OF TIME」:サポートセンター 年末年始営業のご案内

本記事が皆様のお役に立てれば幸いです。
次回は、「労働基準監督署の監督行政」について、お伝えする予定です。
今後もKING OF TIMEをご愛顧いただけますよう邁進してまいりますので、何卒よろしくお願いいたします。

 
 
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