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労務情報

法律・就業規則に沿って、勤怠システムを運用出来ていますか? ~「勘違いの多い労働時間の集計方法を総チェック」編~

公開日:2022年9月1日(当記事の内容は公開時点のものです)

監修:社会保険労務士法人 ヒューマンリソースマネージメント
特定社会保険労務士 馬場栄 
監修:社会保険労務士法人
ヒューマンリソースマネージメント
特定社会保険労務士 馬場栄 


法律・就業規則に沿って、勤怠システムを運用出来ていますか? ~「勘違いの多い労働時間の集計方法を総チェック」編~

今週のピックアップ

【労務情報】
◆ 午前半休取得時の残業は終業時刻後からカウントすべき?
◆ 日を跨いだ労働時間はどこまでが残業時間になるの?
◆ 移動時間は労働時間にしない?
◆ 早めに出社している従業員の勤怠管理は?
◆ 休憩時間は分割して与えても良い?長時間与えることも出来る?
◆ 残業をする場合に、休憩を与えることは問題ない?

【KING OF TIME 情報】
◆ 従業員の退職日が決まったらすること
◆ 退職してから月末までに行うこと
◆ おまけ ~退職者のICカードを再利用したい場合~
☞ KING OF TIME 情報は 《 こちら 》


午前半休取得時の残業は終業時刻後からカウントすべき?

今回は、よく勘違いされている労働時間の集計方法について、まとめています。
改めて、労働時間の集計方法についてご確認いただく機会にしてみてください。

たとえば、次のようなケースでどこからが残業時間になるかを解説していきます。

例)始業時刻9:00 終業時刻18:00 休憩13:00~14:00(午前半休9:00~13:00)
  出勤14:00~退勤22:00

午前半休取得時の残業

(法律上は、8時間超過していますので途中休憩が必要ですが、便宜上、休憩の概念は除外して図示しています)

時間外割増が必要な労働時間は、原則、年休を取得し「働いたとみなした」時間は考慮せず、実際に働いた時間で判断します。

つまり、9時を起点に考えるのではなく、13時を起点に考えます。
よって、18~21時の労働は残業ではありますが、時間外割増が不要な残業(単価×1.00)となり、時間外割増が必要な残業(単価×1.25)は21時以降の労働となります。

もちろん、これは法律の定める最低限度の考え方ですので、所定労働時間を超えた18時以降の労働を残業とみなして、18時以降の4時間を時間外割増の対象としても労働者に有利な取り扱いなので、全く問題はありません。

一方で、36協定で規制する時間は、法定労働時間を超過した時間となります。
よって、”届出している36協定の範囲内で残業がおさまっているか”の確認は、上記例では18~21時の残業は含まず、21~22時の1時間だけを確認することになります。

日を跨いだ労働時間はどこまでが残業時間になるの?

法律では、1日については午前0時から午後12時までのいわゆる暦日のことを指し、もし、午前0時を跨ぐような2暦日にわたる労働があったとしても、一つの勤務として取り扱い、当該勤務は、始業時刻の属する日の労働として取り扱うことになります。ただし、法定休日を跨ぐ労働時間の場合は注意が必要です。

例1)所定労働日から所定労働日で日を跨ぐ勤務の場合

日跨ぎ例1

翌日の勤務開始予定時刻(9:00)以降は、翌日の勤務とみなして、割増賃金の支払いは不要ということになります。

例2)所定労働日から法定休日を跨ぐ勤務の場合

日跨ぎ例2

1日の考え方は原則暦日であり、法律で定める週に1回の休日(法定休日)も暦日で与える必要があるため、0時以降の勤務については、休日勤務として取り扱い、休日割増手当の支払いが必要ということになります。

移動時間は労働時間にしない?

