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労務情報

有給休暇の取得は進んでいますか?<前編> ~ 有休5日取得義務化から1年半、制度を改めてチェック!~

公開日:2020年10月15日(当記事の内容は公開時点のものです)

監修:社会保険労務士法人 ヒューマンリソースマネージメント
特定社会保険労務士 馬場栄 
監修:社会保険労務士法人
ヒューマンリソースマネージメント
特定社会保険労務士 馬場栄 


有給休暇の取得は進んでいますか?<前編> ~ 有休5日取得義務化から1年半、制度を改めてチェック!~

今週のピックアップ

【労務情報】
◆ 毎年10月は「年次有給休暇取得促進期間」
◆ 年次有給休暇の発生要件と付与日数
◆ 有休の5日取得義務化
◆ 有休5日取得義務の対象者
◆ 有給休暇を取得させなかった場合の罰則
◆ 法改正等は現状を見直すよい機会!
◆ 生産性向上、採用力強化、従業員満足度の向上につながる!
◆ 有休5日を取得させる方法


【KING OF TIME 情報】
◆ 有給休暇付与機能
◆ 年5日有休取得義務
◆ 年次有給休暇管理簿データ出力
☞ KING OF TIME 情報は 《 こちら 》


毎年10月は「年次有給休暇取得促進期間」

厚生労働省では、毎年10月を「年次有給休暇取得促進期間」とし、年次有給休暇(以下、「有休」)を取得しやすい環境の整備を推進するため、集中的な広報活動を行っています。

この中に、「有休の計画的付与制度(※)」の一層の導入も含め行っていくとしていますが、これは下記の状況を踏まえ、有休の取得推進とともに、労働基準法遵守の観点からもこの制度の導入は重要としているためです。

➀ 有休の取得率は、2018年に52.4%と2014年以降、増加傾向にはあるものの、2020年までにその取得率を70%にするという政府の目標と大きな乖離がある。
➁ 労働基準法の改正により、2019年4月から有休の5日取得が義務化された。

<参考>厚生労働省HP

☞ 10月は「年次有給休暇取得促進期間」です

 >>> 詳しくはこちら ※外部リンクに移動します

※「有休の計画的付与制度」
有休の付与日数のうち5日を除いた残りの日数について、労使協定を結べば計画的に有休の取得日を割り振れる制度です。


年次有給休暇の発生要件と付与日数

改めて、有休の基本について確認しましょう。

従業員は以下の2つの要件を満たすことで、有休が発生し(会社から付与され)、取得することができます。
➀ 雇入れの日から6か月継続して雇われている
➁ 全労働日の8割以上を出勤している

また、付与される有休の日数は従業員の勤続年数と週の所定労働日数または1年間の所定労働日数により決まります。
詳細は、下記をご確認下さい。

<参考>厚生労働省HP

☞ 年次有給休暇の付与日数は法律で決まっています。

 >>> 詳しくはこちら ※外部リンクに移動します


有休の5日取得義務化

有休5日の取得義務化は、2019年4月1日からスタートしています。
この制度は、会社が対象の従業員に対し、有休を付与した日から1年以内に、有休を5日取得させる必要があるというものです。

詳しく見てみると、労働基準法39条で、「使用者は労働者ごとにその時季を定めることにより与えなければならない。」と使用者の時季指定が義務づけられており、そのうえで、「本人の請求や計画的付与によって与えた日数は、時季を定めることにより与えることを要しない。」という流れになっています。
ちなみに、「1年以内」のスタートは、制度開始日からではなく、制度開始後、有休を付与した日から(以降、繰り返し)となります。

例)2019年4月1日に入社した正社員の場合
付与日:2019年10月1日
取得期間 ➀:2019年10月1日から2020年9月30日の1年以内に5日
取得期間 ➁:2020年10日1日から2021年9月30日の1年以内に5日
(以降、繰り返し)

法律の原則どおり、従業員の入社日から半年後に有休を付与している会社で、中途入社が多く入社日がそれぞれ違う場合は、有休の付与日や取得期間の1年もそれぞれ異なるため管理には要注意です。


有休5日取得義務の対象者

■ 正社員
年10日以上の有休が付与されている従業員が対象となります。ただし、取得期間中すべて育児休業や休職で休んでいる方は対象外となります。(取得期間中に復帰した場合は対象となります。)

■ パート、アルバイト、契約社員、嘱託社員などでも下記に該当する従業員
・週5日勤務で勤続6か月以上
・週4日勤務で勤続3年6か月以上
・週3日勤務で勤続5年6か月以上

年10日以上の有休が付与される従業員が対象となるため、正社員だけでなく、パートやアルバイトの方でも、勤務日数や勤続年数によっては、有休を10日以上付与することとなりますので、5日取得義務の対象となります。誤解されやすいポイントですので注意が必要です。


有給休暇を取得させなかった場合の罰則

年5日の有給休暇を取得させなかった場合、労働基準法により以下の罰則が適用されます。
取得させなかった従業員1人につき、30万円以下の罰金
つまり「30万円×取得させなかった従業員」の罰金を科せられる可能性があるため、特に対象の従業員数が多い会社は注意が必要です。


法改正等は現状を見直すよい機会!

