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労務情報

労務専門社労士が提案する【SNSの不適切利用】 ~ 上手な付き合い方を学び、施策を講じよう!~

公開日:2019年10月3日(当記事の内容は公開時点のものです)

監修:特定社会保険労務士 馬場栄

時間管理の重要性

10月を迎え、味覚の秋・芸術の秋と楽しみが増える季節に入りました。
皆様いかがお過ごしでしょうか。ヒューマンテクノロジーズ松木でございます。

グルメ・文化フェスティバルで盛り上がる今の時期に欠かせないのは、インターネットでの情報収集です。
スマートフォン(以下、スマホという)の利用が普及した今では、イベント情報をSNSやウェブサイトで知る機会も多いことでしょう。

情報収集、発信に欠かせないSNS。今回は個人のSNSの利用に関して、企業が注意しなければならない点を取り上げて行きたいと思います。


・ 総務省の通信利用動向調査から見えるもの
・ SNSにまつわるトラブル事例
・『バイトテロ対策なし』が半数超である実態
・ ルールの厳しい会社ほどトラブルは少ない実態
・ トラブルの原因は経営姿勢によるものも多い
・ 正社員に対するSNS対策は・・・
・ アルバイトに対する「バイトテロ対策」



社労士からのアドバイス

総務省の通信利用動向調査から見えるもの

総務省の発表によると、スマホの個人保有率で、2018年で20代94.5%、30代で91.7%、40代で85.5%、50代で72.7%となりました。

満員電車の風景も、以前だったら文庫本片手からスマホ片手に変わったように思えます。
スマホ保有率の高まりと同時に、SNSが急速に普及しました。
このことは瞬時に情報拡散の状況が整ったということであり、内容が好都合、不都合問わず、抑えられなくなったことを意味します。
最近では『バイトテロ』といった今まで考えられないようなことが、テレビやネットで話題となり、企業としてもSNSに対する善後策を本気で考えないといけなくなったと言えます。

詳細は総務省のURLを記載しておきますので、ご確認下さい。

☞ 人口減少時代のICTによる持続的成長

 >>> 詳しくはこちら


SNS悪用で正社員にまつわるトラブル事例

ネット上では動画が拡散され、『バイトテロ』が飲食店、コンビニを中心に注目を集めてますが、 実際のSNSの不適切利用の相談においては、正社員に関するものが圧倒的に多いです。

過去の相談内容を見てみると・・・
(1)在職社員と思われる人物が、SNS上で会社、取引先批判
会社内の人事や人間関係といった情報や商品、製品の内容、更には取引先批判をSNS上に載せ、たまたま取引先がネガティブ情報検索で発覚。
しかし、対象と思われる本人は身に覚えがないの一点張りで、懲戒処分を保留としたケース。

(2)病気休業中の社員がブログで海外旅行の様子を掲載
本人から『メンタル不全』で休業の申し出があり、自宅療養で休業を認めたにも関わらず、海外旅行でその旅先の情報をブログやSNSで掲載。
当事者と親しい社員からブログ投稿の事実を会社へ告発されたケース。

(3)副業禁止にも関わらず、副業先の宣伝広告をSNSに
会社の就業規則では副業は原則禁止。
家業の手伝い等やむを得ない事情がある場合、会社へ副業申請を行い、承認を得てからでないとできないというルールが有るにも関わらず、行っていた。
たまたま別の社員が検索をした際に、ヒットして副業が発覚したケース。


『バイトテロ対策なし』が半数超である実態

正社員ですら前述のような問題がおこるなかで、アルバイトやパート採用の場合、正社員に比し、会社側でも採用のハードルを下げる傾向があり、それに伴い、採用したアルバイトやパートの中には、会社に対する帰属意識や就業に対する意識が低かったり、社会常識が不足している方も交じりやすくなりがちです。

それにも関わらず、ある調査によると、『バイトテロ対策を施しているか』との問に、半数超の会社から『何も対策を施していない』との回答があったそうです。
対策を施していないというよりは、『何から対策を施せば良いのか、よくわからない』というのが本音だと思います。



現在のアルバイト先の「バイトテロ」に相当する行為を禁止するルールやマニュアルの有無

Q.あなたのアルバイト先では、「バイトテロ」に相当するような行為について禁止するルールや マニュアル等が存在しますか?