労働時間に該当するかどうかは、会社の指揮命令下に置かれている状況かどうかという点から判断されます。

(1)通勤時間
通勤時間は、そもそも労働者の居住場所は自由であり、また、通勤時間中の自由もあることから、使用者の指揮命令下に置かれているとは判断されないため、労働時間として扱う必要はありません。

(2)出張前の移動時間
出張などで現地に移動する時間は、会社の命令によるものですが、通常の通勤時間と同様、労働時間として取り扱う必要はありません。そのため、仮に休日に出張の移動だけを行った場合も労働時間としては取り扱われないため、休日労働として取り扱う必要はありません。

ただし、次のような場合には労働時間に該当する場合があるため、注意が必要です。
① 出張の目的が物品の運搬で、移動中もその物品を監視しなければならないような業務の性質がある場合
② 現場入りする前に会社に立ち寄り、業務に必要な準備を行って現場へ向かう場合


上記①②に該当しなければ労働時間として扱う必要はありません。
一方で、休日に移動する必要がある出張が多い場合、労働者の不満が発生する可能性もあります。そのような労働者の不満解消のために、出張手当や日当などで、ケアする方法を検討されても良いでしょう。

(3)客先から客先への移動時間
客先間や客先と会社との移動時間については、少し考え方が異なります。
すでに始業時間を過ぎ、労働が開始された後の移動時間については、会社が必要な移動を命じ、当該時間の自由利用が保障されているような場合を除いては、労働時間として取り扱う必要があります。
つまり、所定労働時間中の移動時間については、自由利用が保障されているなど、特段の事情がない限り、労働時間として取り扱う必要があるということになります。

早めに出社している従業員の勤怠管理は?

コロナ禍の影響もあり、満員電車を避けるため、自主的に早めに出社して始業時刻より1時間前に打刻している従業員がいる場合、この時間も労働時間としてみなす必要があるのでしょうか。

まず、始業前の準備行為等の時間は、労働契約上の労働とは言えないため、労働時間には当たりません。また、単に早めに出社して、コーヒーを飲んだり、雑談をしたりという時間であれば、もちろん、労働時間として取り扱う必要はありません。

ただし、所定の場所で所定の準備行為を行うことがマニュアルや就業規則などで明確に決められていたり、早めに出社しないといけないほどの業務量があるなど、会社の指揮命令下におかれていると判断される場合には、労働時間とみなされる可能性があります。

まずは、出勤予定前の時間について、どういった行為をしているのかを従業員に確認するようにして、労働時間としてみなされるような行為があるかどうかを確認することから始めてはみてはいかがでしょうか。

なお、早めに出社しても業務上の支障がないのであれば、時差出勤制度を導入してみてもいいでしょう。時差出勤制度を導入する場合は、原則の始業時間の前後1時間まで認めるなど、就業規則に”始業時刻”と”終業時刻”を明確に記載しておく方が労働者にもわかりやすいです。

休憩時間は分割して与えても良い?長時間与えることも出来る?

(1)休憩時間の原則
① 1日6時間超過で45分、8時間超過の場合は1時間以上
パートタイマーや時短勤務などで6時間以下の勤務の労働者に対し、法律上は、休憩を与える必要はありませんが、30分や45分の休憩を与えても問題はありません。

② 労働の途中に与える必要がある
休憩時間については、労働の途中に与えることとされているため、例えば、18時までの勤務について、17時~18時を休憩時間とし、17時に退勤するというような休憩の取らせ方は認められません。

③ 自由利用の原則
休憩時間は、労働から離れることを保証されている必要がありますが、社内に十分な休憩施設があり、業務の必要性から外出を許可制にすることなどは認められます。
なお、昼休憩中に交代制で電話当番をさせている場合、結果的に電話対応が無かったとしても、労働から離れることが保証されているとは言えないため、休憩を与えたことにはなりません。よって、別途休憩時間を与える必要があります。

(2)休憩の分割取得
法律上は、分割取得については制限していません。そのため、1時間の休憩を45分、15分と分けて与えたりすることも問題はありません。たとえば、昼休憩を45分として、午後の15時頃に休憩を15分取らせてリフレッシュするなどの方法もあり得ます。
ただし、法律上の制限はないとはいえ、あまり細分化しすぎてしまうと、十分な休憩が取れず、また、労働から離れることが保証されているとは認められにくくなる可能性もあります。

(3)休憩時間の上限
休憩時間の上限時間についても法律では制限されていません。実際に、飲食業や宿泊業などでは、閑散時間帯に数時間程度の休憩時間を充てることがあります。
ただし、明確な基準はないものの、あまりに休憩時間が長くなる場合、拘束時間が長時間化するという問題点もあり、民法上、無効と判断される可能性もありますので、注意が必要です。

残業をする場合に、休憩を与えることは問題ない?

