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労務情報

パワハラ防止法が成立!会社が取るべき対応とは(その2)

公開日:2020年4月2日(当記事の内容は公開時点のものです)

監修:社会保険労務士法人 ヒューマンリソースマネージメント
特定社会保険労務士 馬場栄
監修:社会保険労務士法人
ヒューマンリソースマネージメント
特定社会保険労務士 馬場栄


パワハラ防止法が成立!会社が取るべき対応とは(その2)

今週のピックアップ

【労務情報】
◆ 相談があった時のポイント
◆ 社内調査のポイント
◆ 調査に基づく措置のポイント(配置転換)
◆ 調査に基づく措置のポイント(懲戒処分)

【KING OF TIME 情報】
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相談があった時のポイント

社員からパワハラに関する相談が窓口担当者に入った場合、最初の対応が重要になります。この対応を誤ると、パワハラ問題が更に拡大しかねません。

では、相談窓口担当者は、相談対応を行う際にどのようなことに注意をする必要があるのでしょうか?
以下、相談窓口担当者が心得ておきたいポイントになります。

【相談窓口担当者の相談時ポイント】
(1)秘密が守られること。相談したことで不利益な取扱いをしないことを伝える。
(2)相談者から今後の対応(行為者への処分等)を聞かれても、安易に答えない。
(3)相談内容を、5W1Hで正確に確認する。
(4)社内で事実確認をする際に、相談者の実名を出してよいかを確認する。
(5)行為者との見解が相違する場合、同僚などの第三者にヒアリングしてよいかを確認する。
(6)相談者への配慮措置、行為者への措置に関する希望を確認する。
その際は、必ずしも相談者の意向に沿える訳ではないことも伝える。

とても不安な気持ちで、相談者は窓口へ連絡してくるかもしれません。
よって、先ずは秘密が守られ、そして不利益な取扱いをしないことを伝え、安心した気持ちで話をしてもらう環境作りが大切になります。

一方で、相談者が話す内容が全て事実であるとも限りません。事実が誇張されているかもしれませんし、場合によっては相性が悪い上司を陥れるために事実と異なる内容を話すかもしれません。よって、相談内容を5W1Hで正確に確認することも重要です。相談者が証拠記録(手帳や録音データ等)を持っていれば、複製するなどで預かりましょう。

また、社内調査を行う際に、相談者の実名を出してよいかの確認も重要です。実名を出すことを拒んだ場合は、社内調査を行う際に具体的な事実を確認出来ない可能性もあることも伝えた方がよいでしょう。

調査結果を踏まえた配慮措置を行う際に、相談者の希望も予め聞いておきます。
ただし、必ずしも希望に沿える訳ではないことも、併せて必ず伝えることが重要です。


社内調査のポイント

行為者に対して、パワハラに関する相談があったことを伝え、行為者の言動の目的・経緯等のヒアリングをし、事実確認を行います。

しかし、真にパワハラ体質な人は、本人にその自覚がないことが多いですので、相談者から証拠記録を預かっているのであれば、その内容を見せながら(※相談者の同意が前提)事実確認を行っていきます。

行為者に対するヒアリングを行う際には、本ヒアリングきっかけに相談者に対して報復行動を取らないよう、厳しく伝えることが重要です。状況にもよりますが、報復行動が懲戒処分に値するということも伝えることも必要になることもあるでしょう。

相談者・行為者の意見が食い違う場合、相談者の同意のもとで同僚などの第三者へのヒアリングも行っていきます。
第三者にヒアリングを行う際は、会社はヒアリングに対応することで不利益な取扱いはしないこと、秘密は厳守すること。そして、その者に対してもこの場で話す内容について秘密を厳守することを必ず伝えます。

上記の社内調査で集めた情報をもとに、
・当該言動の目的
・当該言動を受けた労働者の問題行動の有無や内容・程度を含む、当該言動が行われた経緯や状況
・業務や業態、業務内容や性質、当該言動の態様・頻度・継続性
・労働者の属性や心身の状況
・行為者との関係性
等を総合的に考慮し、パワハラに該当するか否か。そして今後の対応を決定します。


調査に基づく措置のポイント(配置転換)

調査の結果、パワハラの事実が確認できた場合、行為者の配置転換や懲戒処分等を検討する必要があります。

配置転換については、原則パワハラ行為者に対して行うべきですが、会社によっては行為者を配置転換させると、その部署の業務が回らなくなる等の問題が発生する場合があります。だからといって、相談者を配置転換させてしまうと「会社にパワハラを相談したことで、希望しない部署に配置換えされた。自分は不利益な取扱いをされた」と主張されかねません。