ベース:全体(n=770)

※ 株式会社マクロミル調べ



ルールの厳しい会社ほどトラブルは少ない実態

私自身、数多くの経営者とお会いする機会に恵まれ、沢山のお話を伺ってきて、感じたことがあります。

就業ルールや規則、契約書式、経費精算に至るまで細かく、厳しい管理体制が整っている企業ほどトラブルが少ないということです。

反対にトラブルの多い会社の経営者の方と話していると、ある共通項がありました。
それは

「社員に対する管理が甘すぎる」
「ルールがない又は事前の対策が不十分」
「悪い意味で社員思い」


トラブルの原因は経営姿勢によるものも多い

基本的に私も、人は性善説で見ているのですが、しかしながら一定の割合で性悪説で検討しなければならないことも事実としてあります。

あまり細かいことは言いたくない、大人同士としての立ち振舞は最小限履行されるべきだと仰る経営者が多いのですが、そもそもルールがないのですから、解釈も各人ごとでトラブルが発生するのです。


正社員に対するSNS対策は・・・

先ず今まで想像していなかったSNS対策として、就業規則の服務規律への記載は最低限必要です。
記載もないのに、懲戒処分はできませんから。

また、定期的にブログやSNSの個人運用のガイドラインの研修を行い、その後、本人確認のサインを取ることも検討すべきです。

ガイドラインの中には
・人事情報の漏洩によるプライバシーの問題、その後の損害賠償等
・休業中の社員が取るべき対応、休業前の合意書取り交わし
・個人発信のSNSでのNGはなにかの明文化
等は検討しておきたいテーマです。

また、ある経営者から
・SNSを一切禁止にしたいけどできるか
・社内にスマホ持ち込みを禁止にしたい
といったご質問も頂きましたが、SNSは若い方の生活の一部にもなっており、一切禁止は現実的に難しいし、反発も予想されます。
更に不利益の割合が大きすぎると感じます。

スマホの社内の持ち込み制限は可能ですが、単純に制限するだけでなく、スマホを仕舞う場所(ロッカー等)の 確保等も合わせて検討しなければならないでしょう。


アルバイトに対する「バイトテロ対策」

「アルバイトだから」という理由で、「何もしない」というのではなく、アルバイトこそ、前述の正社員への対策にもあるように、SNS個人運用のルールをしっかり理解させるなどして、会社の一員としての意識を高めさせることが重要と考えます。
アルバイトに対する対策についてですが、ある企業の取組をご参考までに披露します。

・アルバイトと契約書を交わし、音読で読み合わせ
特に業務上の内容をSNSに掲載した場合、ケースによって損害賠償を請求する
(SNS掲載で売上が減ったら、その分を貴方に請求しますと説明、サイン)
・保証人として両親のいずれかに依頼
保証人であるご両親にアルバイト採用の報告と、不適切なことをしないよう指導して頂きたいとの電話で直接依頼をする
・アルバイトの制服はポケット部分を縫合しスマホが入らない工夫
(スマホは鞄に入れて業務場所へ持ち込ませない。一切例外なし)
等など・・・

私から「こんな細かいことを言ったらバイトに嫌われるのでは?」
と伺ったところ、社長からキッパリと
「私達はルールを守れない人は働く仲間として認めません」
「働く側も会社を選ぶ自由があるが、会社側も働く仲間を選ぶ自由がある」
とおっしゃっていました。

この会社は10年近くお付き合いがありましたが、正社員もアルバイトもトラブル「0」で、定着率が高かったので、 適度な緊張感をもって相対する姿勢が、優秀な正社員、アルバイトからも評価が高いのだと感じました。




SNSでのトラブルを未然に防ぐには、それらを発生させない仕組み作りが大切ですね。

次回は「フレックスタイム制」と「導入時に留意すべきこと」についてお伝えする予定です。

これから風邪をひきやすくなる季節です。
秋の夜長に上質な睡眠を心がけ、どうかご自愛ください。
今後もKING OF TIMEをご愛顧いただけますよう邁進してまいりますので、何卒よろしくお願いいたします。

 
 
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