定時後、残業する場合は、15分休憩を取ってから残業をするようなルールを定めることは可能でしょうか。

法律では、労働時間が6時間を超える場合は少なくとも45分、8時間を超える場合は少なくとも60分の休憩を与える必要があります。
よって、上記の時間数を超える休憩時間を与えることは特段問題はなく、残業する場合は追加で15分休憩を取らせるというルールを定めることは全く問題ありません。

一方で、よくあるケースとしては、就業規則に別途15分休憩を取らせるルールを記載し、15分休憩を取っている前提で給与計算を行なっているものの、実態は休憩を取れず働いていることが常態化しているようなケースです。

この場合、1日ではたったの15分ですが、仮に年間休日数が125日の会社の場合、1年では60時間(=15分×240日)。そして、未払い賃金の時効は現在3年です。そうすると最大180時間(=60時間×3年)となりますので、会社は決して見逃すことができないリスクとして未払い残業代を抱えることになってしまいます。

一度休憩を取得しリフレッシュした上で、残業してもらおうという趣旨で設けたルールであれば、会社として必ず休憩を取らせるようルールを徹底した方がよろしいです。
他方、休憩15分を取るのではなく、その分早く残業を終わらせたいという労働者の意向もあるかと思います。15分休憩が常態として取れていないのであれば、就業規則からそのルールを廃止し、実際に働いた分をきちんと残業代として支払うことを検討されてもよいでしょう。

いかがでしたでしょうか。今回のブログでは、よくある勘違いポイントをご紹介させていただきました。今後の労務管理の参考にしていただくとともに、改めて、就業規則やKING OF TIMEの設定内容を確認してみてください。





KING OF TIME 情報


今回は、従業員の退職に伴うKING OF TIME設定についてご案内いたします。

◆ 従業員の退職日が決まったらすること
◆ 退職してから月末までに行うこと
◆ おまけ ~退職者のICカードを再利用したい場合~



従業員の退職日が決まったらすること

従業員の退職日が確定したら、従業員設定にて退職日を登録しましょう。

設定 > 従業員 > 従業員設定 > 退職対象者の[編集]> 雇用情報の[詳細]をクリックします。

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事前に退職日を登録することで、退職日以降の従業員によるタイムカードへのアクセスや打刻を制御することが可能です。

☞ 退職者はどのように処理すればよいですか?

 >>> 詳しくはこちら




退職してから月末までに行うこと

従業員の退職日以降にアカウントを削除した場合でも、直行直帰パターンのように、打刻しなくとも労働時間が計上されるスケジュールが割り当たると、退職日の設定有無に関わらず課金対象となります。
自動スケジュール設定などで直行直帰パターンが登録されていないかご確認ください。

また、入社日〜退職日までの在職期間以外に「打刻」または「勤務スケジュール」などが登録されている場合、在職外勤務のエラーが「対応が必要な処理」に表示されます。
入社日と退職日が正しいことをご確認のうえ、不整合な勤怠データは一括削除をお願いいたします。

KOT画像2

※在職期間中の勤怠データは一括削除の対象外です。

☞ 在職外勤務(入社前や退職後)の勤怠データを一括削除できますか?

 >>> 詳しくはこちら

☞ 課金のルールはどのようになっていますか?

 >>> 詳しくはこちら




おまけ ~退職者のICカードを再利用したい場合~

退職者も含め、各従業員につき1つのIC認証情報が登録できます。
退職者が使用していたICカードを別の従業員のICカードとして再利用する場合は、退職者に紐付いているカード情報を削除しましょう。

☞【デスクトップ版タイムレコーダー(ICカード認証)】退職者のICカードを再利用する方法

 >>> 詳しくはこちら




本記事が皆様のお役に立てれば幸いです。
今後もKING OF TIMEをご愛顧いただけますよう邁進してまいりますので、何卒よろしくお願いいたします。


監修元:社会保険労務士法人 ヒューマンリソースマネージメント

 
 
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