よって、相談者に対して丁寧に説明し、理解を求めるプロセスを経ることが、とても重要になります。その結果、相談者本人が自分の配置転換を希望したら、配慮措置として希望に沿った対応を取りましょう。

調査の結果、パワハラの事実がなかったとしても、相談者本人の仕事に対する影響を考慮すると、何かしらの対応を取るべきです。
配置転換を行わないまでも、業務相談や申請ルートなどを分ける、席を離すなどの対応を取った方がよいです。


調査に基づく措置のポイント(懲戒処分)

今後、パワハラを再発させないためにも、会社として毅然とした対応を取る必要があります。つまり、行為者に対する懲戒処分を行います。
ただし、懲戒処分を行う際に注意すべきポイントがあります。

【懲戒処分を行う際に注意すべき3つのポイント】
(1)就業規則の懲戒事由に記載があり、社内に周知されているか?
(2)パワハラ行為者の行動が、懲戒事由に該当しているか?
(3)懲戒処分が、社会通念上相当であるか?

会社が行った懲戒処分が有効となるためには、この3つのポイントを満たす必要があります。

上記(1)(2)とは、会社のルールがきちんと整備されているか?という形式論の話です。
とある会社で、上司に暴言を吐いたり、取引先とトラブルを発生させた社員を就業規則にのっとり懲戒解雇としたのですが、そもそも、その社員の勤務先に就業規則が備え付けられていなかった。つまり、就業規則が会社のルールとして効力を発揮するための要件の1つである「就業規則の周知」がなされていないという理由で、懲戒処分が無効となってしまった裁判例があります。

つまり、極端に言えば、いくらパワハラ行為があったとしても、就業規則に懲戒事由としての記載がなければ処分ができず、また、就業規則に懲戒事由の記載があり、それに該当する行為があったとしても、就業規則自体がきちんと法律が求める手順(労基署への届出、社員への周知等)を踏んでいなければ、懲戒処分が無効とされてしまう恐れもあるということです。

そして(3)の社会通念上相当か否かの判断は、
1.問題行動と懲戒処分とのバランス
2.他の懲戒処分事案とのバランス
3.懲戒処分とするまでのプロセス


この3つの観点で判断されることになります。
懲戒処分について争われた過去の裁判例を見ますと、下記のようなものがあります。

<1.問題行動と懲戒処分とのバランス>
部下の胸ぐらをつかんで怒鳴ったり、土下座して謝れなどの暴言を吐いた社員を懲戒解雇としたが、会社はそれまでに始末書の提出や、注意を与えることをしていなかったので、それを踏まえると1回目の処分としてはバランスを欠き(重すぎる)懲戒解雇を無効とした。

<2.他の懲戒処分事案とのバランス>
宿直勤務のアナウンサーが寝過ごしてしまい、定時のラジオニュースを2週間に2度も放送出来なかったことで、アナウンサーを懲戒解雇とした。しかし、アナウンサーを起こすことになっていた担当者(同じく2度寝坊)は、けん責処分としていたので、両者の処分についてバランスを欠き懲戒解雇を無効とした。

<3.懲戒処分とするまでのプロセス>
民事再生中の学校で、職員が学校の経営状態に関する資料を外部に配布。学校の秘密を洩らし、損害を与えたとして懲戒解雇としたが、就業規則に定める当事者の弁明を聴く手続きを取っていなかったことで、プロセスに不備があったとして懲戒解雇を無効とした。


対応を誤ると、会社が裁こうと思った加害者が、別の観点で被害者となり会社を訴えてくる可能性も否定出来ません。
懲戒処分を検討する、特に重い懲戒処分を検討する際には、専門家の意見も踏まえた上で対応することをお勧めします。



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今回は、以下についてご案内します。

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新年度になり、管理者の変更もあったのではないでしょうか。管理者アカウントの登録、削除は「管理者設定」から行ないます。

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管理者の変更に伴い、申請承認フロー設定の変更も必要です。また、承認者に設定されている管理者は、承認フローから外さないとアカウントの削除ができません。ご注意ください。

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本記事が皆様のお役に立てれば幸いです。
次回は「就業規則を毎年出すべき理由」について、お伝えする予定です。
今後もKING OF TIMEをご愛顧いただけますよう邁進してまいりますので、何卒よろしくお願いいたします。

 
 
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