厚生労働省の調査によると、有休の取得率について、規模が小さい会社の上昇率は、ここ数年を見ると他を上回っているものの、それでもトータルでは会社規模が小さいほど低い傾向にあります。業種による差もあり、原因の1つには人手不足も挙げられるでしょう。

<参考>厚生労働省HP

☞ 年次有給休暇取得率の状況

 >>> 詳しくはこちら ※外部リンクに移動します

こうした状況の中で、有休の取得が義務化されたのは厳しいと感じている会社も多いと思います。中には、最初からあきらめ気味の会社もあるのではないでしょうか。制度開始から1年あまり、義務だからとりあえずやってみようと取り組んできたものの思うようにできていない会社もあると思います。

実際、難しい部分も多々あり、義務を課せられたと消極的な捉え方となりがちですが、従来のやり方を見直す機会を得たと前向きに捉えることができれば、以後の取り組み方も変わってくるでしょう。法改正だけでなく、今回のコロナ禍による環境の変化等も同じことが言えるでしょう。


生産性向上、採用力強化、従業員満足度の向上につながる!

有休の取得義務化を含めた働き方改革は、これを推進することにより企業の生産性・収益力が向上することも目的の1つとされています。

単に取らせるということではなく、「有休を取得させるためには何をどうすればよいか?」、「取得させても会社が今までどおり、または今まで以上の業績をあげるためにはどうすればよいか?」と考えることが求められており、そうした視点を持つことで、様々なポイントで課題が見えたり、アイデアが浮かび上がってくるのではないでしょうか。

こうした取り組みを通じて、従業員の意識の変化や生産性向上・業務効率化、長時間労働の改善などが図られ、有休が取れる環境が少しずつ整ってくるでしょう。さらに、採用力の強化、従業員満足度の向上(離職率低下・人材定着)、ひいては業績の向上等にも少なからずよい影響をもたらすと考えられます。

下記は、義務化される前に行われた調査結果です。
どこから手をつけてよいかわからない場合などは、義務化に向け他社がどのような取り組みをしているか、参考にされてはいかがでしょうか。

<参考>日本・東京商工会議所「働き方改革関連法への準備状況に関する調査」
「年次有給休暇の取得義務化」への対応として講じた取り組み
・調査時期2018年10月~12月
・上位6項目、複数回答
・調査時点で対応済・目途がついている割合
■ 有休の計画的付与・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・59.2%
■ 出退勤時間管理や休暇取得に関する管理職への研修・意識啓発・・48.3%
■ 業務内容や人員体制の見直し、平準化・・・・・・・・・・・・・38.3%
■ 勤怠管理システムの導入・見直し・・・・・・・・・・・・・・・36.5%
■ 人員の増強・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・31.9%
■ 時間外労働の管理の徹底・・・・・・・・・・・・・・・・・・・29.0%


有休5日を取得させる方法

取得方法を大きく分けると2つ挙げられます。

➀ 従業員からの請求により取得させる方法
➁ 会社主導で取得させる方法


従業員からの請求(自由意思)で取得させる方法が主流ですが、有休の義務化に伴い、会社主導で取得さ せる方法を取り入れる会社も増えてきています。
次回のメルマガでは、これらの方法について、有休5日取得義務を踏まえ詳しくお伝えいたします。



KING OF TIME 情報


10月1日に有休付与日を迎えた従業員様も、多くいらっしゃったのではないでしょうか。
今回は有休関連の機能をご紹介します。

◆ 有給休暇付与機能
◆ 年5日有休取得義務
◆ 年次有給休暇管理簿データ出力



有給休暇付与機能

KING OF TIMEでは、勤務日数や勤続年数を元に、有休の付与日数を自動で計算します。そのため、有休の付与日数を算出する手間が減り、間違いも防げます。
また、付与日を迎えた従業員がいる場合、管理者画面の「対応に必要な処理」にアラートを表示して付与作業を促すため、更新忘れも防ぐことができ、管理が適切に行えます。

有給休暇付与機能:管理画面

☞ 有給休暇付与機能とはなんですか?

 >>> 詳しくはこちら



年5日有休取得義務

働き方改革の一環として「1年間で5日の有休取得」が義務化されました。有休を付与するタイミングによっては、取得義務期間と日数が変わりますが(例えば、「1.5年の間で7.5日(8日)の有休取得」が必要となるなど)、KING OF TIMEでは、これらの計算も可能です。
また、任意の期間で、取得義務日数を満たしていない従業員がいた際に、アラートを表示できます。

年5日有休取得義務:管理画面

☞ 有休年5日以上取得義務に対応していますか?

 >>> 詳しくはこちら



年次有給休暇管理簿データ出力

2019年4月1日に施行された年5日有休取得義務に伴い、「年次有給休暇管理簿」の作成・保存が義務付けられました。
KING OF TIMEでは、必要なデータをExcel形式で出力できるので、作成・保存が簡単に行えます。

年次有給休暇管理簿データ出力

☞ 「有給休暇管理簿」は出力できますか?

 >>> 詳しくはこちら



本記事が皆様のお役に立てれば幸いです。
次回は、「 有給休暇の取得は進んでいますか?<後編> 」についてお伝えする予定です。

今後もKING OF TIMEをご愛顧いただけますよう邁進してまいりますので、何卒よろしくお願いいたします。


監修元:社会保険労務士法人 ヒューマンリソースマネージメント

 
 
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